機動戦士ガンダムSEED DESTINY REVERSE 作:meitoken
「何で…何でこんな!?」
レジェンドから放たれる気配は正にあの男だ。オーブでも感じた疑問が再び蘇る。あの男が何故またここにいる?
ドラグーンのビーム攻撃を躱し、キラもドラグーンを展開する。
「君は誰だ……誰なんだ!?」
キラはレジェンドからの気配を放つ者に問うと、彼と全く同じ声が帰って来た。
〈判るだろう、お前には。俺は…ラウ・ル・クルーゼだ!〉
ラウ・ル・クルーゼ……かつて地球とプラントを際限ない憎しみの連鎖によって破滅に導こうとした仮面の男…後継者を欲したくせに失敗作だから捨てられたムウの父親のクローン。だが、その男はキラが討ったはずだ。だが……
「ラウ・ル………クルーゼ?」
〈人の夢!人の未来!その素晴らしき結果、キラ・ヤマト!!〉
レジェンドのドラグーンの一斉射をシールドで防ぐが、出力に押される。
〈ならばお前も今度こそ消えなくてはならない!!〉
レジェンドがビームサーベルを抜き、キラもサーベルを抜いて二機は斬り合う。
〈俺達と一緒に!生まれ変わるこの世界のために!!〉
フリーダムのカリドゥスをレジェンドがビームシールドで受け止め、二機は衝撃で吹き飛ばされる。
「一体…一体貴女は誰なの!?」
ユリはフェイブルのドラグーンを躱し、ライフルで応戦する。フェイブルはそれを躱し、対艦刀で斬りかかり、アフェクションがビームシールドで受け止める。
〈私は…お前だ!お前は…私だ!〉
私?一体、どういう事?
相手の言うことが判らないユリをフェイブルは容赦なく襲い、ユリもアフェクションを必死に操縦する。
〈人類の夢…最高のコーディネイター!その過程に生まれた忌むべき存在!出来損ないのコーディネイター!!〉
最高のコーディネイター。かつて、キラとカガリとユリの父が研究のために生み出そうとした最高のコーディネイター……そして、キラこそがその唯一の成功体。ユリは失敗作として生まれたのだ。そのユリを自分だという事は彼女は…
〈第二のキラ・ヤマトになれなかった私も…キラ・ヤマトになれなかったお前も…消え去るのだ!〉
フェイブルのドラグーンがビームスパイクとなって襲い掛かり、アフェクションはライフルモードとソードモードのライフルを使い分けて二基を落とす。
〈生まれ変わるこの世界のために!!〉
フェイブルが対艦刀を抜き、アフェクションも二丁のライフルをソードモードにして斬り結ぶ。
『ねえ、ラウは?』
あの日、めっきり訪ねてこなくなったラウのことをデュランダルに問いかけた時…彼はこう言った。
『ラウは…もういないんだよ。』
『え…何故?』
そして、彼は笑い言った。
『だが…君もラウだ。それが、君の運命なんだよ。』
デュランダルはラウが持っている者と同じあのピルケースを渡した。
『逃れられない物……それが自分。』
『ギル…レイスは私を失敗作って言ったけど……どういう事?』
『……そうか、話してしまったのか。』
話してしまった…まるで、自分が何者かを知っているかのようだ。
『それは君の…君達の運命なんだよ。』
「私とお前は生まれながらに葬られることを運命づけられていた。だから、消える!私達はこの世界に不要な物だ!』
あの日聞かされた、自分の身体にある爆弾。怖かった。恐ろしかった。そして、自分をそんな風に生んだ世界を憎んだ。
フェイブルはアフェクションのビームソードを押し切ってドラグーンを展開する。
『逃れられない物……それが自分。』
「そして、取り戻せない物……それが過去だ。だから終わらせる…これまでは全て。そして、あるべき正しき姿へと戻るんだ!人は!世界は!」
レイとルウは全く同じ言葉を口にし、キラとユリに襲い掛かる。
グレンはビームライフルショーティーでザクとグフを撃墜し、オーブ艦隊を援護する。と、見方の識別信号を出すゲイツがザクに攻撃されていたため、ザクをビームアックスで両断した。
「お前はオーブ艦の近くにいろ!間違えて墜としかねない!」
〈す、すまん!〉
ゲイツはオーブ艦隊の近くにつき、イズモ級の援護に回った。
奇妙なものだ。つい先日までコーディネイターを殺し回っていた自分が、同じ考えを持つコーディネイターと共に戦っている。いや、向こうもある意味で同じか?
