恋敵はブレイズミートシチューでした。   作:猫好きの餅

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 お待ちどうさまです。今回1万文字いっちゃった。
 
 みんな感想欄で俺がヴァレサの新作書くの確信してて草なんだ。

 読者に性癖が筒抜けな件について。


好きな子と食べるキャンプ飯は格別

 

 

 

 

 

「………ふぁ〜…」

 

 ある日の昼下がり。

 

 狩りが終わり、捕った獲物を売り払って帰路に着く俺は、ポカポカな陽気に思わず大きなあくびが出た。

 

 今日の収穫は鳥が何羽かと、イノシシが数頭。仕留めた時も矢で一撃だったので、肉はもちろん皮や牙が高値で売れた。暖かくなった懐に機嫌が良くなったのも相まって、どうやら気が緩んだみたいだ。

 

 ぽけーっと口を半開きにしながら道を歩き、考えるのは1週間ほど前に起こった好きな子のこと。

 

 あのあと家に招待して料理を振舞った。ヴァレサは笑顔で食べてくれて嬉しかったし楽しかったんだけど、どうしても気にしてしまうことがあった。

 

「……あれは、………言った方がいいのか…?」

 

 最近というか、少し前からヴァレサの体がやたら俺に当たるような気がする。いや別にヴァレサがそういうことをする子じゃないってのはもちろんわかってるし、向こうも特に気にした様子がないから俺も気付かないふりしてるけどさ………。

 

 ……いやね、流石に気になるでしょ。

 

 ヴァレサは昔から、周りの子よりも体の成長が早かった。本人は太ってるから〜とか言ってるけど、正直言ってあのスタイルは俺にとってものすごい魅力的で、普段の格好も相まって非常に視線のやりどころに困る。

 

 つーか、あの胸の下で結んでるのはなんなの?黒いインナーに包まれた胸だけ上着がくり抜かれてるのはどういうこと?お陰でものすごく強調されて本当に目に毒だ。

 

 他にも目を引くのはスカートの役割を話してない超絶ミニから覗く健康的な脚。特に太ももの肉付きが絶妙で、丈が短いせいでインナーが丸見え。

 

 それでいて「いやどこが太ってんだよ!」とツッコミたくなるような括れ。いやそうじゃん、括れてんじゃん。胸とお尻の標高がすごいから余計括れが目立っちゃってるじゃん。ボンキュッボンってまさにこの事じゃん。

 

 そして彼女の魅力はそれだけじゃない。そんなボディを持ちながらのあの可愛いお顔。ピンク色の三つ編みおさげも可愛いが、特に俺はヴァレサの目が好きだ。おっとりタレ目がご飯の前ではキラキラ輝き出すのが本当に美しいと思います。はい。

 

 最後にやはり彼女チャームポイントと言うべき角としっぽ、そして耳。ピクピク動く耳や尻尾も可愛いがやっぱりあの勇ましい双角だ。

 

 角あってのヴァレサ。角なくしてヴァレサにあらず、むしろ角がヴァレサだなって何言ってんの俺。陽気に当てられて脳溶けすぎだろ。

 

 とにかく、俺にはヴァレサが超絶美少女に見えるわけで、そんな子と最近距離が近いことに、嬉しさを感じつつも、割合としてはやっぱり困惑が勝つ。

 

 だって、普通振った男と仲良くするのってかなりハードル高いと思うんだけど。しかも俺の場合自分の作ったシチューと比べられたわけだろ?シチューを食いたいって気持ちはわかるけど、気まずさとかないんだろうか。

 

 ………………それか、もしかしたら俺の勘違いって線も……。

 

 でも、あの時はヴァレサは俺の顔を見て返事を言ったんだ。まるで告白の困惑を口に含んだシチューでかき消すようにして満面の笑みで。

 

 それにだって、確かめようもないしさ。これでほんとに振ってた場合、本当に俺死にかねない。そして勘違いだった場合も告白するようなもんだし、頷かれなかったらやっぱり俺は死ぬしかない。

 

 つまり詰んでる。はい無理ーっ。

 

