○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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祝福の風と希望の光

エクセリオンバスターを直撃させ肩で息をするなのは。

(……これで……止まって……!)

 

だが――

 

煙が晴れた先に立っていたのは、なおも崩れぬ闇の書の意思の姿だった。

 

装甲の一部が砕けていたが、その体には傷一つ無く。

ただ、無情に、なのはを見下ろしていた。

 

「……っ!」

 

「もう、ナハトを抑えられない…これで眠れ…!!!」

赤黒いエネルギーの刃が、闇の書の意思の腕に形成される。

その刃が振り下ろされようとした――まさに、その時。

 

 

 

「っさせないっ!!」

 

空間を裂くように、眩い雷光が閃いた。

 

「――っ!?」

 

刃が止まる。

闇の書の意思の腕が、その場で硬直した。

 

なのはの目に映ったのは、光の大剣を手に、金色の軌跡を描いて飛来する友の姿――

 

「フェイト……ちゃん……!!」

 

雷鳴の如き衝撃。

バルディッシュが、闇の刃を打ち払うように振るわれる。

フェイトの姿は以前と変わりなくライトニングフォームと同系統の姿

 

しかし、心の進化の影響により、黒いマントは白く変わり力強い輝きを手にしていた。

 

ガキィィィン――

 

金色と漆黒の斬撃が衝突し、魔力の余波が空間を震わせる。

 

フェイトは、一瞬の隙をついて、なのはを強く抱きかかえ、そのまま後方へと跳躍。

 

「ごめん、遅くなった――なのは!」

 

「……フェイトちゃん……!」

 

並び立つ2人に対して攻撃を仕掛けようとする闇の書の意思だったが…突如武器として変化させていたナハトヴァールが姿を黒い触手のような姿に戻り出す…

 

「…ッ!」

 

それと同時に闇の書の中に残された意識もまた…目覚める

 

 

ーー思い出した…全部思い出した…!

 

【…主!?】

 

ーー何があったか…なんでこんなことなってもうたか…

 

【主…どうか再びお休みを、我が主!あと数分もしないうち、私は私の呪いであなたを殺してしまいます。せめて心だけでも幸せな夢の中で…!】

 

ーー優しい気持ちありがとう…せやけどそれはあかん…!

 

ーー私らみんなよう似てる。ずっと寂しい思いして悲しい思いしてきたけど…せやけど忘れたらあかん…あなたのマスターはいまは私で、あなたは私の子や…

 

【ですが…ナハトはもう止まりません、暴走ももう…!】

 

心象世界の中で涙を流しながらはやてにしがみつく闇の書の意思。

 

泣きながら精神世界ではやてに抱きつく闇の書の意思にはやては幼子を宥めるように、頭を撫でながら諭す

 

ーー悪いこと…したら謝らなあかん…せや、私も一緒になのはちゃんや…ユウトくんに、謝ったる…だから

 

泣きじゃくる姿にはやては決意を固め、己の意思で闇の書を制御していく。

 

やがて、はやての足元からは魔法陣が開かれていく。

 

『「止まって…!」』

 

 

 

 

その様子は外にいるなのは達にも伝わっていく。

 

なのはとフェイトは苦しむ闇の書の意思の姿に思わず息を飲んでいると…突然声が響く。

 

『外で戦ってる方 すみません協力してください!』

 

「この声…はやてちゃん!?」

 

『この子に取り憑いてる黒い塊を、…!』

 

「うぁ、うぁぁぁぁぁぁ!」

 

右腕に抑えていた黒い触手…ナハトヴァールの制御が解かれ飲み込まれていく闇の書の意思の姿。

 

 

ーその時、通信が入る

 

『なのは…フェイト!』

 

「ユーノくん!?」

 

『融合状態で主が意識を保っている…今なら防衛システムを融合騎から取り外せるかもしれない』

 

「どうすれば…!?」

 

『2人の純粋魔力砲で…ぶっ飛ばして!!』

 

「さすがユーノ!」

「分かりやすいね、レイジングハート!」

 

『全くです』

 

静かな夜空に、二つの光が背中合わせに立つ。

なのはとフェイト――数えきれない修羅場を共に越えてきた、親友。

 

風を切る音すら静まったような一瞬、二人は言葉なく頷き合い、それぞれのデバイスを掲げる。

 

「Drive…Ignition!」

 

レイジングハートとバルディッシュが高く輝き、異なる魔力色が空間を満たしていく。

 

なのはの柔らかなピンク色、フェイトの鋭い金色――

その二つが交じり合い、まるで巨大な花弁が空に咲くように、輝く魔法陣が展開された。

 

「フェイトちゃん、いくよ…!」

 

「うん、合わせる!」

 

二人の声に呼応するように、魔法陣がさらに輝きを増し、周囲の空気を振るわせる。

それはただの連携砲撃ではない。二人の想いと絆が形になった、はやてを救いたいという想いの結晶。

 

刻まれる準備時間は、わずか数秒。暴走する意識のなか、はやては闇の書の意思に語り掛ける

 

ーー名前をあげる。呪われ闇の書なんてもう呼ばせへん

 

ーーずっと考えてた名前や……

 

ーー強く支えるもの、幸運の追い風、祝福のエール

 

ーーリイン、フォース!!

