○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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鉄槌の騎士

 そうしてようやく腹を括ったシグナムと肩を並べ、俺たちは並んで武装隊庁舎の自動扉をくぐる。

 

 思っていたよりも静かな空間だった。けれど、中に足を踏み入れた瞬間、思わず目を見張った。

 

 (……あれ、意外と綺麗)

 

 もっと無骨で、いかにも軍隊って感じの建物を想像していたのに、そこには明るく清潔な内装と、しっかり整理された受付カウンターが広がっていた。

 

 ロビーには制服姿の局員たちが行き交い、少し遠巻きに、そして時折こちらをちらりと見やる視線を感じる。中でも、俺じゃなくてシグナムの方に向けられる視線の多さと、その中に含まれるわずかな緊張が、はっきりと分かった。

 

 (まあ、そりゃそうだよな。噂の“守護騎士”が隊長になったって聞いたら、誰だって身構える)

 

 俺だって初めて会った時は怖かったし。今もたまに怖いけど。

 

 「受付は……こちらのようだな」

 

 そう言って一歩前に出たシグナムの背中は、さっきまでの弱気が嘘のように真っ直ぐだった。少しだけ、歩幅が硬い気もするけど……それでも彼女なりに、ちゃんと覚悟を決めたんだなって伝わってきた。

 

 俺はそんな背中を見守りながら、静かに深呼吸をした。

 

 (ここからが、本当のスタート……俺の、“管理局魔導師”としての第一歩)

 

 受付に近づくと、担当らしき女性職員がすぐに笑顔で対応してくれた。整った制服に凛とした表情。仕事ができそうな人って、なんとなく雰囲気でわかる。

 

 「ようこそ、武装隊新設部隊へ。ユウトさん、そしてシグナム隊長。お待ちしておりました。他の隊員の方々も、間もなく合流予定です。それでは、部隊ミーティングルームへご案内いたします」

 

 「……隊長、か。やはりまだ慣れんな」

 

 シグナムが少しだけ照れたように呟く。

 

 「もうちょっと自信持てって。カッコつけなくても、お前はお前なんだから」

 

 俺が軽く肘で突くと、シグナムはわずかに目を細めて、苦笑するような表情を浮かべた。

 

 案内されたのは、庁舎の2階にある会議室だった。大きな窓からは光が差し込んでいて、思ったよりも明るい雰囲気だ。

 

 扉をくぐった先、すでに数名の隊員たちが集まり始めていた。

 

 (うわ……ガチの叩き上げ系って感じの人たちだ)

 

 見るからにベテラン風の男や、鍛え上げた体が制服越しにも分かる女性隊員。その中には、訓練校時代に一度顔を見た覚えがあるような奴もいて、目が合うとちょっとだけ会釈を返される。

 

 (いろんな人が集まってるんだな……なんか、いよいよ本格的って感じだ)

 

 ざわざわとした空気の中に、わずかな緊張と期待が混じっていた。

 

「おう、やっと来たか。ユウト」

 

 一番に声をかけてきたのは、部隊の実技指導役――ヴィータだった。

 

 椅子に逆向きに座り、両腕を背もたれに預けながら、ぶっきらぼうな声で俺を迎える。でもその声色には、どこか親しさというか、安心感が混じっていた。

 

 やっぱり、こういう空気を作ってくれる人がいてくれると、正直ホッとする。

 

「お疲れ様です、ヴィータ教導官。それと、皆さんも」

 

 形式的な挨拶をしながら軽く頭を下げると、ヴィータが眉をひそめて言ってきた。

 

「なんかキモいな……敬語で話してるお前見てると、ほら、鳥肌できた」

 

「失礼ですよ、ヴィータ教導官」

 

 思わず苦笑しながら返すと、横から別の声が被せてくる。

 

「もしかして顔合わせずっと敬語で乗り切るつもりか?」

 

「……ノーコメント」

 

 思わずそらす視線。確かに、今までくだけた話し方ばかりしてた奴ら相手に敬語はちょっと堅すぎる。でも、初対面の人間もいるから、いきなり馴れ馴れしいのも違うと思うんだけどな……。

 

 俺が一礼しながら席に着こうとすると、会議室の正面に立っていた女性が一歩、前へと進み出た。

 

「……それでは、全員揃ったようだな」

 

(……いや、お前が一番最後だったんだが)

 

 そんなツッコミが脳内に浮かぶのを必死でこらえる。

 

