機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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アスラン達の脱走、そして再登場メンバーがいます。


PHASE-30 雷鳴の闇…前編

グフで飛び出したメイリンは先ほどレイに撃たれた恐怖に震えながら問う。

 

「で、でもこれから…」

 

「アークエンジェルを探す!」

 

「え?だって…!」

 

メイリンが困惑するが、アスランは彼らが無事に逃げ延びていると信じていた。

 

「沈んじゃいない…きっと、キラとユリも…!」

 

アスランは知っている。彼らがどれだけ過酷な状況を切り抜けてきたのかを。ヘリオポリスから始まり、アルテミス、砂漠、紅海…あの戦闘を経てのアラスカ、オーブ、メンデル、そしてヤキン・ドゥーエ……潜ってきた修羅場の数ならミネルバなど足下にも及ばない。だから、きっと今回も無事なはずだ。

 

振り切っていればアークエンジェルはオーブへ向かうと信じ、機体のスピードを上げて間もなくセンサーが反応した。連合のウィンダムが二機、グフの前を飛んでいた。

 

何故ここにウィンダムが?本当にスパイが?

 

 

 

ウィンダムで飛び出したシオンとミサキはジブラルタル基地を随分と離れていた。

 

〈シオン、逃げたのは良いけど…どうするの?〉

 

「アークエンジェルに合流しよう。あれくらいでやられるはずがない!」

 

それが願望か、確信かは分からない。だが、今の自分達に希望があるとすればあの艦しかいない。それに、もう全てを他者になすりつけて清廉潔白を気取る連中の中にいるのには耐えられなかった。そして、アークエンジェルがいる場所はおそらく…

 

〈無事ならオーブね…〉

 

「ああ、とにかく急いで基地から…!」

 

センサーが反応した。グフが一機、後ろを飛んでいた。

 

もう追っ手が来たのか!?……しかし、一機で?

 

自分達以外にもスパイ容疑の者がいるのかと考え、シオンは回線をオープンにした。

 

「後ろのグフ、何者だ?誰が乗っている?」

 

シオンが全て言い終えるより先にグフから返事が来た。

 

〈シオンか!?〉

 

〈アスラン?貴方も追われているの?〉

 

〈え?ミサキさんも?〉

 

「アスラン……今頃目が覚めたのか?」

 

〈…ああ、すまない。お前やキラ達が正しかった。逃げ切ったら百発でも二百発でも殴ってくれ。〉

 

「足りない…千発。」

 

〈分かった、それくらい殴って良いから。〉

 

〈め、目が覚めるって…どういうことですか?〉

 

グフからアスランだけでなくメイリンの声までした。何故、彼女がいるのか。そこは疑問ではあるが、今は逃げるのが先決だ。

 

「……本当なら殺してやりたいが。」

 

〈ひ!〉

 

メイリンが震えるのが分かったが、シオンはメイリンを信用していない。当然だ、あの忌々しい艦のクルーだ。

 

「待ってくれ!俺を助けてくれたんだ!それに、俺の逃走に巻き込まれてレイに撃たれた!!」

 

〈レイって…!〉

 

よりによって、レイが出てくる。そうか、レイとルゥは最初からあの男の手先だったという訳か。

 

「良いだろう…今は保留だが、おかしなそぶりを見せればコクピットをこじ開けてでも殺す。」

 

〈は、はい…!〉

 

〈シオン、そんなの後で良いから今は逃げないと!〉

 

〈すぐに追撃が来る!〉

 

二人に言われるまでもない。このまま奴らのいいようになってたまるか。三機は更に機体のスピードをあげる。

 

 

 

デュランダルに賛同した連合の艦隊の中に一人目立つ褐色肌の大男がいた。そして、もう一人…カメラを持った少女が飛び立っていくMSを写真に撮った。

 

「行くぞ。」

 

「あ…はい!」

 

少女…メイ・ハーベストは大男レドニル・キサカの後についていった。

 

 

 

モニターがグフとウィンダムを捉えた。先程、レイがデュランダルに撃墜を進言し、許可が下りた。

 

しかし、シンは強い抵抗を覚えていた。上官と先輩、更に同僚が乗った機体を討つ。

そんな事…出来るはずが…!!

