機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE 作:meitoken
ジブラルタルを出港したミネルバはオーブに到着し、既にパイロット達はアラートで待機している。
「ジブリールは?」
「まだ見つかっていないようだ。中々頑固に抵抗されているようだな。」
レイの答えを聞いたルナマリアとカインが自分を見ているのにシンが気づいた。
「……全員行くまでもない。私とレイで充分だ。」
「いや…俺が行く。」
「え、ちょっと待ってよ。」
アリスが止めるが、シンは聞かない。
オーブを撃つなら…俺が撃つ。
あの時、カガリとフブキに言ってやった言葉。俺の手でオーブを滅ぼしてやる。
「シン。」
「なんだよ…」
カインが呼び止めた。
「分かっているな?目標は行政府と国防本部だ…市街は民間人の避難が終わっていないんだ。」
「…そんなの、匿った政府が悪いんだ。」
「お前!」
「よせ、カイン。」
ルゥが止め、シンはそのまま降りていった。
アカツキ島の地上に連れてこられたネオとエリスは解放された。しかもその場には二機の戦闘機…連合のスカイグラスパーがあった。
「ラミアス艦長…」
「今の貴女は連合の指揮官で、本艦は同盟反対派だ。これ以上乗せておく理由はない。ここからなら、パナマまで行けるだろう。」
ナタルが突き放すような事を言った。そして
「…連合の潜入するなら、我々に一言言って欲しかった。クールズ少尉など心配していましたよ。」
まるで、少しすねた子供のような言い方だ。
「丸くなったわね、ナタル。」
「あの学生達の空気がうつったのでしょう。ですが、今は良い気分です。」
暫く会わなかった間に、ナタルも随分変わった。ドミニオンを降り、そのままオーブに亡命してアスハのSPになったのは聞いていたが、立場が変わって彼女の軍人気質が良い意味で変わったのだろう。
「また会えて、私も嬉しかったです。」
ナタルは敬礼し、去って行った。ふと、エリスはマリューとネオを見ていた。初めて会ったときから、と思っていたがやはり彼は…だが、彼は記憶をなくしている。
もしかしたら、エクステンデット達の技術の応用でネオ・ロアノークの記憶を上書きされたのだろうか?
だが、アークエンジェルに来たことでそれが弱くなりつつあるような気がした。
ネオはマリュー・ラミアスの顔を見つめた。近くで見ると、やはり美人だ。体つきも豊かで、軍人と言うよりモデルか女優の方が通るくらいだ。
「……貴方はムウじゃない。ムウじゃないんでしょ?」
逃げるように走り去っていった。収容されて以来、ずっとああだった。艦のクルー達もだが、皆自分をムウ・ラ・フラガと認識している。あのザフトのパイロット達もだ。そして、エリス・ティーゲルは『新星の隼』レイラ・ウォンだった。
MIAになった軍人の軍籍を得て、ブルーコスモスと連合の動向を調べるために独断で来ていたと明かされた。だが、今彼らは彼女をエリス・ティーゲルとして解放した。
「…良いのか、中佐?」
「………大佐こそ。」
今までと同じ、スティング達の記憶操作にも怒りを露わにしたときのような口だ。が、次の言葉はどこか嬉しそうだった。
「でも、ちょっと意外。あの二人が一緒に行くだなんて。」
そう、二人にとって意外だったのは一緒に捕虜になったパイロット二人がここにはいない。
キラやユリと出会い、彼らは少し変わった。いや、ディオキア以来少し変わったような気がした。
生で初めてコーディネイターと会い、話して彼らが今までブルーコスモスに教え込まれていたコーディネイターへの認識が変わりつつあるのだろう。二人共、その答えを知りたいといった。そのために、二人はアークエンジェルに残ると言い出した。
ブルーコスモスの施設で殺しの訓練だけされた、ステラ達の先輩。コーディネイターを殺す以外考えることを許されなかった二人までが自分で考えて、答えを見つけようとしている。
俺は、このままで良いのか?行き場のない自分をファントムペインに引き抜いたジブリールに恩などを感じたことはない。そして、アークエンジェルの人達…特に艦長にはとても懐かしいものを感じ続ける。宇宙にいる仲間が危機に陥ったときも当たり前のようにブリッジの通信コードを入力した。
俺は……本当にあの艦に乗っていた頃があるのか?
