機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE 作:meitoken
予想よりも早く増援が来てしまい、三隻は囲まれつつあった。もう、ミーティアを装備したフリーダムとジャスティス、ブレイブ、トゥルース、アフェクションの五機だけでは突破しきれない。
〈ネオ・ロアノーク、アカツキ行くぜ!〉
〈エリス・ティーゲル、ツキユキ行くわよ!〉
アークエンジェルからドラグーンを装備したアカツキが発進し、ツキユキが後に続く。更にカオスとアビスが発進し、クサナギからはセイバーを先頭にムラサメとM1、ファントムペインのMSが、エターナルからドム隊が発進する。
〈ラクス様の艦を討とうなんて、ふざけた根性してるじゃないか!えぇ!?〉
ヒルダが啖呵を切り、三機のドムが見事な連携でエターナルへ迫るMS隊を撃墜する。
「なんだ、あのMSは?」
ボルテールのイザークはエターナルから出たザフトのMSによく似た三機の黒いMSを見つけた。
〈それより、僕達はどうします?〉
ニコルに続いて、ディアッカが茶々を入れる。
〈一応出て行って、瞬殺されてくる?〉
「馬鹿者!そんな根性なら最初から出るな!!」
〈いや、だってな。〉
〈勝てるわけないでしょう……〉
二人共本音が見え透いている。まったく、ディアッカならともかくニコルまでいつの間にこんないい加減になったのか!!
「俺が出る!」
リュウはセイバーの機動力に物を言わせてザクとグフを翻弄し、次々と戦闘力を奪う。若干の間を見てモニターを見る。しかし、シンが乗るデスティニーの姿は確認されない。
シン……貴方がまだ自分のやろうとしていることが判らないのなら!
接近してくるジンをビームサーベルで戦闘力を奪い、リュウはステーションワンを目指した。
タリアは大部隊を相手に奮戦するアークエンジェルを黙って見つめていた。オーブでマリア・ベルネスとして現れたマリューは言った。「先のことは判らない」と。「今を信じるしかない」と。そして……
私も同感よ。だから今は戦うしかないの。終わらせるために……
「艦長?」
アーサーが恐る恐る問いかけた直後、タリアは号令した。
「これより本艦は戦闘を開始する!インパルス発進!全砲門開け!照準、アークエンジェル!」
「あ、はい!」
「ザフトの誇りにかけて、今日こそあの艦を討つ!!」
「あんな物を地球に向けて…宇宙の化け物を自分達で実践していることが分からないのか!」
ブランフレイムのグレンは以前と違うコーディネイターへの怒りを露わにして、ビームアックスでグフを真っ二つにして、バルカンでザクの頭を潰した。
「ったく……味方しない奴みんな死ねっていうジブリールの論理をあんたらがやるか?」
クレムのミントシューターは正確な射撃でMSのコクピットを撃ち抜いていく。接近してきたグフに突撃銃を抜いてコクピットを蜂の巣にして、更にガナーウィザードの大砲をライフルで撃ち抜いてクサナギを守り抜いた。
アビスがシールドの三連装ビーム砲でアークエンジェルに迫るザクとゲイツを撃墜し、カオスとアカツキはドラグーンのオールレンジ攻撃でMS隊を牽制し、攻撃する。ツキユキのリフターはコガラスマルを展開したままローラシア級のブリッジに突っ込んで貫通し、その間にビームライフルとバルカンでミサイルを撃ち落とす。
合流した部隊の中にいたボルテールからイザーク達も発進して、すぐディアッカが問いかけてきた。
〈けどどうすんだよ、イザーク。お前まさか…〉
「今俺が殴りたいのはあいつだけだ!!」
〈はい?〉
ニコルが唖然と問い返すが、イザークの眼には大軍を相手に奮戦するフリーダム、ジャスティス、ブレイブ、トゥルース、アフェクションが映っていた。
「よくもまたおめおめと、あんなところに!!」
〈結局それですか…〉
ニコルに続き、ディアッカがため息をつく。
〈ったく、素直じゃねえな。〉
「なんだと!?」
インパルスのルナマリアはエターナルの迎撃をかいくぐり、ライフルの照準をブリッジに向けていた。
これで、これで良いのよね?
あの贋者とオーブを討てば終わる…
〈お姉ちゃん、やめて!!〉
よく知っている声が耳に飛び込んできた。
「メイリン?エターナルに……?」
今、私はメイリンを殺そうとした?
〈なんで戦うの!なんで戦うのよ!〉
何故、戦う?何故、アスラン達は裏切った?
〈どのラクス様が本物か何で判らないの!?〉
メイリンの言葉でルナマリアは思い出した。ディオキアで当たり前のようにアスランの部屋にいたあの少女を…オーブでの宣言依頼、彼女は出てこなくなった……何故だ?
