悪役天才道術士の憤怒 破滅確定だった転生悪役、隠された才能で原作を蹂躙する   作:稲荷竜

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第240話 vs大友国崩

 その時、大友(おおとも)聖騎士団高塔監視役が声を挙げるよりも早く、大友国崩(えくす)は接近する神威(かむい)を感じ取っていた。

 

 その神威反応を感じ取った国崩の感想はこうである。

 

優雅(パワー)!!!」

 

 大友国崩は一瞬で察した。今、自分の国崩カリバーに耐え、それどころかすぐさま反撃のために迫って来る強大な神威反応──

 この人物とは大親友になれるに違いない。

 

 黄金の光が一粒、すさまじい速度で国崩に迫る。

 

「聖騎士団の皆様! 手出しは無用! このお方とは友情を育む(殴り合う)必要がございましてよ!」

 

腕力(ノブレス)! 腕力(ノブレス)! 腕力(ノブレス)! 腕力(ノブレス)!』

 

 聖騎士団が開けた道を、黄金の光──氷邑(ひむら)梅雪(ばいせつ)は真っ直ぐに進む。

 その進撃は『走っている』わけではなかった。飛んでいる。黄金の光を棚引かせながら、低空を飛んでいる。

 

 金髪金眼、黄金の鎧と剣を帯びた梅雪は、西洋風ロングソードと化した凍蛇(いてはば)を振りかぶりながら、叫ぶ。

 

国崩(えくす)ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

「おーっほっほっほっほ! さあ、ダンスパーティーの時間ですわァ~!!!」

 

 国崩は手にしていた聖剣をぽいっと投げ捨てると、拳を固めて構えた。

 梅雪は瞬時にその趣向を理解。自分も西洋剣と化した凍蛇を投げ捨て、拳を固めて接近。

 

 互いに、一撃。

 

 拳と拳がぶつかった。

 だが、音は完全に大質量の金属塊でもぶつけ合ったようなものだった。

 

 梅雪が浮かび上がったまま次なる拳を放つ。

 国崩も全身に黄金の魔力をたぎらせながら、前腕と上腕二頭筋を盛り上がらせながら拳を握り、思い切り放った。

 

 術理も何もない、ただただ腕力で拳を叩きつけるかのような殴り合いが始まった。

 

典雅(ノブレス)!」

「ひれ伏せェ!」

 

 殴り合い。

 殴り合い、殴り合い、殴り合い、殴り合い!

 

 互いの拳がぶちあたる。顔に、腹に、肩に、胸に、拳が当たる。

 すさまじい音が絶え間なく響き続けた。

 浮き上がったまま拳を振るう梅雪。拳をぶん回し、相手に当たった勢いで自然と浮き上がる国崩。

 

 二人は殴り合いながら高度を上げていく。聖騎士団の視線が二人の姿を追って上がり、その聖騎士団の開けた道を通って、梅雪の郎党(パーティ)も合流した。

 しかし誰も手を出さない。国崩と梅雪との殴り合いはすでに『空中』と呼べる場所で行われており、高すぎるのと速すぎるのと、拳の応酬が凄まじすぎるので、介入が不可能であった。

 

剛力(ノブレェス)!」

 

 国崩が思い切り拳をテイクバックする。

 梅雪も応じるように、大きく振りかぶる。

 

 そうして勢い任せで叩きつけると、二人が同時に吹き飛び、距離が開いた。

 

 ──その直後の行動は、互いに同じだった。

 

 宙で姿勢を制御した梅雪が、両手を鉤状に曲げるように合わせ、その中に黄金の光を──神威を集める。

 

 同じように国崩もまた、筋力で空気を蹴って宙で姿勢を制御すると、右手を開いたまま腰だめに構え、その掌に黄金の魔力を集め始める。

 

 大友国崩の最大の特徴。

 それは術式ではない。属性でさえない。

 彼女は莫大な神威量を誇る。だが、その神威量は梅雪ほどとは言えない。

 運用も良く言えば豪快で力強い。悪く言えば雑で大雑把だ。

 

 だがしかし、一点、素の梅雪より、神威運用において勝る点がある。

 

 大友国崩──

 

 一度に放てる神威量が、クサナギ大陸随一。

 その特性を活かした攻撃こそが国崩カリバー。莫大な神威を放てる限り一気に放つ、超・力任せの道術投射攻撃である。

 

 国崩の神威を神喰(かっくらい)した梅雪もまた、一度に放てる神威量が上がっている。

 

 絶大な神威量を誇る二者が。

 

 莫大な神威を込めた一撃を。

 

 同時に、相手に向けて放った。

 

「カリバアアアアアアアアアアアア!!!」

「落ちろ国崩ううううううううう!!!」

 

 国崩が濃すぎるため、その神威を神喰した梅雪は、ノリが国崩に近くなっている。

 普段であれば──『勝つための戦い』であれば決してしないであろう神威同士の正面衝突。

 

 二者の神威が互いの中間地点でぶつかり合い、せめぎ合う。

 互いの掌から放たれた黄金の神威が、梅雪側へ行き、国崩側へ押され、また梅雪側へ押し返される。

 

瀟洒(エレガント)ォ!」

「ぬうううううう…………!」

 

 互いに宙に立つようにしたまま、神威をせめぎ合わせ、

 

 二人が攻撃を辞めるよりも早く、神威の方が耐えきれず、二人の中間地点で爆ぜた。

 

 すさまじい風が巻き起こり、地上の者たちが吹き飛ばされていく。

 宙にいた梅雪と国崩もまた風に巻かれる木の葉のように飛ばされ、しかし、宙で回転して姿勢を制御。同時に着地し、再び視線を交わして、掌に神威を集め……

 

「そこまでにしてもらっても、いいだろうか」

 

 二者の間、一瞬後には黄金の神威が投射されるであろう場所に立つ者によって、(いさ)められた。

 

 その人物は、

 

「梅雪は我が子。そして、国崩嬢にはニニギの迷宮捜索の際に世話になった。……二人とも怪我をして欲しくはない。どうだろう、ここは、私に免じて、引き下がってはもらえないだろうか」

 

 氷邑銀雪(ぎんせつ)

 

 梅雪は逡巡する。

 だが、答えを出す前に……

 

「まぁ、銀雪様! ええ、わかりました! あなた様がそうおっしゃるのであれば!」

 

 国崩が戦闘態勢を解除してしまう。

 

 しかも、目をハートにして、素早く銀雪に近寄って、その手を取るという動作付きでだ。

 

 ……もう、戦う空気ではない。

 梅雪はため息をつき、掌に集めかけた神威を散らした。

 

 かくして九十九州緒戦、対大友家──

 第三者の介入により、引き分けとなった。

そろそろストック尽きるので、この章終わったら時間稼ぎにside掲載しようかどうしようか

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