 真実を確かめることよりも、今のシチューを振る舞うヴァレサとの関係を壊したくないって心がそれの邪魔をする。

 

「……はぁ、告白なんてするんじゃなかったな」

 

 そんな俺のつぶやきが空に溶けたとき、俺の足が何かを踏んだ感触を脳に送ってくる。

 

 そこでようやく思考の海から帰ってきた俺は下を見て。

 

 

 思い切りヒルチャールの足を踏んでる自分の足を見て瞬きをした。

 

 

「……」

 

 

 どうやら考え事をしているうちに道からはみ出てしまったようだ。カーブの所を真っ直ぐに突き進んだ俺はヒルチャールの集落に文字通り足を突っ込んでいた。

 

「………っと、謝ったら許してくれない?」

 

 そんな言葉が通じる訳もなく、集落を荒らした侵入者を排除しようと、ヒルチャールが怒り声を上げながら武器を構える。

 

 どっちかと言うと俺が悪いんだけど、ヒルチャールは見つけ次第駆除を頼まれている。俺はちょこっと申し訳ない気持ちで背中を弓を構えようとしたその時。

 

 

「奥義っ!…ヒーローキィィィック!!!」

 

 

 横から雷元素の塊が突っ込んできた。

 

 

 その紫電の塊は先頭にいたヒルチャール暴徒に激突すると、猛烈な勢いで弾き飛ばす。

 

 ヒルチャール暴徒を踏み台にして高く飛び上がった、仮面をつけたその人はそのまま雷元素を迸らせながらヒルチャールの中央に落下した。

 

 直後、ズドォンというちょっとした火山弾みたいな勢いで爆発が生じ、ヒルチャールが無惨にも吹き飛ぶ。そのうちの一体の仮面に着いた角を引っ掴んだその仮面をして角が生えた少女はヒルチャールをぐるぐると振り回す。

 

「ふぅうううんんんん〜!!」

 

 とてつもない回転速度に雷元素が巻き込まれて大きな竜巻が出来上がった。少女はヒルチャールと竜巻になったまま残りの敵に突っ込んだ。

 

 残ったヒルチャールが木の葉のように吹き飛んでいき、トドメに掴んだヒルチャールをお空にぶん投げた。一瞬のうちに豆粒となって空の彼方に消えていったヒルチャールを眺めていると、ものの数分でヒルチャールを壊滅させたその子が初めてこちらを見た。

 

「え、、ええ〜っとぉ……大丈夫だ………った…か…な…」

 

 三つ編みおさげのピンク髪に立派な双角。そして起伏の激しいボディに背中に着けた雷元素の神の目。

 

 果樹園の娘にしてテイワット1の大食い、ヴァレサが俺を見てぱくぱくと口を開閉した。その弾みでマスクがポロリと落ちる。

 

「え……っと、やぁ、こんにちは。ヴァレサ」

「で、ディルくんっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさかこんなところで会うとは。どうやら行商の途中だったようで、向こうに止められた荷車が見える。

 

「あ、あれぇ〜…?なんかヒルチャールに襲われてる人がいるって思ったら、ディルくんだったの?」

「うん。助けてくれてありがとうな」

「い、いやっ…ど、どうたしまして…」

 

 多分マスクをつけた姿を見られたくなかったんだろうな。顔を真っ赤に染めなら落ちたマスクを拾い上げる。俯いた顔とは裏腹にピンク色の尻尾がブンブン荒ぶっていて、俺の心が癒される。

 

 そんな俺にヴァレサが顔を手で仰ぎながら聞いてきた。

 

「だ、大丈夫だった?まさかヒルチャールの集落の中にいるなんて…危ないよぉ?」

「あはは、ちょっとぽけっとしてて」

 

 ヴァレサの服装がエロいよねって考えてこうなっただなんて口が裂けても言えねぇ。

 

 頬をかきながらそう答えた俺に、ヴァレサが心配そうな顔で近づいてきた。思わず俺は1歩下がって距離をとる。

 

「……ぇ」

 

 な、なんでそんな顔するの?

