貴方は素敵ですよ。
今日も朝からやることがある。
私は
いつもの支度を整え
いつもの珈琲を飲み
いつものニュースを見て
いつもの仕事に携わる
そして
いつもの日常が始まる。
私はこの超巨大学園都市キヴォトスの『先生』だからね。
ここは様々な数千の学園がそれぞれに運営する自治区を所有して
成り立っている場所だ。
簡単にいうなら「学園」というよりも「国」の集まりと言った方が正しい。
そして私
キヴォトス全体の行政を担う「連邦生徒会SCHARE」の「先生」をやっています。
私の考えでは、「先生とは学識のある指導的立場のある人間」
だが、このキヴォトスでは「先生」というより…。
様々な学園と問題を解決する「交渉人」のような仕事。
当然、「学園」というのだから
そこに住む者たちは殆どは学生、「生徒」達だ。
ただ…「生徒」達、キヴォトスに住む住人達は侮れません。
皆さん、頭の上に「輪っか」がありますね。
これは「ヘイロー」という物。
これは生徒たちの内在する「神秘」が具現化したもの。
おかげか、彼らには強靭な肉体を得ております。
そんな彼らが喧嘩するときには「銃」を使います。
おかげか、ごくごく自然に見かける物です。この世界では。
ファッションの領域にまで「銃」が浸透しているようで皆さん。
ハイカラな物をお持ちになるようです。
そんな私は、その銃弾、一発でお釈迦様になれますが…。
『先生!おはようございます!今日もキヴォトスは快晴です!』
「おはようアロナ…今日も元気で何よりです。」
彼女はアロナ。
私の常に傍に存在する、秘書であり、同僚であり、親友であり
私の常に持ち歩くタブレット端末の中に存在する、超スーパーAI…と本人は自称している方です。
彼女の「力」により、私に銃弾が当たらないように、守ってくれています。
たまにやらかす事を除けば、とても素敵な存在です。
『先生!それでは今日のお仕事はこちらに…』
私の珈琲が揺れる。
その静けさは一人の生徒によって掻き消された。
「おや、朝から騒がしいね…カンナ」
尾刃カンナ局長。
彼女も漏れなく私の生徒だ。
ギザギザな歯が特徴な彼女はよくそれで怖がられる。
恐らく、本人の資質によるものですが…今日は、それを隠せないくらい動揺しています。
荒々しくドアを開けた尾刃カンナが手元の手帳を見せつけ答える。
カンナ「先生、貴方を逮捕します。」
どういう事か訪ねるが…手荒な真似はしない、まずは御同行をとの事だ。
ならその話を聞かせて貰おう。
シッテムの箱に触れ 「アロナ…」。
ここは「ヴァルキューレ警察学校」。
連れてこられたのは取調室。
付き添いもなく二人きりで。
カンナ「単刀直入に聞く、生徒を殺したか?先生」
突拍子も、無い言葉に、私は目が丸くなる。
私が何故かと聞くと、おもむろに取り出したリモコンにより
昔ながらの黒い箱から映像が流れる。
そこには私が映し出されていた。
それともう一人の生徒…誰かは分からない…だが少し悲しげな様子だ。
?「…やあ、またあったね。」
私は記憶を巡らせるが、記憶の何処にも、その景色は見当たらない。
?「…はあ、先生…」
「…こんな形で会わなければならないのは残念だ。」
「…だが、これも、必要な出来事だからね。」
最初の時と比べ映像の私と会話を重ねて笑顔も見せるようになる。
?「ああ…すまない。今の話は楽しかった。」
「今のように楽しく先生と話をしたいが…」
「…君では、無いんだ。」
映像の私には焦りが見えた
その刹那の事。
私が生徒を撃った。
おかしいキヴォトスのヒト達は銃弾一発で倒れる訳がない、
ましてや彼らの頭に漂う神秘の輪が一発で割れる事など。
見たことがないのだ。
言葉が出てこない。
映像が終わり、静けさが、訪れた。
それを掻き消したのは目の前にいる生徒だった。
カンナ「先生、疑いたくないが、映っているのは貴方だ。」
今朝と比べて、声が弱く、嘘であってほしい、と声でわかる。
応えて欲しいと続け、私は焦る。
「私ではない。」そう思いたい。
カンナ「この時間、貴方は何をしていたんだ?」
「…」記憶が無い。
記憶が、無いんです。
映像の私におかしな部分はない。
アレは私だ。
あの銃も。私が撃つ事は無いとデスクに仕舞ったものだ。
だが一つおかしい事に…その生徒を知らないのだ。
名前は百合園セイア。
トリニティ総合学園の生徒会「ティーパーティー」のメンバー。
私はそのグループに覚えがある。
だが、その記憶が、欠落している。何をしたのです?
カンナ「…貴方はそこで教鞭を取っていたはずだ。」
カンナ「…その生徒を手にかけた。」
カンナ「…しかもその時間、何をしていたか。思い出せない。と…」
そうだ…。今は、「…何時?何日なんです?」
私の記憶の過去を探るが
昨日の記憶さえも、片隅には…。