ヒーローの味方の科学者をやってるんだが、実験が楽しくてたまらない 作:刹那木ヤクモ
昇華変身による作用は創真くんに殺されて一度リセットされたとは言え、今後も変身を頻繁に行うと俺自身が成ってしまう可能性もある。ま、俺の計画ではあと1回で済むんだが。フール頼りだった今までの計画は練り直す必要が出てきた。創真くんに渡すのも一苦労だし。と、言うわけで。
「起きていいよ」
「……起動しました。マスター、ご指示を」
作ったのは、《エクストラ》。番外の名をつけたコレは俺の持てる技術の粋を尽くしたものだ。《デビル》による代償強化、《タワー》による加速能力、《シフトマグナムTypeフォーチュン》によるこれまた反動があるが強力な変身システム。それらを《テンパランス》による無限エネルギー供給と天使の肉体によりほぼデメリットなしで成り立たせる。創真くんに施すための技術だったのだが、肝心の俺が彼に殺されてしまったので直接の受け渡しは不可能。よってコイツにありったけを詰め込んで、撃破してもらって協力しているであろう警察に技術を回収してもらうのが目的だ。必然的に警察勢力へと流出してしまうが、薬品を解析して分かった彼らの技術では精々復元が限界だろう。そうそう、警官が所持していた薬品は天使化を抑える薬だった。やっぱり父さんのデータを持っていたようだ。
人類進化の時は近い。父さんの力を借りずとも、俺がこの手で永遠に終わらない楽園を作り出してみせるさ。
◆◆◆◆
「右手が熱い……天使が、出現した」
「やはり、その右手には不思議な力が宿っていると」
信は置かずとも、警視庁に身を寄せながら戦って早2ヶ月。俺とバディを組んでくれている《
「行きますか、神薙さん」
「はい、急ぎましょう! 」
『ユニット スタンバイ』
『ジャスティス・フール』
弾さんがスキャン機能をなくしたシフターの様な変身端末を腰に当てると同時に、俺も右手を掲げる。
「チェンジ! 」
『イカロス コンバットモード』
「変身! 」
『ゴービヨンド フール』
「行きましょう、こっちです! 」
閑散とした町を急ぐ。飛ぶ弾さんに、走る俺。このスピードならばすぐだ。今のうちにアルカナセイバーを呼び出しておき、戦闘に備える。
「来たね、早かったじゃん。……ああそういう事。父さんは創真くんを選んだわけだ」
「先、生? 」
そんな筈はない。だって先生は俺が殺してしまったから、いる筈はないんだ。
「……父さんは君を選んだ。俺の計画は破綻したわけだ。けど、俺としては少しでも多くの人間を天使に昇華させてあげたいわけ。だから、創真くんが主導で、父さんのアセンションプロジェクトを進めて欲しいな、って。今日はその交渉をしに来たんだ」
「……交渉だと? 今さらふざけるな! 大量殺人犯、
大量殺人犯だって? 弾さんは俺の知らない情報を持っているのか。後で問いただす必要がある。けど、それよりも目の前にいる先生に対応しなければ。アセンションプロジェクトって、とか、何で生きているのか、とか、聞きたいことはたくさんあるが、それらが詰まって出てこない。でも──
「誰か知らないけど、君には用はないよ。で、どうする創真くん。 俺の提案に乗ってくれる? 」
「──いや、です」
「……ほほう? 中身を聞いてもないのに? 」
「はい。俺が信じるのは俺だけだって、そう決めましたから」
「いーじゃん、交渉決裂だ」
『ウェイクアップ シフトマグナム』
やけに上機嫌に言う先生。懐から銃を取り出し、それを手のひらに打ち付けながらこちらに近づいてくる。
「じゃ、俺の楽園計画を意地でも通させてもらうよ。フールも取り返す。……俺の考察が合っていたかどうか、その答え合わせもしたいからね」
『スキャン デス』
「……最後の、変身だ」