ようこそ幼馴染の教室へ   作:ひなぎ

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#12 傍観者と偽善者

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――― 綾雪志朗 ―――

 

「あ、」

 

「雪、どうした?」

 

 洋介と恵が来て、5人で晩御飯を食べた。いつもの3人もいいが、たまにはこういうのもいいよな。2人とも皿洗いや片づけを手伝ってくれたりしたので、いつもより時間が余ってありがたい限りだ。

 

 5人でしばらく駄弁ったりゲームしたりして、洋介と恵が帰るのを見送って、清隆と2人でテレビ番組を見ていると、ふと台所で雪が声を上げた。

 

「いやさ、明日の弁当にポテトサラダ入れようと思って、作ってたんだけど玉ねぎなかったんだよね。」

 

「たまねぎ?買い忘れたか?」

 

「多分、今何時だっけ?」

 

 ふと時計を見ると21時を少し回ったぐらい、はっきり言ってもう部屋に戻るのは億劫なので泊まってしまいたい、そんなことを思っていたが、どうやら雪も同じことを考えていたらしい。

 

「買いに行くか?」

 

「いや、だるいから大丈夫かな、今日は2人ともつかれてるんじゃない?」

 

「う~ん、まあそういうわけでもないけど。まあ玉ねぎがなくても別にいいか。」

 

 あっけらかんとした感じの雪を見て、俺と清隆も買いに行く必要はないな、と結論付ける。まあ、必要になれば明日買いに行けばいいだけの話である。

 

「にんじんとジャガイモだけになるけどいいのか?」

 

 にんじんが嫌いな雪に、そんなことを聞いてみるが、意外と本人は気にしていない様子、とうとう好き嫌いがなくなったんだろうか?そんな俺の期待はすぐに打ち崩される。

 

「ポテトサラダならにんじんは大丈夫だからおっけー!」

 

「なんだその謎理論……」

 

 この偏食家が。ため息をつく俺たち2人を横目に、雪は電子レンジで温めたジャガイモを取り出す。「あっつ!あっつ!」と言いながら包み紙を破いているが、もう日常の光景みたいなものなので気にも留めていない。

 

「そういえば清隆、聞きたいことあるんだが。」

 

「……なんだ?」

 

 テレビをじーっと見ている清隆が一瞬こっちに目配せする。ソファーでだらーんとしている珍しい光景である。目がとろんとしていて雪はよくかわいいと言っている。

 

「堀北さんのこと、どうするつもりだ?」

 

「Sシステムが発表されてから、面と向かって話した記憶はないからな、まあ、なるようになる。」

 

「……そうか。」

 

 この感じはノータッチでいく、といった感じか。無関心だなあと思いつつ先の洋介と恵の話を思い出せば、堀北さんはクラスで嫌われているようなので、波風立たせずに過ごすのなら無関係の方がいい、といったところか。

 

 こういう面倒ごとに首を突っ込めるような人間になってほしい、とは思っているが、それは言い過ぎというものだろう。間違った道に進むようなら2人で止めて、必要なら助ける、それぐらいでいいだろう。時間も時間なので、今日は3人で清隆の部屋に泊まるということになった。今日どころか結構な頻度泊まってる気がするが、まあ、そういうのも悪くないよな?

 

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――― 椿雪 ―――

 

 洋介くんや恵ちゃんと晩ごはんを食べてから1週間ほど経って、5月15日金曜日。放課後、私たちは図書室でCクラスのメンバーと勉強会を開いていた。勉強会に参加したいという生徒は思いのほか多く、嬉しい悲鳴が上がったけど、あいにく講師の頭数が圧倒的に足りない。

 

 ひよりちゃん、悟くん、私の3人で10人程度のメンバーを教えることになり、1人3~4人の受け持ちだ。実力主義の学校とか言っといて身体能力重視のメンバーがCクラスに固まってるのはなぜだろう、来年2年生に上がるときには、平均60~70点を安定してとれるようにしておきたいが、高望みすぎるかな?

