機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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後編です。


PHASE-2 戦いを呼ぶもの…後編

アーモリーワンの外では最初にガーティ・ルーの攻撃に晒されたもう一隻のナスカ級が遂に撃沈した。が、別の哨戒部隊の戦艦が現れてMSもやってくる。

 

「スティング達は?」

 

エリスの問いにオペレーターは「まだです。」と答える。

 

良くない状況だ。港を潰したとはいえ、アーモリーワンは軍事工廠だ。敵の増援はまだまだ来る。今はまだ優勢だが、長引けばこちらが不利になる。

 

「出て時間を稼ぐ。後を頼むぞ。中佐、来い。」

 

ネオがリーに宣言し、エリスを促す。エリスはネオに「はっ!」と答え、格納庫に向かう。

 

格納庫から二機のMAが発進した。TS-MA4Fエグザスだ。MSが投入される前の地球軍で唯一ザフトに対抗できたメビウス・ゼロの強化機体であり、最大の特徴のガンバレルを扱えるのはこの部隊ではネオとエリスの二人だけであった。ネオの赤紫のエグザスがガンバレルを展開し、増援のゲイツとシグーをほぼ同時に撃墜する。青紫のエグザスのエリスもガンバレルに内蔵されたビームカッターでゲイツR二機を真っ二つにする。

 

ブリッジから二機の戦闘を見ていたリーは二人の上官の腕に舌を巻く。今やMAは前時代の兵器……それをまだ運用するのは連合に古い慣習が残っているようなものだが、それであれだけやってのける二人は異常だ。

 

 

 

エリスはネオのエグザスの動きを見て、見入る。やはり…あのガンバレルの使い方も全く同じ。

 

本人?いや、もしかしたらあのコロニー由来の技術で作られた?

 

どちらもあり得るからこそ、逆に恐ろしかった。

 

 

 

 

〈ここで逃がしてたまるかぁっ!〉

 

シンはかなり頭に血が上っている。アリスが〈頭を冷やして。〉と落ち着かせようとするが、シンは〈五月蠅い!〉と一蹴する。

 

「脱出されたらお終いだ!それまでになんとしても捕らえる!」

 

〈判っている…〉

 

ルゥが淡泊に答える。

 

ふと、レイは何か奇妙な感覚がした。まるで誰かに見られているような……

 

 

何だ、今のは…?

 

 

 

ルゥは戦闘中、誰かに見られているのと似た感覚がした。だが、機体には何の異常もないし自分を見ている者の姿もなかったため、それが何なのかはルゥに知る事はできなかった。

 

この感じ……一体。

 

 

 

戦場を離脱したアスランとイリアはデュランダルが向かったという新造艦ミネルバに着艦した。ラダーで降りていくと、赤服の少女が銃を向けてきた。

 

「何者だ、お前達は?軍の者ではないな。何故その機体に乗っている?」

 

「おいおい、恐い顔するなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」

 

イリアがからかうが、少女は「黙れ!」と叫び銃をイリアに向ける。カガリが名乗りでしようとしたところをアスランが制した。

 

「銃を下ろせ。こちらはオーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハ氏だ。俺は随員のアレックス・ディノ、彼も同じく随員の…」

 

「イツキ・カワグチだ。こちらは代表の兄君フブキ・クラ・アスハ様。」

 

少女と後ろの兵達の顔が変わった。当然だろう、プラントと友好関係にある国家の代表が今目の前にいるのだ。当惑する彼らにイリアがアスランより更に前に出て説明をする。

 

「デュランダル議長との会見中に騒ぎに巻き込まれ、避難もままならないのでこの機体を借りた。議長はこちらにいらしたのだろう?」

 

「しかし、その証拠は…!」

 

少女はまだ信じられないようだが、後ろから馴染みのある顔が出てきて、アスランは目を丸くした。

 

「彼らの言っている事は本当だ。そちらはオーブのカガリ・ユラ・アスハ様と兄君のフブキ・クラ・アスハ様だ。」

 

「私とシオンが証人になるわ。」

 

シオン・クールズとミサキ・グールドだ。戦後、プラントに戻ったと聞いていたがまさかこの艦のクルーになっているとは。アスランは久しぶりにあった友の顔をまじまじと見つめる。

 

「久しぶりだな。」

 

「おう。どうだ、ミサキ。シオンとはどこまで行ったんだ?」

 

「久しぶりに会った第一声がそれ?」

 

イリアの茶々にミサキは憮然とした態度で答えた。彼らの馴れ馴れしいやりとりに少女が「あの…」と戸惑いがちに声を上げる。アスランは慌てて話を戻す。

 