 

 ちょっも目を見開いて驚いた顔をしているヴァレサに何も言えなくなった俺は彼女から手に持ったマスクに話題を移した。

 

「そういえば、俺ヴァレサがマスクつけてるの久々に見たな」

「う、うう……恥ずかしい…」

「そうかな?かっこよかったけど」

 

 巷じゃ現代のフェルテナ様とか言われてるんだっけ。マスクをつけてる時のヴァレサはなんか……勇ましくて結構好きなんだけど。

 

 俺が素直に思ったことを言うと、ヴァレサはマスクを手で弄りながらもじもじする。

 

「ほ、ほんとぉ?……あ、りがとぅ…」

「ふんぐっ」

「…え、どうしたの?」

「いや、なんでもない」

 

 当然俺にはクリティカルヒット。さっきのヒルチャールよろしく彼方まで吹き飛びそうになったのを堪えた。

 

 そして訪れる静寂。話題が死んだ俺たちは、お互いに目をぱちぱちしながらお互いの動向を伺う。

 

「え、えっと。ヴァレサは行商の途中?」

「あ、うん。もうすぐ日没だから、キャンプをする場所を探してたところに、ディルくんが見えて…」

「あ〜、もしかして俺がヒルチャールの巣に入ってくのが見てたってことか」

「うん、呼んでもそのまま行っちゃったから…」

 

 それは恥ずかしいところを見せた。俺が上の空で巣にドカドカ入ってくのはさぞ変に映っただろう。乾いた笑いがでる。

 

「そっか。助けてくれてありがとな。……じゃ、俺はこれで…」

 

 なんかちょっと気まずくなって俺は踵を返す。さっき考えてたこともあって気恥しくなった。

 

「……ぇ、……ま、まって!」

「ヴァレサっ?」

 

 後ろから呼び止める声が聞こえた直後、俺の右腕がぎゅむうと言う音と共に暖かいものに包まれた。

 

 いや別にぎゅむうとは音鳴ってないんだけど、多分文字に起こしたらこんな感じになると思う。俺の腕全体にもう説明するまでもない感触がぶち当たり、思わず意識がさっきのヒルチャールみたいに(略)。

 

 見ると、俺の腕に抱きつくようにヴァレサが止めていて、俺の顔を見上げた彼女と思い切り目が合う。

 

「ま、まってぇ…?」

 

 かわいい(怒)

 

 なんすかその顔、可愛すぎて一周まわってなんか怒れて来ちゃったんだけど。なんか目もうるうるしてるし、なんかいい匂いするし、腕の感触は最高だしで、五感のうち3つもヴァレサになやられてしまった。後は聴覚と味覚だけって何考えてんの俺?頭おかしくなったんか?……なったんだわ(納得)。

 

「わ、わかった。わかったから離れてくれ」

「…あっ、ごめんっ」

 

 ヴァレサは今体勢に気がついたのかあわあわしながら離れた。

 

 合わせた手をもにょもにょさせながら何かを言い淀む。

 

 普通なら「告白かっ?」ってなるところだけど、もう振られてる俺は悟りを開いた顔で聞く。

 

 

「も、もし良かったらね……、わ、わたしとキャンプ……しない?」

「おーけー。行こう」

 

 

 無理だよこんなの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…すげぇ、いつもコレ持ち歩いてるのか?」

「うんっ。わたし、キャンプ大好きなんだぁ〜」

 

 荷車に積まれていたテントを1分程で組み立てたヴァレサに素直な感想を言うと照れたような笑みを浮かべて、持ってきた丸太に座る。

 

 いつの間にか、ヴァレサとキャンプすることになったけど(あまりの可愛さに記憶飛んでる)本当に俺が居てもいいのかな?

