元魔王さまのぶらり旅   作:Revak

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第十一話 パーグソルト

 

「見えて来たわね。あれがパーグソルトよ」

「鉱山の街か?」

 

 ヴィルト。リア。アンタレスの三人が旅に出て一週間。遂に目的の街であるパーグソルトが見えて来た。

 

 パーグソルトに城壁は無い。代わりにあるのは高くそびえる山だ。

 

 山が逆のU字型にあり、その空白部分に街がある。

 

 何とも奇妙な街だ。地形とはこうも変なものかと思いたくなる。

 だがここは超常渦巻くファンタジーの世界だ。多少の地形的問題など有ってないようなものである。

 

「残念。鉱山は鉱山でも塩鉱山なのよ。ここはこの大陸一の塩の生産地なの」

「塩か。料理に入れると美味くなる奴だな」

「それ以外に、人間が最も必要とする成分でもあるわね」

 

 それ以外にも塩は人間にとって必要不可欠な成分である。

 男性ならば一日に約七グラムは摂取しないといけないなど生活にとって必需品である。

 また余り発展してないが工業様にも塩は使われている。言わばこのパーグソルトは人類にとって生命線と言えるだろう。

 

『アンタレス。ここで止めて。この状態で街に近づくと不要な混乱を招くわ』

 

 リアは概念共有(コネクト)でアンタレスに連絡をする。

 

『わかった』

 

 アンタレスも了承し徐々に速度を落としていく。

 ゆっくりと減速し、一分程で完全に停止する。

 

 停止した魔車からヴィルトとリアは降り、アンタレスは人の姿に変わる。

 

「魔車はどうする?」

「うーん。アンタレスの影に仕舞っておいて貰いましょ」

「わかりました」

 

 アンタレスは自身の影を伸ばし、魔車の影と同調させる。

 魔車はずぶずぶと影に沈み、影の中に収納された。

 

「では行こうか」

 

 何処かワクワクと少年心を持ったヴィルトはそう言い、街に向かって歩き出した。

 

 

 

 ■

 

 パーグソルトの街は木の門がある。

 城壁等は無く、また木の門も木を門の形に置いてあるだけであり、防ぐ為の扉が無い。

 開放感の強い街であることがこれでわかる。

 

 その門に三人が近づくと門番らしき人間の男の兵士が三人に声をかける。

 

「あんたら、旅人か?」

「えぇ。旅をしている冒険者よ」

 

 一同を代表してリアが答える。

 

「そうか。ようこそパーグソルトへ。歓迎するよ」

 

 門番はそう言うと気を付けて、と一同を門の中に通した。

 

「鉱山の街っぽいな」

「貴女、鉱山に来たことあるの?」

「昔滅ぼす時にな……」

「物騒ね」

 

 等と話しながら三人は大通りを歩く。

 

「取り合えず先に宿を取りましょ」

 

 リアの提案で三人は宿場町に向かう。

 宿が並ぶ通りであり、低所得者向けから富裕層向けまで宿が多数ある。

 そのうちの一つ。通常ランクの宿に三人は入る。

 

 宿に入ってすぐが受付であり、リアが受付と話す。

 

「宿を一週間借りたいの。期限は……取り合えず一週間でいいかしら」

 

 リアは二人の顔を見る。アンタレスとヴィルトはそれで構わないと首を縦に振る。

 

「もしかしたら延長するかもしれません」

 

リアは追加でそう告げる。

 

「わかりました。部屋はどうしますか?」

「二人部屋を一つと、一人部屋を一つでお願いします」

「わかりました。料金は四万九千ルエになります」

 

 受付は鍵を二つ取り出す。

 リアは聖具のバッグから財布を取り出し、硬貨で支払いを済ませる。

 

「宿は二階になります。案内しましょう」

 

 受付の案内の元、三人は宿の部屋へと向かう。

 階段を上り、三人はそれぞれ部屋に入り荷ほどきをする。

 

 そういった諸々が終わった後。ヴィルトとリアの部屋にアンタレスが入って来る。

 

「さて、これからの予定を決めようと思います」

 

 ベッドに腰かけ。リアがそう話す。

 

「我としては何かしらの依頼を受けたいと思っているな」

「私もよ。けど、同じ依頼を受けるのってちょっとつまらなくない?」

「ふむ?」

「どうせなら別々の依頼を受けて見ましょうよ。競争するって訳じゃないけど」

 

 その提案にヴィルトはそれもいいなと顔を綻ばせる。

 

「いいな。なら三人別々の依頼を受けるか?」

「そうしましょ。あ、まずはアンタレスの冒険者登録からしないと」

 

 三人は話し合い、途中から雑談へと変わり夜が来るまで話し合ったのだった。

 

 

 ■

 

 翌日の朝。三人は大通りを歩く。

 向かう先は当然冒険者組合だ。

 

 パーグソルトの冒険者組合も大した出来ではない。単なる木造の建築物であり、老朽化し始めている。

 ルテンラの街と同じウェスタンドアを開け、三人は中に入る。

 

「街が変わっても中身は変わらんのだな」

「まぁ、冒険者だからね」

 

 内装も特に変わりはない。酒場と併設されており、酒場の端にクエストボードがある。

 

「ではアンタレスとはここで別れだな」

「不詳アンタレス。己の役目を精一杯務めさせていただきます」

「そんな覚悟完了な顔しなくていいから」

 

 アンタレスと別れ、リアとヴィルトはクエストボードまで進む。

 

 さて何がいいか、と二人は依頼を確認する。

 

 ──

 鉱山の護衛

 塩鉱山の採掘時の護衛依頼。一日一万ルエ

 ──

 

 ──

 鉱山周辺の魔物退治

 出来高性。一体五百ルエ

 ──

 

 ──

 探し物

 鍵を落としてしまった。大事な鍵なのでどうか見つけて欲しい

 三千ルエ

 ──

 

「何が良いと思う?」

「うーん。資金にはそこそこ余裕があるから何でもいいんじゃない? ただ、お金は使うと無くなるから報酬が高い方が良いけどね」

「そうか……」

 

 ふぅむ、とヴィルトは悩みながらクエストボードに貼られている木札を見る。

 その間にアンタレスは試験をするようで組合の裏口から出ていく。

 

「これにするか」

 

 ──

 鉱山の探索

 使われなくなった坑道に魔物が居る可能性が非常に高い。

 探索だけで二万ルエ。魔物一体討伐事に五百ルエ

 ──

 

 ヴィルトは木札を取り、リアもこれにするかと別の依頼の木札を取っていく。

 

 二人はそれぞれ受付に行き、依頼の受注を済ませ行動を開始した。

 

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