○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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エピローグ 祝福の風

翌朝。時空管理局・本部。

中央管理局の最上階に位置する会議室では、事件終結後の事後処理に追われるリンディとレティ提督の姿があった。

 

書類の山に囲まれながらも、二人の表情は落ち着いていた。嵐は去った。けれど、残されたものは多い。

 

「守護騎士のみんなは、当面あなたに預けることになりそうよ」

 

リンディが一枚の報告書を渡しながら、静かに口を開いた。

 

「取り調べと裁判……その間の保護観察処分ね」

 

レティが書類を受け取りつつ、表情を緩めた。

 

「ユウトくんやフェイトさんの保護観察を私が受け持ったから……連続で預かるのは、さすがに無理だったの。ごめんなさいね」

 

リンディが少し申し訳なさそうに言うと、レティは首を振って微笑む。

 

「安心して。はやてさんの心情も考慮して、4人ともこっちでの“拘束”はしない方針よ。局員の目の届かない場所での魔力制限と所在地認証は――がっちりつけさせてもらうことになるけど」

 

「ありがとう、レティ」

 

感謝のこもったリンディの声に、レティも静かに頷いた。

 

一息ついたところで、レティがふとリンディの手元のカップを見やり、柔らかく問いかけた。

 

「でも、あなたもようやく――あの人への報告に行けるのね?」

 

リンディの手がぴたりと止まる。

そして、わずかに目を伏せて――優しい笑みを浮かべた。

 

「ええ、来週あたり、クロノと一緒にお墓参りに行くつもり。伝えることは、いつもと同じ……」

 

カップを両手で包み込みながら、リンディは遠くを見つめるように言葉を継ぐ。

 

「“相変わらず色んなことがある毎日だけど、みんな元気でやってますよ”って。……それだけは、ちゃんと」

 

「……そう」

 

レティはそれ以上何も言わず、少しだけ視線を落とす。

 

深い沈黙の中、部屋に差し込む朝の光が、どこか暖かく二人を包んでいた。

 

平和を取り戻した日常は、また新たな一歩を踏み出していく。

数多の想いと、守られた未来とともに---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーside フェイト

 

 

 

 

 

 

 

(こうして…事件は終わりを迎えて――)

 

フェイトは、窓から差し込む穏やかな冬の光を見つめながら、胸の中に溢れる安堵と喪失の想いを抱えていた。

12月の慌ただしさと一緒に、いろんな出来事が急ぎ足で過ぎていって、はやては無事に退院した。

シグナムやヴィータ、シャマル、ザフィーラたち――守護騎士のみんなは本局で取り調べを受けたり、これからのことを決めたり…毎日が本当に、あっという間だった。

 

(あれから…いろいろなことが、動き始めた)

 

思い出すのは、別れの朝。

シグナムが柔らかく微笑んで、フェイトの頭をそっと撫でてくれたこと。

 

 

(不思議…あの人の手って、いつも凛としてて、でも…あったかい)

 

なのははヴィータに飛びついて、まるで姉妹みたいに笑い合っていた。

 

「では…我々は本局の方に。」

「夕方には戻りますから~」

 

 

「うん、晩御飯用意しとくからな」

 

はやてが手を振って見送る姿に、何もかもが“日常”に戻っていく気配がして――少しだけ寂しかった。

 

そして今、はやての家に集まっているのは私と、ユウト、なのはの三人だけ。

騎士達は本局の方に出かけていた。

小さな机に湯気の立つ湯呑みと、お菓子が並ぶ。はやてが入れてくれた温かいお茶の香りが、心を緩めてくれた。

 

「そう、やっぱりはやても保護観察に……」

 

「うん…これからはちゃんと魔法を使えるようになりたいし。魔導師としては私はみんなの後輩やね」

 

「シグナムさんたちもそんなに重い罪にならないみたいでよかったね~!」

 

「うん…せやけど、やっぱり私がダメダメや。自分の体のこと、ナハトの事…もっと早く気づいてればよかった。過ぎたこと後悔してもしゃあないけど……せめて、みんなで罪を償って、あの子たちのことちゃんと幸せにしてあげな…ごめんな、勝手に喋りすぎたな」

 

「ううん…はやてちゃん、大人っぽく見えたよ」

 

「……あの子の…リインフォースの影響かもしれへんな」

 

「リインフォースの思いは、はやての中に溶けたんだよね」

 

そう口にしながら、フェイトは胸の奥で静かに高まる胸の感情を感じていた。

 

――リインフォース。強くて、優しくて、悲しみを背負って、それでも最後に笑っていた。

 

「…あかんな、あの子の泣きぐせまで溶けてしもうたみたいや…どうも最近は泣きっぽくてあかんな」

 

「はやてちゃん…泣いてもいいんだよ。はやてちゃんが守りたい騎士たちは今ここにいない。私たちだけだから…」

 

「そうだよ、はやて……あっ、ユウトが居ると泣きづらいかな」

 

「そんなこと…ないよ…?」

 

「…。」

 

気まずそうに顔をそらすユウトに、場の空気が一瞬ゆるむ。

 

「はやて…その事なんだが、泣かなくていいぞ?」

 

「…?」

 

「ちょっとユウトくん、こんな時に何言ってるの…、はやてちゃんは悲しんで…」

 

「いや…だから、悲しまなくていいって」

 

「ユウト…どういうこと…?」

 

「話すと長くなるから…ほら、出てこい」

 

ユウトの腕輪が淡く光り、小さな人影が姿を現す。手のひらほどのサイズ――けれど、その存在感は凛としていた。

 

『すみません…なんというか、こちらから言い出せず…機会を伺っていました』

 

「リインフォース…!? どうして、あのとき消滅したんじゃ…!?」

 

『詳しい話はまた今度に。……夜天の書の意思にして、祝福の風、リインフォース……只今戻りました。主はやて』

 

「リインフォースー!」

 

勢いよくユウトに飛びつくはやて。フェイトは思わず笑みをこぼす。

 

 

「はやて…それ俺だからリインじゃないから、離れて」

 

「うわっ…ご、ごめん」

 

そのやり取りを見ながら、フェイトは隣のなのはとこっそり相談する。

 

(あれって…フェイトちゃん的にはアウト?)

(うーん、感極まって抱きついたって感じだから…恋愛感情は無いと思う、けど)

 

(とりあえず、今日だけは見逃してあげよっか…)

(そうだね…)

 

「おーい、はやて、はやてー! 離してくれ!息が……」

 

『主はやて!ユウトの首締まってます!あの…主!!!』

 

「よかった…ホンマに!!!」

 

「はやてちゃん!?」

「ユウト…大丈夫!?」

 

笑いと涙と、暖かな希望の光。

闇の書事件は、すべてが解決し――

今、この場所にはあたたかな日常が戻っていた。




次回からはまた新章までのつなぎとして日常編にはいります―!
ちなみに新章はSts編じゃないです。
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