ようこそ幼馴染の教室へ   作:ひなぎ

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志朗くん視点です。
おもしれー男枠を目指したい
雪ちゃんは椿姓です。


#2 事なかれ主義者はただのコミュ障説。

―――――――――――――――――――――――

 

 ――時は経って4月。入学式の日がやってきた。オレたちが入学するのは高度育成高等学校。希望する進学、就職先にはほぼ100%応えるという名門校だ。

 

 清隆に再会してから1年、オレの周りの生活も少し変わり、現を抜かしていた学業も勉強も身を入れ始めた。理由なんて、清隆が必要としてくれた。それだけで十分だ。

 

 雪と3人で会ったあの日、清隆は次はいつ来れるかわからない、などと言っていたが、割と目を盗んでちょくちょく雪と3人で会ってくれた。3人で話せる頻度はそう多いものじゃなかったが、あの施設で育った幼馴染みたいなものだ。気兼ねなく話せる仲と言っていい。

 

 ホワイトルームから脱落して何年が経っただろう、6~7年は経っただろうか。夢見る外の世界は理想ほど夢には溢れていなかったが、目を引かれるものが多く、自分なりに楽しんでいたと思う。

 

 脱落していた時は死んでいたと思っていた感情も、年齢を重ねるにつれ自然に笑えるようになり、ある意味自分の適応力に驚いた。

 

 あの白い箱庭の中で自分を高め続ける清隆。外の世界に希望を見出してわざと脱落していった自分。あの地獄のようなカリキュラムで確固たる意志を持っていた自分たちは有り体に言えば『異常』なのだろう。脱落するときに泣き叫んでいた雪の方が人間としてはるかに正しいと思える。

 

――まあ、いいか。考えても仕方ない問題だろう。

 

「志朗、行こう。」

 

 そんな考え事をしていると、視界の隅にバターブロンドの、肩より少し長い髪が見えた。

 

 椿雪、ホワイトルームで数年を一緒に過ごした、世間一般に言えば幼馴染といえるもの。

 

 雪も清隆が来てからは水を得た魚のように元気になりだした。その変貌ぶりに雪の両親や妹はそれはもう驚いていたぐらいだ。3人で会う機会こそ少なかったが、ちょくちょく学校終わりに顔を出しに行っていたので、オレも行くたびにその変貌ぶりに驚いていた記憶は目に新しい。

 

 もっとも、途中から俺の中学校に編入してからはオレを超えると息巻いてさらに成長していた。勝負は楽しかったが疲れるのが嫌だった。何かと鼻にかけて勝負してくるのはやめてくれ。もうあいつがナンバー2でいいよ。(思考放棄)

 

「桜子とのお別れは?」

 

「済ませたよ、泣きじゃくってた、私も来年高育行く!って張り切ってたよ」

 

「まあ、入学したら3年間会えないわけだしな、がんばってほしい。」

 

 人並みより語彙力が足りてない気がするがまあいい、せっかく元気になった姉と仲良くなれたのにまた会えなくなるというのは我慢ならないんだろう。かわいいものだと思う。

 

「それで、清隆は?」

 

「なんか先に行くらしい。バスに乗ってみたいらしい。」

 

「なにそれ、かわいい。」

 

 ふにゃりと口を緩めて笑う彼女の姿には、ホワイトルームでのあの鬱屈な雰囲気は微塵も感じられない。内に秘めた闇は大きいが、回復の傾向にあると言っていいだろう。まあ、元気になった原動力が原動力なだけに崩れ落ちる危険性も内包しているのだが。

 

 こうしてオレたちは雪の父親の車に揺られて、これからの学校生活に思いを馳せるのであった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

 雪の父親に礼を言い、車を降りると、そこには天然石を連結加工した作りの門が待ち構えていた。

 

 自分と同じ制服に身を包んだ少年少女が全員この門をくぐり抜けていく。門をくぐって施設を見ようかと思ったその時、雪が「あっ」と声を上げた。

 

「どうした?」

 

「ほら、あれ清隆じゃない?」

 

 あれあれ、と指を指している先には心なしか記憶より少し背が伸びた、見慣れた癖ッ毛の茶髪の少年の姿と、綺麗なロングの濡羽色の髪をした少女が言い合いをし始めた。どうやら面白そうなことになりそうだ、と思って雪の顔をちらりと覗く。どうやら同じことを考えていたようなので、少し会話に聞き耳を立てることにした。

 

「さっきから私の方を見ていたけれど、なんなの?」

 

「悪い。ただちょっと気になっただけなんだ。どんな理由があったとしても、あんたは最初から老婆に席を譲ろうなんて考えを持っていなかったんじゃないかって」

 

「ええそうよ。私は譲る気なんてなかった。それがどうかしたの?」

 

 どうやらバスで何かあったらしい。話を聞くにバスの座席をおばあさんに譲るかどうか、という議題のようだ。清隆が少しドギマギしているのが面白いなと感じていると、雪がホワイトルームで習った目の瞬きのモールス信号で会話をしてきた。

