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――― 綾小路清隆 ―――
「Bクラスはこれ以上Dクラスに協力できない!?」
「え?どういうこと!?」
食堂の隅、あまり目立たない場所で学食のうどんを啜る傍らで、思わず松下と恵が声を上げるが、声を上げたところで問題は解決しない。その様子を見て洋介と櫛田が宥めるが、松下と恵はどうも落ち着かない様子だ。
今日は7月5日金曜日、オレたちは須藤の事件解決に向け、志朗たちBクラスの協力を取り付けて、掲示板で情報収集をして、並行してほかのクラスメイトたちも他クラスから情報収集をして、少しずつ前に進んでいる、と思っていた。
事実、須藤の事件の詳細が発表された翌日、7月3日水曜日の朝には佐倉が目撃者として名乗りを上げ、それに須藤は大喜びし、何度も何度も佐倉に感謝していた。
少しずつ前進している、そう思い始めた矢先、今日の朝、Bクラスの神崎という生徒から「Bクラスはこれ以上はCクラスとDクラスの事件に介入しない」という宣言が出た。
どうやら昨日の夜届いたメッセージによると、CクラスがBクラスの嫌がらせから手を引くことにしたらしく、その対価としてBクラスが事件に介入しないこととしたそうだ。
Bクラス側の意見としては掲示板でプライベートポイントを報酬とした情報収集やクラスメイト達によるDクラスへの声掛けで十分義理は果たした、ということらしいが、Bクラスのリーダーと周知されていた一之瀬だけが納得できない、悶々とした表情を浮かべていたのが気になった。
「確かに言われてみればBクラスがこの事件に介入することこそメリットが薄いよね。」
「考えてみればBクラスにプライベートポイントも払ってもらって、結構情けなかったわよねあたしたち。」
「あはは、それを言われちゃうと何も言えないよね。」
洋介、恵、櫛田が各々の意見を述べるが、浮かべている表情は決して言葉通りのものではなく、苦悶の表情を浮かべている。
「今ある手札で勝ち切るしかない……か。」
「佐倉さんが名乗り出てくれたことだけでも救いだね、とりあえず今後どうすればいいかを考えよう。」
「惜しむらくは須藤くんの現場を見たのは同じクラスメイトだったことよね、結構絶望的なんじゃない?」
雪の話では、一之瀬は生粋のお人よしということだった。そんな生徒が、わざわざ事件に介入した後「やっぱやめた」と不義理なことを働くだろうか。答えは「否」だろう。
不義理か……Bクラスにプライベートポイントを払ってもらっている分際でそういうのはかなりおこがましいな、客観的に見れば正当性があるのはBクラスの方だ。
Bクラスは一之瀬を中心とした団結力が強みのクラス、それは志朗も言っていた。そんなクラスの上に立つボスが、0ポイントのDクラスに介入している現状を良しとしていた生徒はあまりいなかったはずだ。
たかがDクラスの為にそこまでする必要があるのかと言われれば、この学校の多くの生徒は首を横に振るだろう。入学一ヵ月でCPを0にしたDクラスへの風当たりは厳しい。
Dクラスは落ちこぼれ共の集まり、これは学校の生徒が持っている共通の認識だ。そこにBクラスの「団結力」という部分に目を付け、Cクラスが釘を差したのだろう。
はっきり言って一番嫌な展開に持ち込まれ、立てていたプランも崩れた。好き好んで介入するAクラスはいない、つまりは孤立、四面楚歌の状況だ。
「だが、これでわかったことがある。」
「なにがだい?」
「CクラスがBクラスに釘を差したということは、つまりCクラス側が吹っ掛けた冤罪事件の信憑性が高まった、ということだ。」