 シグナム――本日からこの部隊の隊長となる守護騎士が、鋭い眼差しで部屋の面々をゆっくり見渡す。その眼差しには、すでに迷いの色はなかった。

 

「本日より活動開始となる、第4武装隊直轄特別任務評価行動隊。通称“特務行動隊”の顔合わせを行う。私が部隊長、シグナムだ。これから約半年間、よろしく頼む」

 

 姿勢を崩す者もなく、室内にはぴんとした空気が張り詰めていた。彼女の言葉に、それだけの重みがあったってことだ。

 

 その直後、重厚な足音が会議室に響いた。見ると、一人の壮年の男性がゆっくりと前に進み出てくる。短く刈り込まれた髪に、深く刻まれた表情。いかにも現場経験豊富な、という雰囲気がにじみ出ていた。

 

「部隊指揮官のゲンヤ・ナカジマだ。初対面の者も多いだろうが、気にせず相談してくれ。なあに、気楽にいこうじゃないか」

 

 そう言ってニッと笑うゲンヤさんの言葉に、場の緊張がほんの少しだけ和らいだ気がした。

 

「医療班、シャマルです。みんなの健康と安全を守るのが私の仕事。よろしくね」

 

 柔らかな笑みを浮かべてそう語るシャマルの声は、守護騎士の中でも、とりわけ“癒し”の象徴という印象が強い彼女らしい自己紹介だ。

 

「実技指導役の、ヴィータ!模擬戦や実技の指導は、私とザフィーラが担当するから……まあ、勝手がわからないだろうからビシバシいくぞ。特にそこの目つき悪い奴?」

 

 目線の先には――俺。なんでだ。

 

 思わず苦笑いしながら視線を逸らす。

 

(こっち見んなっての……)

 

 そして――少しだけ落ち着いた雰囲気で、次の声が響いた。

「技術顧問のアリシア・テスタロッサです。主にデバイス関連を担当するから、トラブルがあったら気軽に来てねー!」

 

 いつもより丁寧な口調だが、彼女らしい明るさがにじむ挨拶だった。

 

 少し安心したように頷きながら、心の中で小さくつぶやく。

 

(まさかアリシアまでこっち来てるとはな……まぁ、俺のデバイスのカートリッジ整備とかずっと頼んでたし、確かに適任ではあるけど)

 

 ここまでは裏方チーム、いわば部隊の中核を支える“要”の面々。

 

 シグナムが前に出て声をかける。

 

「では、次は裏方、補助チームをのぞいた実動部隊のメンバー。挨拶を頼む。まずは、出向組から……」

 

 その合図で、前列に並ぶ数名が順に立ち上がっていく。

 

「陸の首都防衛隊から来ました、クイント・ナカジマです。夫と同じ職場になるとは思いませんでした……私もチームの一員として、よろしくお願いします」

 

 柔らかな表情の中に芯のある声。見た目は優しげだけど、たしかエース級の実力者だったはず……

 

「聖王協会より出向しました、シャッハ・ヌエラ。何かあれば声をかけてください」

 

 静かな口調と共に一礼した彼女は、どこか気品と冷静さを感じさせる。

 

(師匠も部隊に…デバイス完成したのかな?)

 

「ティーダ・ランスター2等空尉です!まだまだ未熟者ですが、全力でやらせていただきます!」

 

 元気いっぱいに声を張る青年。こういうタイプは部隊のムードメーカーになりそうだ。

 

何人か自己紹介終えてそして、いよいよ俺たち新規採用組の番が回ってくる。

 

「では、新人たち……実動部隊の新規採用組は二人しかいないから仲良くやってくれよ?……自己紹介を頼む。」

 

 まずは隣に座っていた青年が立ち上がる。

 

「ヴァイス・グランセニック、15歳。魔導師ランクはB。主に遠距離支援が得意です。よろしく!」

 

 背筋をピンと伸ばしながらも、どこか飄々とした雰囲気で挨拶を済ませる。

知り合いの中にはいないタイプだし、仲良くなれたらいいな。

 

 そして、俺の番が来た。

 

「高町ユウト……いえ、こちらの世界流に名乗るならユウト・タカマチ、ですかね。ポジションは特にありませんが、魔導師ランクはB。……一応この中だと最年少になると思います。13歳です」

 

 少し緊張しながらも、言葉を選びながら続ける。

 

「訳あって、今までは嘱託魔導師として活動してました。一応、戦技教導補助員として採用されました。デバイスは、インテリジェントとアームドの二刀流で…」

 

 途端、ヴァイスが目をむいて驚きの声を上げた。

 

