○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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デバイス ディジターのイメージ図 雑だけど書きました。
モチーフはまんま英雄伝説のロイドのトンファーです
【挿絵表示】



悲劇の日

伯父からディジターを授かったあの日から、すでに2年の月日が流れた。

 

仕事仲間の先輩方はみな気さくで、直ぐに打ち解けることができた。

最近は1人での仕事も任されることが増え、やることがかなり多くなった。

 

『マスター、そこになにか魔力反応がありますよ。』

 

ディジターに声をかけられ、

並列思考を切り、足元を見ると地面になにかが埋まっているように隆起している。

傷をつけないように掘り出してみると……

 

「これは……鍵?」

 

どうやら今回発掘した遺物はなにかにつかう鍵のようなものだった。

 

使われているレリーフのデザインや形を見て恐らく古代ベルカ時代より前のもの古い時代のものだろうか…。しかし、特に目を引くのがその大きさだ。

 

通常の杖型のデバイスぐらいの大きさはあるだろう。こんな大きい鍵をつかう扉の大きさとはいったいどれくらいなのか疑問に思う。

とりあえず近くにいた調査員達に声をかけ遺物を調べてもらいながら伯父を呼びに行く。

 

そうすると、前から女性の調査員に声をかけられた。

 

「おや、ユウトくん。そんな急いでどうしたんですか?」

 

「実は……」

 

女性に鍵のような遺物を発見したこと、いまから伯父にそれを教えに行くことを簡潔に伝えその場を後にする。

 

「なるほど、それはお手柄ですね。私も見に行ってきます。」

 

そう言うと女性は微笑みながら歩きだした。

それにしても綺麗な女性だ。

 

なんというか、少し話しただけで、職人肌の豪快な性格が多いうちの職場には似合わない人だと感じた。

どこかで見覚えがあるように感じたが、少し疑問に思う。

 

「あんな綺麗な人、うちの調査隊にいたっけ……?」

 

そう考えながら伯父の元に向かう

伯父は以前展示会にもっていったい遺物のデータを解析していた。

 

「伯父さん、新しい遺物が発見されました。是非ご確認ください」

 

「おお、ユート。新しい遺物じゃと?」

 

『マスターが発掘したんですよ。ガーメル』

 

「なんじゃと?」

 

驚いた表情でこちらを見つめる伯父

コロコロと表情を変え一人百面相している伯父にとりあえず現物を見に発掘現場の方に来て欲しいと伝える。

 

伯父は直ぐに準備を終え、自分に声をかけ現場に向かった。

 

「それにしても、遺物を発掘するとは大手柄じゃのユウト。」

 

「ほとんどディジターのおかげだけどね」

 

とはいえ、伯父に褒められるのは少し嬉しい。ここ数年は毎日が楽しいと感じている

 

あの日展覧会に行き、ユーノと出会いディジターを受け取った日からなにかが変わった気がしている。

ユーノとはあの後遺跡発掘の現場で何度か顔を合わせたことで仲直りし、いまではちょくちょく遊びに行く仲だ。クロノも最近執務官試験に合格したらしく、よくメールをくれるようになった。

 

伯父さんには、仕事を任されることもあり、自分が必要とされることがとても嬉しいと思う。

職場にいる先輩方には、お昼ご飯を奢ってもらったり、空いた時間に魔法の練習に付き合ってもらったりしている。

 

2年前の自分が今の明るくなった自分をみたら、きっと驚くだろう。そんなことを考えていたら現場についた。

 

「お、ユート!!今回の遺物すごいな!かなりの大物じゃないか??]

「なんじゃと?」

 

「お、所長!それがどうもこの遺物、所長が発掘した遺物と同じ年代のもののようでしてね!レリーフのデザインに使われているこの花弁なんですが……」

 

「ふむ、確かに先史時代の王族に好んで使われたデザインと同じじゃな。む……?ここの花のデザインだけかけているようじゃが?」

 

「ああ、それはきっと…「すみません、所長」」

 

「ん?どうした?」

 

「あ、さっきのお姉さん」

 

どうやら声をかけたのはさっきの女性調査員のようだ。

にこやかな表情でこちらを見ている

 

「む、お前さんみたいなべっぴんさんうちにいたか? 」

 

「なにいってんだ、所長。この人あんたが先週新しく雇ったんじゃなかったっけ?」

 

「いやいや、こんな綺麗な人見たことないぞわし。」

 

そんな空気を気にせず女性は話し出す。

 

「ガーメル所長、この場にいる皆さん。実はお伝えしなければならないことがあるのです。」

不穏な気配を感じ取ったのが周りにいる調査員も少しザワザワと騒ぎ出す。

 

渦中にいる女性は1呼吸置いてから言い放った。

「皆さんには、ご退場いただきます。」

そう言うと女は指を鳴らすと同時に爆音がなり、

突然天井に穴があき岩が落ちてくる

 

「ディジター!」

 

『standby ready, set up』

 

バリアジャケットを纏い、ディジターを待機状態からトンファー形状のデバイスフォームに変形させる。

まずは、落石に対処しないと……!