苦しい言い分だが、実際にこうなったのも事実。本当にCクラス側が被害者ならBクラスに釘を差す必要はない。つまりは十分に冤罪の裏付けにはなる。だが、
「もうここに来て今更いるってことはないだろうけど、他クラスに目撃者がいた場合も協力は得られないってことだよね。」
「そうだな、ダメ元で聞くが、櫛田がBクラスの友人に聞いても同じような反応だったか?」
「う~ん、そうだね。帆波ちゃんには迷惑をかけられないって感じかな。自分のクラス優先なのは仕方ないことだと思うから、あんま責められないかな。」
「……そうか。」
いつもの朗らかな笑顔とは対照的に、真剣な顔で考え込んでいる櫛田に思わず松下や軽井沢といったメンバーは息を呑んでいる。そうして辛気臭い沈黙の雰囲気が漂っていたのだが、オレの肩に「とん、とん」と優しくたたかれる感触がした。
「……志朗?」
「よっ、5人で飯食ってるくせにずいぶん葬式みたいじゃん?」
「……お前こそ今日はどうした?クラスメイトと食べていると思ったんだが。」
「なんか今日は教室で食べるらしくてな、ちょっとクラスの雰囲気もいつもと違ったし、気分転換に来たってところだ。」
そう目をそらしながら返す志朗だが、その表情にはどこか憂いたものが感じられる。ふと目をそらしてあたりを見渡すと、驚いてるのか目を見開いている平田たちがいた。
「……どうした松下、そんなに驚くことでもあったか?」
「え?ああ、うん。綾小路くんが他クラスで下の名前で呼んでいる人ってのが新鮮で、少し驚いただけ。」
「ね、ほんと。平田くんや軽井沢さんも下の名前で呼んでるけど、なんかどことなく距離感が近い感じする。」
「まあ、清隆くんと志朗くんは幼馴染だからね。」
「え?幼馴染、あ、そういえばCクラスの椿さんも綾小路くんのことを下の名前で呼んでたっけ。」
「そうだな、雪も幼馴染だ。」
「そういえば雪ちゃん今週は見ないわね。清隆どこいったわけ?」
「あいつは今回の審議で司会の手伝いをするみたいだ。その手伝いが忙しくて教室で食べてるからじゃないか?」
櫛田の返答に相槌を返している横で、審議で司会の手伝いをする、という言葉を聞いて、恵が「ゲッ」とした顔をする。大方、審議で立ち会った場合を想像しているのだろう、友人に審議を覗かれる、このことを好き好む人はいないだろうし、気まずい空気になることは想像に難くない。
「安心しろ軽井沢、お前に審議は無理だ。松下と櫛田とオレで出る。」
「は!?あんたどういうことよ!あたしがバカだって言いたいわけ?」
オレの発言に恵はぷんすかと頬を膨らませて怒る。それを洋介が宥めているこの光景を見て、松下と櫛田は苦笑している。最近は会話のパターンが把握できたぶん、語彙も増えてきていることは大きな収穫だ。
そんなことを考えていると、きょとんと首をかしげて志朗が言葉を投げかける。
「あれ?恵ちゃんって勉強できなかったよね?」
「志朗くんまでひどくない!?」
くすくすと笑いあう和やかな雰囲気でお互いに茶々を入れる中で、一歩引いた目で見ていた松下が口を開いた。
「というより、協力を拒否したBクラスが私たちのクラスに関わって大丈夫?一之瀬さんは何か言ったりしないの?」
「あくまでDクラスに情報を与えるのは好ましくない、そういう感じだからな。口だけ約束なだけに元から形骸化されてる約束だ、うちのクラスにはある意味大ダメージだけどな。」
「大ダメージってどういうことかな?あ、前も自己紹介した気がするけど私は櫛田桔梗、よろしくね。」
「綾雪志朗、4月ぐらいに連絡先は交換したけどそれっきりだったな。よろしくな。大ダメージについてはまあ、答えを与えるのも面白くないから考えてみてくれ。」
