機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE 作:meitoken
大気圏外のザフト軍にオペレーション・ラグナロクの開始が通達され、ジュール隊が指揮を執る降下部隊が準備に取りかかる。
地上では遅ればせながら戦闘を開始するが、不意打ちとデストロイの砲撃によるダメージは大きかった。中でも十機のデストロイの砲撃でバビやディンは次々と撃ち落とされ、水中のMS隊もフォビドゥン・ヴォーテクスの攻撃でアッシュやグーンは撃破され、同盟軍のディープ・フォビドゥンも苦戦を強いられている。
「はぁーーははははは!!!最高だぜ、こりゃあ!!」
スティングはようやく乗れたデストロイで撃ちまくった。円盤のネフェルテムで海上艦や潜水艦を沈め、ミサイルでダガーを撃ち落とす。他のデストロイも腕を発射して接近を試みたグフを撃ち落とすか、その巨大な腕のリフレクターでたたき落とした。
ヘブンズベース司令室の特別ブースでジブリールは有利に進む戦況を眺めたジブリールは優越感に浸りながら、近づいてくる勝利に酔いしれていた。
「糾弾も良い!理想も良い!が、全ては勝たねば意味はない!」
後ろにいるロゴスの老人達も不利な状況の不安から解放され、頷いている。
「古から、全ては勝者の物と決まっているのですからね。」
「直上にザフト軍降下ポッド現出。ルート26から31に展開。」
「ニーベルング発射用意。」
最初は解答なしに攻撃を始めることに難色を示した司令官も戦闘を開始するとMS隊と艦隊の指揮を執り、ザフトの不利を巻き返す最大の不安要素の降下部隊へも対処する。
基地の山が解放され、仲に円錐状のミラーと柱のような装置が展開する。対空掃射砲ニーベルング、降下部隊を迎撃するためにこのヘブンズベースに配備されたレーザー兵器だ。
「照射角、20から32。ニーベルング、射線軸よろし。」
「発射。」
デストロイに並ぶもう一つの切り札が発射された。レーザーが周辺のミラーで何度も反射し、上空へ向けて発射された。上空へ撃たれた無数のレーザーは降下ポッドから出て無防備のザフトのMS隊を一機残らず撃ち落とした。
「これは…こんな!」
アーサーが呆然とつぶやき、バートが降下部隊の状況を報告する。
「降下部隊、消滅!」
消滅…つまり、今のレーザー砲で頼みの綱の降下部隊は一機のMSも残らず、撃ち落とされてしまった。
〈艦長、行きます!早く発進を!〉
「シン…」
〈こんなこと、もう許しておけませんよ!〉
「でも…」
「頼む。」
デュランダルがシンの発進許可を了承した。こうなれば、タリアも従うしかない。実際、可能性があるとすればフリーダム、ブレイブ、アフェクションを撃破した三人が受領したMSだ。少なくとも、通常のMS戦で今のザフトでデストロイに対抗できるのはミネルバにある五機のみだ。
「デスティニー、レジェンド、フェイブル、リドレス、クリエイター、インパルス発進!」
メイリンの後任で着任したアビー・ウィンザーの管制にまだ慣れないながらもシンは発進シークエンスを勧める。
「マユを殺し、ステラを弄んで、姉さんを操るロゴスめ!お前達の勝手にはもうさせないぞ!!」
奴らは人の命を金のなる木としか思っていない!!守る連合も全部滅ぼす!!
「シン・アスカ、デスティニー行きます!」
デスティニーが先陣を切り、レジェンドとフェイブルが続く。
〈レイ・ザ・バレル、レジェンド発進する!〉
〈ルゥ・カゲロウ、フェイブル出る!〉
続いてリドレスとクリエイター、ルナマリアが乗ったコアスプレンダーが出る。
〈アリス・シュナイダー、リドレス発進します!〉
〈カイン・L・B・アルベルト、クリエイター行くぞ!〉
〈ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー行くわよ!〉
シンは早速ビームライフルでウィンダムを撃墜し、次に左腕の長距離ビーム砲でウィンダムを撃ち落とす。
デスティニーは元々インパルスの装備案を一機のMSとして組み直した機体。インパルスになれたシンにとってはその延長で扱いやすかった。オマケにスピードもパワーもインパルスどころかあのフリーダム以上だ。ウィンダムごとき、相手にならない。
〈やれる、私だって!〉
ルナマリアのインパルスはウィンダムを何機か撃ち落とすが、下からユークリッドが撃ってきた。
「迂闊だ、ルナマリア!飛んでんだから、下からも撃たれるぞ!」
出撃前、シンはルナマリアと唇を重ねて守ると誓った。ステラを守れなかったが、彼女だけは守る。キスの感触を思い出しながらも、シンはユークリッドをビームブーメランで切り刻んだ。
クリエイターは背中のクロービーム砲でウィンダムを撃墜し、接近戦を仕掛けてきた105ダガーを腰のクローサーベルで両断した。続いてトリケロスの対艦刀で護衛艦のブリッジを潰した。
