悪役天才道術士の憤怒 破滅確定だった転生悪役、隠された才能で原作を蹂躙する   作:稲荷竜

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第242話 龍ゾン寺くまの九十九州ゾンビ化計画チャンネル

 魔界塔──

 

 いつでも黒雲に閉ざされ、ショッキングピンクの雷が落ち続ける不毛の地。

 そこにそびえたつ、ピンク色の肉の塔こそが魔界塔──魔界、すなわち触手の世界からクサナギ大陸に放たれた前線基地であり、魔界の者どもをクサナギ大陸に湧かせ続ける生産拠点でもある。

 

 その魔界塔のてっぺんで、輿に乗り、両手を腰に当てて胸を反らした姿勢で笑う者がいた。

 

「わはははははは! 触手ども~! こんぞうじ~! ぞんちゃんだぞー!」

 

 その者──

 つぎはぎだらけの全身にビキニとパーカーをまとい、青と灰色の肌を持った、ギザ歯の、サメの尻尾を生やしたゾンビである。

 龍ゾン寺(ドラゴンゾンビ・テンプル)くま(ベアー)

 大友にやられ消え去ったドラゴニックテンプル家の当主であり、魔界にうっかり落ちたあと、魔界の力を我が物にしてクサナギ大陸にカムバックした加工貿易ゾンビサメ肉系配信者である。

 

 龍ゾン寺が目の前の水晶に向けてしゃべると、水晶の前、龍ゾン寺から見て右から左へと、コメントが流れる。

 

【相変わらずアホっぽくて草】

【ぞんちゃん、こんぞうじ~】

【こんぞうじ~】

 

「触手ども相変わらず元気だな! 今日もじめじめした場所でぬちょぬちょしてる生命体がよ……」

 

【唐突な罵倒】

【ただの事実の羅列だぞ】

 

「ところでぞんちゃん思うんだけど、なんかさ……九十九州って勢力多くね?」

 

【そうだね】

【なんだよ九十九州って(困惑)】

【九十九の(くに)があるんだぞ】

【※実際には九十九とは限りません】

 

「ぞんちゃん、ゾンビになったせいで十より上数えらんないんだよねー。ってわけで、今回の企画はこちら! 『九十九州、九まで減らしてみた』」

 

【九十九州を九州にするってこと!?】

【少なすぎて違和感あるわ】

【数が多い方が馬鹿っぽくて好きです】

 

「触手ども応援ありがとー。そういうわけで、ぞんちゃんそろそろ大友とか滅ぼそうと思って、今回は特別ゲストを呼んであります! コラボだよ! このぞんちゃんが! すごくね!?」

 

【ぞんちゃんコミュ障だからな】

 

「うるせーやい。コミュ障じゃないもん。人見知りなだけだもん。ぞんちゃんかわいいから変な人とかかわるとさらわれちゃうから自衛だもん」

 

【確かにかわいいのは認める】

【持ち運びによさそうなサイズしてる】

【尻尾だけデカくていいよね】

 

「触手どもキモいんだけど」

 

【真顔で言うな】

【触手にだって傷つく心はあるんですよ】

 

「心無いことしか言わないのに? ……まあいいや。そーゆうわけでね、呼んじゃいます。特別に招聘した龍ゾン寺家待望の軍師! あとぞんちゃんの配信にアドバイスとかもしてもらう予定~。暗殺者(アサシン)P(プロデューサー)でーす」

 

【アサシンP!?】

【軍師なのにアサシン!?】

 

「あれ、アサP、どったの? 出て来ていいよ?」

 

 龍ゾン寺がきょろきょろとしていると……

 

 配信のための水晶の裏側の人物が、配信画面に手だけを出した。

 

 闇より黒い革手袋のはまった、手だった。

 

「申し訳ございませんが、顔出しはNGとさせていただきます。どうも魔界のみなさま。ご紹介にあずかりました暗殺者でございます。今後は龍ゾン寺家に仕えさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」

 

【意外とダンディな声してる】

【執事系?】

 