 

 そんな俺をよそに、ヴァレサはご機嫌なのか鼻歌を歌いながら拾ってきた枝に火をつけて焚き火を始める。ちょうど薄暗くなってきたので炎の光がヴァレサの白い肌を赤く照らした。

 

 こんな時間に火なんかつけてたら魔物に襲われそうだけど、ここら辺の魔物は全てヴァレサが片付けてしまったそうだ。

 

「さすが、仮面の英雄さまだな」

「も〜、恥ずかしいからその名前で呼ばないでよぉ。…そろそろ時間だし、ご飯にしよっ?」

 

 キャンプ飯〜とかかわいく言いながらベーコンを取り出すヴァレサ。意外にも量は常識的だ。

 

「ん、それだけでいいのか?いつもながらこう、3kgくらい…」

「コーチから夜はそんなに食べるなって言われてるから〜。夜に食べるとすぐお肉になっちゃうんだよねぇ」

「そうなの?」

「うん、わたし、油断するとすぐ太っちゃうから大変なの」

 

 個人的に、ヴァレサは今くらいがいいと思います。

 

 内心で真剣にそう言いながら、取り出したフライパンに厚切りのベーコンを2枚載せる。ベーコン焼くなら、これもつけたいよな。

 

「あ、ディルくんわかってるねぇ〜」

「俺も、キャンプは良くしてるからな。チーズ…は、流石に体に毒か?」

「……うぅ〜……き、今日くらいならいいかも〜」

 

 チーズをチラ見せするとゴクリと唾を飲み込むヴァレサ。欲に負けた声が聞こえたので、別のフライパンにチーズを乗せてゆっくり溶かしていく。

 

「で、ここに胡椒だろ」

「天才〜!」

 

 溶けたチーズを両面カリっと焼いたベーコンにたっぷりかけて、その上から胡椒をぶっかけてあげる。

 

 それをキラキラした目でみるヴァレサが可愛くて仕方ない。俺は追い打ちでヴァレサの果樹園のトマト(ちゃんと買った)で作ったトマトソースを回しかける。

 

「うぉ、罪だなこれは」

「美味しそぉ〜」

 

 俺はベーコンを小さく切って串を刺した。それをヴァレサに渡そうとしたんだけど。

 

「えへへ、いただきまぁーすっ」

「えっ」

 

 俺が持ったその串にヴァレサがぱくっと食いついた。熱かったようでハフハフしてるのが可愛いんだけども。

 

 え、今のって…?

 

「…っ〜!おいしぃ〜」

 

 そんな俺を他所にヴァレサは頬に手を当てて笑顔で唸る。

 

「えっ…と?」

「ディルくんは食べないの?」

「いや食べるけど」

 

 この子そういうの気にしないタイプなの?まあいいかと串をヴァレサに渡そうとして。

 

「つぎはぁ〜パンを焼いて、そこに挟もうかなっ♪」

 

 と思ったんだけど、ヴァレサの両手が塞がってしまった。どうしようかと悩んでいると、ヴァレサが膝の上でパンを切って2つに開く。ああ、そこに乗せればいいのかなとベーコンをいくつか串に刺すとパンに乗せようとしたらヴァレサにパクッと食いつかれた。どういうこと?

 

「……あっ、…ごめんねぇ〜…た、食べちゃった…」

 

 思わず食べちゃったらしいヴァレサが顔を赤くしてえへへと笑ってくるのが可愛すぎて、変な声が出そうだ。

 

「全然いいって。ほら、パンも焼くか?バターつけようぜ」

「ディルくん、もしかして…天才なの?」

「なんなら目玉焼きもいっちゃおう」

「もう…すごいよぉ」

 

 結構アホな会話だと思うけど、昔からこんな感じで話してたから凄く落ち着く。焼いたパンに目玉焼きとベーコンチーズを挟んでヴァレサに渡した。

 

「あれ、ディルくんは食べないの?」

「ああ、ヴァレサが食べていいよ。食材も用意して貰ったしさ」

「…じゃあ、ひとくち食べる?」

 

 高カロリーサンドイッチを見せながらそう言って来るヴァレサに少し考えて頷く。まだ手をつけてないならちょこっと切って貰えば大丈夫かとナイフを取り出そうとしたところで。

 

「あ、……あ〜ん…」

「えっ、ヴァレサっ?」

 

 さっきのお返しのつもりなのか、ちょっとほっぺたを赤くしたヴァレサがサンドイッチをそのまま差し出してくる。

 

 ちょっと座ってる丸太の上で後ずさりした俺を追い詰めるように身体を寄せたものだから、俺の脚にヴァレサの太ももがピッタリ当たって、思わずもう1回告白して振られそうになる。振られちゃうのかよ。

 

 このままだと埒が明かないので、俺は突き出されたサンドイッチをひとくち齧った。口に広がるベーコンとチーズの味。しつこい味がトマトソースの酸味と目玉焼きでまろやかになっててとても美味しい味が全く入ってこずに俺は機械的に口を動かすしかない。

 

「おいしい?」

「……うん」

 

 俺の言葉にニコッと笑ったヴァレサも大口でひとくち……一口で食べた!?どういう口!?