 

「ディジター、シールド展開!」

『round shild』

 

とりあえずこれで落石はある程度防げた。

状況はどうなってる……!?

 

「ユウト!大変だ所長があの女に連れていかれた!!」

 

先輩が焦った顔でこっちに叫んでいる。その後ろに誰かが立って何かを振り上げている

 

「先輩!うしろ!!」

 

「え……?」

 

そのまま後ろにたっていた何者かは腕を振り下ろした。

先輩は驚いた表情のまま鋭い刃物で切断されたかのように上半身だけが地面に崩れ落ちた

 

「ふん、人間の体とはこうも脆いのか……つまらんな」

 

2人目の襲撃者は何事もなかったように腕の調子を確かめるように手首を動かしながら呟いた。

 

「お前達、何者だ!?」

 

「今から死ぬお前に答える必要は無いな」

 

『マスター、危険です!この場から離脱を!!』

 

「逃がすと思っているのか?」

 

先輩の顔が地面に転がっている

先輩は優しくて人に好かれる人だった。

気配りが上手くて、あまり口数の多くない自分にも遊びに連れていってくれた。今度気になる女性とデートに行くんだ、と自慢げに笑っていた先輩

 

「お前、よくも!!」

こんな簡単に、人を殺せるなんて…

 

「なんだ、言いたいことがあるならハッキリいったらどうだ?命乞いでもするか?まぁ見逃すつもりはないが。」

 

『マスター、早く撤退を!!』

 

襲撃者は飄々とした態度でこちらを見ている。いまなら、油断した相手に一発ぐらいなら叩き込めるだろうか。

パートナーであるデバイスは主人を心配して撤退を促しているが、、、、

「ふざけんな!」

気づいたら、拳から血が滴っていた

いまはただ、この衝動を目の前の相手にぶつける。

 

「ごめん、ディジター」

 

「む……?」

 

『マスター!?』

 

足裏に魔力を練り上げ爆発させ、襲撃者に向かって走り出すと共に急速に加速する

 

どうやら此方が向かってくるとは予想もしていなかったようだ。

驚いた表情で体が硬直している。

デバイスの先端を相手のみぞおちに流れるように合わせそのまま体ごと突っ込む

 

「ぶっ飛べ!!」

 

ゴオンッ、と重い鉄同士がぶつかったような鈍い音が相手の腹部から響き、そのまま吹き飛ばす。

相手の体は壁に埋まり…土煙が辺りを漂う

 

「貴様…」

 

直ぐに穴から抜け、何事も無かったかのように片手で土を払う相手

どうやらまだまだ平気なようだ

 

先程の感触からして普通の肉体では無いな……と心の中で舌打ちする

ならばと、魔力によるノックアウトを狙い魔力の練り上げながら接近する

 

しかし、すでに動きが読まれているのか簡単に避けられ、腕を捕まれそのまま投げられる

 

「がっ……」

 

いったいどんな膂力なのだろうか

投げられた己の体は遺跡の壁を何枚も突き破り外に投げ出される

 

『マスター!!』

 

ディジターが地面に落ちる寸前にシールドを展開し、頭から落ちることは回避出来た。

 

「ごめん、助かった……」

 

『そんなことより早く逃げてください!また奴がきます!』

 

遺跡の中から悲鳴のような声が聞こえる。

徐々に悲鳴の発生源が近くなっている。

 

「ごめん、ディジターたとえ勝てなくても、誰かが逃げ切る時間ぐらいは稼ぎたい。」

 

『あくまで、逃げないのですね』

 

「ああ……付き合ってくれる?」

 

『あくまで私はあなたのパートナーですから。最後の時までお供しますよ』

 

「そっか……ありがとう」

 

『combat mode 』

 

魔力ブレードを展開し、襲撃者に備える。

しばらくすると中から先程の襲撃者が出てきた。

 

