機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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アスラン達が撃墜された後です。


PHASE-30 雷鳴の闇…後編

「メイリンが…?メイリンがなんで……」

 

ルナマリアは突然、保安員に呼び出されて事情を説明された。アスランとメイリンがスパイであり、脱走を企てて死んだと。

 

「そんなはずありません…あの子がそんな…!」

 

だって、ついさっき部屋の前でみっともない格好をしていたのを叱ったばかりなのに。

 

「アスランも…何かの間違いです!そんな…馬鹿なこと!!」

 

シオンとミサキもスパイとされた。あり得ない。いくらアークエンジェルのことでザフトを憎んでいたとしても、スパイだなんて。

 

 

 

翌朝…シン達五人はデュランダルに呼ばれていた。

 

「すまないね、昨日は辛い想いをさせてしまった。」

 

「いえ……」

 

シンが力なく応えた。

 

「アスラン・ザラ達の件は?」

 

カインの問いにデュランダルも淡々と応える。

 

「まだコクピットも回収されていないが、こちらのラグナロクのデータには侵入された跡もあったのだ。」

 

「ラグナロク……神話の、最終戦争の名前ですね?」

 

確か、神々が滅びるという西暦時代から伝えられるユーラシア方面に伝わる神話の最終戦争だった。

 

「ヘブンズベース攻撃作戦のコードネームだよ…たいそうな名前だがね。」

 

確かに、神々の黄昏という意味合いもあるのをカインは知っている。大仰だが、ロゴスをこれまでの世界の神とするならばある意味で間違ってはいないかもしれない。

 

「ただ、その中にはデスティニーやレジェンドのデータもあったのだ。」

 

あの五機のデータも含まれる。

 

「どうやったかは知りませんが、メイリンを引き込んだのでしょう。彼女は情報のエキスパートです。その気になれば、彼女一人で基地一つをシステムごと乗っ取れるでしょう。」

 

ルゥが流石に沈痛な面持ちで、メイリンが引き込まれたと推測した。確かにメイリンはアカデミーでの情報分析の成績は高かった。確かに、管制という役職にくわえて彼女自身の能力ならば可能だろう。

 

「アスランはラクスを連れ出そうともしたが、失敗した。……だが、彼らは何故。どこへ行こうとしていたのだろうか?アークエンジェルのことで三人とも酷く怒っていたが。」

 

「後ろ盾を失って焦ったのでしょう。」

 

「後ろ盾?」

 

シンが聞き入った。そして、レイが次にアスラン達の行き先の候補地を告げる。

 

「ラグナロクの情報を欲しがるとすれば、一つしか考えられません。」

 

「ロゴス…まさか、アスラン達がロゴスに内通していたっていうの?」

 

レイの言葉にアリスが信じられないという表情になる。

 

「ちょっと待て!それじゃあ、アークエンジェルがロゴスだって言うのか!?なら、ベルリンと辻褄が合わないじゃないか!」

 

大体、司令部の命令ではオーブの代表と兄を贋者と断じていた。方便にしたって、アスラン達三人がそれに納得するわけがない。

 

仮に本当にアークエンジェルがロゴスだとしても、それならばダーダネルスとクレタだっておかしい。シオンはロゴス幹部の中にオーブ政府と関わりのある企業の要人もいると言っていた。本当にそうであるならば、連合の同盟国であるオーブを助けるのが普通だが撤退させるために両軍を相手に攻撃するのはおかしいし、ベルリンだって辻褄が合わない。

 

だが、シンとアリスは完全にレイやデュランダルを信じている。

 

「議長、私は本当にアスラン達がヘブンズベースへ向かおうとするのなら、別の理由……衝動的な、復讐の方がまだ説明がつくと思います。」

 

「復讐?アークエンジェルのことかね。」

 

「他に理由が思い当たりません。自分達の汚点を明かしてしまいますが、シンと一部のクルー達は彼らとアークエンジェルだけでなく、旧クルーゼ隊隊員達に余りにも酷い侮辱をしました。特にシオンは殺害未遂を引き起こすほどです。」

 

エンジェルダウン作戦の後、シンだけでなくクルー全員に殺意を向けたのを見たアリスが意味を悟った。

 

「ロゴスを使って…私達に復讐をしようとした?」

 

「そんな…そんな、理由で!?」

 

シンの言葉にカインは別の怒りを抱いた。

 

「そんな理由?お前は自分の家族を無関係じゃないといって、自分が殺した挙げ句に身内を侮辱しておいてそれか!?」

 

「そ、そんなの一緒に戦った方が悪いんじゃないか!」

 

「お前はここのところ、いつもそれだな!」

 

「カイン、よせ。」

 

「シンもやめろ。議長の前だぞ。」

 

ルゥがカインを、レイがシンを窘めてカインは一旦下がる。そして、デュランダルが大きなため息をつく。

 

「復讐、か……開戦の折にアスランは私に会いに来ていた。どうしてもそれ(絶滅戦争)だけはと訴えてきたアスランがそれに走ってしまうとは。だが、それでもロゴスを撃って戦争のない世界にすることが気に入らないのか…」

 

カインもそこだけは引っかかる。だが、もし三人がもう復讐以外頭になかったとしたら?