「考える……ねえ、綾雪くんはそうやって楽しむタイプなんだね。あ、私は松下千秋、平田くんや軽井沢さんが下の名前で呼んでるなら、私の事も千秋って呼んでほしいな。」
「おっけー、千秋さんよろしく。楽しむタイプって言われたら否定はできないな。でもどうせ言うなら自律を促すタイプって言ってほしかったな。」
「志朗くんそんな殊勝な男じゃないでしょ」
「別荘地がなんか言ってらあ」
「私のこと名詞で呼ぶのやめて?この際だから松下さんも千秋って呼んでいい?」
「いいよ~」の言葉を皮切りに櫛田も続いていく。なんてことだ。ここにいる6人全員が一瞬にして下の名前で呼ぶ関係になってしまった。
そういう段取り、というかフットワークの軽さが志朗の魅力なのだろうが、あまりにも自然に、雰囲気で流されたため違和感というものがまるでない。
そしてさっき志朗が言っていた「大ダメージ」というのは一之瀬のことだろう。話したことはないが、口ぶりからクラスが一之瀬に強く依存していて、そこを狙われると弱いということだ。
「それで清隆たちが話してたのは審議のことか?」
「そうだけど、志朗くんはBクラスよね、いまさら介入なんてクラスメイトに被害が及ぶんじゃない?」
恵が志朗にそう問いかけると、櫛田や洋介なども同じように「確かに」といった感じの顔をする。当の志朗はにやにやと笑みを浮かべながらオレ達を見ていて、
「Bクラスの志朗としては参加できないけど、Dクラスの綾小路清隆の友人としての志朗は参加することができると思わないか?」
「ええ……すっごい暴論だね。」
「高校に入学した後に望んだ進路に行けるのはAクラスだけって言ってるうちの学校よりはマシじゃないか?」
「「「たしかに」」」
志朗の暴論に苦笑いを浮かべていた3人だが、この学校の謳い文句を皮肉に出せば同意を返してきた。まあ確かに、普通にこの学校は詐欺まがいのことをやっているから納得できてしまうのがなんとも言えないところだ。
「……まあそうだな、たまには頼るのも悪くない。」
「それでいいんだよ、素直が一番いい。にしてもみんなの表情を見る限りは自分たちの勝利条件は理解してるんじゃないか?だけど決めきれない、そんな感じがする。」
「そうだね、志朗くんの言った通り僕たちの勝利条件は須藤くんの無罪だ、つまりCクラスの訴えを取り下げること。でもそこまでの過程を決めかねている。」
「1番シンプルで1番難しいってことだな。にしても意外だな、清隆がこういう場面に自分から突っ込んでいくとは思わなかった。」
「こっちにもいろいろあるんだ。クラスが協力する姿勢を見せてるのに、オレだけ不参加はかえって目立つだろ?」
「まあな、というより清隆はもう打開策を思いついてるだろ?」
「え!?清隆くんほんと?」
「なんのことだか、オレにはさっぱり見当がつかないな。」
「悪趣味ね、わかってるなら早く教えなさいよ。」
「教えたら今後の学校生活で清隆に頼ればなんとかなる、そう恵ちゃんたちは思うだろ?あくまでギリギリまでは自分で考えてくれってことだよ。」
「なるほどね」と千秋が考え込むと、それにつられて洋介や恵、桔梗も考えるそぶりを見せる。志朗はその光景をニヤニヤと眺め、たまにオレの方へ視線を合わせている。
はっきり言ってそんなに自分で考えてほしいとかはあまり思っていなかったが、もう訂正するのもめんどくさいのでそのまま行くことにする。
そうして志朗とぬぼーっと光景をぼんやり眺めていると、「あっ」と思いついたように千秋が人差し指をピンと立てる。オレたちの視線が千秋に向くと、千秋は頭の中で考えを組み立てながら話していく。