「目標は龍ゾン寺家の乗っ取りでございます」

「ちょっとぉ!? ぞんちゃんの家乗っ取ったらやだ!」

「ほっほっほ。失礼。いいリアクションをしていただけると、騙しがいがございますな。もちろん、冗談でございますよ」

「もーもーもー!」

 

【そのもーもー言うのをやめなさい】

【牛の真似するならもっと乳デカくしてもろて】

【お前はサメでゾンビだろ】

【サメならもーもー鳴くだろ】

【まあサメならええか】

【サメってなんだよ】

 

「さて大友家を落としたいとのことなので、戦略を発表させていただきたく存じます。題して、はいフリップ」

「ぞんちゃんがフリップを出すぞ!」

 

【アシスタントみたいにされてて草】

 

「読み上げて」

「これぞんちゃんの配信なのにな~。『九十九州三分の計』!」

「さてぞんちゃん様、九十九を三で割るといくつでしょう?」

「十より大きいことはわかるぞ!」

「そうでございますね。十より大きい。しかし、九十九よりは小さいのです」

「……そうか、つまり……十より大きいけど、九十九より小さい──ってこと!?」

「左様でございます。ぞんちゃん様は賢いお方であらせられますね」

「ぞんちゃん褒められたのか!?」

 

【転がされてるだけだぞ】

【哀れ】

【脳味噌半分腐ってるからシカタナイネ】

 

「私事にて恐縮ではありますが、故郷でも、わたくしは弱い存在でございました。わたくしの同種たちもまた、脆弱で、しかも、数は多くはあっても、その数でさえ、人間には劣っていたのでございます。……そうなると、人間だの、他人種の集団だのには、どうしても勝てない──それゆえに、相手を分割するという方法を取らざるを得ないのです」

「ほうほう」

 

【絶対わかってねーぞ】

【ぞんちゃんだからな】

 

「ですのでまずは、離間、扇動、混乱を駆使し、九十九州を小さく割りましょう。幸いにも龍ゾン寺家は精強。三十三州程度であれば、平らげることは可能でございましょう。……とはいえ、相手の質は選ばねばなりません」

「ほうほう。ホー!」

 

【わかんなすぎてフクロウになったった】

【サメとゾンビと大名だけでもわかんねーのにフクロウまで加えるな】

【ちなみに名前は『くま』なんだよな】

【ゾンビでサメでフクロウで熊ってこと!?】

【どういう生物?】

 

「ですので、『大友』『島津』、そしてもう一つ、聖地桜島の妖魔ども。これらを中心に戦乱を激化させ、それぞれのブロックで最も精強な家が周囲を平らげたところを狙い、出撃。疲弊した敵を刈るという戦略を提案いたします」

「ほー!」

「さらに具体的な戦略・戦術については、メンバー限定配信で発表予定でございますので、よろしければメンバーシップの登録をしていただければと」

 

【アサP、出来る男】

【えらいぞー(すでに登録済)】

【魔界の触手にはこれぐらいしか娯楽がない】

 

「一つだけ。大事なのは『信頼』でございます。信じさせること。心から仲間になること。そうすれば、裏切りがより輝く。……暗殺に必要なのは、『目標を狙って死なせること』であり、潜入・遠距離狙撃といった手段は必ずしも必要ではないのです。わたくしは戦術で暗殺を行います。それゆえに我が主人──元主人より、暗殺者というアイデンティティを賜りました。その手腕を、龍ゾン寺家のために発揮したく思いますので、わたくしの方も、どうぞ応援、よろしくお願いいたします」

「ほー!」

「ぞんちゃん様、締めのあいさつを」

「え!? もう終わりなの!? ぞんちゃん『ほー』しか言ってないんだけど!?」

 

【今日の話はぞんちゃんには難しかったね】

【大丈夫、かわいかったよ】

 

「触手どもが優しいとキモいな! えーっと、じゃあ、今日の配信はここまでってことで! みんなおつぞんじ~」

そろそろストック尽きるので、この章終わったら時間稼ぎにside掲載しようかどうしようか

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  • ストックある限り本編やる
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