ヒーローの味方の科学者をやってるんだが、実験が楽しくてたまらない 作:刹那木ヤクモ
「先生! 」
天使を葬ってから、数日。いつものように携帯食料を貪りながら研究結果をまとめていると、創真くんが駆け込んできた。至急かな?
「おーどうした、なんかあったの? 」
「……ここ最近、ほのかが見当たらないんです。いつもの公園にも居なくて……」
十中八九、ほのかというのは彼女だろう。……疑念の種を撒かれたか。うーん、どうしたもんかな。創真くんは俺の計画に必要な人材だ。代わりを探してもいいが、ここは──
「ああ、彼女のこと? なら俺が探しとくよ。創真くんは天使狩りに専念して」
「本当ですか!? ありがとうございます! 」
「あと、これ」
創真くんにケースを渡す。最初は困惑していたが、開けるとその表情はみるみる歓喜に染まっていった。
「これって! 」
「そう、《チャリオット》。創真くんには合わないかもしれないけど、出力自体は上がってるから。それ、使ってみてよ」
「分かりました。ありがとうございます! ……なんだ、ちゃんと見てくれてるじゃないか」
最後の方は聞き取れなかったが、どうやら満足してくれたようだ。ま、過去の欠陥品を渡してるんだがね。
チャリオット。計画に必要な昇華要素が含まれていない、俺の7番目の作品。副作用は、騙されやすくなること。疑うと言う思考が鈍化していくように作ったからだ。こうでもしないと7代目は言うことを聞いてくれなかったのだから、仕方がない。シフターには毒素を少し濾過する機能も付いているので、それで何とかなるかな、と言ったところ。創真くんに言った通り、出力を上げる機構はきちんとついているので、天使狩りはよりやりやすくはなると思うのだが。
「じゃあ、俺は今日も見回りに行ってきます! ほのかのこと、頼みましたよ! 」
「俺も今日はここ空けるつもりでいるから、事後報告また別日でいいよー。」
分かりました、と言いながら階段を駆け下りる彼を見送りながら、思考を巡らせる。
彼女、ほのかと言ったか。どう言う設定で行こうか悩ましい。天使に殺された? それは死体が残らないから確認できない。却下。じゃあ事故で──警察に対して動かなきゃいけない。これも却下。生きていたが会話ができない──これで行こう。あの時に得た血液サンプルがある。これで意思疎通ができないクローンを作って、天使に襲撃させて消そう。
決まりだ。なら早速取り掛かるか。
シフトマグナムを懐に忍ばせ、仮住まいを後にした。
◆◆◆◆
──あの人は信用しないほうがいいよ
ほのかが言った言葉が胸の中で反響している。俺と先生が助けたあの少女は、何を知っていた? それが俺も知らない先生の一面だとしたら、俺はそれでも先生を信用するべきなのか?
「だ、誰か──! 」
その思考は聞こえてきた悲鳴で打ち消される。とにかく今は助けることに集中しなくては。ここ最近は天使も強力な個体が増えてきた。手を焼くことも多いが、それでも負けるわけにはいかない。
俺の手で、天使を殺して誰かを救うんだ。
『スキャン チャリオット』