「ミネルバ、陽電子砲発射態勢!」
チャンドラの報告にマリューはタリアの意図を悟った。アークエンジェルがエターナルを沈められないように盾になりながら戦っているのを感づかれたのだ。
本艦が動けばエターナルに!
エターナルが沈められればラクスを失い、真実を葬られてしまう!その上、エターナルは旗艦だ!ミネルバのタンホイザーが火を噴き、アークエンジェルへ向かう。その時、一機のMSが立ちはだかった。アカツキだ。
あの時と…同じ………
あのヤキン・ドゥーエでストライクがドミニオンの砲撃からアークエンジェルを庇い、彼も帰らぬ人となった。そして、今別の名前となった彼がまたアークエンジェルを守ろうとしている。
「アークエンジェルはやらせん!!」
ここで死んでも構わない!あの子達だけでなく彼女まで奪われてたまるか!!
死を覚悟した時、ネオの脳裏にある光景が蘇った。
アークエンジェルのブリッジで交わしたキス……ヤキン・ドゥーエでも同じ事があった。あの時、自分は死んだと思っていた…だが、違った。回収され、ロード・ジブリールによって記憶を植え付けられていた。そして、ネオ・ロアノーク大佐となってファントムペインのエクステンデット達と出会った…
俺は、ムウ・ラ・フラガ!不可能を可能にする男だ!!
アカツキは無事だった。ミネルバのタンホイザーを防ぎきって間髪入れずに艦首にビームライフルを撃ち込み、タンホイザーを破壊した。
「大丈夫だ!もう俺はどこにも行かない!」
マリューの表情が変わった。相変わらずの美人さんを守るためにムウはドラグーンを射出し、フィールドを展開する。フィールドはミネルバの砲撃を弾き返す。陽電子砲を失ったミネルバにもうこのフィールドを破ることはできまい!
「終わらせて帰ろう!マリュー!」
〈ムウ…!〉
〈少佐…!!〉
マリューの瞳から涙が溢れ、もう一つのモニターのナタルの声も震えていた。この時、二人は本当の意味での再会を果たした。
〈やっぱり……遅いですよ!〉
エリスが…いや、レイラが接近してくるMSをヤタノカガミでビームを跳ね返し、撃ち落とした。
「すまんな、大尉。」
〈今は中佐ですよ。〉
〈お二人とも、今は目の前の任務に集中を!後で私からも言いたいことが山ほどあります!!〉
ナタルが叱責した。
「やれやれ…副長さんのお説教はごめんだね!」
〈なら、艦の防衛をしてください!〉
〈了解!〉
この時、かつてのアークエンジェルの士官達が全員揃った。
アスランはステーションワンを目前にしながら防衛艦隊と増援に挟まれ、近づけずにいた。いくら叩いてもMSは次から次へと沸いて出て、またミサイルが接近する。機関砲で迎撃しようとした時、先に誰かが撃ち落とした。隣にいたシオンではない。では、誰が?
〈貴様らぁ!またこんな所で何をやっている!〉
〈イザークか!?〉
シオンが言ったとおり、今ミサイルを撃ち落としたのは白いグフだ。
〈何をって、こいつを墜とそうとしてるんじゃないか!〉
ダークグレーのザクからはディアッカが割り込んできた。ということは……
〈改めて聞かなくても良いでしょ?早く、用事を済ませましょう。〉
ユニウスセブンで見た時と同じ色のスラッシュザクファントムだ。そして乗っているのはやはりニコルであった。
「用事?」
唖然としてアスランが問い返すと、またイザークが怒鳴る。
〈馬鹿者!目的を忘れる奴があるか!!〉
グフが先陣を切ってステーションワンに向かい、二機のザクが後を追い、トゥルースが続く。余りに唐突な三人の乱入に忘れていた本来の目的を思い出し、アスランは慌てて四機の後を追う。イザーク達が阻止しようとするMS隊の戦闘力を奪い、これまでの立ち往生が嘘のように順調に進んでいく。そして、後ろからイリアとミサキが追いつき、はぐれていたキラとユリ、レナも合流した。
〈よう、同窓会2回目だな。〉
〈そのたびに派手な同窓会をしてるけどね。〉
イリアとミサキが軽口をたたき合うが、また例の如くイザークが割り込んできた。
〈のんきなことを言っている場合か!!〉
まるで戦闘中とは思えないながらもやることをこなす仲間達にアスランは安心感さえ抱いた。
目的地に到着し、フリーダムとジャスティスがミーティアのビームソードを展開する。巨大なビームソードはコロニーを切り裂き、トゥルースがライフルを連結する。
〈これでとどめ!!〉
シオンが吠え、超高エネルギー砲ニフルヘイムを発射した。ライフル単独での使用時とは比べものにならない程のビームは真っ二つになったコロニーを更に切り裂き、4つにした。
シンはメサイアのハンガーで待機し、いつものように妹の形見の携帯で10秒程度の妹の声を聞いていた。カインとアリスは先にMSへ向かい、今ここにいるのはシン一人だ。
「少しは休めたか?」
レイが気遣いの言葉をかけて入室してきた。
「俺達もそろそろ出撃だ。」
「ああ、大丈夫だ。状況…ミネルバは?」
「ミネルバも奮戦したようだが、ステーションワンは落ちた。今は、こちらに向かっているアークエンジェルらを追撃している。」
ルゥが若干声を落とし、状況を報告する。報告を聞き終わった後、シンが顔を伏せると、察したレイが優しく言葉をかける。
「心配しなくても、ルナマリアなら無事だ。」
「え?」
「もっと信じてやれ。彼女は強い。」
確かに…ルナマリアだってこれまで共に死線をくぐり抜けてきたのだ。簡単にやられはしないだろう……
「奴らはこのまま、ダイダロスの主力隊と合流してレクイエム本隊を破壊し、オーブのその力を世界中に見せつける気だろう。」
ルゥの言葉を聞き、シンはまた顔を背ける。
「お前が救うんだ。あの国を…」
救う…そう、救うんだ!あの忌々しい兄妹に汚されたオーブを!姉さんを解放するんだ!