「えっとね、この事件がCクラスが仕掛けた冤罪事件だと仮定すれば、こっちも同じことをすればいいんだよ。」
「おなじこと?」
「目には目を、歯には歯をってことかな?つまりは……」
「「特別棟にダミーの監視カメラを仕掛ける」」
洋介と千秋の声がかみ合い、それにつられて恵と桔梗が「なるほど」と唸っている。桔梗が「うーん」と考え込んで話がまとまったかと思えば、今度は桔梗が話題を切り出す。
「なるほど、こっちも偽の監視カメラをかけて脅すってわけだね。もしあっちが冤罪なら焦って取り乱す、そこをつけばいいってことかな?」
「正解、清隆も同じこと考えてたろ?」
「そうだな」と素っ気なく返す。やはり関わっていて感じることだが、千秋は頭の回転が速い、桔梗も一般人から見れば十分頭が切れるほうだが、やはり凡人の域からは抜け出ないという印象が伺える。
解決に向けて一歩前進した、と言いたいところだが、実際のところは半歩程度後ろに下がってしまっているのだが、それを理解できているのは志朗だけだろう。
「え?でもうちら0ポイントクラスに監視カメラ買う余裕ある?」
「「「あ……」」」
そんなことを考えていた刹那、オレと志朗の懸念事項を恵が真っ先に理解した。なるほど、恵は漫画で言うあれだ、「オレバカだからわかんねえけどよお、」で核心をついてくるタイプだ。
いや恵も地頭は良い方だからこれには当てはまらないかもしれない。どちらかというとこのタイプは池とか山内だろうか?
いや山内はダメだな、「オレバカだからわかんねえけどよお、バカだからわかんねえわ」で終わる未来が見える。
「ここにきてBクラスに協力してもらえないのが痛いね……」
「にしてもこれ以上Bクラスにおんぶにだっこはどうかと思うけどね。」
実際、0ポイントクラスで1万ポイント以上を保有している生徒は、堀北経由でSシステムに勘づいていた平田と当人の堀北、そしてオレだろうか、5月時点ではもう少しいたかもしれないが、2か月たった今1万ポイント以上保有しているDクラスの生徒は稀だ。
おまけに恵や山内がプライベートポイントを借りて好き勝手していたことも大きい。堀北とオレが1番プライベートポイントを所有している事実は変わらないだろうが、堀北が非協力的なのも相まって難しいだろう。
「もしプライベートポイントに引け目があるなら、もう1つ提案があるぞ?」
志朗がそう言葉を切り出せば、その提案とやらに洋介や桔梗、千秋、恵が食いつく。志朗は「あくまでこれは最終手段だ。」と一言断ってからその内容を話し出す。
そして話を一通り聞き終えると、洋介や恵は懐疑的な意見を示したが、千秋や桔梗は「それで勝てるなら」と頬を若干赤らめながら肯定的な意見を示した。
オレが聞いてて思ったことは、あんまり聞いてて良いものではなかった、とだけ伝えておくが、それを度外視すれば監視カメラより確実であるといえるだろう。
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――― 橋本正義 ―――
CクラスとDクラスの喧嘩騒動でプライベートポイントの支給が遅れていると言われ、しばらくたった7月5日の放課後。ケヤキモールのカフェに3人でいると、学校端末が振動し、メッセージが受信される。内容は「私たちのクラスはこの騒動においてDクラスに介入しません。」「このことを龍園くんに伝えておいてください」というもの。
メッセージを確認してスクリーンショットを撮ってそのまま龍園との個人チャットへ送る。
すぐに既読がつくが、それに新しい返信がつくことはない、用がないとメッセージしない薄情な奴だ。まあそれぐらいの持ちつ持たれつの関係の方がやってて疲れないからいいんだけどな。