遺跡の中ではよく見えなかったが青い戦闘用のスーツをきた女のようだ

それに先程攻撃した場所から機械のネジやボルトのパーツのような物が飛び出している。

 

「ロボットか…?」

 

「ふん…どちらかと言えばサイボーグだ」

 

「あんま違いがわかんないけど?」

 

軽口をたたきながら接近する

『force boost』

 

先程の戦闘と異なりデバイスとの意思疎通による、最適化された魔法により更なる加速力を得る

しかし

 

「ふむ…なかなか素早いが攻撃がワンパターンで単調だな。つまらん」

 

いとも容易くいなされ、鋭いカウンターの一撃を繰り出され、姿勢が崩れる。無理な姿勢で避けたせいか右肩が大きく裂け、プシュッと赤いものがしぶきのように噴出した。。

 

「ふむ、手首を狙ったが、だいぶ逸れたな…。」

 

そう愚痴りながらも女はこちらに追撃を行う

 

『protection』

 

ディジターが自己判断で魔法を発動し、体をドーム状のバリアがつつみ衝撃を和らげる、が直ぐに破壊され殴り飛ばされる

 

「ぐわっ…」

 

5mは吹き飛ばされただろうか

体は地面に何度もバウンドしてボロ雑巾のように転がる

 

「ふん、その程度の力で何故私に立ち向かう?貴様程度何時でも殺せるのだぞ?」

 

無表情のまま女が近づいてくる

近接戦闘では勝ち目がないか…なら

 

「ディジター!」

『canon mode』

 

いまできる最大火力で遠距離から叩き潰せば!

 

「フォースバスター・フルパワー、ファイア!」

『Force Buster Full Power』

 

「ふん、少しは考えたようだが…」

 

なにかを呟いていた女を紫の光が包み込む

 

何かをしようとしていたようだが、あの砲撃の中で無事ではあるまい。魔力不足による体のふらつきに床に倒れそうになりながら

そう安心しようとしたその時

 

後ろから気配を感じた

 

「ッ…!」

 

振り返りながらデバイスを装着した右腕を振るうが、、、

「太刀筋が甘い」

 

大振りな攻撃は片腕で防がれ、残った腕で そのまま腹を貫かれる

 

『マスター!』

 

「ふん、終わったな…」

 

そのまま、投げ飛ばされる

 

「げ、げぼっ、ごぼっ、ごっ、お゛っ、……っ……ッ……、……!」

体に力が入らない…

もはや立つことすらままならない

 

「逃げずに立ち向かった褒美だ、苦しまずに楽にしてやる」

 

女がゆっくりと歩いてくる

 

はやく、立たなきゃ…

 

動け でなければ死ぬ

動け でなければまた失う

 

アタマから声が響く

 

頼む…動いてくれ…何度もそう願っても体はビクともしない

もはやこれまでか…諦めかけたその時、第三者の声が遠くから聞こえてきた

 

「あらトーレ、何してるの?」

 

なんとか顔だけ動かし、声の主を確認すると、研究所の方から女が歩いてくる

先程の研究者のフリをした女のようだ。

「こちらは、こいつを始末すればミッションは終了だ。それよりドゥーエ、お前の方こそ目的は?」

「ええ、もちろん完了よ?ほらっ」

 

ドゥーエと呼ばれた女は、嬉しそうに遺物を見せる

 

自分が発掘した遺物と伯父が発掘した遺物が何やら組み合わさったような巨大な門のような形をしている

遠くから見ても2mはありそうな遺物だか、片手で持ち上げているところを見るにこちらもかなりの剛腕の持ち主のようだ

そしてもう片方の手には…

 

「遺物と博士の亡骸両方ちゃんとあるわよ。」

 

そこには何も言わなくなった伯父の姿があった

胸から血が流れ落ち、無理やり引きずって運ばれてきたのか下半身は普段と逆に曲がっている

 

『ガーメル!?』

 

自分の愛機が叫ぶ声が聞こえてくる

 

物言わなくなった伯父を見ていると頭の中が空っぽになっていくのを感じる

瞬間、世界が色褪せていく

 

「む…?」「あら…?」

『マスター…?』

 

2人と一機が不思議そうな声を上げた

いったいどうしたの言うのだろう

 

頭の中で声が響く

動け、動け、動け

 

おなじ言葉が何度も響き渡る

 

耳鳴りがする。心臓が高く鳴る。

全身が熱い。

 

 何かが、弾けた。

 

そして気づけば、体が空を舞っていた

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