アークエンジェルはようやく整備が完了し、発進準備が進む。この状況の中、アスランもシオンとメイリンに支えられてブリッジに入った。
「アスラン!」
「おい、無理だろう!」
ミリアリアとシュウがとがめるが、シオンがため息をつく。
「CICに座るくらいはできるといって聞かないんだ…こいつが強情なのは知っているだろう?」
ブリッジにマリューが上がってきた。
「メイリン、君は降りてドックに残れ。」
「え?」
当惑する少女にシオンが理由を語る。
「発進すればアークエンジェルはザフトと戦うことになる。それに、俺はまだお前を信用していない。」
メイリンがハッとした表情になり、ようやく自分がアスラン達と来ることがどういう意味なのかを悟った。
「…シオンは確かに君を信用してないが、俺を助けてくれた恩があるからそう言ってくれている。それに、これ以上君を巻き込むわけには。」
アスランが重ねて理由を説明するが、メイリンはアスランの着た制服を掴んだ。
「大丈夫……大丈夫です。私……知りたいんです。自分達のしたことが本当に正しいのか…大丈夫…だから、おいて…行かないでください。」
アスランは彼女の意志を理解した。最初こそ彼女にとっては不本意な物であっただろう。しかし、彼女は自分の意志で今まで自分が見ていなかったザフトの外を見ようとしている。
「ねえ、早く発進しましょうよ!」
突然クレムがグレンと共にブリッジに入り込んできた。クレムだけは着崩しているとはいえ、二人はオーブの軍服を着ている。連合の兵士である彼らが何故アークエンジェルにいるのかアスランは不思議でならなかった。
「何で君達が?」
「あたし、あのキラって子のような良い男見捨てるのいやなの。ここで上手くやればポイントも稼げるしね!」
「クレム、少し黙れ…」
グレンがとがめ、クレムは「はーい。」とふてくされる。
「知りたいんだ…本当にコーディネイターが悪であるか……」
シオンが眼を細める。
「場合によっては、連合と戦う事になるぞ。」
「あたしは良いよ。だって、あの嫌なオッサン達にこき使ってくれたお礼ができるし。」
「後悔はしないつもりだ…大体、お前達にアレを乗り回されるのも癪だ。」
彼らの意思を確認し、シオンがため息をつく。新たな仲間を得たアークエンジェルはアカツキ島からオーブ本島へ向けて発進した。そして、発進と同時にブランフレイムとミントシューターも随行した。
巻き返し始めたオーブ軍にザフトの新手が現れた。ヘブンズベースでデストロイの大群を撃破した新型だ。確か、デスティニーという名前だったか。
デスティニーは正確無比な射撃で次々とMS隊を落としていく。
「くっ!こいつに来られたらオーブは!」
自分達で食い止めるしかない!デスティニーのビーム砲をアカツキのヤタノカガミが跳ね返すが、デスティニーは自分のビームを躱す。ビームが効かないと見たデスティニーはすぐに接近戦用の対艦刀を抜いた。それを見たカガリは息をのむ。ヤタノカガミはビーム砲には高い防御力を誇るが、ビームサーベルは防ぎきれない。
〈カガリさん!〉
セイバーとカオスがムラサメ隊と共に援護にやってきた。ムラサメの編隊がデスティニーにビームライフルの集中攻撃をかける。しかし、デスティニーはビームの嵐をくぐり、ムラサメを長剣で切り裂き、次々と蚊トンボのように墜としていく。
〈いい加減にしなさい!〉
リュウが激昂し、セイバーがビームサーベルでデスティニーに斬りかかる。
「ちぃ!何でセイバーとカオスがここにいるんだよ!」
既に破壊されたはずの機体が存在し、オーブにいるのがシンには理解できなかった。だが、シンは自分の敵ではないと判断する。
セイバーのサーベルをビームシールドで受け止め、力でサーベルを押し返そうとする。しかしセイバーはその前に後退し、自身の力でデスティニーの体勢が崩れる。その隙をついて黄金の機体がビームサーベルで斬りかかる。しかし、シンは敵の力量を悟り、無造作にシールドで受け止める。
「はっ、大した腕もないくせに!」
フリーダムとデストロイを倒した俺に勝てる奴なんかいるものか!もう、俺より強い奴はいないんだ!