 

〈ルゥ、左に回れ。〉

 

〈了解。〉

 

レイとルゥが短いやりとりを交わし、レジェンドとフェイブルが左右に展開した。

 

〈私とレイが左右から叩く。シンは前に回ってカインとアリスは後ろから撃て。〉

 

〈そんな!本気なのか!?〉

 

余りにスムーズに事を薦めるルゥにカインが反論する。しかし、レイがそれすら切り捨てる。

 

〈こんな事で議長とそれに賛同した人々の思いを無駄にするわけには行かない。覚悟を決めろ。俺達で防ぐんだ!〉

 

レジェンドがドラグーンを構えてグフを撃ち、フェイブルもビームライフルを撃つ。二機の砲撃は海面を抉り、グフがビームガンを構え、シンは回避する。

 

フェイブルはウィンダムをビームライフルで撃ち、二機はシールドでフェイブルのビームを防ぐ。その隙を突いてクリエイターがランサーダートを撃とうとした。しかし、流石に経験はまだ相手の方が上で、操縦の癖で分かる。シオンの機体がスラスターを海面でふかし、水しぶきが盾になってランサーダートの射線を狂わせた。。

 

「何でこうなるんだ?何でアンタ達は!?」

 

怒りにまかせてビームライフルを撃つが、グフはそれも回避し、アスランから通信が入る。

 

〈シン!お前達は何も知らないんだ!〉

 

「なにをぉ!!」

 

何を知らないというんだ!マユを!ステラと姉さんを殺された俺が何を知らない!

 

肩のビームブーメランを投げるが、一機のウィンダムがビームライフルでブーメランを撃ち落とした。

 

〈そんな手は通じない!見苦しいですよ、アスラン!〉

 

〈レイ!〉

 

レジェンドが再びドラグーンを撃ち、更にフェイブルが対艦刀を手にウィンダムへ斬りかかった。

 

〈アスラン!〉

 

シオンが叫び、フェイブルの剣を躱した彼のウィンダムがビームサーベルでリドレスに斬りかかる。

 

「アリス!」

 

リドレスがビームシールドを展開して斬撃を受け止め押し返す。

 

〈シオン……どうして!?〉

 

〈役目を果たせないから死ねという運命を受け入れるほど、俺は利口ではないし…殺しの才能を褒められる人生を幸せと思いたくない!何より…全てを他者になすりつけてヒーローごっこに酔いしれる貴様らとはもう馴れ合いたくない!!〉

 

先輩の思いもしない言葉にシンは聞き入った。

 

役目を果たせないから死ね?一体、どういうことだ?

 

そもそもその後のことさえ何を言っているのかシンには分からなかった。ロゴスの存在が暴露された時からシオンはデュランダルの演説に否定的であった。なぜ、自分が悪いと思う?全てロゴスのせいだというのに。

 

〈三人とも聞いて!議長の言葉に誠意なんて無いのよ!〉

 

ミサキが腰から投殻弾を抜き、クリエイターに投げる。投殻弾はトリケロスに刺さり、爆発するが寸前でパージしたためにダメージはない。

 

「何を!?」

 

左腕のビームバズーカでグフを狙うが、アスランがスレイヤーウィップを振るのが早かった。鞭はバズーカを絡め取り、電流が走る。

 

爆発する寸前にランチャーを手放したシンの耳にアスランの言葉が入る。

 

〈議長やレイとルゥの言葉は、確かに正しく心地よく聞こえる!だが、彼らの言葉はやがて世界の全てを殺す!〉

 

世界の全てを……殺す?ロゴスを討って戦争のない世界を作るといった議長が世界を…?

