○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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入れ違い・すれ違い

フェイトと別れた後、

ユウトは帰宅するなり、ベッドに倒れ込んだ。

 

初めての実戦を終えたせいか、疲労が一気に押し寄せ、目を閉じた瞬間に意識が遠のいていった——。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして、気がつけば夕方。

 

窓の外には茜色の空が広がり、静かな風がカーテンを揺らしている。

 

ユウトはゆっくりと上半身を起こし、ぼんやりとした頭を振った。

 

「……少し休んだら、ずいぶん楽になったな」

 

体の痛みはまだ残っているものの、行動に支障はない程度だ。

 

ふと、胸ポケットに手を伸ばす。

 

そこには、今朝の戦いで手に入れたジュエルシードが収まっていた。

 

「……まだ、他にもあるはずだ」

 

立ち上がり、深呼吸を一つ。

決意を胸に、ユウトは窓の外を見つめる。

 

「……海に行ってみるか」

 

ディジターの話では、今手元にあるジュエルシードは、あくまでごく一部にすぎない。

 

まだ多くのジュエルシードがどこかに眠っていて、再び魔物を生み出す可能性もある——。

 

軽くストレッチをし、服を整えたユウトは、静かに家を出た。

 

目指すは、海——。

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウトが家を出た直後、高町家の玄関が開いた。

 

「ただいまー!」

 

元気な声とともに、高町なのはが駆け込んでくる。

 

その後に続くのは、母の桃子、父の士郎、兄の恭也、姉の美由希。

 

「ふう、やっぱり家が一番落ち着くな」

 

恭也が荷物を下ろし、肩を回す。

 

「なのは、ケガは大丈夫?まだ痛まない?」

 

「ううん、平気だよ。お姉ちゃん、それより冷蔵庫にお土産入れるの手伝ってー!」

 

「オッケー!」

 

(……そうだ、ユーノくん。あの子のことだけど——)

(うん……きっとあの子は……)

 

昼間の戦いのこと、黒い魔導師について、なのはとユーノは念話で話し合う。

 

——たぶん、私と同い年くらい。

綺麗な瞳に、綺麗な髪。……でも、悲しそうな顔だった。

何も言えないまま、あのまま戦うことになっちゃって……。

 

(ごめんね、ユーノくんの大事なジュエルシード、奪われちゃった……)

 

(いいんだ、なのはは悪くないよ。あの杖と衣装、そして魔法……間違いなく、僕と同じ世界の人間だ。

むしろ、初めての対人戦で、軽いケガで済んだのはすごいことだよ)

 

——あの子と戦えたのは、ユウトくんが襲われた時から、ユーノくんが対人戦の魔法も教えてくれてたおかげだよ。私は、なんにもすごくない。

 

(でも……今後、ジュエルシードを集めるなら……)

 

(うん、またあの子と戦うことになるかもしれない。次は手加減しないって言ってたし。

やっぱり、ここからは僕ひとりで——)

 

(だめ、ストップ!それ以上言ったら怒るよ!)

 

(でも、なのは……!)

 

(ジュエルシードを集めるの、最初はただのお手伝いだった。でも今は違う。

私の意思で、やりたいと思ってることなの。「自分なりの精一杯」じゃなくて、「本当の全力」でやりたい!)

 

(なのは……)

 

(だから、ユーノくんはいつも通りサポートして! もっと上手に魔法を使えるように、いろいろ教えて!

もちろん、レイジングハートもお願いね!)

 

(……うん、分かった!)

(『All right.』)

 

しばらくして休憩を終え、家族が荷物の後片付けを始めたころ——

 

桃子が、リビングのテーブルの上にふと目を留めた。

 

そこには、飲みかけの水が入ったコップが置かれていた。

 

「あら……?」

 

リビングを見渡す桃子。

カーペットには小さな足跡、ソファのクッションは少し崩れている。

キッチンには、使われた食器が洗われて並んでいた。

 

「ねぇ……もしかして、ユウトくん、目を覚ましたんじゃない?」

 

その一言に、家族全員の動きが止まる。

 

「えっ!?」

 

なのはが振り返り、恭也も美由希も一瞬言葉を失う。

そして、次の瞬間には階段を駆け上がっていた。

 

「ユウト、起きてるの!?」 「ユウト、平気か!?」

 

なのはも慌ててその後を追う。

 

しかし——

ユウトの部屋のドアを開けると、そこに彼の姿はなかった。

 

「……いない?」

 

困惑したように、美由希が部屋を見回す。

 

ベッドは乱れており、誰かが寝ていた痕跡はある。

だが、今は誰もいない。

 

「どこかに出かけたのか……?」

 

