ヒーローの味方の科学者をやってるんだが、実験が楽しくてたまらない 作:刹那木ヤクモ
「……そちらの装備、現在活動中の識別コード《ジャスティス》とは違いますね。新たな戦士でしょうか? 」
俺を取り囲む3人の内、最も階級が高いと思われる、頭部に角を生やした1人がこちらに話しかけてきた。本当に、本当に面倒なことになった。どうしたものかな。
「しかし、先ほどは民間人に発砲していたようですね……変身を解いて、署までご同行していただいてもよろしいですか? 」
「あー……どうしたもんかね」
「つべこべ言わず投降しろ! お前が1人殺したのは見ているんだぞ! 」
背後に立っていた1人が銃口を向けてくる。巡回中に見つかったか、創真くん付近を見張っていたか、もしくは俺を? ま、こうなると仕方がない。始末してもらおう。
指を鳴らす。すると、
「ぐあっ!? 」
「き、さまぁ! 」
「……不覚」
「失敬。背後がお留守でしたよ? 」
「……緊急コード送信。接続──」
「おっと、それはNG」
3体の天使がそれぞれ槍を頭部に突き刺す。完全に昇華したね。身体が消滅し、装備だけが辺りに転がっている。マシンガンと、変身装置と思われるもの、それと注射器に入った薬品。解析したいのは山々なんだけど、多分位置信号を送るように設計されてるとみた。なら、薬品以外は破壊だけして去るとしよう。
シフトマグナムで難なく破壊。薬品にはさすがに仕込まれてなさそうだからこれだけは回収させてもらう。
「あ、君たちは帰っていいよ。お疲れさん」
再度指を鳴らす。天使は世界の内界へと帰り、俺だけが残される。創真くんは──居なくなってるな。さて、どんな口八丁で誤魔化したものかな。
◆◆◆◆
実験室に一瞬寄ってから仮住まいに戻る。中に人の気配は──しないな、創真くん、まだ帰ってきてないのか。ドアノブに手をかけた時、背後から音がする。
「あんたの、せいだ」
『ジャスティス・スラッシュ』
「──ッ!? 」
背後から、俺の心臓を穿った剣先が視界に入る。
ずるりと引き抜かれ、もう一度、腹をぶち抜かれる。
「……あんたが、ほのかを……俺以外の人間を、利用して……! 」
再度引き抜かれ、蹴り飛ばされる。地面に伏し、血を吹く。傷口から流れた血と、吹き出すように出る汗で白衣がぬれていく。
騙されやすい。それすなわち、信じやすいということ。あのクローンの話を、いとも簡単に信じた──因果応報。ってやつか。
「………さようなら、先生」
変身を解除し去っていく創真くん。倒れ伏した俺は1人、ほくそ笑む。
「……生みの親として、誇らしいよ」
そして、ありがとう。君のその恩師を手に掛ける無情さが、計画に必要だったんだ。