機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE 作:meitoken
頭でアレを再生してお楽しみください
〈キラ君!すぐにブリッジへ!エターナルが発進すると、ターミナルから連絡よ!ザフトに発見されたと!〉
ルージュのOS調整をしていたキラはすぐにブリッジへ向かった。
「ラクス…!」
キラが最も大切にしている女性が今、自分の手の届かないところで危機に瀕している!そして、今自分には彼女がくれた翼がない。
キラは自分の無力さをかみしめ、ブリッジに入った。アスランの看病をしていたカガリとユリ、フブキもブリッジに来ていて、エターナルの状況を確認する。
「どのくらいの部隊に追われているのかは分からないけど…突破が無理なら、ポッドだけでもこちらに降ろすという事よ。」
「ポッドって……それじゃあ!」
ユリが愕然とする。エターナルは理論上大気圏内でも飛べるという。だが、それでポッドだけでも降ろすという事は、それだけエターナルの状況は危ういという事だ。
「突破が無理ならって、……ラクス!」
イリアとバルトフェルドを信じてはいるが、二人でも守るのが難しい状況……
僕はただ、見ることしかできないのか?
再び己の無力さを歯がゆく思うキラの耳にムウの声が飛び込む。
〈おい!なんか、隣の奴がじたばたうるさいんだけど。「キラ、行けって。」〉
ムウの言葉を肯定するように、アスランの苦しげな声がブリッジに届く。
〈ラクスを、守るんだ…!絶対に……彼女を失ったら、全て…終わりだ!〉
アスランの意志をくみ、キラは決断した。
「カガリ!ルージュ貸して!それからブースターを!」
「あ、ああ!」
「ユリ、フレイムで一緒に行ってくれ!」
副操舵席に座ったシュウの後押しにユリも〈ええ!〉と勇んで頷き、ブリッジでターミナルと連絡を取り合っていたメイがミリアリアの通信席に割り込んで、シオンの看病をしているレナを呼び出す。
「レナ!状況は分かった!?」
〈大体ね!私もウインドで行くわ!〉
「ありがとう、ございます……フラガ少佐。」
ブリッジのキラに繋いでくれた人物にアスランは礼を言う。が、別のベッドから顔を出した女性が反発する。
「だから、違うの!この人はネオ・ロアノーク大佐!た!い!さ!」
「え?」
そう言われて、アスランはようやくムウ・ラ・フラガがヤキン・ドゥーエで戦死した事実を思い出す。しかし、今目の前にいる男は傷こそあれど、あの『エンデュミオンの鷹』ムウ・ラ・フラガだ。
では…この人は誰なのだ?
同じ頃、レイラは看病に来ていたミサキと話していた。
「やっぱり、そういう展開なのね。」
「そのようです。」
「まあ、私がデュランダルでもそう考えるわ。アレがいれば本物は邪魔だもの。」
そして、レイラはキラ達が間に合うのを祈った。
「間に合わなければ、確かにもう終わりね。」
ラクスがエターナルごとやられれば、デュランダルの側にいるラクスが本物として成立してしまい、こちらはチェックメイトだ。
「何も出来ないって辛いわね。」
「ええ…」
発進したエターナルはナスカ級とローラシア級、それぞれ三隻と発進したザクとグフの猛攻に晒されていた。いかに高速艦のエターナルといえど、これだけの砲火とMSをかいくぐるのは困難であった。
〈ブリッジ!一機もいないよりマシだろう!?俺が出る!〉
イリアが進言し、バルトフェルドも席を立った。
「俺も出る!いいな、ダコスタ!クラウド!エンジンを撃たせるなよ!」
「分かっています!」
クラウドは必死にエターナルの舵を切るが、ローラシア級の主砲が船体をかすめる。それから程なくして、エターナルから二機のMSが発進した。
一機はPSが黒ではなく朱色になっているガイア、もう一機はクライン派と連合の賛同者の協力でパーツの状態で送られ、ファクトリーで再建造されたアビスだ。
セカンドシリーズとはいえ、五十を超えるMSに対抗するなど不可能に近い。それでも、彼は諦めるつもりなど無かった。
〈電圧やら他のスペックとかはどうするんだ!?〉
「全てストライクと同じに!」
〈分かった!〉
キラはマードック達のサポートを受けてルージュのOSをかつて使っていたストライクと同じ物に書き換えた後、オオトリストライカーを装備すると共に電圧を防御力重視のルージュの仕様からストライクと同じ機動力重視に書き換えた。フレイムもまた、既にユリがヘリオポリス以来使っていた仕様に書き換えており、ウインドもブレイブを失った後にレナがOSを自分用に調整していたため、時間がかかるのはキラだけだった。
「マードックさん!」
〈総員退避!!〉
全ての準備が終わり、三機はシャトルのブースターで発進準備を進めた。まずキラが最初に出る。
間に合ってくれ!
