「うう、ん……」
寝惚け眼を擦りながら、スマートフォンで時間を確認する少年。彼の名は
時間を確認し、いつも通りの起床時間であることに安堵し、画面ロックを解除した時だった。
「あれ? 何だろコレ?」
SNSや時計など、頻繁に使うアプリの中に見慣れない物があった。そのアイコンは全体的に黒く、ピンク色の線で目玉が、その中央にハートマークが描かれていた。そのアプリ名を見て太田は目を見開く。
「さ、催眠アプリ!?」
太田を始めとした数名が転生したこの世界は、所謂アダルト世界。女性の社会進出が多いと聞こえは良いが、倫理観や常識が何処か抜けてしまっている。生徒会長の調べによれば、この世界には対魔忍や魔法少女、パワードスーツパイロット等も存在しており、性別ごとの就職比率は女性が多い。彼女達が敗北後にどうなるかの予想は、簡単に出来てしまう世界である。
そんな女性(それもかなりの美女揃い)が多い世界において、圧倒的な力を手に入れられるであろうアプリを目にした太田。彼は笑みを浮かべて――
「えいっ」
迷いもなくアンインストールした。
「……ていう事があってさぁ」
「知らない間にアプリ入ってるとか、怖っ!」
「催眠アプリ手にしてまず疑うのは、ウイルスとか違法性だよねぇ」
太田の通う学校の屋上。壁に寄り掛かりながら駄弁るのは太田と、チャラ男こと
「てか、人のスマホに勝手にインストールするとか、お前何者かに目をつけられてるんじゃねえの?」
「それはない。……って言いたいけど、この世界はオカルト要素もあるからなぁ。勝手に目をつけられてそう。僕の見た目、小太り陰キャだし」
そう言ってため息をつく太田。その様子を見て金野は苦笑いした。
「(コイツ、見た目がアレなだけであって、こうして話してみると不快なタイプのデブとかじゃねえんだよなぁ。ダイエットして髪ももうちょい整えれば、モテそうな気がするぜ)」
そんな金野の内心をよそに、適当にスマホの電源をつけてロック画面を解除した太田。しかし、画面に映るアプリ一覧を見て顔をしかめる。
「……また入ってる、催眠アプリ」
「は? アンインストールしたんだよな?」
「勿論さ。……え、もしかしてコレ、無限湧きするとかじゃないよね? だとしたら粘着質にも程があるんだけど!?」
その後、何度アンインストールしても蘇る催眠アプリに、2人は悲鳴を上げるのだった。
知らないアプリが入ってたら、一番最初に来るのは「え、怖っ」だと思うのです。まぁあまりマジレスしてしまうと、アダルト漫画とかの話は成り立たなくなりますから……。