 

「なあ椿、ここはどう解くんだ?」

 

「ああ、石崎くん、そこはね?こうやって、」

 

「ねえ雪ちゃん、ここの化学式わからないんだけど。」

 

「あ、美野里ちゃん、そこ酸化反応書いてないよ」

 

 美野里ちゃんや石崎くんなど、口々に質問してくるので、わかるように言葉を一生懸命かみ砕いて教える。赤点ギリギリでピンチって程の点数ではないので理解力が最低限あって助かる。

 

 木下美野里、陸上部で肌が良い感じに焼けたスポーティーな少女だ、かわいいし性格もいい、文句なしの子だ。小テストの結果はよくもなく悪くもなく、といったところ。文武両道を目指しているらしいので素直に頑張ってほしい。

 

 石崎大地、目つきは1か月前よりだいぶ優しくなった体格のいいヤンキーくんだ。龍園くんにボコられて角が削れたのか、今はクラスメイトにも結構優しいし好かれている。けど勉強は得意ではないしなんなら小テストで最下位だったのでこの子が一番やばかったりする。

 

「あの雪さん、こちらの西野さんや時任くんが結構解けるようになってきたので、雪さんが作ったプリントを渡して解かせようと思うのですがどうですか?」

 

「あ、ひよりちゃん。時任くんや武子ちゃんは具体的にどんな感じなの?」

 

「そうですね……今回平均80は狙えるんじゃないでしょうか。」

 

 澄ました顔でとんでもないことを言うひよりちゃん、かっこいい。時任くんや武子ちゃんの方に目線を向けると、ぐったりとした感じになっている。「何かやったの?」と思って訝しげな目線でひよりちゃんを見るけど、「私何もやってませんよ?」って感じの人畜無害な笑顔だった。眩しい。

 

 もしかして無自覚ドSなのかな、この子天然だからそういうことしでかしそうだよな、また武子ちゃんや時任くんの方に目線を向ければ2人とも目線で「たすけて」とSOSを出している。仕方ない、一肌脱ごう。

 

「そっか、じゃあプリントは明日でいいと思うな、もう1時間以上たってるしね、ひよりちゃんは別で私の作ったプリントを解いてもらおうかな?」

 

「雪さんの問題……ですか?」

 

 「うん」と言ってひよりちゃんに私の作ったプリントを渡す。まあはっきり言ってこの前堀北会長から買った過去問を少し変えて難化させただけだ。ちなみに時任くんたちに渡す予定だったのは軟化させたやつである。

 

 「ぐぬぬ」と唸りながら問題用紙と睨めっこを始めるひよりちゃんを横目に時任くんと武子ちゃんを見れば助かったとばかりに胸を撫でおろしてホッと息をついていた。一体どんな勉強会してたんだろう?

 

 私もちょっと休憩するかと思って腕を伸ばして一息ついていると、わいわいがやがやとした声が耳に入った。

 

ひよりちゃんなわけないよなと思って、逆方向に目を向けると、悟くんに教えてもらっていた山脇くんが隣のDクラスの子と言い合いになっていた。

 

「あ……?お前ら、ひょっとしてDクラスか?」

 

「なんだお前ら、俺たちがDクラスだからなんだってんだよ。」

 

 お、須藤くんだ。どうやら言い合いになっていたのは須藤くんだったらしい。確かにちょっと騒いでるなあと思ったから、山脇くんが怒るのも無理ないかも?そんなことを考えてると、山脇くんの次の言葉に驚かされることになる。

 

「ただなんつーか、この学校が実力でクラス分けしてくれてよかったぜ。お前らみたいな底辺と一緒に勉強させられたらたまったもんじゃないからね。」

 

 にやにやと周りを見渡しながらそんな言葉を述べる山脇くん、底辺か、底辺……ねえ。

 

 清隆はもちろんだけど、須藤くんとか堀北さんとかを馬鹿にされるのは嫌だなあ……そんなことを考えていると、須藤くんのほかのDクラスのメンバーの中に清隆と櫛田さん?が見えた。どうやら須藤くんたちを教えているのは清隆と櫛田さんらしい。

 

 櫛田さん、洋介くんや恵ちゃんが言ってたまんまの子だなあと思ってたら須藤くんが山脇くんの言葉に感化されて吠える。だが基本的に私語禁止の図書館では少しの騒音でも目立つわけで、こんな大声だと目立ってしまうのは想像に難くなかった。

 

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――― 堀北鈴音 ―――

 

 須藤くんたちが帰っていった勉強会の日の夜、私は兄さんにこっぴどく痛めつけられた。

 

そのまま週明けに頭や腕など要所要所に包帯を巻いて登校したことでクラスはざわついたけど関係ない話。

 

 綾小路くんとひさしぶりに会話すると、勉強会の話になった。失敗したのかと言われて、悔しくて何か言い返そうとしたけど、言い返す言葉もなくて黙るしかなかった。

 

 私が悪いのだろうか、あの人たちに勉強を教えて赤点を回避しても、またいつか窮地に追い込まれる。それの繰り返しでやがて躓く、実に無意味で無毛なことだと思うし、余計なことだと痛感した。

 