 

〈俺達はそれを…!〉

 

〈シン、聞くな!〉

 

レイが割り込み、ビームジャベリンでグフに斬りかかる。グフもシールドからビームソードを抜き、レジェンドの斬撃を受け止める。

 

〈哀れな……友を失い錯乱したか!〉

 

フェイブルが再びリドレスと斬り合うウィンダムに対艦刀を振るが、シオンはまたも躱す。

 

〈ふざけるな!人形の分際で!〉

 

シオンがレイとルゥを否定し、今度はフェイブルにミサイルを撃つ。しかし、フェイブルの機動性にミサイルは追いつかずに海へ落ちた。

 

〈何で……どうしてなの!?〉

 

アリスの声は震えていた。泣いているのかもしれない。それでも右腕のビームバズーカでシオンを撃つ。高出力のビームがシオンのウィンダムのライフルとシールドを吹き飛ばす。

 

〈俺はあの男の人形になどなる気は…〉

 

〈スパイの言葉に惑わされるな!〉

 

レイがシオンの言葉を消し、ミサキが割り込む。

 

〈待って!どうしても討つなら、せめてメイリンだけは!〉

 

〈メイリン・ホークは共犯者だ!アスラン・ザラ諸共討て!〉

 

ルゥの余りに冷酷な言葉にシンは言葉を失う。アカデミーの頃から一緒だったメイリンをそんなにあっさりと切り捨てたレイとルゥの冷酷とも言える判断をシンは信じ切れない。

 

〈……本性を見せたか…なら、今ここで五人ともあの世に送ってやる!!〉

 

シオンが両腕で投殻弾を投げるが、レジェンドとフェイブルはそれをあっさりと躱した。

 

〈お前があの時言った言葉は偽りなのか!?〉

 

〈シン!レイの言葉を聞くな!〉

 

レイとアスランの言葉にシンは訳が分からなくなり、頭を振る。

 

『だったら俺だって、どんな敵とだって戦ってやるさ。』

 

議長の言葉を聞いて、感動した。ロゴスを撃つというのは簡単なことではない。それでも、戦争をなくすためにその決断をした。そして、ジブラルタルに着いた時の自身の言葉が蘇った。そうだ、あの時誓った。ステラのような犠牲を出さない世界を…そのために姉さんまで殺された。そして、アスランも?

 

デュランダルならもう戦争を起こさない世界を作ってくれる。ならば、自分は!?

 

「…くそおぉぉぉっ!!」

 

頭の中がクリアになり、シンはデスティニーのビームソードを構えた。

 

「アンタ達が悪いんだ……アンタ達が…アンタ達が裏切るから!!」

 

デスティニーがレジェンドと斬り合うグフに突っ込んだ。

 

〈シン!やめろ!〉

 

アスランの言葉も今のシンには届かなかった。レジェンドを振り払い、距離を置いたグフがスレイヤーウィップを振るうが、シンはデスティニーの特徴の一つである裳底ビーム砲パルマフィオキーナで鞭を撃ち抜いた。

 

思いもよらない攻撃にグフの動きが鈍った。シンはその隙を逃さず、グフの右腕を翼ごと切り裂いた。

 

「…!俺は…俺はもう絶対に!!」

 

あんなことにならない世界を作るために!どんな敵も倒す!

 

〈シン!〉

 

「うおおおおおお!!」

 

デスティニーの長剣がグフを貫いた。グフはゆっくりと海へと落下し、直後に大きな爆発が海水を押し上げた。

 

〈アスラン!〉

 

〈メイリン!〉

 

シオンとミサキが叫んだ。が、その直後にレジェンドとフェイブルのビームが二機のウィンダムを撃ち抜き、二機も海へ落下した。

 

シンは肩で息をしながら、自分がしたことに気付いた。

 

討った……討ったのだ。アスランとメイリンを。

 

〈帰投するぞ…〉

 

ルゥが淡泊な口調で促し、グフとウィンダムが沈んだ海を一瞥し、シンは基地へと戻った。

 

そして、アスラン・ザラ、シオン・クールズ、ミサキ・グールド、メイリン・ホークの四名はロゴスのスパイであり、逃亡を図るも死亡したと司令部から発表された。

 

 

 




アスランとミサキはシン達を止めようとしてますが、シオンはもうそんな気がさらさらありません。完全に愛想を尽かしており、信用していません。

ある意味で、シン達が自分で招いた結果でしょう。
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