「……え、ユウト、お前13ってマジか!? 俺より年下なんかい!」

 

 その反応に、つい苦笑しながら返す。

 

「(クロノと同い年だし…距離感も近そうだな)…ヴァイスはため口でいいよね?」

 

「おい、年下くん……!?」

 

 そんな冗談が飛び交い、隊員たちの空気が和んだのか少しづつ私語が聞こえてくるようになった。

 

 シグナムが一つ深く息を吐き、皆へ視線を向けて言った。

 

「――今日から我々は一つの部隊だ。異なる出自を持つ者も多いが、共通しているのは“力を未来のために使う”という意志。互いに支え合い、良き仲間として歩んでいこう」

 

 その言葉に、全員が静かに、力強くうなずいた。

 

「では、事前に調査したそれぞれの適正にあった試作デバイスを支給する……今回、我々の部隊が設立された理由の多くはこの新型デバイスの技術評価にある。くれぐれもなくすなよ」

 

「「はい!!」」

 

 まるで学校の始業式みたいな勢いの返答が、会議室に響いた。

 

(さぁて……いよいよ始まるな、って……あれ?)

 

「……シグナム隊長、俺の分は……?」

 

 配られていく試作デバイスの列に、自分の分がないことに気づき、思わず声を上げる。

 

「そこになかったら、ないぞ。」

 

 帰ってきたのは短い返答だけだった。

 なんというか、やたら事務的というか、冷たいというか……。

 

「シグナム、バイトの店員なのか?」

 

「……? 私は隊長だぞ」

 

 きょとんとした顔で首を傾げる彼女に、思わず頭を抱えたくなる。

 

「いや、そうじゃなくて…」

 

 すると、アリシアがすかさずフォローに入ってきた。

 

「まあまあ、ユウトにはデバイス二個もあるし、これ以上持っても使いこなせないでしょ~?」

 

 軽口を叩きながらにっこり笑うアリシア。

 

(……なんか納得いかないなぁ)

 

 苦笑混じりにぼやいたその瞬間。

 

めんどくさといわんばかりの視線を向けたヴィータが、無造作に口を開いた。

 

「そんじゃまずは、グラウンドで実際にカートリッジを使った模擬戦やってもらう。見本っつーか、実力把握も兼ねてな。その後は各班に分かれて習熟訓練。いいな!」

 

 声にはいつもの迫力があったけど、その裏にわずかに楽しげな響きもある。

 

「はいっ!」

 

 一斉に返事が響く中、一人の声が控えめに挙がった。

 

「あの……ヴィータ教導官」

 

「ん、どうした……えーっと、ティーダだな?」

 

「はい。ティーダ・ランスターです。その……模擬戦の相手って、誰がやるんでしょうか? かの有名な“守護騎士殿”の相手が、僕たちに務まるでしょうか……?」

 

 ティーダの質問はもっともだった。

「あー相手考えてなかったな。技量だけならクイントとかシャッハも悪くねぇけど……まあ、デバイス慣れてないしな。やっぱり、やるなら一人しかいないか。ユウト、ちょっとあたしに付き合えよ?」

 

 ヴィータが軽く顎で外を指しながら、にやりと笑って俺を見た。

 

「……まぁ、そうだろうな」

 

 覚悟はしていた。デバイスの実地評価を兼ねた模擬戦――俺が選ばれるのは、ある意味で自然な流れだった。

 

 けれど、その場にいたティーダが心配そうに声を上げる。

 

「えっ、まだ若いユウトがやるんですか……その、大丈夫なんでしょうか?」

 

 俺が言い返すより先に、ヴィータが肩をすくめて言う。

 

「なにも、年齢や魔導師ランクだけが全てじゃないのは分かってるだろ。こいつ……結構、強いぞ?」

 

 その言い方が妙におかしくて、ちょっとだけ苦笑いする。ずいぶんと信頼されたみたいだな。

 

「……なるほど。そこまで言うなら、是非見学させていただきます」

 

 ティーダの目が興味を帯びた色に変わる。これも管理局の洗礼というやつだろうか。

 

「という訳だ、ユウト。リヒター抜きとはいえ、全力で来いよ?」

 

「分かってる。……別に、勝ってしまってもいいんだろ?」

 

「抜かせ。天下の守護騎士の本領、見せてやるよ!」

 

 小柄な見た目に反して、戦士の気迫を漂わせるヴィータが獰猛な笑みを浮かべて先に立つ。それに続いて俺も歩き出す。

 

 後ろから続く隊員たちの視線が背中に刺さる中、妙に静かだった空気が少しずつ熱を帯びていくのを感じた。

 

(リヒターって……なに?)

