○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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名前 

あのあと、色々と手続きを終え病院を出た俺は、少し緊張しながらも、高町家の家の前に立っていた。白い壁に木の扉、どこか温かみのある雰囲気の家。ここが、しばらく俺がお世話になる場所…。

 

「……ほんとに、ここでいいのか」

 

小さくつぶやいたが、もう決めたことだ。自分から選んだ道なのに、今さら不安になってどうする。

 

扉の前で深呼吸し、思い切ってインターホンを押した。

 

「はーい!」

 

明るい声が返ってきたかと思うと、ドアが勢いよく開く。そこに立っていたのは、俺を助けてくれた少女――高町なのはだった。

 

「! あ、あの……」

 

俺が言葉を探していると、なのはは一瞬驚いたような顔をした後、ぱっと笑顔になった。

 

「来てくれたんだね!」

 

「え……?」

 

「お兄ちゃんから聞いたよ。うちで一緒に暮らすことになったって!」

 

まるでずっと前から知っていたみたいに、なのはは自然に話す。

 

「えっと……本当に、いいんですか?」

 

「もちろん!」

 

まっすぐな言葉だった。

 

「最初は不安なこともあるかもしれないけど、困ったことがあったら何でも言ってね。家族みんなでサポートするから!…お父さんは入院中だし、お母さんはお店で忙しいから普段は、私達2人っきりになると思うけど…」

 

「……ありがとうございます」

 

なのはの笑顔を見ていると、さっきまでの不安が少しずつ消えていく気がした。

 

「さ、寒いし早く入って!」

 

「あ、はい……」

 

なのはに促され、俺は一歩家の中へ踏み出した。温かい空気と、どこか懐かしい匂いがする。

 

「これからよろしくね!」

 

そう言って伸ばされた小さな手を、俺はぎこちなく握り返した。

「あ、そうそう!名前なんて呼べばいいかな?」

 

「あ、」

名前考えてなかった…

 

 

暖かい家の中に案内されると、ふわりといい匂いが漂ってきた。何か煮込んでいるのか、ほんのりと甘い香りがする。リビングには落ち着いた色のソファやテーブルが並び、生活の温もりを感じさせる空間だった。

 

「とりあえず座っててね、お茶持ってくるから!」

 

なのはが明るく言いながら台所へと向かう。俺は言われた通りソファに腰を下ろし、ぼんやりと自分の手元を見つめた。

 

——俺の名前、か。

 

「自分の名前は自分で決めたほうがいい」と言われたが、正直どうすればいいか分からなかった。

 

ふと、腕に巻かれた腕輪に目を落とす。

 

唯一、俺が持っていたもの。欠けた紫色の宝石のような装飾がついた腕輪。なにか名前のヒントになるものでも無いか、腕輪を指で撫で探してみる。

 

すると、腕輪の内側になにか文字が刻まれていることがわかった。

刻まれた文字はかけていて飛び飛びになっている読める部分だけメモに書き写してく

 

「お待たせ!」

 

なのはが湯気の立つマグカップを両手で持って戻ってきた。ミルクティーのような甘い香りがふわりと鼻をくすぐる。

 

「ありがと……うございます」

 

「ふふ、なんかまだ緊張してる?」

 

「……まあ、うん」

 

「そりゃそうだよね。でも大丈夫! すぐ慣れるよ」

 

なのははにこっと笑い、俺の腕輪に気づいたのか、首をかしげた。

 

「その腕輪……気になるの?」

 

「ああ。唯一の手がかりになるものだから」

 

「何か名前とか、手がかりになりそうなものは……?」

 

「……うん」

 

俺は腕輪を少し回しながら、文字が刻まれた部分を指でなぞる。

 

「ユーベル……マコト……か」

 

「どっちかが君の名前……なのかな?」

 

「分からない。でも、ここから文字をとってを名前にできたらと思って……」

 

「うん、それいいと思う!」

 

なのははぱっと笑顔になり、少し考え込むように指を唇に当てた。

 

「ユーベル、マコト……どっちもかっこいいし、少し組み合わせてみるのもいいかも?」

 

「組み合わせる……?」

 

「例えば、『マーベル』とか、とか!」

 

「……それはちょっと語呂が悪い気がする」あとなんか言ってはいけない言葉のように感じる

 

「うーん、じゃあ……ユーベルの『ユ』と、マコトの『ト』を取って、『ユウト』とかどう??」

 

「ユウト……?」

なんだか、懐かしい響きがする。

記憶を無くす前の自分と似ているのだろうか…

 

俺は小さく口の中で繰り返してみた。

 

「ユウト……」

 

シンプルだけど、響きが悪くない。どこか心地よさすら感じる。

 

「気に入った?」

 

「……うん。じゃあ、俺の名前は『ユウト』にしようかな」

 

「やった! じゃあ今日から『ユウトくん』だね!」

 

「……うん、ありがとう、なのはさん」

 

「もう、今日からは一緒に暮らすんだからさん入らないよ!なのはって呼んで!あと歳も近そうなんだし敬語は禁止ね?」

 

「なの…は。」

 

「うん!これからよろしくね!ユウトくん!!」

改めて言葉にしてみると、不思議としっくりくる気がした。まるで、ずっと前からそう呼ばれていたような感覚さえする。

 

——俺の名前はユウト。

 

どこか懐かしく、だけど新しい名前を胸に刻むように、俺はそっと拳を握った。

-----------夜静まり返った寝室で、腕輪の宝石がひとりでにキラリと輝いた。




名前をユートからユウトに変えた理由ですが、今後、話を進める中でユートやユーリなどのキャラクターと被っって見づらいかな…となったのでせっかくの記憶喪失設定を使って主人公君をユート・ソウマから高町・ユウト(もしくはユウト・タカマチ)として生きていくことにしました。わかりづらかったらごめんなさい!
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