「橋本、通知うるさい、マナーモードにしてよ。」
「あ~?すまん真澄ちゃん、Bクラスの一之瀬からメッセージが来てそれを見てたってだけだ。」
「ちゃん付けキモイ、下の名前で呼ぶな、で一之瀬?あの甘ちゃんが何よ。」
キツイ物言いをする人生がつまらなさそうな幸薄そうな美人のこの子は神室真澄、サイドテールがポイントで性格は一言でいえばとにかくサバサバ系という感じだ。思ったことをすぐに出す物言いは見てて気持ちがいいが、その刃が自分に向かえば結構メンタルがえぐられる。
「真澄さん、橋本くんをいじめたらかわいそうですよ?内容はなんですか?」
「一之瀬含めBクラスはこの騒動に介入しない、これを龍園に伝えてくれ、そういう感じです。」
「そうですか、やっぱりBクラスはつまらないですね。これでDクラスの味方をすると言うなら、少しは見直したところですが。」
この嗜虐的な笑みを浮かべるお姫様は坂柳有栖、Aクラス内で真っ二つに割れた派閥争いの片方のリーダーだ。先天性の疾患で運動が禁じられているので運動方面では当てにはならないが、頭脳方面ではまずうちのクラスで勝てるやつはいないだろう。うちのクラスは葛城率いる保守派、坂柳率いる革新派、という感じで別れている。
嗅覚には自信があり、こっちのほうが勝ち馬に乗れそうだな、そんな軽い思いでこっちの派閥にいるわけだが、このお姫様はとにかく人使いが荒い。
かわいい顔してやってることは全くかわいくないし攻撃的すぎてかわいくない。派閥争いしている隙をこうしてCクラスにつけこまれているのに、それを気にする素振りすら見せない。
天才ってホント考えてることがわからん。そう思っていると神室ちゃんが口を開いた。
「は?なんで味方する方がいいわけ?0ポイントクラスと組むメリットがあんま感じられないんだけど。」
「BクラスとDクラス、この2クラスは上のクラスに明確な敵がいます。同盟を組むことでお互いAクラス、Cクラスと集中できるわけですが、そこまで頭が回らなかった……いや、そうさせてもらえなかった、というべきでしょうか。」
「上のクラスに集中できるという点ではメリットしかないと思うぜ。同盟も口頭で述べるだけなら簡単で契約の枠が緩い、やろうと思えば2クラスで情報共有ができる。単純計算でクラス内の情報量が2倍になるわけだ。たとえ0ポイントクラスだとしても個々のクラスメイトの素質を見れば組むメリットは出てくるぞ。」
「橋本くん正解です。単純計算で情報量が2倍になる、というのは大きなメリットです。ですが一之瀬さんのクラスはそうならないようにCクラスに思考を誘導されてしまった、というわけです。」
「CクラスがBクラスに干渉しない、動画を私たちのクラス経由で伝えることで、この騒動にはもうかかわるなと釘を差せます。BクラスはCクラスの被害を集中して喰らっていただけあってクラスメイトのヘイトも高い、結果もう関わりたくないクラスメイトは一之瀬さんを干渉させないように立ち回って、同調圧力に屈して結果的にDクラスは孤立する、というわけですね。」
「きっしょ……なんでそこまで頭が回るのよ……そもそも過去問を元々持ってたのに売り込んできたCクラスとうちの派閥が同盟を組んだ意味も分からないのに、他クラスに情報を売ってまで葛城を潰したいわけ?」
「ふふふ、だってそっちの方が楽しいじゃないですか。」
そう言って笑みを深めるうちの姫様、ほんと加虐趣味がよろしいようで。まあ確かに、中間テスト1週間前、うちの派閥に過去問を裏で売り付けてきたCクラスの椿と、個人的な同盟を組んでいたが、それも楽しさ理由なのか?
