○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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決着と

「どうやって……私のブレイカーを避けたの、フェイトちゃん……?」

 

なのはの問いに、フェイトは静かに答えた。

 

「幻術魔法で作った偽物にあなたの砲撃を撃たせて……背後から致命の一撃を狙った。これは……ユウトが考えていた、対・あなた専用の戦術。もともとは、あなたのディバインバスターを対策するためのものだった……バインドで、上手くできなかったけど…2度目の砲撃は通させない…」

 

「そっか……ユウトくんが……」

 

なのはは、ふっと苦笑する。

 

「やっぱり、私のこと、よく分かってるんだね。にゃはは……」

 

困ったような笑みを浮かべた彼女の声には、少しだけあたたかさがあった。

 

フェイトは静かに問いかけた。

 

「……それで、私の勝ちで……いい?」

 

なのはは頷き、そっとレイジングハートを構える。

 

「うん。レイジングハート、お願い」

 

《Put out》

 

デバイスの声とともに、レイジングハートからジュエルシードが全て排出される。

 

「……驚いた。もっと抵抗されると思ってた」

 

フェイトがそう言うと、なのはは目を伏せ、微笑む。

 

「真剣勝負でちゃんとぶつかり合った結果だもん。悔しいけど、でも……フェイトちゃん、今はもう、前を向いてる。だからね……信じたの。きっと悪いことに使わないようにしてくれるって」

 

「……ありがとう」

 

フェイトは自分の持っていたジュエルシードも取り出し、物質転送の準備に入る。

 

だが、その時――

 

「ねえ、フェイトちゃん」

 

「……なに?」

 

「今度会ったとき、私たち……きっと、友達になれると思うんだ」

 

フェイトは一瞬驚いたように目を見開き、そして、少しだけ笑った。

 

「……そうなれたら、私も……うれしい、かな」

 

その瞬間――

 

空間に複数の魔法陣が展開される。そこから次々と現れたのは、無人の魔導兵たち。

 

「……これは、母さんの……魔道兵!?

 

フェイトが目を見張る。暴走するかのように動き出した魔導兵たちは、無差別に周囲を攻撃し始める。

 

「フェイトちゃんのお母さんの……!? でも、どうして――?」

 

困惑するなのはとフェイト。

 

だが、次の瞬間――

 

「――っ!!」

 

閃光が走る。

 

その一条の光が、なのはとフェイトの身体を、容赦なく貫いた。

 

「なのはっ!!」「フェイトッ!!」

 

ユーノとアルフが叫びながら、閃光が飛来した方角へと視線を向ける。

 

そこにいたのは――

 

「……ユウト……?」

 

戦場を離れ、海に沈んだはずの少年が、デバイスを構え、こちらを狙っていた…

 

そして――

 

「……ッ来る!」

光が再び放たれる。

 

ユウトのデバイスから二度目の砲撃が発射され、容赦なくユーノたちへと向かう。

 

「危ないっ!」

ユーノが即座に防壁を展開し、自分とアルフを守る。

 

その隙に、アルフは素早く墜落したなのはとフェイトの身体を受け止め、地面に転がらぬよう優しく支えた。

 

「……あんた! なんで撃ったんだよ! フェイトは勝ったじゃないか! なのはだって、ジュエルシードを渡した! それなのに……どうして……!!」

 

アルフの怒りの声が響く中、ユウトは淡々と答える。

 

「……すまん、アルフ。何も聞くな」

 

ユーノ達が攻撃に怯み足を止めている、そのわずかな間隙――

 

ユウトは高速飛行で接近し、デバイスを持っていない左手に魔力を集中させる。

 

「……っ!」

炸裂した魔力が激しい閃光を放ち、ユーノたちの視界を奪う。

 

「ジュエルシード……全て回収」

 

手早く、すべてのジュエルシードを回収したユウトは、静かに呟いた。

 

「じゃあな……」

 

そして彼の姿は、転移魔法の光とともに、闇の中へと消え去った。

 

転移した先でも彼は即座に複数回の転移を繰り返し、時空管理局の追跡を困難にする。

 

「くそっ……やられた……!」

 

クロノの低い声が、アースラ艦内の通信を通じて響いた。

 

「ユウトの魔力反応、ロスト……追跡は不可能だ」

 

直後、モニターの各所に魔導兵の暴走反応が表示される。

 