 

「……んん〜♪美味しい〜!」

 

 食べかけの残りをひとくちで食べられると、間接キスだとか考えてた俺がアホみたいに思えてくる。

 

「……どうしたの?ため息なんかついて」

「なんでも。……ほら、次の料理つくるぞ」

 

 残ってるジャガイモを沸騰した鍋に放り込んで、焚き火の上に岩元素で台を作ってそこに鍋を置く。ぽこぽこ沸騰する鍋をポケーっと眺めていると、隣のヴァレサが立ち上がった。

 

 綺麗な声で鼻歌を歌いながら荷車に行くので何をするのかと思ったら、何やら棒が複数入った袋を取り出す。

 

「それはなんだ?」

「これ?これはテントだよ〜。今夜は雨降らないと思うけど、一応あった方がいいから」

 

 ヴァレサは俺の質問にそう答えながらてきぱきとテントをくみ上げていく。あっという間に人1人が入れる大きさの3角テントが出来上がるとヴァレサが手招きしてくる。近づいて中を覗き込むと大人ひとりが眠れそうな空間ができていた。

 

「へぇー、すごいなこれ」

「でしょ〜?」

 

 中から四つん這いで出てくるヴァレサのが1歩事にゆさりと揺れるのを全力で無視してそっぽを向くと、何やらテントの幕に穴を塞いだような跡がある。

 

「こ、これはねぇ〜、眠ってる時に角で…」

「……だから穴が2つ空いてたのか……っ」

「あ〜!笑ったでしょっ!」

「笑ってないって」

 

 外にずぼっと角だけ出して寝てるヴァレサ。見たらちょっと面白かった。ほっぺがパンパンに膨らんだヴァレサが可愛くてしんどいんだけど、どうすればいいんですかね。

 

 俺はヴァレサにぺちぺち叩かれながら元の場所に戻って、茹でたジャガイモを潰しながら干し肉をお湯で柔らかくして混ぜていく。

 

 そんな作業をしながらヴァレサを見ると、本当に幸せのそうな顔でベーコンチーズを口に運んでは体を揺らしている。……ほんとに目に毒なので揺らすのは身体だけにして欲しいです。はい。

 

 俺は完成したジャーキーのポテトサラダをパンに乗っけて、ベーコンチーズを挟んで食べる。普通に美味くて口角を上げていると、ヴァレサがすごい目で見てきたのでひとくち食べてしまったけど諦めて差し出す。

 

「……あ」

「ん、どうした?」

 

 横から聞こえた声にそちらを向くと、ヴァレサが口を開けたまま固まっていた。何やら顔が赤い気がするけど、どうしたんだろうか。

 

 ……あ、なるほど、さっきのお返し待ちとかか?

 

「……ほれ、あーん」

「んんん!?」

 

 固まってるヴァレサの開いたままの口にサンドイッチを突っ込んだ。ヴァレサは変な声を上げながらもひとくちかじる。

 

「………どうだ?」

「……………あじわかんなぃ…」

「あれ、味薄かったっけ?」

 

 さっきとは様子が変わって、なんだか大人しくなったヴァレサに俺は首を傾げた。

 

 

 

 

 

 そんなこんなで食事も終わり、あとは寝るだけ。周りの魔物は狩り尽くしたから見張りはいなくても大丈夫だろう。ヴァレサはテントを使うだろうし、俺はその辺で適当に……。

 

「ディルくん、なにしてるの?」

「え、ここで寝ようかなって」

「だ、ダメだよぉ!風邪ひいちゃうよ?」

「いや、でも他に寝るとこなんてないだろ」

「…あ、ある………よ?」

 