 ついていけないほうが悪い、相性が良くない、時間を割くだけ無駄、と綾小路くんに言い返したが悉く言い訳だと返された。挙句には櫛田さんに「須藤くんたちは私と綾小路くんで面倒を見る。」そんな感じのことを言われ、私は何も言えなくなってしまった。

 

 図書館の本の返却日が今日だったので図書館に寄ると、ちょうど綾小路くんや櫛田さんが須藤くんたちに勉強を教えていた。ほかに松下さんや平田くんもいる。

 

 隣にCクラスの椿さんの姿も見えて、彼女も勉強会を開いていて、Cクラスの人たちに勉強を教えている。奥にBクラスの姿も見えるわね。

 

 Dクラスといえば、綾小路くんと櫛田さんが池くんや山内くんが問題を解くたびに褒めたりしていて、それに喜ぶ彼らが騒ぎ立てていた。

 

 まったくもって五月蠅いし、耳障りでしかない。1回助けたところで何になるのか。

 

 しばらくして様子を見ると、Cクラスの人が須藤くんを挑発するような物言いをした。

 

 ヒートアップするCクラスの生徒と須藤くん、ほら、余計なことをしでかしたじゃない。

 

 だが、次の瞬間図書館の雰囲気は変わることになる。

 

「今度のテスト、赤点取ったら退学って話は知ってるだろ?お前らから何人退学者が出るか楽しみd」

 

「山脇くん」

 

「あ、椿?困るよな、まったくDクラスのくせに」

 

「黙って」

 

「え?」

 

「聞こえなかった山脇くん、黙ってって言ったんだよ?」

 

 この前コンビニで話したときでは考えられない低い声を出す椿さん、それに山脇くんと言われたCクラスの生徒は怯えている。

 

「私の幼馴染もDクラスなんだけどね、私の大切な人なの、山脇くんは私の幼馴染を底辺だって言うのかな?」

 

「だ、だってA~Cクラスと違ってポイントがないじゃねえか。」

 

「少なくとも山脇くんはDクラスを馬鹿にできる成績だったかな?私の幼馴染は君より断然点数が高いんだけど。」

 

「す、すまん、そんなつもりじゃ。」

 

 そういえば椿さんは小テストの点数が100点だったわね。綾雪くんもそうだったし綾小路くんも95点と高かった。

 

「あと、君が言いあってた須藤くんも私の大切な友達だよ。山脇くんも下を見て満足する暇があったら上を見て努力しないとダメだよ。」

 

「おう……わかった、あの、すまんかった。」

 

「お、おおう、俺らも騒ぎすぎたしな、すまん。」

 

「あ、あのさ金田、ここの問題分からないから教えてくれないか?」

 

 諭された山脇くんと須藤くんはお互いに謝って、金田くんと言われた男子生徒と綾小路くんのもとへそれぞれ戻っていく。

 

『下を見て満足する暇があったら上を見て努力しないとダメだよ。』

 

 なぜか、この言葉が重くのしかかる。私は結果を出しているはず、だから須藤くんたちよりいくぶんまし、下を切り捨てることの何が悪いの?下を助けるなんて余計なことでしかない、わからない。

 

「須藤くん、ごめんね。清隆も騒いじゃってごめん。」

 

「ああ、椿助かったぜ、俺もすまなかった。」

 

「悪い雪、オレじゃどうにもなりそうになかったから助かった」

 

「いいよ、清隆にはいつも助けられてるしね。」

 

 考えてもわからないことだらけ、綾小路くんの方を見ていると、椿さんは訝しげな目線で綾小路くんに言葉を投げかけていた。

 

「清隆、今須藤くん何分で勉強してる?」

 

「間隔の話か?30分やって10分休憩ってところか。」

 

「おう!少し疲れるけど綾小路の教え方がいいからやってて楽しいぜ。」

 

「……そっか。」

 

「雪?どうした?」

 

 椿さんは「う~ん」と何かを考えこむような顔をして、それをきょとんと綾小路くんや須藤くんが首をかしげている。

 

「須藤くんってそういえばバスケ部だったよね」

 

「あ?ああ、そうだけど。」

 

「なんかさっきチラチラ見たらいまいち集中できてないように見えたからね。10分集中で10分休憩にした方がいいんじゃない?って思ったの、ほら、バスケの1クォーターと同じでしょ?」

 

「おお!試合中のイメージと同じ感じでやると確かに集中できるかもな!」

 

「す、すごいね椿さん、この短時間でそういう提案できるの」

 

 椿さんの提案に対して須藤くんと櫛田さんは感心したかのように息を呑んでいる。人によって物腰を変えて提案する。時間の無駄でしかない。私は次に読みたい本を見つけて、図書館を後にする。