 

そうであれば、この件も説明がつく。ついてしまうのだ。もう何もかもどうでも良く、仲間を殺し、侮辱した者達を殺せるのならばそれでいいと。

 

 

 

ミネルバに戻ったアリスはかつて、シオンのザクがあった場所を見上げた。今、ここにはリドレスが置かれた。アナーとグラウンドはセイバーやザク共々廃棄され、もうない。そして、シオンが乗るはずだったフェイブルはルゥがパイロットになった。

 

「アリス……」

 

ルゥが声をかけた。

 

「なんで、ルゥ?アークエンジェルを…ブレイブに乗ってるのが妹なら、シオンを困らせるようなことをしたの?」

 

「私にもわからない……だが、彼はお前の気持ちよりも妹やミサキを選んだ。お前が悩んでいたのを分かろうともせずにな。ロゴスによって汚染されたのかもしれない。」

 

ロゴス…全て、ロゴスのせいなの?

 

そうだ。全てロゴスのせいだ。こんなことになったのも、ロゴスのせいだ。カインはアークエンジェルがロゴスという線は否定しているが、そんなはずない。だって、シオンを惑わしているのだ。ロゴスに決まっているじゃないか。

 

アリスの心はロゴスへの憎悪に染まっていった。慰めをかけたルゥが内心で罪悪感を抱きながらもほくそ笑んでいた事にも気づかず。

 

 

 

アスラン達の脱走から何日か経ち、遂に来た。オペレーション・ラグナロク…ロゴス幹部が逃げ込んだヘブンズベース攻撃作戦のためにザフト軍及び連合から脱退した軍も続いた。

 

旗艦はミネルバに決定し、デュランダルも評議員や士官らと共に乗艦した。乗艦したミネルバは出航と同時にヘブンズベースへ向けて通告をした。

 

〈我らザフト及び地球連合軍は、ヘブンズベースに対し以下の要求を通告する。一、先に公表されたロゴス構成員の即時引き渡し。二、全軍の武装解除、並びに基地施設の放棄。〉

 

この通告はすなわち、連合を脱退した軍は自らを正当な地球連合軍と称し、ベルリンを初めとしたロゴス協力派及びヘブンズベースや月基地を正規軍ではなく死の商人に加担するテロリストと扱うものだ。

 

ユニウスセブンの落下によって始まった連合とプラントの戦争は大きく様相を変えた。デュランダルのロゴス暴露によって、戦争は連合とプラントではなく……死の商人ロゴスに加担するテロリストと連合・ザフトの同盟軍による戦争になった。

 

 

 

アークエンジェルはようやくオーブのアカツキ島に到着した。そこには既にかつてクサナギのクルーとしてヤキン・ドゥーエを共に戦ったモルゲンレーテの技術者エリカ・シモンズがいた。

 

アークエンジェルでもヘブンズベースへの通告は確認されたが、アークエンジェルは今それどころではなかった。ダーダネルスの後、シオン達と会う手引きをした後ジャーナリストに戻ったメイが合流してきた。

 

彼女は連合の脱退軍に取材していたところをレドニル・キサカと偶然出会い、そのまま密着取材でジブラルタルまで来ていた。

 

その後、スパイ脱走の事件を聞いてキサカと一緒に出たところで彼らを助け出していた。

 

飛行艇には青い髪の青年と赤い髪の少女が応急処置を受けて眠っており、赤紫の青年が松葉杖をつき、緑の髪の少女は右腕を三角巾でつっていた。




ヘブンズベース目前だというのに、ミネルバの団結は不安定です。シンとアリスはレイとルゥにうまく言いくるめられてますが、カインだけはグレーです。

ザフト全軍に等しいロゴス理論が蔓延する中、カインだけはロゴス理論を全部支持し切れていません。

尚、シオンとミサキはアスランと違いビームライフルで装備を失って撃ち落とされたという事で、なんとか脱出に成功しました。その後は正に溺れ死ぬ瀬戸際でアスランと一緒に回収されており、機体のやられ方がアスランより軽かった分二人も軽傷です。

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