 ヴァレサは何を思ったのか、テントの床をぽんぽんと叩いた。

 

「ふたりならギリギリ入れると思うし…」

「いや、いやいやいや!?ダメだろ普通!」

「わたしはいいからぁ!」

「俺はダメだってうぉわ!?」

 

 絶対にそこには入ってはならないと距離を取ろうとした俺の腕が掴まれたと思ったらそのまま為す術なくテントの中に引っ張り込まれた。抵抗するまもなく引きずり込まれたので、1人分の広さのテントの中で俺とヴァレサの体が密着する。

 

 やばいっ!ふわふわだなぁさすがにこれはやばいって!柔けぇなぁ直ぐに出ないとって何考えてんだ俺!?

 

 このレベルの密着はもう煩悩が邪魔をして思考がまともに出来ない。ひとたび息を吸い込むとヴァレサの甘いオレンジのようないい香りが鼻に飛び込んで来て頭がおかしくなりそうだ。これお金払った方がいいんじゃないかな(錯乱)。

 

「……ヴァレサはいいのかよ?……一応男だぞ」

 

 君に振られてるとはいえな。

 

 そんな俺の言葉に、ヴァレサはちょっと目を逸らしながら言う。

 

「……ディルくんなら………」

 

 それは、…どういうことなんだろう。俺と密着しながら寝るのはいいのに付き合うのはダメってことなのか?

 

 ヴァレサは、もぞもぞと身体を動かす。恐らく角が俺に当たらないように調整してくれてるんだろうけど、動く度にヴァレサの双丘が俺の身体を爆撃していく。双角の前に双丘もどうにかしてください。

 

 今の体勢はテントの中でお互い横向きになっている感じ。1人なら余裕を持って寝れそうなテントの中に2人はさすがに狭く、特に凹凸が激しいヴァレサの身体が当たりまくる。

 

 ヴァレサの角が当たらなくするには顔の位置を同じにするしかないので、もぞもぞと俺のお腹から胸板までを爆撃しながら上に上がってきたヴァレサの顔と至近距離で目が合う。

 

 テントの中に明かりもないのでヴァレサがどんな表情をしているかは分からない。

 

「……ヴァレサは、苦しくないか?」

「……大丈夫だよ。ディルくんは大丈夫?」

「正直言うと、右腕を伸ばしたい」

 

 今俺は右腕を下にして横向きにしているので、本音を言うと横に投げ出したい。でも横にはヴァレサがいるわけで、伸ばす訳にも行かない。

 

「………いいよ?」

「え?」

 

 ヴァレサはそう囁くと、身体を少し浮かせる。え、そこに腕を通せと?抱き寄せる感じにならない?

 

 でも、ずっと身体を浮かせて貰ってる訳にも行かないし、正直今まで体験したことないことの連続と身体に感じる柔らかい感触、呼吸する度に感じるヴァレサの香りにちょっと頭が回らなくなっていた俺は、思わず腕を伸ばした。

 

 直後、俺の二の腕に感じるヴァレサの腰の感触。くびれのせいかそんなに重さは感じない。そして、テントの幅の関係で腕は伸びきらずに肘を曲げるしかなくて。

 

 当然、ヴァレサの腰を抱き寄せる形になる。

 

「………ん」

「ミ゚」

 

 だ、抱き寄せてしまった……!こ、これ一体いくら払えれば(錯乱)。

 

 ヴァレサの様子を伺ってみると、どうもリラックスしているようだった。ただ枕がない状態で横向きはちょっと寝づらい。

 

 俺はちょっと仰向けに身体を寄せてみると、意図を察してくれたのか俺の上に乗るようにヴァレサはうつ伏せ気味になる。

 

 俺がのしかかるよりはって下になったけど、上に乗られたことでヴァレサの2つの爆弾が(略)。

 

 もうどうやってもこの感触からは逃げられない。ヴァレサも全然嫌がんないし、期待する心と振られたことの思い出で感情がぐちゃぐちゃになりそうだ。

 

 だから、ちょっとした仕返しという訳でもないけど、ちょっとは自分の思う通りに動いてもいいよな?

