○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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遂にスロットの方だけどリリカルなのはの実機を買ってしまった…。
課題やらゼミに追われながらも、本作はのんびり続けていきます~!

ちなみに6月20日発売のリリカルなのは×ヴァイス当日探して買えるんだろうか?
予約わすれて悲しい状態……。


365日後のクリスマス その5

しばらくみんなで談笑していた頃、パーティもすっかり佳境に差し掛かっていた。室内は笑い声に包まれ、あちこちで輪ができていた。

 

その空気をさらに盛り上げるように、ソファの上ではやてが声を張る。

 

「みんなぁー!そろそろお話は置いといて、ゲームでもしよかぁ!」

 

「ゲームって、なんだ?」クロノが眉をひそめて聞き返す。

 

「それはなぁ……まずは王道、王様ゲームや!」

 

「王様ゲーム……?」

 

「なんや、ミッド出身は知らんの?王様ゲームっていうのはなぁ――」

 

そのままはやての軽快な解説が始まる。どうやら本気らしい。

 

……ったく、またベタな遊びを。とは思いつつも、ミッド出身の面々には新鮮らしく、クロノやユーノが真面目に頷いてるあたり、意外と盛り上がりそうな予感がしてきた。

 

ちらりと横を見ると、なのはとフェイトがすでにやる気満々な顔をしていた。

 

「ほな、早速始めよか!」

 

「「おーっ!」」

 

勢いよく始まる王様ゲーム。俺が引いたのは――4番だった。

 

「お、最初は私か!」とヴィータがくじを掲げる。

 

……ヴィータか。なら、無茶な命令はなさそうだな――と思った次の瞬間。

 

「じゃあ……守護騎士4人にちなんで、4番の奴!この場のみんなに内緒にしてる黒歴史を暴露!」

 

「……げっ」

 

思わず顔をしかめた。最悪だ。はやてがすかさず俺のくじを覗き込んできた。

 

「おー!ええなぁヴィータ、ユウトくんが4番やで!」

 

「おーし、ユウト!さっさと喋れよ!」

 

「……黒歴史っていうか、最近思い出したやつだけどさ。俺、初めてユーノと会ったとき、女の子だと思ってたんだよな」

 

「ちょ、ユウト!?」

 

「いやさ、子供の頃だったし、ユーノ声高いし匂いもいいし……で、その後誤解が解けたら、ユーノめっちゃ怒って帰っちまったんだよな」

 

その話を聞いた周囲が笑い声に包まれる中、俺の耳に聞き慣れた小声が届いた。

 

「ねぇ……フェイトちゃん」

 

「なに?なのは」

 

「ユーノくんとユウトくんって、距離感近くない?」

 

「え?……男の子同士だし、普通じゃない?」

 

「いや、ユーノくんの顔……見てよ」

 

「ほんとだ、真っ赤……」

 

「もしかして、ユーノくんって……」

 

「……いや、ないと思うけど……たぶん」

 

「おーい、何コソコソ話してんだ?」俺が首を傾げると、ふたりがバッと顔を上げる。

 

「な、なんでもないよユウトくん!」

 

「そ、そう!次いこう!せーの!」

 

……絶対なんか隠してるだろ。でもまぁ、いいか。

 

「王様だーれだ?」

 

くじを開くと――俺が王様だった。

 

「よし、俺が王様か」

 

「おー、また引けんかったー……えっちな命令はアカンで?」

 

「誰がするかよ……じゃあ、1番が3番の“苦手なところ”を言う、で」

 

「おっ、私が3番や。1番は誰やろ?」

 

「私です、主はやて」

 

「おー、シグナムか。うちの苦手なとこ、教えて?」

 

「……そうですね。できれば言いたくないのですが」

 

「……ですが?」

 

「入浴や就寝時に、胸を揉むのはやめていただけると……」

 

「……」

 

一瞬、場が静まり返る。

 

