機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE   作:meitoken

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遂に来た最終決戦です。ステーションワンはやはりあの名曲を頭で再生しながら読んでください。


PHASE-40 戦友(とも)…前編

再び発射されたレクイエム。この使用はプランを拒否すれば撃たれるという事を意味していた。地上のオーブ政府はすぐに市民の避難を開始しており、宇宙ではアークエンジェル、エターナル、クサナギ…かつての三隻が一次中継点へ向かっていた。

 

ナタルが艦長として移乗したクサナギは三隻の中では最も足が遅い。それを補うためにかつてアークエンジェルが大気圏離脱に用いたブースターを両舷に装備してスピードを上げている。

 

新たなイズモ級クシナダを旗艦としたオーブ艦隊はデュランダルに疑念を抱くザフト軍、連合の残存艦隊等をまとめ上げて、レクエイム本体へ向かっている。

 

「要はやはりこの一次中継ステーションだ。まずここを落とさなければ、またいつどこが狙われるか分からない。」

 

「目標まで180。」

 

ナタルと共にクサナギに移ったメイがステーションへの距離を報告する。

 

 

 

「足の速い三隻が先攻して中継ステーションを墜とし、オーブ旗下の主力がレクイエム本体を破壊。これしかないわね。」

 

エリスの分析通り、こちらは数が少ない。連合の残存艦隊と言ったってアルザッヘルもダイダロスも潰されてしまった以上、増援だって望めない。一次中継点を叩いて時間を稼ぎ、主力隊と合流してレクイエム本体を叩く……数が少ない以上はこれ以外に手がないのだ。

 

「近くにはザフト月軌道艦隊もいるって言うのに、やれやれだぜ。」

 

「でもやるしかないわ。彼らに負けたくなければ。」

 

マリューがネオに言ったとおり、このまま行けば次はオーブだ。そうなれば、もうどこもデュランダルに逆らえない。

 

「勝敗を決めるのはスピードです。敵の増援に包囲される前に中継ステーションを墜とします。」

 

 

 

「議長、アークエンジェルとエターナルとクサナギがステーションワンに接近中です!」

 

「ダイダロスにオーブ艦隊を中心としたナスカ、ローラシア級並びに地球軍艦艇が!」

 

この段階でよりにもよってかつての戦争を終結させた英雄達が敵として出てきたことには全員が動揺しているが、デュランダルは指示を出す。分かっていたことだ。

 

「ミネルバとゴンドワナ、月艦隊の半数をステーションワンへ回せ。残りはダイダロスのローランの元へ。ステーションツーはどうなっているか?」

 

問題は数でも装備でもないのだ。

 

問題はキラ・ヤマトとラクス・クライン、アスラン・ザラとカガリ・ユラ・アスハだ…そしてシオン・クールズとレナ・クールズ、ユリ・ヤマト、リュウ・アスカとフブキ・クラ・アスハだが、やはりその中でも最大の問題はキラ・ヤマトとラクス・クラインだ。

 

 

 

〈目標まで150!〉

 

〈ザフト軍防衛線、光学映像出ます!〉

 

「ラクス、発進する。良いね?」

 

〈はい。〉

 

ラクスが頷き、両脇にいる共と姉に呼びかける。

 

「アスラン!姉さん!」

 

〈ああ、行こう!〉

 

〈了解!〉

 

アスランとユリが頷き、戦闘準備が進められる。アークエンジェルとクサナギがエターナルを守るように前に出て、エターナルに設置されたミーティアが機動する。

 

「キラ・ヤマト、フリーダム行きます!」

 

〈アスラン・ザラ、ジャスティス出る!〉

 

〈ユリ・ヤマト、アフェクション出るわよ!〉

 

フリーダム、ジャスティス、アフェクションがエターナルから飛び出した。

 

 

 

「シオン・クールズ、トゥルース発進する!」

 

〈レナ・クールズ、ブレイブ発進します!〉

 

三機に続いてアークエンジェルからブレイブとトゥルースが発進し、エターナルから切り離されたミーティアにフリーダムとジャスティスがドッキングすると同時にラクスがザフト軍に呼びかける。

 