「さてと…試運転と行こうか!」
イリアは追加されたシールドに内蔵された三連装ビーム砲を撃つ。ビームがザクの腕を貫いて戦闘不能にし、次に魚雷からミサイルに換装されたシールド内部のミサイルでエターナルへ迫る三機のグフを狙うが、こちらに気付いた三機はビームガンで全てのミサイルを撃ち落とした。
一機がビームソードで斬りかかり、イリアもビームランスを突き出す。間合いの差で槍が勝り、剣がアビスに届く前に機体を貫いた。
流石はセカンドステージ…!物が違う!
息つく間もなく残った二機がビームガンを撃ちかける。イリアはその射線を読み、シールドの連装砲でグフを屠る。
バルトフェルドのガイアも頭部を撃ち抜いたザクを踏み台にMAへ変形し、ビームブレイドでグフを両断した。しかし、いかに二人の力量とセカンドシリーズの性能を持ってしても数の差は埋められず、エターナルが他の機体と戦艦の砲撃を受け続ける。
「くそっ!」
エターナルを砲撃する戦艦を撃とうとするが、ガナーザクウォーリアのオルトロスが火を噴く。シールドで防いだためにダメージはないが、アビスの体勢が崩れる。その隙を突いてザクがビームトマホークを振りかぶり、イリアはビームランスの柄で受け止める。更に後方からスラッシュザクファントムが接近してくるが、背中のバラエーナ改で撃墜する。
「ち!相性が悪すぎるぜ!」
水中戦、砲撃戦がコンセプトとなっているアビスでは近接戦闘型のグフの相手は厳しく、ガイアもザクとグフの数に押されてエターナルの援護に向かうことができない。
このままではエターナルが沈められる!
イリアはザクの斧を力任せに振り払い、頭と胸のバルカンでザクのコクピットを潰す。更に後ろから接近してきたグフのスレイヤーウィップを躱し、カリドゥスで撃ち落とす。しかし、また次のMSが来てエターナルの救援に向かうことができない。大分地球に近づいたが、このままではポッドを降ろすこともできず、ザクがエターナルを射程に捉えたと同時に地球から大気圏を離脱する三機の機影が見えた。その機影はシャトル用のブースターを装備したMSで、その機体を見たイリアは思わず叫ぶ。
「ストライク!?フレイムとウインドも!?」
バルトフェルドもその機体を見て驚いた。識別信号の上ではルージュだが、あの仕様ということはキラか!?しかも、フレイムはマルチプルアサルトのパーフェクト仕様だ。
ブースターから離脱したストライクがミサイルを撃ち、ザクとグフを牽制する。更にエターナルへ飛んできたミサイルをフレイムがガトリング砲で全て撃ち落とし、ビーム砲で今撃ったザクを二機戦闘不能にする。その間にストライクは自分のライフルをバルトフェルドのガイアに渡し、それを受け取ったバルトフェルドはグフを撃墜する。
ストライクのミサイル攻撃を逃れたグフはウインドが一機、対艦刀で腕を切り裂いて離脱させて更に左腕のアンカーでザクのライフルを潰した。
〈ラクス!バルトフェルドさん!イリア!〉
「お前達…!」
〈ごめんなさい!だけど、心配だったから!〉
怒るべきか褒めるべきか、と思ったがそれどころではない。増援にMS隊が攻撃を仕掛けてきた。キラは流石にオオトリの性質をフル活用してビームをかいくぐって迎撃するが、それでも二機しか戦闘不能に出来なかった。
更に艦の下から狙うザクに気づいたキラがストライカーをパージし、自律飛行の機能で盾にした。その隙を突いて対艦刀でオルトロスを両断するが、別の機体の砲撃で左腕をシールドごと失う。反撃で対艦刀を投げるが、ストライクはこれで丸腰だ。
フレイムもビームアックスでスラッシュザクウォーリアの腕を両断し、右腕の盾でビームガトリングを止めるが、横から来たグフのスレイヤーウィップでガトリング砲を潰されてしまう。爆発から体制を立て直し、ビームアックスを今のザクの頭に突き立てて捨てて、ビームブーメランをナイフ代わりにグフの両腕を両断するが、両足を別のザクに撃たれて大破する。
ウインドは対艦刀二本でブレイズザクウォーリアの両腕を切り裂き、バルカンでミサイルを迎撃するが追撃で撃たれたガナーザクウォーリアの砲撃で右腕と頭部を失う。
やはり、三人の力量でも二年前の旧式でザフトの現行量産機の相手は厳しい。アビスとガイアが三機のフォローに回り、MS隊を牽制する。
「馬鹿!だったら早くエターナルに入れ!」
バルトフェルドの叱咤にキラが戸惑い、イリアが更に急かす。
〈お姫様からのプレゼントが馬車の中にあるんだよ!レナとユリの分もセットでね!〉
キラ達が何かを察し、エターナルへと向かった。着艦しようとする三機に攻撃が集中するが、アビスとガイアがその攻撃を阻む。
〈本命のご登場までは前座と遊んで貰うぜ!〉