「失礼、代表は怪我もされている。議長にお目にかかりたいのだが……」

 

 

 

ブリッジでミネルバ艦長のタリア・グラディスは戦闘の様子をモニターで見ていた。三機のGとザクは強奪機体を追っているが、その中でインパルスは徐々に追い込まれていた。

 

〈ミネルバ!フォースシルエットを!〉

 

シンが武装の変更を求めてきた。確かにあれだけの相手に近接戦闘用のソードシルエットでは限界だ。機動性重視のフォースの方がいいだろう。副長のアーサー・トラインが確認を取る。

 

「許可します。射出して!」

 

「あ、はい!」

 

アーサーが上ずった声で答え、タリアは先程からブリッジにいるデュランダル議長に向き直る。

 

「もう機密もなにもありませんでしょ?」

 

デュランダルも半ば諦めたかのように「ああ…」と応じ、オペレーターのメイリン・ホークがシルエット射出シークエンスを薦めている。

 

 

 

強奪された機体は隔壁に向けて火器を連射しているが、自己修復ミラーの為に破ることが出来ずにいる。インパルスはミラーへ攻撃を続けているガイアを目指すが、カオスに阻まれ、遂に対艦刀エクスカリバーを折られてしまう。武器を失ったインパルスにアビスとカオスが迫るが、カオスとインパルスの間を飛行物体が通り抜けた。戦闘機にも見えるその物体を確認したカインはグラウンドをレイジに組み付かせる。

 

「シン!今の内だ!」

 

〈ああ!〉

 

シンは短く答える。アナーとザクファントムも武器を失ったインパルスを狙うカオスとアビスを牽制する。カイン達が食い止めている間にインパルスはソードシルエットをパージし、色がグレーに戻る。その後、先程の飛行物体から何かがパージされ、インパルスとドッキングし、機体の色はトリコロールに変わる。フォースシルエットに換装したインパルスの色で、基本の色でもある。

 

〈やった!〉

 

アリスが歓喜する。インパルスは先程の形態以上の機動力でガイアに肉薄する。グラウンドを振りほどいたレイジがカオス、アビスと共に隔壁を撃つ。まだ破られないが、もう何発も持たないだろう。

 

あれ以上撃たれたら持たない!早くやらねば!

 

インパルスはビームサーベルを抜き放ちガイアに斬りかかるが、シンは後ろからのカオスの砲撃に気付いていなかった。

 

「シン!!」

 

同僚を呼ぶが、敵の砲撃はインパルスではなく隔壁を狙っていた。カオスの砲撃で遂に壁に大穴が空き、空気が流れ出す。四機のGは穴に飛び込んでいき、外へ逃れる。

 

〈くそっ、待て!!〉

 

シンはインパルスを駆りプラントの外へ向かう。

 

〈シン!待って!〉

 

アリスが追おうとするが、ルゥが機体をアナーの前に出して制する。

 

〈シンは私とレイが連れ戻す……お前とカインはミネルバに戻れ。そろそろエネルギーも辛いだろう。〉

 

ルゥに言われてパネルを見ると、エネルギーゲージがEMPTYに近付いていた。

 

「アリス、ここはレイとルゥに任せて戻ろう。」

 

カインはアリスを促し、ミネルバへ向かった。

 

 

 

一方、ミネルバでもインパルスとレイとルゥのザクが外へ飛び出したのを捉えていた。

 

「あいつら、何を勝手に!外の敵艦はまだ!」

 

アーサーが大げさに叫び、メイリンが更に悲観な報告をする。

 

「インパルスのエネルギー、危険域です!最大で後300!」

 

「ええ!」

 

アーサーがまた大げさに叫ぶ。タリアは席から立ち上がり、高らかに宣言する。

 

「インパルスまで失う訳にはいきません。ミネルバ、発進させます!」

 

「頼む……」

 

デュランダルも同意し、発進準備を進める。それから程なくして、灰色の女神は進水式を前倒しにして宇宙へと飛び出した。

 

 

 

ミネルバが発進する準備を進める中…

 

「進水式前で緊急発進……避難するのか?」

 

フブキが確認するが、シオンも首を横に振る。

 

「いや、俺達もなにも……」

 

その時、「コンディションレッド」という単語が聞こえた。

 

「おい、コンディションレッドって!」

 

イリアが言うとおり、連合で言えば第一戦闘配備だ。

 

「戦闘に出るのか、この艦は!」

 

「アスラン!」

 

カガリが思わず、その名を口にした。カガリも言ってすぐ、気づいた。

 

「馬鹿…!」

 

フブキが片手で目を覆った。




多分、エリスについてはもう察している人はいると思います。
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