「なんて、バカ魔力……」
「おいおい、まじかよッ!?」
空を見上げる。
まさに星の光ーーー
まぶしくて目が眩むほどの光が地上に降り注ぐ。
試合開始直後のはやてたちの広域攻撃も、俺と戦っていた時の遠距離攻撃も。
そして、フェイトの
すべてはこのための布石だったのかもしれない。
大量にばらまかれた魔力がまるで空に浮かぶ星のように巨大に、眩く広がっていく。
地上からでは、収束した魔力に阻まれてなのは本体に攻撃は通らない。
かといって接近するには時間が足りない。
俺の最高速度でも、ブレイカー発射前には届かない。
「ユウト、ヴァイス! フォーメーションは覚えてるよね!」
「了解ッ!」
「応っ!!」
一度三人で固まり、次の瞬間、バラバラに散開する。
散開してもあの大きさなら最低でも二人は確実に巻き込まれるだろう。
そして残った一人には、フェイトの追撃が待っている。
エースが落とされれば、その時点で試合終了―――。
だからこそ、狙いくらいは、こっちで決めさせてもらう!
side-フェイト
地上にいる3人が一斉に散開する。
西側へ飛ぶユウト、南側へ跳躍するティーダさん、そして東側に逃れるヴァイスさん。
なのはのブレイカーの中心は、明確にユウトとティーダさんを捉えている。
(ヴァイスさんは範囲外……なのはは確実にエース予想の二人を落とす気だね。)
ブレイカー範囲外からなのはの妨害をさせないために、東側に走るヴァイスさんに接近して迫撃を仕掛ける。
だけど、その瞬間。
「っ!?」
思わず目を見開く。
ヴァイスさんの足元から輝く光が、狙撃と軒に見た通常の水色の魔力ではなく――
──紫の残光を描いた。
そのまま、急加速で私を振り切った。
「今のって…いやそんなことより、なのはの邪魔はさせない!!」
想定外でもなんでもいい。
なのはのブレイカーさえ邪魔されなければ最低でも二人撃破。
私もなのはもLIFEは2000以上。生き残ったのがエースであろうとも二人で押し切れる。
「それに、攻撃魔法で今のなのはを止めれるのはあなたにはない……そうでしょ、ユウト!!」
前を移動するヴァイスさんにフォトンランサーを飛ばし、足止めを狙う。
すると顔が靄がかかり、そこから見慣れた顔のユウトが姿を現す。
「そうだな、フェイト……俺になのはを落としきる魔法は一瞬じゃ出せないな。でも――」
《Cartridge LoadーーEscutcheon!!》
ユウトは六芒星防壁を連続展開し、私の攻撃を防ぐ。
しかし、いつまでたっても防壁を解かないユウトに疑問を覚える。
というか、なんで今少ないカートリッジを使ったんだろう。
LIFEが少ないから、もしもに備えてブレイカーの余波を防ぐため……?
でも……ここはブレイカーの範囲外ーー
いや、そもそも幻術魔法でユウトとヴァイスさんの位置を誤認させた意図は…?
混乱目的なら複数分身を出した方が効果的じゃ…
――その疑問を吹き飛ばすように、なのはの砲撃が地上に向かって降り注ぐ。
「スターライト、ブレイカー!!!」
情報の齟齬。
状況の混乱。
認識の揺らぎ。
それらすべての疑問が、数秒後に地上に訪れる光の奔流を前に消え去る。
そう、なんだっていい。
最終的に勝つのは、私たち。
そう悩みを振り切った私は、数秒後の衝撃に備えつつ、盾を構えるユウトを見つめる。
そして、眩い閃光が私たちを襲った。
時間にして5秒くらい。
爆風が晴れ
【エースの撃墜を確認。試合終了です。勝者はーーーー」
「………ふう。」
私は、無傷のまま、試合終了のアナウンスを聞いていた。
side-ヴィータ
スターライトブレイカーが放たれた瞬間、待機室のモニターが一斉に明るく染まった。
砲撃が地上に向かって降り注ぐ。
「――あれが、なのはのブレイカー……!」
アリシアが息を呑む。
「空から地上に向けて、着弾まで五秒といったところか。しかし、いつみてもすさまじいな……あれはもはや正面からはどうにもならん」
「そうやな……」
シグナムがつぶやき、はやても小さくうなずく。
「すでに発射済みやし、ブレイカーの密度と範囲、ともに三倍以上。ユウトくんらが散開しても、最低でも二人は確実に巻き込まれる計算……ごめんな、ヴィータ。やっぱ私らの勝利やな?」
「どうかな、はやて…」
勝利を確信したはやて、そこに待ったがかかる。
「ん?クロノくんはまだユウトくん達に勝ち筋があるって思ってるん?」
「いや、確信はしてない。けどーーわざわざ幻術魔法でユウトとヴァイス陸士の位置を誤認させたんだ。ユウトが攻撃するそぶりを見せない以上、残ったヴァイス陸士にもなにか動きがあるはずだ…」
「そうはいっても、ヴァイスさんの位置からなのはちゃんを狙うにはブレイカーの収束砲撃を貫通しなあかんで?」