リドレスは最初は空を飛んでビームバズーカでデストロイのミサイルを撃つが、高度を落として海上をホバー移動する。五機の新型ではアサルトシュラウドによって最も重い故の判断だ。だが、それでも動力は核とデュートリオンビームシステムを併用したハイパーデュートリオンだから、機動力はウィンダムやバビを超えている。海上からウィンダムの部隊をバズーカで撃ち落とし、ビームサーベルでそのまま空母をホバー移動しながら切り裂いた。
フェイブルはシールドの対艦刀を抜き、ウィンダムを次々と両断する。更に背中のドラグーンをビーム砲にして艦隊のミサイルを全て撃ち落として、MS隊を援護する。隣にいたレジェンドもGAT-333レイダー制式仕様とダガー隊に追われていたが、すぐに振り切ってドラグーンの砲撃で撃墜した。
ウィンダムやダガーはミネルバの六機の奮戦で数を減らしつつあるが、一番の問題のデストロイは健在だ。
「シン、私が突破口を作るわ!」
アリスはリドレスのバズーカを連結させ、バスターモードにする。
「パワーチャージ、97%……射線軸に友軍なし!」
海上にいるリドレスは最も鈍重そうなのが見て取れるので、ダガー隊も狙うがインパルスとデスティニーがそれを阻む。
「アスピドケロンバスターモード、発射!」
トリガーを引き、海上からデストロイの砲撃に匹敵するビーム砲が発射された。足下からの砲撃であったために一機のデストロイは完全に両足を破壊され、敵の艦隊もなぎ払われた。そして、その砲撃は基地の港にも打撃を与え、将兵達も大勢が焼き殺された。
〈今だ、シン!基地への道が開いた!〉
〈私とレイが援護する!切り込め!〉
レイとルゥが促し、最も早いデスティニーが後退したデストロイの一機へ向かった。
これでなんとか巻き返せるはず。だが……
「一発でこんなに。」
フルパワーに近い状態で撃ったら、理論上はエネルギー切れのない本機のエネルギーゲージが減っていた。パワー供給が追いつかなかったのだ。
分かっていたけど、そう何発も撃てないわ。でも……
「ロゴス…!」
ロゴスを撃てばこの戦争は終わる!今はそのことに集中しないと!
「第二防衛ライン、破られました!」
「敵MS、湾内へ侵攻!」
先ほどまで優勢だった状況とは打って変わり、ミネルバから発進した新型の参戦で形勢が崩れ始め、更に先ほどの新型の砲撃で基地への道が開いてしまい新型を先頭に敵軍が基地へ侵入してきた。
巻きかえされる戦況に司令官が苛立ちを露わに命じる。
「えぇい!なんだあの六機は!?デストロイを回せ!攻撃を集中しろ!」
しかし、その命令の直後に信じられない報告が伝えられる。
「二号機、十号機、撃墜されました!」
何だと!?デストロイが短時間で二機も!?
VIPルームで戦況を見つめるジブリールも自軍の勝利が揺らぎ始めたのを感じていた。
レジェンドとフェイブルがMA形態のデストロイを一機ずつ撃墜し、デスティニーがMS形態を一機切り裂いた。
「懐に飛び込んでしまえば!!」
カインのクリエイターもグラウンドを凌ぐ機動力に物を言わせてMS形態のデストロイの懐に飛び込んでクローをコクピットに突っ込み、ビームを撃った。デストロイがコクピットから煙を噴きながら倒れ、リドレスも先ほどの砲撃で両足を失いながらも飛び続けるMA形態のデストロイの真下にまわり、胸の拡散ビーム砲とビームバズーカを発射する。下からの攻撃にはリフレクターも意味をなさず、頭に被った円盤から火を噴いた。
シンの指示でソードに換装したインパルスがレジェンドにエクスカリバーを渡し、クリエイターも対艦刀を抜いた。
三機が対艦刀を手に持ち、後退していくデストロイに斬りかかった。気付いたデストロイが円盤周囲のビーム砲を発射しようとするが、インパルスの投げたブーメランが先に円盤を切り裂き、レジェンドとフェイブルの対艦刀が大砲を切り、インパルスが剣を頭上に剣を突き立てたまま上を疾走し、離脱する。デストロイは武器と推力を失い、基地へ落下し爆発した。
〈やるな、ルナマリア!大した物じゃないか!〉
〈忘れてた?私も赤なのよ!〉
今までの溜飲を下げるようなルナマリアの戦いにカインは少し微笑み、トリケロスに内蔵された実剣対艦刀を出し、MA形態のデストロイへと斬りかかる。
「うおおおお!!」
ザフトにより強化が施された対艦刀がデストロイの分厚い装甲を切り裂き、クリエイターが離れたと同時にデストロイは上半身が身体を離れ、倒れた。それと同じ頃、デスティニーが基地へ上陸した際、最初に交戦して右腕と頭部を潰したデストロイに向かってアロンダイトを突きつけ、突進した。
ほぼ同じタイミングでMA形態のデストロイのミサイルをバズーカで撃ち落としたりドレスが巨大な大砲にめがけてバルカンをたたき込んだ。流石のデストロイも中にバルカンを撃ち込まれては内側から爆発してしまい、そのままバックパックごと本体が吹き飛んだ。