カインはやってきたシンがオーブを救うという言葉を口にしたのを聞いた。その救うという言葉に言い知れぬ不安を抱いた。
救う…それはまさか、レクイエムでこの世から消滅させるという意味ではないだろうな?だとすれば、独善も良いところだ。ジブリールの件だって全体意志ではないのだ……ベルリンのようなことを本気でするつもりじゃないだろうな?
アリスは改めて、決意する。
そうよ…デスティニープランで戦争がなくなれば、シオンと戦う理由もなくなる。私のシオンをおかしくしているのはオーブだわ。オーブを撃てば、世界は本当の意味で平和になる!
ソガ一佐が指揮するオーブ艦隊がレクイエムに到着した。目標を確認したクシナダがローエングリンを発射するが、それは阻まれた。ザフトは短期間の間に連合で使用されている陽電子リフレクターをあの砲台に設置していたのだ。
アークエンジェルがダイダロスに辿り着こうとしていた時、ミリアリアが驚愕を露わに報告する。
「艦長!オレンジ186より進行する巨大構造物!」
モニターに映った構造物はかつてのボアズやヤキン・ドゥーエに比べると小型ではあるが、間違いなく要塞だ。
更にミリアリアが報告する。
「高エネルギー体、収束!」
シオンが要塞の目標を察した。
〈艦隊をやるつもりだ!〉
「駄目!間に合わない!」
ミーティアのスピードでも距離が遠すぎる!ここからじゃ要塞を攻撃しても艦隊への攻撃を止められない!
「全ての攻撃オプションを機動。ネオ・ジェネシス、スタンバイ。」
ダイダロスに到着したメサイアの中で搭載された武器が機動していく。
「目標、射程まで後20、Nジャマーキャンセラー機動。ニュークリアカートリッジ、激発位置へ。」
「目標、射程内に入ります。」
「撃て。」
デュランダルが命じ、メサイアから巨大なエネルギーが発射された。
ユリはその光を見て言葉を失った。
「そ、そんな…ジェネシス!」
要塞に装備されたミラーはユリだけではない。ヤキン・ドゥーエ戦を生き延びた者ならば誰でも知っているものだ。
前よりは小型になっているが、ザフトはあの恐怖のミラーをまたしても使った。
〈ふざけやがって!ジェネシスまで使って何が『先の大戦と同じ轍を踏まない』だ!!〉
シオンが怒りを吐き出した。そうだ、まだ三年も経っていないというのに、危うく地球を滅ぼしかけたレーザー砲を要塞の武器とはいえ、また使った。レクイエムに加えて、こんなもの使えばデュランダルの穏健派指導者としての信頼だって危うくなるのに。もう、腕尽くでプランを実行するのが見て取れる。
メサイアからデスティニー、レジェンド、リドレス、クリエイター、フェイブルの五機が飛び出す。
〈くそ!あんな物を伏せてあったとは!〉
バルトフェルドが苦虫を噛み、メイが更に状況を悪化させる報告をする。
〈後方よりミネルバ接近!距離22!〉
ミネルバとゴンドワナの部隊も追いついてきた。要塞と月艦隊によってオーブ軍は包囲されつつあった。
メサイアの司令室でデュランダルは誰にも聞こえないように微笑む。
「さあ、今度こそ消えていただこう。ラクス・クライン。」
仲良く寝返ってくれたイザーク、ディアッカ、ニコル。ディアッカとニコルは意中の人が来ているのでは?という一抹の不安も抱いているでしょう。
そして、不可能を可能にする男も完全復活。次回からは二人共本名に戻します。
三人中、半ば強引に言いくるめられたシンとアリスに対し、カインだけは踏みとどまってました。ただし、ありもしない可能性に縋ってしまってる状態ですが。