そう考えているとき、一機のMSを見つけた。破壊されているが間違いない。ミネルバのリドレスだ。
「ったくもう!自分達のマイナスイメージを象徴する武器使ってどうするのよ!!」
ジェネシスは資料だけでは知っていた。なんでコーディネイター達はこれで自分達が前と同じ事をしていないと断言するんだ?
クレムはライフルを収め、二丁の突撃銃とバルカンでミサイルを撃ち落とし、接近してきたグフの右腕をビームサーベルで切り裂き、至近距離からコクピットに突撃銃を撃って撃墜する。
本当におかしい。なんでこれで進化した、理性的な人類だなんて言えるんだ?同じコーディネイターならあのカインやアークエンジェルのコーディネイター達の方がずっと理性的で、彼らなら進化した人類と言える。こいつらは退化ではないか?
「ったく…ん?」
センサーが一機のMSを捉えた。撃破されたMS……クリエイターだ。
レジェンドのパイロットの声にキラは面と向かって叫ぶ。
「でも違う!」
ドラグーンをライフルで一基ずつ撃ち落としながらキラは再び叫ぶ。
「命は何にだって1つだ!」
例え、あの男と同じ遺伝子を持っていたとしても今目の前にいる命はその者の命だ。
「だからその命は君だ!彼じゃない!!」
レジェンドの動きが一瞬だが鈍った。キラの研ぎ澄まされた感覚はそれを逃がさず、フルバーストモードで攻撃する。ライフル、レールガン、カリドゥス、ドラグーンの砲撃が一斉にレジェンドを襲い、バックパックと頭部、手足を破壊した。
「違う!同じ失敗作でも私は一人の人間、ユリ・ヤマトよ!」
〈何!?〉
フェイブルのライフルを対艦刀で切り裂き、ドラグーンでフェイブルを攻撃するが、二基のドラグーンを盾にされる。
「だから、貴女もそう!貴女は貴女!私は貴女じゃないし、貴女も私じゃない!」
フェイブルの対艦刀を持った腕をビームサーベルで切り裂き、ドラグーンがフェイブルを包囲した。体勢を崩し、包囲されたフェイブルはドラグーンの集中砲火を受けて大破した。
ミネルバの三機との交戦後、再びアスラン達と別れたセイバー、カオス、アビスは迎撃をくぐり抜けたムラサメ隊と共にレクイエム本体へ攻撃する。ムラサメが発射したミサイルは本体へ真っ直ぐ向かうが、途中で撃ち落とされてしまい、残った僅かなミサイルもリフレクターで阻まれてしまった。スサノオ、ツクヨミ、クシナダがローエングリンを撃ち、セイバーのビーム砲とカオスの機動兵装ポッド、アビスの連装砲が続くが、巨大砲のリフレクターは要塞攻撃用の陽電子砲さえも弾き返す。
〈アスラン達はまだ来ないのか!〉
〈シン達に手こずっているのよ!!〉
イリアとミサキが焦り、リュウも焦り始める。
「私達の機体じゃシールドは突破できない!このままじゃオーブが!!」
〈間に合わなければ、俺達が行く!!〉
「大佐!」
ネオ…いや、ムウだ。アカツキがドラグーンでフィールドを展開してクサナギを守る。
〈しかし、アカツキとツキユキの武器では本体を破壊することは出来ません!〉
ナタルが進言するが、レイラはあしらう。
〈本体に傷をつければ勝手に爆発するわ!〉
「坊主共!着いてこい!!」
〈あいよ、おっさん!〉
〈おっさん、言うな!〉
アスランとシンは激しく斬り合いながらも決めることができなかった。しかし、ジャスティスのハルバードがアロンダイトを切り裂いた。今度はビームブーメランをサーベルモードにして接近するが、シールドに阻まれてしまう。
「くそぉ!なんで、何であんたなんかにぃぃぃ!!」
何故勝てない!裏切り者に!姉さんを誑かした奴らの仲間に!?