新型の剣がデストロイのハッチを貫通し、スティングの身体を押しつぶした。
「へへ…俺の…!」
最後の瞬間までスティングの心は今まで欲しいと願っていた化け物に向けられていた。しかし、身体が焼かれる瞬間、二人の少女の姿がスティングの目に映った。
「三号機、七号機、八号機大破!」
瞬く間に三機が続けて撃破され、司令室の誰もが青ざめていく。そして、更に彼らに絶望的な報告が来る。
「一号機、六号機、九号機撃墜!」
僅かな時間で十機のデストロイが次々と撃破され、残るは一機。だが、どう考えても一機でどうにかなるような状況ではなくなってしまった。
拠点防衛用としても有用なデストロイだったが、プラント本国への攻撃を念頭に置いたために火力と防御力を優先しすぎた結果、高い機動力を持つMS相手には分が悪くなってしまう。まして、それが一機で戦局を覆せるようなMSとそれを乗りこなすパイロットであれば尚更だった。
高すぎる火力と巨体故の鈍重さが仇になってしまったのだ。
「どういうことなのだ、これは!えぇい!!」
デストロイが半数を切った時点でジブリールは既に万が一に備えて用意していた潜水艦で脱出の準備を進めていた。
ニーベルングに十機のデストロイ、あれだけの数のMSとMAを揃えたのにミネルバの新型…それもたった五機を相手にデストロイが一方的に撃破されてしまうのはジブリールにとっても想定外だった。
だが、まだ手はある!月に奥の手を用意してあるのだ!!
初期の不利が嘘のような戦局の逆転にタリアは呆然とした。既に残り一機となったデストロイもデスティニー、リドレス、クリエイターの至近距離砲撃で貫かれ、倒れた。
「リワド隊より入電、司令部に白旗を視認!敵軍、更なる戦闘の意志無き模様。」
「確認してくれ。」
「はっ!完全に停戦するまで、警戒を怠るな!」
これで、終わるのだろうか?
あれだけのことがあったにしては、余りに簡単に幕が下りてしまった芝居を見たような感覚にタリアは見舞われたが、すぐに頭を切り換える。
アスランは身体が浮いている気がした。はっきりとしない頭で目を開くと、よく知る顔が映った。
「キ…ラ……?おま…死んだ……」
「大丈夫だよ、君ちゃんと生きてるって!」
自分の事を指しているのに…他人のことだと思って……間違いなく、キラだ。
「俺は…どう……」
「キサカさんとメイが連れてきたんだ。カガリなんかもう泣きっぱなしで…さっきまでずっと着いていたよ。」
カガリも無事だった…やはり、アークエンジェルは無事に逃げ延びていたのだ。安堵すると共にアスランは自分が巻き込んだ少女を思い出した。
「メイリ……彼女は?」
「大丈夫だよ。君が、庇ったんだろ?今は眠ってるけど、彼女の方がずっと元気だよ。シオンとミサキも、今は休んでるよ。」
メイリンやシオンも無事と聞き、アスランは胸をなで下ろした。そして、自分の行動を思い起こす内に自分が嫌になってきた。こんな、無様な……
自分の不甲斐なさに腹が立っていると、カガリがユリと共に医務室へ入ってきた。カガリがキラの隣に座り、アスランの目にかかった髪を払う。その目には涙が浮かび、次第に頬を伝いカガリはうなだれた。
「でも…どうして、こんな事…!」
本当だ…何故、こんな事になったのだろう?力になりたくて復隊したのに、実際はデュランダルに利用され、彼の野望の片棒を担いだだけであった。耳あたりの言い言葉だけ聞いて、その裏を見たキラ達を信じようとしなかった。
本当に、俺は父と同じ愚か者だ。
そこへ、フブキとユリが現れた。
「殴ってやろうと思ったが、ここまで無様だとそんな気も失せる。」
「お説教は後でたっぷりしてあげるから、今は寝る。」
いつものことだが、本当に二人共容赦がない。だが
「イリア、は?」
「ラクスと一緒に宇宙よ……カガリ、暫くついていてあげなさい。」
ユリが気を遣い、フブキも軽く睨んできてそのまま退室した。
リドレスのバスターモードは、昔は胸の拡散ビーム砲と接続するという設定だったけどそれじゃあまんま00のヴァーチェだからやめました。
ミネルバの新型が増えたから、ヘブンズベースのデストロイも増えたけど結果はご覧の通り。リドレスも遅いと言っても、それはデスティニーと比較した場合で充分早く、火力型でもリフレクターの死角からならビーム砲で充分撃破可能ということです。そして、あの大砲の中ならバルカンでも充分撃破可能でしょう。何せあの威力だから。
そして、この時のアスランは本人も言っていたように無様でした。
アスランとシオンで差が生じたのは、やはりザフトの軍人でも見方はアークエンジェルと一緒だった時か否かの差でしょう。ある意味で、シオンはアスランより冷静に且つ客観的に物事を見ていたから、完全に騙されずにすんだ。
それでも、反動は凄まじいことになってしまったが