恭也が眉をひそめながら、窓の外を見つめた。

 

ユウトがどこへ行ったのかは分からない。

けれど——

 

「ユウトくん……きっと、無事に戻ってくるよね……?」

 

そう呟いたなのはの声には、少しだけ不安の色がにじんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

ユウトは家を出て、夕暮れの海へと足を向けた。

 

海の風は冷たく、頬を優しくかすめていく。

海沿いの道を歩きながら、彼の視線は警戒するように周囲を探っていた。

 

手にしたデバイスが、静かに重みを主張してくる。

 

「森の次は、海かと思ったけど……やっぱりな」

 

そう呟いたユウトが海の方へ視線を向けた、そのとき——

波打ち際のあたりから、不穏な気配が漂ってきた。

 

海中には、高濃度の魔力が溶け込んでいる。

 

「……当たりだな」

 

ユウトはすぐに足を止め、デバイスを構えた。

 

その瞬間、海面が激しく弾け、黒く歪んだ魔物が姿を現した。

ジュエルシードによって生み出された、頭がふたつある鮫のような怪物だ。

 

「来るか……ディジター、結界を頼む!」

 

『はい、展開します』

 

ユウトは深く息を吸い、デバイスを振る。

 

トンファー型のデバイスから光が走り、魔法陣が展開された。

 

「——コンバット、フラッシュエッジ!」

 

『Combat mode, setup』

 

『Flush Edge』

 

近接戦闘モードへと変形したトンファーから、光の刃が放たれる。

ユウトはその刃をブーメランのように魔物へ投げつけた。

 

だが魔物は素早く、それを回避する。

 

「くっ……!」

 

魔物は跳躍し、鋭い牙でユウトに襲いかかってくる。

ユウトはとっさにトンファーで受け止めるが、その力に押されて足が沈みそうになる。

 

「どんだけ馬鹿力なんだよっ……!」

 

魔物は空を泳ぐようにして再び飛びかかってきた。

ユウトはためらわずに跳躍し、間合いを取る。

 

だが、魔物はその隙を逃さず追撃を仕掛けてきた。

 

「そこ、危ないぜ……!」

 

次の瞬間、さっきユウトがいた場所に、放物線を描いて戻ってきた光の刃が魔物の背後から襲いかかる。

 

「——これで、封印だ!」

 

ユウトはすかさず魔物に近づき、力を込めてデバイスを振りかざす。

 

強烈な光が放たれ、魔物に直撃。

鈍い音を立てて地面に倒れ込むと、魔物は静かに霧のように消えていった。

海面には波紋だけが広がる。

 

「……やった」

 

ユウトはその場に立ち尽くし、荒い息を整えた。

 

「ふぅ……封印完了、っと。って、頭ひとつにつき1個ってことか?一気に2つゲットかよ」

 

デバイスを見つめたユウトが空を仰いだ、そのとき——

大きな魔力反応が周囲に現れる。

 

「なんだ……!?」

 

『マスター、海中に先ほどと似た魔力反応が5つ……すべて、ジュエルシードです!』

 

「……5つ!?」

 

『幸い、いずれも未活性状態で、すぐに暴走する危険はありません。しかし確保には、一度活性化させてから封印する必要があります』

 

「ってことは、5体まとめて相手しなきゃいけないってことか……」

 

『マスターの魔力量では、すべてを一度に相手取るのは困難です。ここは退却し、策を練るべきかと』

 

「……ま、仕方ねぇか。

でも5つの所在が分かっただけでも収穫だな。とりあえず、毎日ここに通って、1つずつ封印する方法を考えるか……」

 

そう言ったユウトは、ふと気づく。

自分が、戦わずに済んだことに少し安心していたことに——。

 

その瞬間、体から力が抜け、近くの木にもたれかかる。

 

『やはり、朝の戦闘の疲労が残っていたのでしょうか。魔力の消費も、今日1日でかなりのものです。今日は帰宅して、休養を——』

 

「……ごめん、もう帰る体力も残ってないや。

一旦ここで休むわ。それと、明日からしばらく家には戻らない。ジュエルシード探す。

士郎さんには……友達の家に泊まるって連絡、頼めるか?」

 

『……ここで寝るのですか?

まぁ、承知しました。何かあれば起こしますので、どうかゆっくりお休みください』

 

ユウトは木陰に身を預け、そっと目を閉じた——。




ユウトは高町家から一時離脱です

なのはとユーノはユウトが魔法関連で誰かに襲われたことを知っていたので原作よりも修行に力が入ってました、なので普通にフェイトと互角レベルに戦えました。

たぶん次話からだいぶ原作と流れ変わって行くかもです
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