 

 面白くなってオレもつい返す。こういう時周りに悟られず認識のすり合わせをできるのは大事だろう。ありがとうホワイトルーム、こういう知識はくだらないことに使ってこそ輝く。俺たちの8年間は無駄じゃなかった。いや、9年だったか?まあいい。

 

「いや、ただ同じだと思っただけだ。オレも席を譲るつもりはなかったからな。事なかれ主義としては、ああいうことに関わって目立ちたくない」

 

『え?事なかれ主義っていった?清隆が?』

 

『ってかあいつ席譲らなかったのな。あとあいつ事なかれ主義者っていうよりただの世間知らずのコミュ障の方が正しくないか?』

 

『しぬ笑、ひどいね笑笑、まあ言い得て妙かも?』

 

 一方で少女の方は、

 

「事なかれ主義?私をあなたと同じ扱いにしないで。私は老婆に席を譲る事に意味を感じなかったから譲らなかっただけよ」

 

 すげえ!この子相当拗らせてやがる!どうやらこの黒髪美人は相当癖が強いらしい。清楚系大和撫子みたいな外見して天下一品のラーメン並みにこってりとしてドロッとしてそうだ。(小並感)

 

 いや後味すっきりしてるからこの表現は正しくない?うん?考えるのが億劫になってきた。

 

『志朗?会話終わったから清隆のところいこ?』

 

 クソくだらないことを考えていたら会話が終わっていた。雪はぴょんっと擬音が出そうな感じで清隆の方に駆けていく。遠めに見ていたら耳としっぽが生えている錯覚に陥る。犬かな????

 

「清隆、元気だったか?」

 

 遅れて清隆に言葉を投げかける。雪もニコニコしながらこの雰囲気を見守っている。清隆は目をぱちくりさせながら。

 

「お、おう……」

 

 コミュ障かな????なんでそんな初対面みたいな反応になるんだろうか。オレは悲しい。ホワイトルームで1番だったとはいえ、ところどころポンコツが見え隠れしているような気がしなくもない。まあポンコツなところは次会ったときには改善されているのだが。

 

「清隆、早くいこ!」

 

 ぴょんぴょんと雪がはねながら俺たちを手招きする。よくもまあここまで元気になって……(保護者目線)、元気になりすぎて少し怖いが。

 

「合格できたんだな、よかったよかった。」

 

「ああ、なんとかな、雪も志朗も合格できてよかったな。」

 

 よかったなと言っているが清隆の表情筋は動くことがない。この朴念仁が。

 

「まあ、俺は欠席とかあんまなかったから大丈夫だったよ、頑張ったのは雪の方だ。普通に考えたら中学3年生からの編入で名門校に受かるなんてありえないからな。」

 

「……?」

 

「清隆?どうした?」

 

 オレの言葉を聞いて清隆は首をかしげる。なんか先ほどの会話で不自然な点はあっただろうか?いや、ない、はず。

 

「?それオレはどうなるんだ?」

 

「……あ、」

 

 オレたちは何も考えないことにした。

 

 

「にしてもよく合格できたな、雪が合格できる確率は半々だと考えていた。」

 

「まあ、倍率も高かったしな、でも中学校で雪と色々勝負して負けることも珍しくなかったから、少なくともあそこにいたときよりは強くなってるはずだ。」

 

「……そうか、」

 

 そんなこんなで話をしていると清隆はまた考えるそぶりを見せる。成長した雪に思うところがあるのだろうか?

 

「まあ、そんなことより入学おめでとうってことでクラス確認しに行こうぜ」

 

「ああ、そうだな。」

 

 中学時代の雪の話に、清隆が1人で何をしていたのかも聞きつつ、先に行った雪の背中を追いかける。だが、雪は玄関前に書かれた紙の前で何かを確認したかと思うと、何を思ったかがっくりとうなだれていた。

 

 清隆と話をすり合わせながら雪の方へ向かうと、雪は「はあ」とため息をついてオレたちに紙を見て欲しいと指を指した。何があるんだろうか?

 

「はあ、同じがよかったなあ。」

 

「何がそんなに残念なんだ?」

 

「見たらわかるよ、とりあえずみてみて」

 

「なになに……ああ、なるほど(察し)」

 

 雪ががっくりとうなだれた原因が分かった。ちなみにオレもちょっと残念だったり。

 

クラス 生徒

Aクラス 

坂柳有栖

葛城康平

橋本正義

 

Bクラス

一之瀬帆波

神崎隆二

○○志朗

 

Cクラス

龍園翔

伊吹澪

椿雪

 

Dクラス

平田洋介

堀北鈴音

綾小路清隆

 

 オレたちは全員別クラスだった。




志朗くんの名字が迷子です、どうしましょうか。
これから基本的に雪ちゃんか志朗くん視点で進めたいと思ったり。

清雪の絡みもっとあった方がいいですか?

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