威勢良く吠え、イリアはアビスの全てのビーム砲を撃ち、飛んできたミサイル諸共MSを五機撃墜した。
エターナルに着艦したキラはすぐにコクピットから飛び出した。エアロックをONにし、ラクスの元へ急ぐ。ロックが開き、ラクスが慣性に任せたまま抱きつき、キラも強く抱きしめる。
「ラクス!ああ…」
「キラ……」
「感動の再会は後にしましょう!」
「早くしないとイリア達が!」
ユリとレナに急かされ、キラはラクスの案内でMSデッキに入った。そこには、三機のMSが静かに佇んでいた。
細部こそ異なるが、それは間違いなくキラ達が失った力であった。ラクスが顔を伏せ、何かを察したユリとレナが先に機体のコクピットに入り込む。扉を開いた時と同じ、不安げな表情のラクスにキラは優しく微笑む。
「ありがとう……これで僕たちはまた、ちゃんと戦える…僕たちの戦いを。」
「キラ…」
涙が出そうな瞳を見つめ、キラはその手を優しく握った。
「待ってて、すぐに戻るから。そして、帰ろう…みんなのところへ。」
「…はい!」
〈X-17Aリスポンドブレイブ、発進どうぞ。〉
「レナ・クールズ、ブレイブ発進します!」
新たな機体リスポンドブレイブが宇宙へ飛び出し、早速ビームライフルを撃つ。二発でザクとグフを一機ずつ戦闘不能にして、すれ違いざまにビームサーベルで更にザクを二機戦闘不能にする。
〈続いて、X-18Aフレイムアフェクション、発進どうぞ。〉
「ユリ・ヤマト、アフェクション出るわよ!」
フレイムアフェクションを駆り、ユリは漆黒の宇宙へと飛び出す。緑の翼が羽ばたくように機体をひねり、右腕のリャナンシー複合兵装対艦刀を振るってグフの腕を切り、左腕のリャナンシーにあるビーム砲で二機のザクの武装を破壊する。
新手に気づいたグフが対艦刀で斬りかかる。しかし、ユリは機体を瞬時に後退させてレールガンでグフの頭部を潰す。
〈X-20Aストライクフリーダム、発進どうぞ。〉
「キラ・ヤマト、フリーダム行きます!」
最後にキラの新たな翼ストライクフリーダムが宇宙へと羽ばたいた。ザクのビームをビームシールドで受け止め、エターナルへ撃たれたミサイルをビームライフルで撃ち落とす。シュペールラケルタビームサーベルを抜き、二機のザクの頭部を飛ばしてビームガンを撃つグフの右腕も切る。
体勢を立て直したグフが四機、アフェクションとフリーダムをスレイヤーウィップで捉えるが、キラとユリは焦ることなく、翼からドラグーンを射出し、鞭ごとグフの武装を破壊する。更にキラはドラグーンも含む全ての火器をブレイブ、アフェクションと共にMS群に撃った。先代機より強力になったマルチロックシステムと三機の火力の前にザクとグフは為す術もなく、武装とカメラを全て奪われた。そして、二機の砲撃の標的から外れたMSは全てブレイブによって武器かカメラを破壊されて無力化された。
追撃に当たっていたグラスゴー隊の旗艦で隊長のグラスゴーは報告を聞いて、耳を疑った。
「い……一分?わずか一分で三十機のザクと…グフが全滅だと?」
エターナルから発進した新型のMSが現れたという報告を聞いて、たった一分で三十ものMSが全滅。しかも、その三機はパイロットを一切殺さないで。MSの形をした化け物か!?
「敵MS接近!」
「全砲門開け!撃ち落とせ!!」
「当たれぇぇ!!」
キラとユリが同時に叫び、フリーダムのドラグーンはナスカ級を、アフェクションのドラグーンがローラシア級のスラスターと火器を撃ち抜き、全ての航行と戦闘を不能にした。
〈ご苦労さん。〉
イリアが労い、キラは隣を航行するエターナルに目をやる。
守ることができた。ラクスを……
新たな力に爽快感を覚える自分を嫌悪しつつ、今は守ることができた物に心を委ねた。
ユリの新しいガンダムはキラにちなんでフレイムアフェクション、レナはリスポンドブレイブ。
リスポンドとは応答するなどの意味ですが、この場合は業と向き合う或いは憎悪に応えるなどのキラ達のスタンスを意識した名前です。尚、助ける際にユリはレイラが乗ったパーフェクトフレイムで頑張りました。
アフェクションの複合ライフルはソードカラミティの対艦刀のライフル化及びジンハイマニューバのライフルから着想を得て設計された武器です。武器そのものの強度は低めでリーチも対艦刀としては短めですが、デスティニーの剣とやり合えるだけのパワーはあります。
ブレイブは前と同じく武器の数でいえばフリーダムやジャスティスより貧弱ですが、近接戦闘の手段が豊富です。ビームライフルはフリーダムのより射程は短い代わりに連射性は高いです。シールドはミーティアのビーム砲やプロヴィデンスのシールドからアンカー、サーベル、二連装ビーム砲全部があります。
そして、いよいよあの親子が馬脚を晒す場面。フブキも新しいガンダムがあります