2年Fクラス教室内
チャイムがなり、暫くすると白髪混じりの初老の男性の先生が教室に入って来て黒板に自分の名前を書こうとしたが辞めてこちらを向いた。
僕が始末した黒い屍の山に先生は気にもせず、何事も無いようにクラスの設備の確認を始めた。
「皆さん、卓袱台、座布団など行き渡ってますね、何か不備が有れば申し出て下さい」
「先生~、座布団に棉が入って無いんですけど?」
「我慢して下さい」
ヒュゥゥゥ~
「先生、隙間風が寒いんですけど?」
「我慢して下さい」
ベキッガシャッ
「先生、卓袱台の足が折れたんですけど?」
「我慢して下さい」
「無理だっつの!!」
「ハハハ、冗談ですよ。後で木工用ボンドを支給しますので自分で直しといて下さい」
僕が設備の不備を申告すると先生のまさかの『我慢して下さい』の三連発……流石は最低クラス、設備も最低なら対応も最低だね…。
「皆さん、揃いましたね。私がこのクラスの担任の福原慎です。これからよろしく…」
バキバキ、ガラガラ
福原先生が自己紹介していると教壇が音をたてて崩れた。
「……工具を取って来ますので、皆さんは自己紹介をしていて下さい…」
福原先生はそう告げると教室から出ていってしまった。
「先生が出ていっちゃたし…そしたら外側の窓際の人から自己紹介をしていって貰いましょうか」
福原先生が教室から出て行くのを確認した優子ちゃんが代わりに自己紹介を促した。
流石は優等生な優子ちゃんだね、代表は雄二何だけど…直ぐに纏め役をかって出てるよ。
そんなこんなで自己紹介は進んで行く…
「…土屋康太、明久に危害を加える事があれば…アキちゃんの写真は売らないからそのつもりで……」
「「「吉井は異端者なのに何故だぁぁぁぁ~~!」」」
当たり前の様にFクラス男子から悲鳴にも似た奇声が上がる。
うん…何で僕は異端者何だろう……?
「…アキちゃんは明久だ…モデルに危害を及ぼす者に何故、売らなきゃならん……」
そう、吉井明久ことアキちゃん…僕の女装した写真は彼の経営するムッツリ商会では鶫姉さんや秀吉、翔子ちゃんと優子ちゃんに次ぐ人気商品らしい…
僕は皆が喜んでくれるならと言う事で僕の写真の売上の1割と僕に内緒では撮らない事を条件に時々、協力している。
「…分かったのなら…明久に危害を加えるな」
「「「「イエス、マイロード」」」」
うん、流石はFFF団…自分の欲望には忠実だね。
FFF団の会長を務めている須川君とは同じクラスだったけど……
クラス男子全員(雄二とムッツリーニ以外)がFFF団って…明日から僕の命は大丈夫かな………?
そんな事を考えていると次はポニーテールに黄色いリボンと無い…がトレードマークの女の子の自己紹介に入っていた。
「ウチの名前は島田美波。去年に転校してきたドイツからの帰国子女です。趣味は………」
「吉井明久を殴る事です☆」
何…いきなり危険な趣味を発言して…
彼女は島田美波、去年の同じクラスで初めの時は日本語が上手く話せずに他の人に不快を与える発言をしていてクラスから孤立していた所に僕が助けに入って友達になったまでは良かったんだけど…
それを機に何故か度々、お仕置きと言う名の暴力を振るわれる様になってしまったけど…多分、僕になにかしらの原因があるのだろうから仕方ないよね…
その発言に優子ちゃんが凄い殺気を出していたけど僕が宥めて落ち着かせた。
次は優子ちゃんか…
「アタシは木下優子。Aクラスにアタシの
「「「「バカなぁぁぁぁ~~!!」」」」
バカな男共の悲鳴が木霊する……
「でも姉は秀吉を男とは言ったが女では無いとは言っていない!」
「どういう事だ…!?」
「つまりはどちらにも属さない第三の性別、秀吉って事だ!」
「「「「おおぉぉぉ~~!!」」」」
「それなら何も問題はない!」
「秀吉は秀吉、恋愛も自由だ!!」
「お前、頭いいな!!」
バカ、悪いよ…地球の生物学上には性別は二つ、男の子と女の子しか存在しないからね。
優子ちゃんも余りにもバカな発言に頭を抱えて溜め息を吐いてるし…
「まあ…兎も角、よろしく頼むわ。それと明久君やアタシの友人達に手を出したら他の女の子にFクラスの男子は危険だから付き合わない方が良いと言っておくからそのつもりで!!」
そう言って優子ちゃんは自分の席に座った。
次は僕の番だね。
「僕は吉井明久。趣味は……「総員構え!!」って…何でさ!皆して物騒な得物を構えて…」
「黙れ!貴様の存在がどれだけ我々に疎ましい物か女子からモテモテのお前には我々の気持ちが分かるまい!!」
「まあ…まて明久をここで殺ればお前達は全ての女子を敵に回す事になるぞ」