「突入部隊各位、魔導兵の対処を優先! 一体たりとも逃がすな!」

 

「「「了解ッ!」」」

 

通信が一斉に応答し、戦場は再び激しい音に包まれていった――。

 

アルフは襲いかかる魔導兵を次々と打ち倒しながら、倒れたフェイトのもとへ駆け寄る。

 

「……フェイト! フェイト、しっかりして……っ!」

 

彼女の肩を揺さぶる手は焦りと怒りに震えていた。

 

「くそっ……プレシアとユウトのやつ……最初から、これが狙いだったってのかよ……!? でも、一体なんでだ……!?」

 

その時、小さく、かすかな声が返ってきた。

 

「……ある、ふ……」

 

「……っ! フェイト! 怪我は!? どこか、ひどい傷は……!?」

 

「ちょっと……痛いけど……平気、だよ……それより……ジュエルシードは……」

 

「ユウトが……全部持ってった……!」

 

フェイトは小さく、ふっと笑みを浮かべた。

 

「……そっか……それなら……一安心……だね……」

 

「なに言ってんだよ! どこが“一安心”なんだよ!? あいつ……あんたを撃ったんだよ! フェイト! あいつは……!」

 

アルフの声が震える。

 

フェイトはゆっくりと瞬きをして、かすかに微笑んだ。

 

「……きっと……何か、考えが……あったんだよ……ユウトは……」

 

「フェイト!! しっかりしてよ!! ……くそっ、なんでこんなことに……!」

 

抱きしめた主の身体は、かすかに熱を持っていた。

 

アルフは牙を食いしばり、目の奥に怒りと悲しみを滲ませながら、目の前の敵を睨みつける――。

 

 

 

ーー戦場に、新たな気配が走る。

 

「……ここからは、僕も出る!」

 

クロノ・ハラオウンが空間に姿を現し、すかさず魔力を込めた。

 

「スティンガー・スナイプ!」

 

『Stinger Snipe.』

 

魔力の一閃が放たれ、たった一度の射撃で複数の魔導兵のコアを正確に貫く。その動きには一切の無駄がなく、完璧な精度を誇っていた。

クロノは戦場を見渡しつつ、フェイトを抱えるアルフへと声をかける。

 

「……君は、アルフと言ったな。」

 

アルフが敵意を含んだ目で彼を睨む。

 

「……あんたは、管理局の執務官……」

 

「そうだ。君たちがこれ以上抵抗しないのであれば、治療と保護の準備はできている。……どうする?」

 

アルフはフェイトの傷を見下ろし、苦悶の表情で歯を食いしばった。だが、すでに選択の余地はなかった。

 

「……ああ、私とフェイトは……あんたたちに投降する。」

 

クロノはわずかに頷きながら、言葉を続ける。

 

「悪いようにはしない。ただし、君たちの関わった計画については後で詳しく聞かせてもらうことになる……とりあえず今は下がってくれ。ユーノたちと合流を。」

 

「……了解。頼んだよ。」

 

アルフはフェイトの体をしっかりと抱きかかえ、よろめきながら戦場を後にする。ユーノが彼女に寄り添い、なのはも傷を抱えたまま後を追った。

 

クロノはその背を見送りつつ、静かにデバイスを構え直す。

 

「さて……これ以上、好きにはさせない。」

 

その言葉と共に、時空管理局の部隊が戦場に展開する。残存する魔導兵たちが咆哮を上げ、次々に襲いかかってくる。

 

「全隊、魔導兵の掃討を優先!」

 

「「了解!」」

 

指揮のもと、部隊は一糸乱れぬ動きで布陣し、迎撃を開始。クロノはその隙を縫い、鎖の魔法で動きを封じる。

 

「バインド!」

 

一瞬の硬直を作り出し、すかさず仲間の魔導師たちが集中砲火を浴びせる。次々と魔導兵が爆散し、光の残滓とともに消えていった。

 

そして――

 

戦場に静寂が戻る。

 

魔導兵の気配は、もうどこにもなかった。

 

クロノはひとつ、深く息を吐いた。

 

「数が多すぎた……時間稼ぎが狙いか……。」

 

彼はふと、ユウトが消えていった方角に目を向ける。

 

「ユウト……君の狙いは一体、何なんだ……?」

 

夜空に浮かぶ薄い光の名残を見上げながら、クロノは小さく呟いた。

 

その問いに答える者は、誰もいなかった。

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