「まあ、それはそうだけど……ほら、ヴァイス陸士は動いたぞ。……ん?」
「あ、ほんまや……けどこれってーー」
「「ユウト(くん)とフェイト(ちゃん)の方に狙撃…??」
思わず、口元を歪ませて笑う。
最初から高町なのはと戦うなら意識しなければならないまさに必殺技。
それの対策の一つや二つ…考えないわけがない。
はやてのほうは、決まれば勝ちだと思ってるみたいだがーー
「まだ見せてねぇぜ。ユウトのとっておき」
「とっておき……?」
アリシアがきょとんとした瞬間、モニターの中でそれが展開された。
映像の中のユウトが左腕を掲げる。
展開されたのは――見慣れた六枚の薄い魔力盾、エスカッシャン。
「……ここでカートリッジを使う方の防御魔法? でも、なんのために…」
はやてが言いかけた、その瞬間。
「違うぜはやて。これは……ただの防御魔法じゃねえ!」
六枚の盾が、さらにカートリッジを使用され一点に収束する。
残された全カートリッジの魔力が流し込まれ――
形成されたのは、一枚の手のひらサイズの盾。
「闇の書事件の、アダムとの戦いで見せた技か!」
「おうとも、展開スピードが遅いし、発生範囲も極小のもはや盾とすらいえない魔法…だけどその本質は!」
その名も――
《インカッシャン》
それはまるで、鏡のような輝きで――
ーー差し込む光を反射する。
ヴァイスの狙撃がユウトの手の平に吸い込まれるように届き、そしてありえない軌道で跳ね返る。
数秒の照射の末、盾は砕け、ユウトの手を貫通。
それと同時に。
ーープツン
「あかん……なのはちゃんの魔力に、機材の方が耐えられんかった……!!」
「というか、フィールドを維持する結界の方は大丈夫なのだろうか…」
「…映像、復旧しそうだよ!」
モニターが、ふわりと白から色を戻す。
事前の作戦どうり、一矢は報いた。
あとは、信じるだけーー
「どうなった…!?」
画面には、焦土のような地面と倒れた影が見える。
【特務隊チーム:ユウト・タカマチ 撃墜】
【特務隊チーム:ティーダ・ランスター 撃墜】
【特務隊チーム:ヴァイス・グランセニック 撃墜】
「ユウト達、全滅……!」
「いや、これは…」
【本局チーム:高町なのは 撃墜】
残るは、フェイトただ一人。
「どっちのエースが最初に撃墜されたかがカギだな…。ユウト達は、反射という技の性質上、硬化した魔力弾による一撃必殺ではなく照射する砲撃寄りの魔力弾で攻撃していた。」
「なのはを削りきれてはいたが、残りLIFEが多い分撃墜まで時間がかかる…」
「ブレイカーが降り注いだのと、なのはに狙撃が届いたのもほぼ同時に見えたよね…」
頼んだぞ、お前ら…
side-ユウト
光が、全てを呑み込んでいった。
星を撒き散らすような輝きが、空を焼き、地上を打ち抜く。
ヴァイスの狙撃を《インカッシャン》で反射して、なのはに叩き込むことはできた。
けれど反射の代償は大きく、砕けた盾ごとそのまま俺の手を貫通していった。
手の感覚はもうない。
足も……動かせない。
直撃は免れても、直下の爆風で地面に叩きつけられた。
ディジターが警告音を吐き出しているのも、遠くに聞こえる気がした。
【LIFE 0】
【特務隊チーム:ユウト・タカマチ 撃墜】
(……ヴァイス、ティーダさん…無事なわけないか……)
砲撃の中心に近かったのはあの二人だ。
ブレイカーに抗えるわけがない。
でも、もし――
希望があるとするなら…
【特務隊チーム: ティーダ・ランスター 撃墜】
「くっ……!」
(負け――)
ティーダさんが、落ちたならほぼ同じタイミングでヴァイスも撃墜されただろう。
つまり、俺たちのーーー
【本局チーム:高町なのは 撃墜】
「……っ!?」
(なのは……ってヴァイスは!?)
ブレイカーを放った直後、ヴァイスの反射した狙撃が直撃した。
さっきの《インカッシャン》が、なのはに届いていた。
視界も音も、断片的にしか感じ取れない。
けれど。
【特務隊チーム: ヴァイス・グランセニック 撃墜】
(ヴァイス…… ティーダさんより遅れて食らったのか……!)
残っているのは――
目の前のフェイトだけ。
だが――
勝敗は、
最後に残った人数じゃない。
スターライトブレイカー後、アナウンスが響く。
【エース判定を確認します……】
管理局チームエース:高町なのは
特務隊チームエース:ヴァイス・グランセニック
「……嘘!?ユウトでも、ティーダさんでもなく!?」
目の前のフェイトが驚く。
ここまで、ティーダさんや、俺をエースと勘違いさせるために立ち回ってきたおかげかな。
はやてとヴァイスが1対1に持ってかれたときは、もうだめかと思ったけど…
「つまり--」
【先の撃墜されたのは高町なのは…よって勝利チームはーーーー】
【勝者──特務隊チーム!!】