「はやて……君を現行犯で逮捕する」

 

「ちょ、待ってや!?私は無罪や!大きな山があったら登りたくなるのが人情やろ!」

 

「登山家に謝れよ……」

 

「なーに言ってんの、ユウトだってさっきシグナムの――」

 

「は!?お前それは違うだろ!」

 

「いーや、違わへんですー!」

 

はやてと俺の言い合いが加速していく中、ふと背後から「パキッ」と木の折れる音が聞こえた。振り返ると、クジに使っていた割り箸をへし折った、なのはとフェイトの姿があった。

 

……あれはやばい。

 

 

「な、なのはちゃん……?ど、どうしたんやその顔……」

 

「な・ん・で・も・ないよ? はやてちゃん」

 

「ヒッ……」

 

 

 

俺も恐る恐るフェイトを見る。

 

「フェイト……その、なんかあったか……?」

 

「ねぇ、ユウト……」

 

「ん……?」

 

「ユウトは、その……大きいほうがいいの?」

 

「……ノ、ノーコメントで」

 

「……バルディッシュ」

 

『ZANBER form』

 

「お、おちつけフェイト!その、デバイスはやめよう!?な!?」

 

「……わかった」

 

フェイトは冷静にバルディッシュを待機状態に戻す。よかった……助かった……と思ったのも束の間。

 

「デバイスじゃなきゃいいんだよね」

 

…え?

 

 

 

 

 

 

 

 

「その…ユウト? ほっぺた…大丈夫?」

 

「ユーノ、なにも聞くな。」

 

 

「う、うん…回復魔法、かけておくね…?」

頬には赤く紅葉が残っている。

冬場の寒気がする中、手首のスナップの効いた一撃は定期的にヒリヒリと痛みを思い出させる。

 

「…うん、いろいろご愁傷さま…」

 

 

そんな中でも、王様ゲームは容赦なく続く。

 

なのはとフェイトはいつの間にか手を繋ぎっぱなしだし、ヴィータは猫耳つけて「にゃー」言ってるし、俺はなぜかクロノを「お兄ちゃん」と呼ばなきゃいけないルールになってるし、締めにシグナムと全力模擬戦やらされるし…まあ、イベント盛りだくさんだった。

 

そして、とうとう――

 

「ほな、そろそろラストにしようか! いくでぇ、みんな!」

 

「「王様だーれだっ!」」

 

引いた札は――7番。俺か。

 

「ふっふっふっ……ついに私が王様や!」

 

はやてが満面の笑みで宣言する。嫌な予感しかしない。

 

「ついに来てしまったか……」

 

「はやてちゃん、あんまり過激なのはダメだよ?」

 

「大丈夫や!わたしもこんなにみんながいる場所でそんなこと命令せーへんよ。」

 

「いや少人数でもやめろよ」

 

「なんやぁ、王様に偉い口答えするやんユウトくん…リインフォース!」

 

『7です。』

 

「あっ…てめぇ狡いぞ!」

 

「なんでもありだねヴィータちゃん。」

 

「そうだな、なのは」

 

「ヴィータちゃん、猫語忘れてるよ?」

 

「そ、そうだにゃ!」

 

「かわいいー!」

 

「後で覚えとけよ…にゃのは」

 

「ふふふ…では王様がユウトくん…もとい7番に命じます!ずはり…」

 

ごくり、と唾を飲む音が聞こえた気がした。場が一気に静まる。

 

「命令は……初恋の人を発表や!」

 

「「!!!!」」

 

俺は頭を抱える。無理だろこれ…。

 

(ふっふっふ…今のユウトくんの交流関係は狭い…したがってよっぽどのことがなければ初恋の人はこの場にいるメンツ…もしくは関係者)

 

(つまり…実質的にいまのユウトくんが誰が好きなのか分かるってこと!)