黄金の機体を押し返し、一気に決めようとするが、カオスがミサイルで牽制する。
「そんな旧式で!!」
ビームランチャーを撃つが、カオスはMAに変形して回避してビームライフルで反撃するもシンはすぐに後退し、リフターを背負った白銀のMSを見る。
白銀のMSはバビとグフを相手にしており、黄金の機体と同じシステムでビームを跳ね返し、友軍機を全く寄せ付けない。
派手な外見だけの相手に味方は何をやっている!シンは目標を変え、敵の後ろへ回る。
「後ろががら空きだぁぁ!!」
〈貴方もね!〉
よく知る声が聞こえ、背後から衝撃が来る。セイバーが後ろから蹴ってきたのだ。しかし、それ以上にセイバーのパイロットがシンには衝撃が大きかった。
「ね、姉さん?」
〈そうよ!オーブはやらせないわ!〉
「く!戦争を終わらせるためにオーブを討つのに、何で邪魔をするんだぁぁ!!」
またも立ちはだかる姉にシンはビームブーメランを投げつける。しかし、セイバーはブーメランを躱し、デスティニーに蹴りを入れる。そのままセイバーが斬りかかろうとした時、セイバーとデスティニーの間をビームが通る。
〈シン!大丈夫!?〉
リドレスがビームバズーカを構え、クリエイターがビームライフルを発射する。
「何で来たんだよ!」
〈レイがFAITHの権限を使って、俺達に出ろって言ったんだよ!〉
カインが答え、ズーで白銀の機体を掴もうとするが、カオスが割り込み、足のクローで掴む。しかし、動力の差で力負けしてカオスは振り払われる。そして、セイバーはリドレスのビーム砲に押されて後退を余儀なくされた。
セイバーとカオスが離れた隙を突いてリドレスがビームバズーカを連結して指揮官機の二機を撃つ。特殊な装甲を持つ二機にはリドレスのバズーカも効かないが、出力の大きなビームを受け止めた余波で体勢を崩す。
〈シン!今よ!〉
「よし!」
デスティニーのビームブーメランとクリエイターのランサーダート、リドレスのミサイルが二機のMSをに接近する。セイバーとカオスの援護も間に合わない。二機が火の玉になるのはその戦闘を見る誰の目にも明らかであった。
「カガリ!」
「やめてぇ!」
アークエンジェルにいるアスランとセイバーのリュウが叫んだと同時にブーメランとミサイルと貫徹弾が上空からの攻撃で撃ち落とされた。
「なんだ!」
上空を見上げると、三機のMSが高速で接近してくる。その中の一機がビームソードを手に襲ってきた。カインはシールドを展開し、その斬撃を受け止め敵の姿を見て息を呑んだ。
「アフェクションだと!?」
細部は異なるが間違いなく、その機体はユーラシアで自分が討ち取ったはずの機体だ。
〈嘘!ブレイブ!?〉
アリスが驚愕した。リドレスに対艦刀と一体になったライフルを撃っている緑の翼の機体…それは間違いなくアフェクションだ。とすれば、今デスティニーにサーベルを振り下ろしたのはフリーダムに違いない。
〈くそぉ!何でフリーダムやアフェクションが!!〉
デスティニーがフリーダムの斬撃を躱し、シンの怒りがスピーカーから聞こえてくる。
新しい機体か!?