〈こちらはエターナル、ラクス・クラインです。中継ステーションを防衛するザフト軍兵士に通告いたします。〉

 

フリーダムとジャスティスが先行し、アフェクション、ブレイブ、トゥルースが後から続く。

 

〈私たちはこれより、その無用な大量破壊兵器の排除を開始します。それは人が守らねばならない物でも、戦いのために必要な物でもありません。〉

 

ラクスの言葉にザフトのMS隊の動きが乱れ、迎撃せぬまま五機を通らせる。

 

〈平和のためにその軍服をまとった誇りがまだその身にあるのなら、道を空けなさい!〉

 

しばし、MS隊が動きを止めて五機はMS隊を通り抜けて中継点を目指す。しかし…

 

〈何をしているか!あれはロゴスの残党!!議長の言葉を聞かず自らの古巣と利権を頑なに守らんとする奴らの残存勢力だぞ!〉

 

シオンは舌打ちをした。全く考えていない…デュランダルに同意するのが当たり前と決めつけてそれに同意しない者を全てロゴスと断じている。こいつらのことだから、オーブが中立のままでもロゴスだと決めつけていたことだろう。そして、デュランダルが平和を作るからそれに同意するラクスが本物だという偶像崇拝の証拠ともなっている。こいつらが認めているのはラクス自身ではない。こいつらは『自分達を認めるラクス』を崇めているに過ぎない。

 

指揮官に言われて動きを止めていたMS隊が攻撃を開始した。

 

〈撃て!撃ち落とすんだ!ザフトのために!これは命令だ!〉

 

MS隊がミサイルを撃ち、戦艦が主砲とミサイルを発射する。アークエンジェルとクサナギのゴットフリートが、エターナルのミサイルが敵のミサイルを迎撃し、撃ち漏らしたミサイルが機関砲で迎撃される。

 

「『従わない者は裏切りだ』、貴様ら自身がロゴスだ…愚民共め!!」

 

フリーダムとジャスティスがミーティアの火力をフルに活かし、シオンも早速ライフルを連結する。三機の圧倒的な火力が一撃で五十機以上のMSを戦闘不能或いは撃墜し、艦艇も何隻か沈める。ブレイブとアフェクションが圧倒的な機動力でサーベルを振るい、砲撃を逃れた機体の武器を奪う。

 

 

 

「艦隊司令部から入電です!【現在ステーションワンにて、守備隊がアークエンジェル、エターナル、クサナギと交戦中。月軌道艦隊並びにミネルバはこれの支援に向かわれたし】。」

 

アビーが読み上げた電文にまたもアーサーが大げさに反応する。

 

「ア、アークエンジェル!?」

 

ラクス・クラインとカガリ・ユラ・アスハ……アークエンジェル、エターナル、クサナギ……フリーダム、ジャスティス、ブレイブ、トゥルース、アフェクション………前大戦の英雄達がそろい踏みだ。やはり、彼らは現れた。

 

レクイエムを破壊するために……

 

タリアは当たり前だとも思った。あの兵器はかつて彼らが破壊したジェネシスと同様、大量破壊兵器だ。あれを持ってデスティニー・プランを実行するということは、つまり脅迫だ。彼らにしてみれば見過ごすわけにはいかない物だろう。

 

 

 

「あいつらぁ!」

 

モニターで圧倒的な戦闘力を発揮する五機を睨むイザークにニコルとディアッカが茶々を入れる。

 

「無事だったみたいですね。」

 

「でも、連絡ないのは当たり前だぜ。俺達はザフト軍なんだからな、やっぱり。」

 

「分かっている!ともかく、発進だ!とっとと艦を出せ!!」

 

イザークの叱責に艦長が「はい!」と答え、ボルテールはミネルバ、ゴンドワナと共にステーションワンへ向かった。

 

 

 

メサイアにレイ、ルゥと共にシン達は呼ばれた。しかし、シンはデュランダルの対応に戸惑いを隠せなかった。

 

「どうしたね、なんだか余り元気がないようだが…」

 

「あ、いえ……」

 

困惑するシンをよそにデュランダルは問いかける。

 

「また色々とあって戸惑ってしまったかな?」

 

「はい…」

 