〈もうお前も!過去に囚われたまま戦うのはやめるんだ!〉
アスランの言葉に一瞬シンは攻撃がゆるんだ。
〈そんな事をしても、何も戻りはしない!〉
「な、何を…!」
〈なのに未来まで殺す気か、お前は!〉
シンはライフルを連射してジャスティスに迫る。
「ああ、だから世界は変わらなきゃいけないんだ!だからオーブは!撃たなきゃならないんだ!!」
そうだ!もうあんな事にしないためにオーブは消すんだ!姉さんを取り戻すために!!
「姉さんの目を覚ますためにオーブは!!」
〈ふざけるな!!〉
アスランが怒鳴った。
〈リュウがそうしてくれと願ったのか!そうして、またオーブを焼いて同じ子供が出来る。お前がそれをやってリュウが本気で喜んでくれると思うのか!?〉
「そ、それは…俺の姉さんが!」
〈お前の言う『俺の姉さん』は『俺に都合の良い姉さん』だろう!そうして、今度はお前の都合通りにならないからリュウを殺すのか!?〉
俺に、都合の良い姉さん?オーブを滅ぼしても、姉さんは喜ばない?喜ばない姉さんを殺す?
〈そうして全てを滅ぼして未来を殺す!お前がほしかったのは本当にそんな世界か!力か!〉
俺が、ほしかったのは……俺が望む世界は?
ステラやマユの、両親の姿が脳裏をよぎる。
『敵って、誰だよ?』
敵……敵は誰だ?
アスラン…アークエンジェル…ロゴス…オーブ…フリーダム…姉さん?
「だけど…!だけど!!」
パルマフィオキーナをジャスティスに向けて放とうとした時、インパルスが割り込んだ。
〈シン!もうやめて!アスランも!!〉
ルナマリアの声が聞こえた。しかし、シンの眼にはそれが全く別の物に映った。
ステラ!?マユ!?
更にフリーダムが見えた。
「やめろおおおおおおお!」
シンは敵に裳底ビーム砲を放った。しかし、ジャスティスがビームシールドで阻んだ。
〈この、馬鹿野郎ーーーー!!!!〉
ジャスティスが両手のビームサーベルを振り下ろす。シンはパルマフィオキーナで受け止めるが、防ぎきれなかった。デスティニーの両腕が吹っ飛び、ジャスティスが足のビームブレイドを振るう。右足で受け止めるが、ビーム相手に勝てるはずもなくデスティニーの足が爆発し、デスティニーは衝撃で月面へと落下していった。
掲示板ではシンの『俺の姉さん』を『俺に都合の良い姉さん』と言ったのはシオンでした。只、そうなるとシオンの出番が増えすぎてしまうから、やはりアスランにしました。
実際、この頃のシンは『自分に都合の良い姉さん』しか見ていなかった。実際にリュウ本人の言葉を聞いても聞かなかった。結果、こんな無様な負け方をしました。
ルゥは第二のキラになれなかった自分の出自も、そんな風に自分を生んだものも憎んだ。どんな気分なのか想像つきません。人より早く歳を取って多分二十年も生きられずに死んでしまう。同じように、いずれ会話どころか呼吸さえままならなくなって死んでしまうことが決まっている人生というのは。
ラウもそんな恐怖に抗いながら、全てを滅ぼそうとしたと考えるとラウは正しいと感じるし、二十年経った今でもキラ、ラウ、デュランダルの三人ではラウが一番正しいと思います。