 

 なんかもう吹っ切れた俺はヴァレサの腰に回した腕に力を込めた。ぎゅっと抱き寄せたせいでさらに身体が密着するけど、お互い何も言わない。

 

「………おやすみ、ヴァレサ」

「……ぅ、……ぅん……」

 

 

 

 なんかもう、一周まわって眠くなってきた。なんかヴァレサの身体暖かいし、明日の朝が思いやられるけど、なんかもういいや、明日の俺に任せよ。

 

 俺は暖かいやら柔らかいやらの極上の抱き枕をもう一度抱き寄せると瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………あぅあぅあぅあぅ!?

 

 で、ディルくんが……近いよぉ〜!(自業自得)

 

 ディルくんとキャンプすることになったまでは良かったんだけど、ご飯を食べて、ディルくんから「あーん」されたあたりでわたしはもう止まらなくなっちゃったぁ。

 

 そもそもキャンプを言い出したこと自体思いつきだったし、ディルくんを引っ張ってテントに入れちゃったのもその場の思いつき。でも、初めてちゃんとディルくんと密着して彼の香りを嗅いだらなんか、身体が言うことを聞かなくなっちゃって……。気がついたら彼の腕がわたしの腰を抱き寄せていた。

 

 ずっとずっと妄想してたことが現実になってわたしの鼓動が止まんない。……あ、止まったらダメか…。でももうここまで来たらディルくんから離れたくないし……。

 

 とか思ってたら、腰に回された腕に力が入って、わたしの身体はディルくんに押し付けられた。角が当たらないように頭の高さを合わせたから、わたしの目と鼻の先に彼の寝顔がある。本当に少しでも前に出たら唇同士が当たっちゃいそうで、なんだか変な気分になってくる。

 

 見ると、ディルくんはもう寝ちゃってる。わたしはもう目が暗いのに慣れてきちゃって、目の前のディルくんの綺麗な顔が本当に眼福だよぉ。

 

 おもむろにディルくんの胸に手を当ててみると、とく、とくと安心したような心拍数の鼓動が聞こえてくる。もしかして、わたしのこと女の子として見てくれてないのかな?でもご飯食べてる時にわざとくっついたら顔赤くしてたし……。

 

 わたしは彼を起こさないようにちょっと上に動く。空いた手を彼の頭に回して、柔らかな亜麻色の髪を指を通す。

 

「……んっ」

 

 彼の寝息が首に当たるのが擽ったくて、さらにちょっと上に移動する。息が当たらなくなるまで移動するしたら、ディルくんの顔がわたしの胸くらいにまで下がっていた。

 

 ………ちょっとくらい、いいよね?

 

 わたしは撫でていた彼の頭を抱き寄せて、自分の胸に押し当てた。

 

 重いし動きにくいし、足元は見えないしでコンプレックスだった自分のコレが、ディルくんには有効みたい。胸の間に顔を埋めながら、ちょっと緩んだ顔で眠るディルくんが、腕を動かした。

 

「……ひゃっ」

 

 さっき腰を抱いてたディルくんの腕が、わたしが上に移動したから下にさがっていって、今はお尻を触っちゃてるっ?

 

 でも起こす訳には行かないし、それにこうなったのはわたしが悪いし……。今日いっぱい食べちゃったから触るならまた今度触って欲しいよ……って何考えるのわたし!?

 

 

 

 でも、ディルくんの寝顔を見ていたら、どんどん気分が変わってきて。………気づけば、ディルくんのおでこに唇を当ててた。

 

 

 

「すき」

 

 

 

 

 唇を離したわたしの顔は、多分真っ赤だと思う。ま、また自分で眠れなくしてどうするのぉ?

 

 

 

「うぅ…」

 

 

 こうして、わたしから引っ張りこんだのに、わたしが眠れなくなっちゃうのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 ゆるふわな子がむっつりなのがすごく好きです。

 気ぃ抜くとえっちに書いちゃう癖直したい。

あなたはどこまで耐えられますか?

  • ヴァレサの事故ハグ
  • ヴァレサの事故おっぱいプレス
  • 後ろからくっつかれながら耳元で囁かれる
  • ヴァレサの膝枕
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