カガリとフブキを救った三機は細部が異なるが間違いなくフリーダム、ブレイブ、アフェクションだ。そして、その後ろにいる二機もアスランは知っていた。
〈マリューさん、ラクスとクラウドさんを頼みます!〉
キラに続き、レナが告げる。
〈カガリとフブキは国防本部へ急いで!〉
〈この三機は私達が押さえるわ!〉
キラ達に促されて呆然としていたカガリが我に返った。
〈判った!〉
〈頼むぞ!〉
アカツキとツキユキが国防本部へ進路を取り、フリーダムとデスティニーが切り結び、アフェクションはクリエイターのクローをひねって避け、ブレイブはリドレスの砲撃を躱して接近戦を仕掛ける。
アークエンジェルへ着艦する二機を見たアスランは席を立ち、彼の意志を察したシオンとメイリンが支える。
沈んだと思われていたアークエンジェルの出現、そしてフリーダム、ブレイブ、アフェクションの復活にブリッジが浮き足立つが、タリアは冷静であった。
あの艦が簡単に沈みはしないと思われたが、やはり無事であった。タリアはセントヘレンズの司令に回線を繋ぐ。
「司令、本艦がアークエンジェルを叩きます。よろしいですね?」
〈あ、ああ…〉
セントヘレンズのモニターがオフになり、タリアは命ずる。
「離水上昇急げ!面舵十!これよりアークエンジェルを撃つ!」
「はい!」
マリクの操舵でミネルバの船体が海面を離れ、アークエンジェルの前に立ち塞がる。
「ランチャーワン、テン、ディスパール装填!トリスタン、イゾルデ、照準アークエンジェル!」
海面を離れたミネルバの姿はアークエンジェルでも捉える事ができた。マリューも覚悟を決める。
「ミネルバが来るわよ!いいわね!」
「はい!」
ノイマンがミネルバの正面に艦を操舵し、CICのナタルが指示を出す。
「後部ミサイル発射管、全門ウォンバット装填!ゴットフリート、バリアント、照準ミネルバ!」
二隻は互いに向き合う形で砲口を向ける。
「てぇーっ!」
二隻の副長が同時に叫び、双方の主砲と副砲が火を噴き、ミサイルが発射される。アークエンジェルとミネルバは互いに迎撃システムで撃ち落とされたミサイルの爆炎を潜り、すれ違いながらも撃ち合う。
言われるままにコーディネイターを殺してきたグレンとクレムはカインとアリスとの出会いをきっかけにコーディネイターへの認識が揺らぎ、両方が一緒にいるアークエンジェルの空気に触れて自分なりの答えを探すために一緒に行くことにしました。
ネオ以外でファントムペインの仲間入れたいと思ったけど、エクステンデットは一朝一夕で解決しない身体だから、スウェン達と同じタイプのパイロットにしました。これでアークエンジェル、クルーゼ隊、ミネルバ、ファントムペインが揃ったと思ってください。
一緒にいたミサキから初めて見るデスティニーがシンのMSだと知ったリュウの実力はシンとほぼ同等ですが、この頃のシンは公式では精神に余裕がない上にある意味最初から精神で負けているために押され気味。ただ、クレタではOSなどの改良で飛べるようになったとはいえ、二年前のイージスで勝っているようにシンとほぼ同等。やはり経験と自分のやっていることを他人のせいにしているか否かでシンが負けています。
「MSの性能の違いが、戦力の決定的な差ではないということを…教えてやる!!」
を地で行ってます。
カガリをフブキ、リュウ、ミサキでフォローして持ちこたえたけどやはりデスティニーのレベル三機では一気に巻き返されてやられかけたところをキラ達がかっこよく助けました。ちなみにイリアは水中の連中の相手に集中してました。オーブの弱点、水中用のMSがないところでしょう。
キラ達が助けてくれた場面もリマスター前が良いです。あの曲があるから
ちなみにアマギはカガリ達とは別ルートで既にオノゴロに向かっています。