 

「ほな…誰が初恋か聞かせてもらおうか…」

 

「え、あー…」

頭を抱えるユウトの姿

 

「い、いないってのはダメか…?」

 

 

「ダメと言いたいところやけど、ホンマにおらんかったらしゃーないな。……なぁ、リインフォース?」

 

『主はやて、ユウトの精神は著しく動揺しています。初恋の相手は、この場にいる人物、もしくは関係者と思われます』

 

「お前いい加減にしろよ…リインフォース!」

 

「フッフッフ…隠し事は一体化してるリインには出来へんで!ほら…早く!」

 

「ユウトくん…諦めた方がいいよ…ね、フェイトちゃん? 」

 

「うん…素直に言うべきだよユウト」

 

「お前ら他人事だからって…」

 

 

「いや、それはもう自分事の様に心配してるよ!!……(わ、私だよね?)」

 

 

「そうだよ、ユウト!…(一緒の布団で寝たし私だよね)」

 

(お前らの圧が怖いのってマジで……)

 

観念して、俺は深呼吸した。

 

「お、俺の初恋は――」

 

「「初恋は……?」」

 

「初めて出会った時の……ユーノ、かな」

 

「「……え?」」

 

静寂。時が止まった。

 

「あかん、そんなんうち耐えられない…ホンマに言うてんの!ユウトくん…w」

 

「ユウト……お前……」

 

「こっち見るな! クロノ!」

 

「クロノ“お兄ちゃん”だぞ?」

 

「…ッお兄ちゃん!!」

 

「ゆ、ユウトくん……それって、冗談だよね? 聞き間違いだよね? まさか、好きな人がユーノくんだなんて……」

 

「いや違う!ちが――っ、だから“初恋”な!“今”は違うから!!」

 

「ユウト……」

 

「なんだよフェイト……」

 

「男の子同士ってのは……ダメだと思う。せめて、好きになるのは女の子にして……」

 

「ちがうってのーーー!!!」

 

俺の叫びが室内に響いたその時。

 

「あ、ユウトくん逃げた!」

 

「ねぇ、はやて」

 

「どした、ユーノくん?」

 

「女装って……どうすればいいかな」

 

「……!?」

 

「……フェイトちゃん、これは……」

 

「うん……たぶん、私たちの一番の強敵は……」

 

「「ユーノ(くん)だった……!」」

 

「あの…冗談だよ、なのは、フェイト?」

 

「今の状況で信じられると思わんで…ユーノくん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティの喧騒がまだ背後から聞こえてくる中、俺は一人、八神家の庭先へと出た。冬の夜空は冴えわたり、星々が静かに瞬いている。

 

胸の奥に残る、どうしようもない気まずさと、ほんの少しの後悔。

 

『ユウト…すまんなかった…まさか…ここまで恥ずかしいことが眠っていたなんて…w』

 

「お前に。実体あったら真っ先にぶっ飛ばしてたわ…」

 

「おーい、ユウトくん。」

 

声がして振り返ると、はやてがこちらに歩いてきていた。いつもよりか心なしか、柔らかな笑顔を浮かべている

 

「はやてか…何の用だよ」

 

「そんな拗ねんといてーな。からかいに来たわけちゃうよ?」

 

「どーだか」

 

ぶっきらぼうな返事になってしまう。心の中のざらつきを、うまく隠せなかった。

 

「なぁ…ユウトくん。ありがとうな」

 

「……なんだよ、急に改まって」

 

「私が今日という日を迎えられたのも、シグナムたちが自由になれたのも…全部ユウトくんのおかげや」

 

「そんなことない…俺がいなくても、きっと、お前は救われる運命だったさ」

 

 

「ううん…ユウトくんがいたから…初めて会った時にユウトが私を見つけてくれたから今の私がおる…そう確信してるで?」

 

「違う!!ッ俺は…結局、リインフォースを救えなかった。そしてお前を泣かせた!父さんと母さんから託された“泣いてる人を救う”って願いを…叶えられなかったッ」

 