「たしかにアーモリーワンでの強奪に始まって、ユニウスセブンの落下、そして開戦からこんな事態にまでなってしまったのだ。誰だって戸惑うだろう。だが、そんなやりきれないことばかり続いたこの戦うばかりの世界ももう間もなく終わる…」

 

「はい。」

 

レイとルゥが答え、デュランダルが安心したように微笑む。

 

「いや、どうか終わらせてくれと言うべきかな?君達の力で…」

 

「はい。」

 

再びレイとルゥが答えたが、シンは答えることが出来なかった。そして、一歩後ろにいるカインとアリスも。

 

 

 

「今、レクイエムのステーション・ワンがアークエンジェルの一派に攻撃されている。」

 

「えぇ!?」

 

シンの驚愕をよそにデュランダルは続ける。

 

「私があれで尚も反抗の兆しを見せた連合のアルザッヘル基地を撃ったのでそれを口実に出てきたようだが…いや、全く困った物だよ。我々はもうこれ以上戦いたくないというのにね。これでは本当に、いつまで経っても終わらない。」

 

「はい、でも仕方ありません。彼らは言葉を聞かないのですから。」

 

ルゥが端的にだがデュランダルの憂いに同意する。

 

「今ここで万が一、彼らの前に我々が屈するようなことになれば世界はまた混沌と闇の中に逆戻りです。」

 

レイが現状を憂えるかのように続ける。

 

「嘆きながらも争い、戦い続ける歴史は終わらない。変わりません。そうなれば、人々が平和と幸福を求め続けるその裏で世界はまたも必ずや新たなロゴスを生むでしょう。誰が悪い訳でもない。それが今の人ですから。」

 

レイの言葉はカインの耳にも心地よく聞こえる。しかし、本当にそうなのかとも思う。シオンから見ればカインもシンもアークエンジェルとクルーゼ隊の仲間を嘲笑した一味だ。それで自分が悪くないというのは納得がいかない。むしろ責めるシオンの方が正しくも感じる。

 

「俺はもう、絶対に世界をそんな物にはしたくありません。ようやくここまで来たのです。」

 

「私も同じ意見です。デスティニー・プランは絶対に実行されなければなりません。」

 

デュランダルが「そうだな。」と頷き、シン達を見る。

 

「君達はどうかな?……やはり君も同じ思いか?」

 

 

 

シンはすぐに答えることはできなかった。プランを実行すれば確かに戦争はなくなるはず……ならば姉を騙して利用しているオーブも黙る…そして何より。

 

ミネルバでレイが口にした事が頭に蘇る。レイは言った。自分はテロメアの短いクローンだと。

 

キラ・ヤマト……アスランやシオンが何度も口にして、デュランダルさえ知っているフリーダムのパイロットを産む資金のためにレイ達が作られ、アフェクションのパイロットはその過程で生まれた失敗作。しかし、またはできると言うだけで……とレイは言った。

 

その結果、レイは父も母も存在せず人より早く老化してもう数年もしない内に死んでしまう身体……

 

更に、ルゥの生い立ちもカインとアリスから聞かされた。

 

 

 

アリスはルゥの言葉を思い出す。

 

『夢のたった一人、キラ・ヤマトが作られた後も人は満足しなかった。』

 

アスランやシオンが言っていたフリーダムのパイロットの名前……その人物が最強のMSパイロットの才能を持つコーディネイターなのはジブラルタルでデュランダルが言っていた。が…

 

『ジョージ・グレンの告白後に起きた遺伝子操作ブームと同じさ……研究者の多くが死んだ後も、他の研究員はこう考えたのだろう。[第二のキラ・ヤマト]を造ろう。その結果、生み出されたのが私だ。』

 

『それって……』

 

『だが、私は失敗作だった。人工子宮でエラーが発生したのさ……その結果、私は先天的な内臓疾患を抱えた。簡単に言えば、心臓などの機能が急激に機能を損なう時限爆弾つきさ。研究者達はそれを治せなかった。あるいは治そうとしなかった。私は只のサンプルだからな。』

 

『じゃあ…ルゥ以外にも?』

 

