竿役たちは転生世界で不運を嘆く   作:G大佐

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今回で催眠アプリ編は終わりです。戦闘描写は、超が付くほど呆気ないです。この小説はあくまで「転生者の日常」がメインで、戦闘メインではありませんのでね。


催眠アプリ(3)

「え、あ、え、嘘ぉ!?」

 

「そんなに驚く事無いと思うんだけど……」

 

「いやいやビビるだろ!? 何でお前俺から生命力吸われて死んでないんだよ!?」

 

そんな事、僕が知るか!

 

 淫魔から生命力を吸われたはずの転生者、太田。小太りだった彼は大きく見た目が変わっていた。

 伸びていた前髪の隙間からは、クリクリという言葉が似合うほど綺麗な瞳が見える。顔の輪郭も童顔寄りだ。可愛い系男子と言われても違和感が無い。その変貌に、対魔忍の百花だけでなく淫魔すら驚愕していた。

 

「あーもう。制服ダボダボ……」

 

 小太り故に暑がりで、制服のシャツのボタンはそれなりに開けるタイプだった太田。その為胸元が全開である。そんな彼が痩せた今、その絵面はかなり艶やかであった。

 前述したように、今の彼は「目隠れ可愛い系男子」。やや幼気で中性的な彼が、今はシャツの胸元が全開である。

 

「お、太田くん! ボタン閉めて! 見えちゃう、見えちゃうから!」

 

「え?」

 

「(嘘でしょ!? 太田君って痩せたらこんなに可愛いの!?)」

 

 なんの事か分からないと首を傾げる太田に、思わず赤面する百花。

 

「テメェら無視すんな!」

 

 あまりにも緩んだ空気に、声を荒げる淫魔。その声に百花はハッとして淫魔に向き直る。

 

「忘れていたわ……!」

 

「そりゃあんな光景に出くわせばな!」

 

 掌に魔法陣が展開される。だがその陣は大きく、百花と太田を消し去るには十分だった。それも太田からエネルギーを吸い取った影響だろう。

 

「俺をおちょくりやがって……! 犯すこと無く消し飛ばしてやるよ!」

 

 その瞬間、淫魔の身体に変化か起きた。

 

「なっ、何だ!? 身体が重い!」

 

 淫魔の身体が見る見る横に広がっていく。腹が飛び出し、指も太くなっていく。整っていた筈の顔面も、漫画にあるような肥満キャラのように変貌していった。

 

「なっ、何だと!? どんどん太っていく!?」

 

「……もしかして、僕の生命力というか、カロリーを吸い取ったから太ってる?」

 

「要するにチャンスってことね!」

 

 自分が痩せた代わりに相手が太った事から推測する太田。百花は訳の分からない展開に若干ヤケになりながらも刀を構える。

 

「ひいい!?」

 

「天誅!」

 

「ぎゃあああぁぁぁ!?」

 

 そのまま淫魔の首は刎ねられた。断面から勢い良く血が噴出する。

 

「退魔完了!」

 

 改めて太田の無事を確認する百花。だが、助けられた側は顔色が悪く口を押さえていた。

 

「えっと、助けてくれてありがとう。本当に助か……あ、駄目だコレ」

 

「待って、嘘でしょ!? ここ一般道……!」

 

 

 

「オロロロロロロロロ!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 生で見た相手の死体に、太田は嘔吐した。少女の悲鳴が夕焼けの空に響いた。

 こうして、太田のスマホから催眠アプリは消え去った。だが彼が知らない事がある。

 

 この世界は、アダルト世界である。しかしそれは、性に関することだけではない。

 

 

 人体欠損・廃人化・性のない暴力のみの拷問なども存在する、所謂エログロな世界なのである。

 

 

 今回太田を救った、不知火百花。彼女の『本来の運命』は悍ましい。先ほどの淫魔に敗北し、スタイリッシュな肉体を買われて淫魔の世界に拉致される。その後は徹底的に凌辱され、最終的には廃人化する運命だったのである。

 

 知らず知らずのうちに、一人の少女を太田は『本来の運命』から救っていたのだった。




不定期更新ではありますが、次回は4人の転生者のうち、ガテン系教師編を予定しています。
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