過去問を売りつけてAクラスの坂柳派と通じて、葛城派を叩き落とす。これがCクラスの考えてること、うちも葛城を叩き落としたい方針だからまあ利害の一致って奴だろうがこうして他クラスに隙を見せてるのはちょっといただけない。
過去問を持ってたのに気付くか遊んでうちの派閥だけで共通させたり、クラスを私物化してる節が見えるが、まあそこはこれから次第で身の振り方を変えよう、と思っているが、まあ今は関係ない話だ。
「あと橋本くんは先ほど、BクラスとDクラスで組むことは今のところメリットしかない、と言いましたが、実は本当にメリットを享受できるのは私たちAクラスだったりします。」
「「え?」」
そんなことを考えていたら坂柳はDクラスと組むことで本当に意味が出るのはうちのクラスだと言ってきた。しょーみ一番上と一番下ってイメージしか湧かないが、これはまあ葛城派閥がよくDクラスを見下したりしてるから遠からずその影響を受けてるんだろうな。葛城はそうでもないんだがなあ……取り巻きがなあ……
「ああ、単独トップでいたら他3クラスが団結する可能性があるからってこと?」
「まあその可能性は否定できませんね。ですが回答としては赤点ですね。でも3クラス分の情報量はバカにできませんから、情報戦で負けるのは避けたいです。まあ3クラス同盟を組んでこちらが負けても取り返しがつかないなんてことはありません。結局3クラスが組んでること自体自分たちの首を絞めることですから。」
「ああ、Dクラスにクラスポイントを稼がせればBクラスとCクラスはそっちに注意が向く、この3クラスで争いを延長させれば、勝手にうちのクラスの独断場になるってことか。」
「橋本くんもいい線いってますが駄目ですね。正解はプライベートポイントでBクラスとCクラスに雇われることを未然に防ぐことができる、ということです。そして私たちが享受できる最大のメリットはやはり2クラス分の情報量、ここに落ち着きます。お互いのクラスで情報共有をする、そしてAクラスは特別試験でDクラスに積極的に協力する。契約の効力はDクラスがBクラスに上がるまで。こういう契約をすればおのずとDクラスは縛れます。」
「一番いいのは、そのうえでAクラスにDクラスが借金をしてくれることなんですけどねえ……」
考えてることこっわ、やってる事闇金じゃねえか。成程。そういうことか。それならAクラスにもメリットはある、というより、Aクラスの将来のデメリットを潰せるということか。まあDクラスが提案に乗るかは別なんだけどな。
「ふふふ、少しだけ楽しみになってきました。」
ひえっ……ほんとにこのお姫様の相手になってる葛城には同情するぜ。あいつの病気を馬鹿にするわけじゃないが、他クラスの連中はこの坂柳の性格を知ったら葛城は坂柳のストレスで禿げたって言っても普通に信じそうだよな。
嗜虐的なお姫様の笑みに神室ちゃんと怯えながらそんなくだらないことを考えてる俺の1日は、そうして過ぎていった。
高度育成高等学校データベース
氏名 綾雪志朗
学籍番号 ????????
部活 無所属
誕生日 ????
評価
学力 B+
知性 A
判断力 A
身体能力 A
協調性 B+
面接官のコメント
中学では今年度の入試主席と並んでトップ争いをしていたほど優秀な生徒で、2人とも同じく他生徒と比べて総合力は頭一つ飛びぬけている。総合的な能力を踏まえAクラスの配属が妥当だと考えられるが、入試の点数を全部77点に揃えて遊ぶなど、結果より楽しさなどを重視する享楽主義な面も抱えており、協調性や社交性が高いBクラスでの配属で矯正を期待したい。
担当教員からの評価
学力も運動能力もうちのクラスでは頭一つ飛びぬけていて、それでいて慢心はせず謙虚な優秀な子です。懸念されていた享楽主義は今のところ目立っておらず、クラスの中心人物として友人や他クラスにいる幼馴染と交流を深めています。一つ文句を言うならクラスリーダーに名乗り出て欲しかったです。
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初のAクラス側描写。最初志朗くんをAクラスに入れて葛城くんサポートさせようかな、そっちの方が面白いよなとも思ったんですけど、そうするとあまりにもBクラスが可哀想なことになるしAクラスが強くなりすぎてしまうので泣く泣くやめました。戸塚が頑張ったボーナスポイントをリタイアで損切りして無人島でAクラスが1位になる未来もあったかもしれねえです……Bクラスに配属させるために9話で書きましたが入試の点数で遊ばせました。そうでもしないと志朗くん文句なしでAクラスになっちゃうよ。
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清雪の絡みもっとあった方がいいですか?
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もっとほしい
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別に