『ユウト…』

 

リインフォースの静かな声が、胸の内に響いた。

 

「そんなことあらへん。思い出の詰まった夜天の書は、いまも大切に持ってるし、リインの欠片は、リインフォースの妹として生まれ変わる。全部、未来へ繋がっとる」

 

「でも…俺がいなければ、あんな選択をさせることもなかったんだ。俺は、お前からリインフォースを奪ったも同然だろ。」」

 

「それもちゃうよ。産まれてくる子の名前もリインフォース。ユウトくんの中におるのもリインフォース。どっちがどうとか関係ない。両方、大切な私の家族や」

 

『主はやて…』

 

はやては、しばらく黙った後、ふっと笑って言った。

 

「せや、名前が被るのはややこしいな。ユウトくんの中にいる方はお姉さんやから…リインフォース・アインス。新しく産まれてくる方はリインフォースII――ツヴァイや!」

 

『……ありがとうございます、主はやて』

 

リインフォースの声が少しだけ震えていた気がした。

 

「……」

 

「これでもまだ、納得いかへん?」

 

「……ああ」

 

どうしても拭えない後悔が胸に残っていた。

俺は同じ孤独の身としてはやてが家族の愛情に飢えてるのを知ってる…それなのに、俺は…

 

「もう…頭硬いんやから…ねぇ、ユウトくん…?」

俺の肩に、はやての腕がふわりと回された。

 

「は、はやて?」

 

後ろから、優しく包み込まれるような抱擁。

 

「じっとしてて。ユウトくん、わたしは今…ほんまに幸せやで」

 

心臓の鼓動が、背中越しに伝わってくる。

 

 

「騎士達が、リインフォースが…家族になってくれて…なのはちゃんやフェイトちゃんっていう親友も出来た…それも全部ユウトくんと出会ったお陰や。」

 

「……そんなの…」

 

「違うって言いたいんやろ?でも、わたしは違うって思えへん。……なぁ、ユウトくん。初恋の人教えてくれたお詫びに、わたしの初恋、教えたる」

 

「…。」

 

「私の好きな人は―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇side はやて

「あっ、おかえり…はやてちゃん……って、どうしたのその目!?」

 

玄関をくぐって戻った途端、駆け寄ってきたなのはちゃんの声が響いた。

 

「なんでもないよ。ちょっと外に出たときに、ゴミが目に入ってもうてな」

 

言いながら、ちらりと隣にいるユウトくんの方を見やる。

 

フェイトちゃんの問いかけにも目を逸らしがち。

そしてどこか上の空。

 

「おかえり、ユウト。機嫌、治った?」

 

「……あ、ああ」

 

その声を聞いて、心の中でそっと笑ってしまった。

フェイトちゃんに話しかけられてるユウトくんの顔もちょっと赤いし…何度か此方と目が合う。

 

(ふられてもうたけど…まだまだ、チャンスはあるって感じやな。あの反応、少なくとも意識はしてくれとるし。)

 

フェイトちゃんとなのはちゃん――私にとって、大切な親友。命を救ってくれた恩人や。でも――

 

(それとこれとは話が別。恋愛は、早いもん勝ちの戦いや!)

 

淡くて強い、そんな覚悟を胸に秘めて、私は2人の背中を見る。

 

(ごめんな……なのはちゃん、フェイトちゃん。わたしだって、本気なんやで?)

 

「はやてちゃん、どうかしましたか?」

 

シャマルの声に、慌てて表情を整える。

 

「なんでもないよ、シャマル。」

 

今夜の空気は、冬のはずが少しだけ、あったかい気がした。

 

 

 

 




クリスマスパーティー編はとりあえずここまでです。
はやての一人称をなんど「うち」って書きそうになったか…。
一応確認はしたんですけど一人称がミスってる所あったらごめんなさい…!
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