 

 

暴れ出す闇を、前になのはとフェイトは全力を持って答える

 

「N&F 中距離殲滅コンビネーション……」

 

「ブラストカラミティッ!」

 

「「ファイアーーー!!!!」」

巨大な閃光が打ち出され…世界が光に包まれる。

 

宇宙に浮かぶアースラからでも、その光は確認されているがーー

 

「防衛プログラム…管制機との分離出来てません…!未だ健在です…!」

 

「そんな…このままじゃ、あの二人は!」

 

「…大丈夫だよ。」

 

「…!?アリシアちゃん、どうして…?」

 

「だって、私やフェイトを救ってくれた…ユウト(希望)が残ってる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなッ…!?」

「まだっ、届かないのッ!?」

 

2人の砲撃に耐えきったナハトヴァールは2人に襲いかかろうとするがーーーはるか上空、高度100km付近、カーマラインから一筋の、光が煌めく。

 

 

 

闇夜の中、はるか上空から自由落下していたユウトの足元から風が渦巻くように吹き抜ける。

 

「ディジター、いけるな!」

 

『Long-range strike is ready.』

 

風を断ち切るように、ユウトは両手に構えたデバイスを連結させる。

一瞬の変形――次の瞬間には巨大な狙撃銃へと姿を変えていた。

 

『SNIPE FORM』

 

排出されるカートリッジ――ガチャリ、ガチャリと魔力の奔流を呼び起こしながら、12発分の弾倉が全て消費されていく。

 

「デバイス連結、威力収束…カートリッジ、オーバーロード!!」

 

光が集まり、砲口が熱を帯びる。視界の隅で、うごめく触手のような怪物が光の砲撃に耐えて、なのは達を今にも襲い掛からんと移動を始めていた。

 

ユウトは重力と風、あらゆる条件をもとに己の愛機と共に演算を開始する。

 

「出力修正…弾道予測…距離計算――」

 

狙うのは、闇の書の核。破壊すれば、行動ルーチンの大半が麻痺するはず。

 

闇がその魔力を発散させんとしたその瞬間――

 

「射撃……今!!」

 

『Snipe Shooting』

 

放たれた光の弾は、狙撃というにはあまりに巨大。

射線を貫く魔力の奔流が空を裂き、闇を捉えた。

 

巨大な光の柱が空から降り注ぎ、

闇を切り裂いていく

 

「ユウトくん…すごい!」

 

『管制ユニットに探知されないようにカーマラインからの超遠距離狙撃…全く無茶して…!!でもこれなら……うん、管制ユニットと防衛ユニット分離確認できた!』

 

 

 

その一撃により、自由を取り戻したはやては…闇の書を書き換えていく

 

全身を包んでいた黒き装甲が剥がれ落ち、空中に展開されたのは、無数の魔法陣。

 

「まずは……【管理者権限・発動】――」

 

煌めく紋章が、闇の書本体に直接書き換えを開始する。

 

「【リンカーコア復帰】――」

 

世界に散った魔導師たちの記憶が、静かに、確かに還っていく。

 

「そして……【守護騎士システム・破損回帰】――」

 

はやての周囲を囲うように、眩い光が舞う。

 

「――おいで。私の騎士たち!!」

 

 

 

その瞬間――

激しい光が収まると、そこには、彼女を囲むように4つの影が立っていた。

 

ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラ。

全員がボロボロの状態で、それでも顔を上げ、はやての元へと集っていた。

 

「……はやて……!」

 

「はやてちゃん……!」

 

「ご無事で……」

 

「主……!」

 

言葉にならない喜びが、彼女たちの全身から溢れていた。

 

「はやてちゃん!!」「はやて!!」

 

地上から駆け寄るなのはとフェイトの声に、はやてがゆっくりと振り返る。

 

そして、深く息を吸って――

 

「夜天の光に、祝福を……」

 

詠唱が始まった。

 

「――《リインフォース、ユニゾン・イン!》」

 

その名を呼ぶと同時に、空中に浮かんでいた光の球体が彼女の胸元へと飛び込み、静かに融合する。

 

彼女の身体を纏う衣装が変化し、宙に舞い上がったその姿は――

堂々たる、“魔導師”としての新たな姿を持つ、八神はやての完全な覚醒だった。

 

長いスカートが揺れ、片手には魔導書《夜天の魔導書》が静かに浮かび、

その瞳は、まっすぐに守護騎士たちを見つめていた。

 

「はやてちゃん……私たち……!」

 

シャマルが震える声を漏らす。

だが、はやては微笑んだまま首を横に振る。

 

「ええよ、言わんでも。……全部、リインフォースが教えてくれた」

 

優しく、静かに。

 

「まぁ、細かいことはあとや。とりあえずいまは――」

 

「――おかえり。みんな」

 

それだけで、十分だった。

 

「うわぁぁぁぁあああんっ!!」

 

ヴィータが叫び声のような嗚咽をあげ、飛びついてくる。

 

「……もうええよ、ヴィータ。みんなも、よう頑張った」

 

ぎゅっとその小さな身体を抱きしめ、頭を撫でる。

 

シグナムも、涙を堪えながらも頭を下げる。

シャマルも、目元をぬぐいながら笑っていた。

ザフィーラも、無言で片膝をつき、忠誠の姿勢を見せた。

 

 

 

その輪の外、少し離れた場所でなのはとフェイトが胸を押さえながらその光景を見ていた。

 

「よかった……ほんとに……!」

 

「うん……夢みたい……」

 

涙ぐむ2人の少女に、はやてがふと視線を向け――小さくウィンクを送った。

 

(――ありがとうな)

 

その無言の感謝が、しっかりと伝わってくる。

 

運命の少女は夢の世界と決別し、雲の騎士たちは帰還した。

そして夜天の主は、眠りから目覚めた。

 

物語の幕が、次の段階へと進もうとしていた。

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