『操られ先生』   作:狂いぬこ

2 / 20
箱の中にしまいましょう。
大切な者は。


#2『箱の中の先生』

 

 

 

「…やあ、いらっしゃい。ユウカ、ノア、コユキ」

ユウカ「先生!殺したってどういう事ですか!?」

コユキ「ニハハハ、ユウカ先輩、怖い顔ですよ、先生怖がっちゃいますよぉ!」

ミレニアムサイエンススクールの生徒会の皆さん。

「セミナー」の早瀬ユウカ、生塩ノア、黒崎コユキ。

 

何も知らない私がシャーレに着いて

私が『先生』として戦術指揮をした生徒達。

今でも思いますが、「先生」が「戦術指揮」とは…馴染みません。

馴染みませんが、何故か、私は、スラスラと

「戦術」が分かります。

それにその状況に適した「戦術」を生徒達に伝えられる…。

「生徒」達の能力を知っている。

 

それはさておき

今日は、貴女達と一緒に仕事を片付ける、予定でした。

 

ノア「…先生、映像は見ました。」

コユキ「あの映像は完璧に先生でしたねぇ…演技にしてはやりすぎですよぉ!」

ノア「まだアレはキヴォトスの一部の生徒しか知りません。」

「貴方の事です。何かしら心当たりがあるはずです。」

残念ですが、その心当たりも私にありません。

「…お願いいたします。私に、私達に、貴方を信じさせてください。」

ノアは完全記憶能力なるものがある。

コユキには歩くマスターキー。

それにミレニアムの皆には情報を集める「力」がある。

ユウカにはあの素晴らしい太ももがある。

けど…相手は得体の知れない何かです。

私でさえ、気付かず、この一週間を…記憶がないまま。

「…すみません、ユウカ、ノア、コユキ…だめです。」

「…私を警戒した方がいい。」

ユウカ「…本当の…事って…言いたいんですか」

コユキ「ユウカ先輩!?」ノア「!?」

ユウカは怒ってコユキの飲んでるジュースを奪い

私にぶちまけた。

コユキ「あわわ!私のジュースがぁ!!」

ユウカ「…失望しました。もう、知りません…!」

ノア「…ごめんなさい。先生。」

足音が遠くなる。

 

ピチャリピチャリ…

 

?「…せんせぇ、きたよ~」

小鳥遊ホシノ。アビドス高等学校、対策委員会の委員長。

「皆さん、申し訳ない…お茶の一つも出せません。」

シロコ「ん、先生、お茶なんて出さなくていい」

「今から、みんなでお茶をしにいく…」

砂狼シロコ。ホシノと同じ所で頑張っている子だ。

私が「先生」として初めて学園に赴き。

果てしないアビドス砂漠で私を助けてくれた生徒です。

いやはや彼女がいなければ私は骸になっていたかもしれません。

「!? シロコ、め!」

シロコが鉄格子に力を入れた部分が捻じれている。

「皆さん、止めてくれてありがとうございます。」

ホシノ「うへぇ~ほんとは止めたくなかったけどね」

セリカ「シロコ先輩!先生が困っちゃうでしょ!」

アカネ「先生には何か考えがあるんですよ…」

ノノミ「これは…ドッキリなんですよね?」

 

「…」

換気扇の羽が回る音が鮮明に聞こえるくらいに

言葉が出ることはなかった。

その時間はとても、長く感じてしまうくらいに。

 

ホシノ「殺してないって…言ってよ。」

「ホシノ…ごめんなさい。」

小鳥遊ホシノの瞳には涙が溢れてしまいそうな程、貯めている事が分かる。

いまここで、不用意に、ホシノに言葉をかければ

シロコと同様に

この鉄格子を壊して外に連れだそうとしてしまうだろう。

セリカ「…分からないって何よ!先生」

シロコ「ん、もっと詳しく教えて、先生」

ノノミ「そうです。昨日、先生は何をしてたのですか?」

アビドス高等学校、対策委員会の皆は私に懐疑的な目を向ける。

真実ではないと、先生はそんなことしない。と。

「…ごめんなさい。私にはさっぱりです。」

「…記憶が無いんだ。私かも知れません。」

 

シロコ「先生は2日前、私達の戦闘を指揮した。覚えてる?」

「…私が、指揮を、した?」 しらない

セリカ「そうよ!あの時の指揮はサイテーだったわよ!」

ノノミ「…あの時、先生は指揮の途中で居なくなりました。」

シロコ「ん、ホシノ先輩のお陰で帰ってこれた。」

シロコ「その後、連絡を取ろうとしたけど取れなかった。」

ホシノ「そうだよ。先生、あの時、会いに行こうとした。」

ホシノ「他の人に聞いたら先生は呑気にご飯を食べてたって…」

「…私が、途中で、見捨てた?」 ありえない

ホシノ「おじさん、怒ってたんだよ…」

ホシノ「…それでも会おうとしたら、やっと会えたと思ったら…」

「…皆さん、ごめんなさい。」 ふざけるなよ 

ホシノ「…せんせぇは、やっぱり汚い大人なんだね…」

セリカ「…先生なんて、もうしらない!信じなければよかったわ!」

ノノミ「…ごめんなさい。」

シロコ「…」

みんな、足取りは重く、この懲罰房から離れていく。

「…皆さんこの事件を、いや、私を、忘れて欲しい。」

呟いた…自身への失望と、困惑。

途中で投げ出したなど…私らしくない。

これは…『先生』ではない。

きっと今回の事で私は先生を解任される。

 

 

?「…せんせい?」

綺麗な声、か細い声だ。足音にさえ、気づかなかった。

「ヒナ…」

空崎ヒナ、ゲヘナ学園の風紀委員長。

先程のホシノもそうですが

小柄な身体で様々な物事を背負い込む生徒です。

面倒な事を率先してやる為か

彼女は自身の事を蔑ろにしがちな生徒です。

「…ごめんね」

その隣には際どい恰好をした秘書風な生徒。

その服については少し横ち…ゲフンゲフン。はどうなってるのか小一時間。

説法をきかせてほしいくらいです。

アコ「…その発言、やはり本当の事なのですか?」

「…そう思っても仕方がありません。」 根拠が無いな。

アコ「委員長、これ以上、犯罪者と話をしても仕方がありません。」

ヒナ「…まって、アコ。」

ヒナ「…アコも疲れてる。だから…」

「大丈夫、分かっています。」 アコらしいな。

ヒナ「…せんせい、4日前の事、覚えてる?」

「…」

ヒナ「…せんせいが私の所に来たの…仕事をしてくれた」

ヒナ「…でも、温泉開発部が面倒ごとを起こして」

ヒナ「…いつもなら私が出て戦う。けど」

ヒナ「…せんせいが、彼らを蹴散らした。」

「…!」

ヒナ「…せんせいの手には…」

ヒナ「…あのカードが光ってた…初めてみたよ…」

ヒナ「生徒にカードを使ったのは…」

ヒナ「…せんせいの声、いつもの違って怖かった。」

「…ヒナ、ありがとうございます」

「…でも、ヒナ、私の事はもう、忘れたほうがいいかもです。」

ヒナ「…せんせい…ほんとなの…?」

声が擦れて、溢れる。

ヒナ「…せんせいの事を、信じたいよ。嘘って言ってよ…」

「…ごめん」 ふざけんなよふざけんなよふざけんなよふざけんなよ

ヒナ「…!?せ、せん、せい…?」

ヒナが駆けていく。

 

 

一人になった。

はずだった。

 

 

 

 

いや、二人の間違いではないですか??ヒヒ

 

?「そうでしょう?『先生』?」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。