 

 下に合わせれば平均が下がる。だから下を切り捨てる。私は間違ってないはず。最悪私1人で何とかなる、私は無能じゃない、結果を出している。このままいけばいつか兄さんも認めてくれるはず。なのに、

 

 なんで兄さんは認めてくれないんだろうか。他を一切寄せ付けず、圧倒的な実力で周囲を魅せる兄さんみたいになりたい。兄さんみたいになって、兄さんから認めてもらいたい。

 

私が兄さんに認められないのは能力には遠く及びつかない不出来な妹だから。

 

 だからこの学校で私の能力の高さを証明して、兄さんから認めてもらってみせる。

 

 そう思ってこの学校に来たはずなのに、クラスは私をなしに歯車は回り始めている。考えても、考えても、わからない。

 

 私は、クラスの木偶の坊なの?

 

 考えても考えても、今の私の中で答えが出ることはなかった。

 

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――― 椎名ひより―――

 

「あの翔くん、私に何か用?ちょっと顔が怖いよ?」

 

「ああ、そりゃもうたっぷりとな、お前が持ってきた過去問の件だ。」

 

「え?なんか不備あったっけ?」

 

 あの勉強会の翌日の放課後、私のおともだち、椿雪さんは龍園くんに尋問されていました。ちなみにクラスメイト残り私含めて38人居残りなので公開処刑です。まあ止めなかった私も私なのですが……まあ、彼女のやることに興味があったので考えを聞いてみることにします。

 

「いや、そんなはずはねえ。この過去問は使える。小テストにあった明らかに難易度の違う問題やテスト範囲の変更。これらをヒントに過去問を手に入れるというのは、学校側が用意した正解のうちの一つだ。お前が聞いた生徒会長からの言い回しからもほぼ確定、オレもアタリをつけてたからな。ここまでで罠だということはねえ、」

 

「あ、うん。それじゃ何かほかに問題が?」

 

 雪さんの言葉に龍園くんはにやりと口元を尖らせます。深みのある笑みに後ろの石崎くんやアルベルトくんはガクブルと震えていますが、雪さんはどこ吹く風といった感じで気にも留めていないようです。

 

「本当に聞きたいのは、なぜ過去問がAクラスは知らねえが、他のクラスの手に渡ってるんだ?ってことだ。」

 

「ひよりに確認したところ、Bクラス、Dクラスは当然のように持っているらしいな?聞けば雪から渡されたとか何とか、Bクラスはまだいい、生徒会に取りに行ったときに一之瀬が一緒に居たらしいからな、仕方ねえことだ。」

 

「ひよりちゃん!?」

 

 裏切り者!?といった感じの目線を雪さんに向けられますが、クラスメイトの訝しげな目線は雪さんをみています。

 

「はあ、言えばいいんでしょ言えば、」

 

「はっ、それでいいんだ。」

 

「バラまいた表向きの理由は退学者を出したくない、それはわかるよね?」

 

「ああ。」

 

 「まあここからが本題なんだけどね。」といった感じでクスっと笑う雪さん、まあ表向きの理由だけでも雪さんはやりかねないような気がしますが、クラスメイトが息を呑んで雪さんの言葉を待ちます。

 

「恩を着させるため、BクラスもDクラスも基本的に情に厚い子が多いからね。」

 

「ほう。」

 

「もうみんなに発表されたと思うんだけどさ、翔くんはこれからBクラス初めにDクラスにも嫌がらせをするんだよね?」

 

「そうだな。」

 

「そんな中でCクラスの心境は悪化する。でも私が恩を着させとけば、他のクラスは私の意見には耳を傾けるかもしれない。これってメリットだと思わない?」

 

「まあ魅力的ではある、だが足りねえな、もっと納得できる理由をもらうぜ。」

 

 あ、これ龍園くん楽しんでますね。雪さんはまだ説明しなきゃいけないの?といった感じの顔をしています。でも確かに恩を着させてCクラスが立ち回りやすくなるって言うのは結構なメリットですね。これだけでも理由は十分だと思います。

 

「あとは情報って時間がたつごとに価値が落ちてくじゃない?だから今の高いうちに売りつけることで貸しにしておく、まあさっきのと似たような感じかな。あとBクラスはリーダーが決まってるからあれだけど、リーダーが不明瞭なDクラスに過去問を押し付けることでクラスがまとまるのを延期させる。過去問に気付いた人中心にクラスがまとまる可能性もあるからね、それの頭打ちってやつ。」

 