『無事に生まれたんだから良いだろう、という意見もあるだろうが……だからなんだ?どこの誰が親かも分からないし、進化した人類等とのたまうコーディネイターなら私は生まれるべきでない欠陥品だ。パトリック・ザラが知れば、面汚しか何かで殺していただろう。』

 

ルゥのあの言葉にははっきりと、世界への、人間への憎悪があった。そして、プラントに浸透するコーディネイター優生論とそれを信じる者達への侮蔑だった。

 

『私を研究所から連れ出してくれた人は、妹がいた。だが、それは母のクローンだった。父親が妻愛しさに造ったらしいが、その母のクローンのせいで父親から存在を忘れられ、捨てられた。だから、その人は父と本物の母と、クローンの母を憎み、そんな物を安易に造れる世界を…もう一人のレイと共に滅ぼそうとして、死んだ。私と同じ失敗作……キラ・ヤマトの姉、ユリ・ヤマトに…アフェクションのパイロットだ。』

 

アリスは衝撃を禁じ得なかった。ルゥは最初から生まれるのを望まれていなかった。只、新しい夢のコーディネイターを造る実験動物以外の価値を認められなかった。彼女を助けた人も、クローン技術で人生をおかしくされた。なのに、同じ失敗作のアフェクションのパイロットは成功体の弟共々自分がそんな物だとも知らずに育ったなんて。

 

『これのどこが人類の素晴らしい進化なんだ?もう間もなく会話どころか呼吸さえままならなくなり、或いはそれより先に死んでしまう。私は正直、カインだって羨ましいよ……生まれつき視力が弱くても、親に愛されて育った。』

 

あの目は素直に羨む眼だった。妬みなど微塵もない。レイもルゥも持っていないし、知らないのだ。家族のぬくもりを……愛してくれる人を。

 

 

 

『俺達は誰もがこの世界の結果の子だ。』

 

レイはそう言った。シンも、レイとルゥも……ステラも…だから全てを終わらせる。レイやステラのような子供が生まれない世界を作る。そして、それができるのはデュランダルだけだ。それを邪魔するオーブを滅ぼし、リュウを救いその世界を守る。

 

俺が……それを…

 

「はい、俺もレイと同じ思いです。」

 

シンが答え、デュランダルがカインとアリスを見る。

 

 

 

「わ、私は……」

 

アリスはうんと言えなかった。しかし……ルゥが話した出自を聞いた後ではそれを裏切ることなど………

 

「私も、同じ…です。」

 

アリスが答え、カインは…

 

 

 

「あ、あの……どこかで、もう一度オーブと交渉は出来ないのでしょうか?」

 

「……君は、それを望むのだね?」

 

「オーブの民間人を大勢殺さずにすむなら、その方が。」

 

「……ならばこそ、やってくれるね?」

 

「……はい。」

 

そうだ。発射直前でオーブ軍に停戦を申し入れてもう一度交渉をするんだ。そうすれば、プランの導入実行の方法だって見直せるはずだ。

 

議長も評議会も支持者も、プランを拒否した者を皆殺しにしてしまおうなんて……それじゃあ、ベルリンと同じだ。相手は仮にも一つの国家なんだから。

 

だが、カインは失念していた。アルザッヘルにも多くの民間人がいて、大西洋連邦大統領がアルザッヘルごと消されたことを。そして、知るよしもなかった。既にステーションワンの部隊はアークエンジェルをロゴスと決めつけていることを。

 

 

 

フリーダムとジャスティスを先頭に突き進む中、別方向からの砲撃が来た。そして、その方向からは皆がよく知る艦であった。

 

「ミネルバ……!!」

 

レナが苦々しく呟き、通信機越しにアスランとシオンが歯ぎしりする。

 

 

 




感想にあった階級の説明もここで

ユリ…准将。

レナ…三佐。

リュウ、イリア…一尉。

ナタル、エリス…二佐。

メイ・シュウ…三尉。

シオン、レナは外野のためなし。

尚、これに出てきたオリジナルのイズモ級クシナダは緑です。



自分達が『従わない者は裏切りだ』をやっていると言っても、こいつらの頭の構造からして『プランで戦争がなくなるから、良いんだ』っていう子供の論理かざすでしょうね。
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