先程までボロボロになっていた雄二が復活して止めてくれた。
「…お前達はムッツリ商会のブラックリストに入れておく…今後はアキちゃんだけでは無く秀吉の写真も含めて全部、売らない」
「さっきの忠告を無視したから女子全員に付き合わない様に言っときましょう…」
ムッツリーニと優子ちゃんも応戦した結果……
「「「「「何故だぁぁぁぁ~~!」」」」
君達が忠告を無視したからだと思うよ。
「…とまあ以上です」
これ以上、自己紹介をしていると身の危険がするので僕は早々に自己紹介を切り上げる事にした。
「あの、遅れて、すいま、せん……」
「「「「えっ?」」」」
僕の自己紹介が終わると一人の女の子が教室へ入ってきた。
そして誰からというわけでもなく、教室全体から驚いたような声が上がる。一方、僕の頭から?マークを浮かべていた。
「保健室に行っていたら遅れちゃいました…」
「丁度良かった、姫路。今は先生が工具を取りに行って不在で自己紹介中だ。お前からも頼むわ」
雄二が入って来た女の子に声を掛ける。
「姫路瑞希です。よろしくお願いします!」
「はいっ!質問です。」
すでに自己紹介を終えた男子生徒の一人が高々と手を挙げる。
「あ、は、はいっ!なんですか?」
登校するなり、質問がいきなり自分に向けられて驚く姫路さん。
「なんでここにいるんですか?」
僕も驚いているけど、いくらなんでもその聞き方は酷いんじゃ無いかな…。人によっては歓迎されていないとか思っちゃうよそれ……。
「そ、その・・・振り分け試験の時、熱を出してしまって・・・」
その言葉を聞き、クラスの面々は『ああ、なるほど』と頷いていたけどみたいだけど。
試験途中での退席は0点扱いとなるので僕や優子ちゃんと同じく彼女も振り分け試験を最後まで受けることが出来ずにFクラスに来てしまったらしい。
そんな瑞希ちゃんの話を聞き、クラスの中でもちらほらと言い訳の声が上がる。
「そういえば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに」
「ああ。化学だろ?あれは難しかったよな」
「俺は弟が事故にあったと聞いて実力を出し切れなくて」
「黙れ一人っ子」
「実は前日の晩、彼女が寝かせてくれなくて」
「今年一番の大嘘を有難う」
これは想像以上にバカだらけだね。
瑞希ちゃんまでこのクラスか…正直、彼女の事も余り好きでは無いけど…
身体が元々弱いからこのクラス環境じゃ少し心配だね…
僕はそう考えていると1つの可能性を思い付いた。
「雄二、ちょっと話をしたいんだけど…」
「何だ?」
「ちょっと…ここじゃあね…」
「じゃ、廊下に出るか…」
「うん」
そう言って僕と雄二は廊下に出た。
2年Fクラス廊下前
「話ってのは試召喚戦争の事だろう?」
「うん、努力して来た優子ちゃんや身体の弱い瑞希ちゃんまでこのクラスで過ごさせる訳には行かないからね…」
「でもどうする?姫路は兎も角、優子の奴は納得しないだろう。アイツはAクラスに入る為に努力を続けて来た。それだからこそ、Aクラス連中の努力を知っているのにAクラスの連中を引き摺り降ろす様な真似には協力してくれるとは思えないが……」
「大丈夫、
(ほう…明久の奴、ちゃんと考えているんだな…なら俺は…)
僕がそう言うと雄二は何か考えていたみたいだけど直ぐに僕の提案を了承してくれた。
「分かった…元よりそのつもりだったしな。ババァの交渉と優子の説得はお前に任せた。後は俺に任せとけ!」
「ありがとう、雄二」
「おや、坂本君に吉井君。まだHR中ですから教室へ戻って下さい」
先生が戻って来たので僕と雄二は戦争の引き金を引く為に教室へ戻る事にした。
バカテスト
第5問
試験召喚戦争で敗北したクラスは設備の低下と3ヶ月の○○の義務を負わなくてはならない。
吉井明久の答え
「宣戦布告の禁止」
教師のコメント
正解です、これには敗戦クラスの報復行為により戦争の泥沼化を防ぐ措置として義務付けられています。
坂本雄二の答え
「和平締結なら必要ない」
教師のコメント
確かに勝利をしたクラスと敗戦したクラスの代表同士が同意すれば和平が成立し設備の低下や宣戦布告の禁止も免除されますが問題の答えでは無いので不正解です。
須川亮、横溝浩二の答え
「異端者の処刑」
教師のコメント
貴方達には西村先生の特別補習の刑に処するとしましょう。
島田美波、姫路瑞希の答え
「他の女の子と仲良くするアキ(明久君)の処刑」
教師のコメント
貴女達もですか……
次回
「僕と引かれた戦争の引き金」
ここ、テストに出ます。