「そして1週間前のこの時期、1番勉強してる人が多くなっているこの時期に送り付けることで勉強する習慣を定着させない。次も大丈夫だって慢心する考えを少しでも持たせられれば儲けってところかな。最初のアドバンテージをとることを重視したってところ、もうこれで全部かな。」

 

 長々と説明してくれましたが、確かにこの最初の試験で精神的優位性を保てるのは大きいでしょう。Bクラスはもう仕方ありませんがDクラスのことについても納得ができます。

 

 横で聞いていた金田くんも同じ意見なようで、雪さんの言葉を思い出しながら呑み込んで納得しています。

 

「はっ、まあ今はそれでいい、今回はその長々とした説明と生徒会に入ったことに免じて許してやるよ。まあ確かに嫌がらせをする上で並行してお前が信頼できるっていうアドバンテージができるのは理解できる。そこまで計算したのか?」

 

「いや?うちのクラスだけで独占するって考えもあったけどBクラスの一之瀬さんのお人よしさなら先を越される可能性もあったからね。まあ一番は楽しそうだったからだけど。」

 

「くっはは、楽しそうでそこまで行動する時点で狂ってやがる。とんでもねえ蝙蝠女だな雪」

 

「翔くんには負けるよ。」

 

「は、減らず口が。」

 

 そんなことを言っている龍園くんですが、内心は愉快そうです。まあ、これで1週間前の今は過去問を覚えるだけになったわけですが、あの最後の3問、特に最後の数学の問題が気になるので金田くんと一緒に聞きに行くとしましょう。にしても、図書室で山脇くんを怒ったときにDクラスにテスト範囲の変更を雪さんが伝えていましたが、Dクラスの担任はどうなっているんでしょうか、そこも気になりますね。

 

―――――――――――――――――――――――

 

 そして、中間テストを受けて、6月に入りました。今日が中間テストの発表日なのですがやっぱりみんな過去問のせいか緊張感がありません。

 

 雪さんは他クラスに勉強の習慣をつけるのを遅れさせる、と言っていますがまわりまわって私たちのクラスにもきているのは皮肉めいていますね。

 

 中間テストの発表日が5月下旬だったら6月に増えたクラスポイントがもらえたのに……と澪さんや雪さんと話していると、坂上先生が教室に入室してきます。

 

 みなさん固唾を吞んで待っていたので、ただならぬ空気が蔓延していますが、坂上先生の表情はどこか嬉しそうです。

 

「さてみなさん、ホームルームを始めます、といいたいところですが、さっそく先月行われた中間テストの結果発表を行います。」

 

「坂上先生、早く結果みたいぜ!」

 

「落ち着いてください石崎くん、焦らなくても今から貼りだしますから安心してください。」」

 

そう言って、坂上先生は四月末の小テストの時同様、全員の試験結果が書かれた紙を黒板に貼り出しました。さて結果を見てみましょう。私や金田くん、雪さんはもちろん100点ですが、龍園くんも100点ですね、えっと、諸々込みで全教科満点が10人弱、1~4教科満点、他90点台20人強、他は全部90点台、あの石崎くんですら最低点が85、とんでもない結果ですね。

 

 多分これ以上の結果は存在しないでしょう。平均点が89点と信じられない結果になっています。赤点は驚異の44.5点、龍園くんの恐怖政治が招いたものと言っていいでしょう。

 

クラスのみなさんはそれぞれ喜びの声を上げています。

 

「おめでとうございます。Bクラスに次いで皆さんは2位です、よく頑張りました。」

 

 Bクラスに負けたことは仕方のないことですが、よく頑張ったと言えると思います。伊吹さんや西野さん、時任くんなどは勉強癖がつきはじめたのでいい傾向じゃないでしょうか。地力で他クラスに肉薄できる学力を身に着けたいところですが。

 

 クラスの皆さんの喜びを眺めながら、そんなことを考える私でした。

 




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クラスポイント(中間テスト終了時)


Aクラス:1004cp (先月から64cp増)

Bクラス: 763cp (先月から113cp増)

Cクラス: 592cp (先月から102cp増)

Dクラス: 94cp (先月から94cp増)

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●内訳(最低ボーナス100から上乗せされる条件が分からないのでこんな感じで言い訳します。)
 ・Aクラス 坂柳派閥のみ過去問配布。
        原作増加64cp

 ・Bクラス 一之瀬、椿過去問配布。
        原作増加13cp+最低ボーナス100=113cp

 ・Cクラス 椿過去問配布。
        原作増加2cp+最低ボーナス100=102cp

 ・Dクラス 椿過去問配布。
        (原作増加87cp+最低ボーナス100)÷2=93.5cp→四捨五入94cp

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