 

 誰かのそんな小声が耳に届いたが、聞き返す余裕もなく、俺たちは宿舎を出てグラウンドへ向かう。

 

 すでにシャマルが展開してくれた結界の中に入ると、空間が一変したように感じた。魔力の感触が、肌を撫でてくる。

 

 俺は静かに右手を掲げ、慣れ親しんだディジターを展開する。続けて左腕には、アームドデバイス……リインフォースが眠るアンブレイカブルを呼び出した。

 

『む……久しぶりの戦闘か。相手は……ヴィータか』

 

「おうよ、リインフォース。カートリッジの使い方ってもんを、実践で見せようと思ってな、今回はお前の出番はなしだぞー!」

 

「みたいだ。まあ、デバイスらしく補助ぐらいは頼むぞ。」

 

『なるほど、だいたい分かった。まかせておけ。」

 

「助かる」

 

 視界の向こう。すでにヴィータは、グラーフアイゼンを肩に担いで待ち構えていた。その立ち姿に、思わず息を呑む。

 

 ザフィーラが静かに歩み寄り、俺たちの間に立つ。向こう側のヴィータが放つ威圧感に、空気がぴんと張り詰めた。

 

「では、双方名乗りを上げたらスタートとする」

 

 その一言で、俺の中のスイッチが静かに切り替わる。

 

(さあ、やるか……)

 

冷たい風が吹き抜ける訓練場。その中心に、俺とヴィータが向かい合って立っていた。

 

(くろがね)の伯爵グラーフアイゼンと、鉄槌の騎士ヴィータ!」

 

 ヴィータが高らかに名乗りを上げる。あの小柄な体からは想像もつかないほどの気迫と闘気をまとって、構えたグラーフアイゼンが陽光を鈍く反射していた。

 

 俺も、深く息を吸って前に出る。

 

「ユウト・タカマチとディジター&アンブレイカブル…行きます!」

 

 刹那、ヴィータがふっと笑う。

 

「そういや、ユウトとやるのも久しぶりだな。……全力でいくぞ、アイゼン! カートリッジロード!」

 

『Explosion!』

 

 機構が回転し、アイゼンから魔力が炸裂するように噴き上がる。その音に、俺の背筋も自然と引き締まった。

 

「遠慮なくいくぞ?」

 

「こっちだって、今の俺が守護騎士にどこまで通用するか試させてもらうよ!!」

 

 言葉が終わるより早く、ヴィータが突っ込んでくる。まるで巨大な質量が疾駆してくるかのような圧力に、心臓がドクンと跳ねた。

 

(くる――!)

 

「――エスカッシャン!」

 

『Cartridge Load. Deploy.』

 

 右腕のディジターに展開された魔力盾が間一髪、アイゼンの一撃を正面から受け止めた。

 

 ガガガガガッ!!

 

 衝撃が体を貫く。ブーツが砂利を引っかき、足元が滑る。それでも――なんとか、俺は倒れずに踏みとどまった。

 

「ははっ、悪ぃな! まだまだ一発いくぞ!」

 

 2発目のカートリッジが装填される音が聞こえた瞬間、直感が叫んだ。

 

(まずい、次は捌ききれないな!)

 

 ディジターの防御を維持しつつ、アンブレイカブルをインパクトモードからソードモードへと切り替える。

 

「――カートリッジロード、切り裂け、尖刃!」

 

『Slash.』

 

 赤熱する剣がうなりを上げて、ヴィータの真正面を斬り裂いた。

 

 ガギンッ!!

 

 だが――ヴィータはグラーフアイゼンの柄でそれを受け止める。

 

「テメェ、やっぱやるな……!」

 

「それはお互い様だって……!」

 

 一度距離を取って、俺は深く息をついた。鼓動がうるさい。でも、それがいい。

久しぶりの戦いの熱にボルテージが上がっていく感覚を覚える。

 

「カートリッジロード……インパクトモード!」

 

『Cartridge Load. Impact mode Ready.』

 

 再び変形させ、インパクトフォームへと戻す。拳を握りしめ、地を蹴る。

 

「――アンブレイカブル・インパクト・ES!」

 

『Early Shot!』

 

 至近距離からの収束魔力弾を、ヴィータの胸部にめがけて叩き込む。

 

 ドォンッ!

 

 爆風が巻き上がり、ヴィータの体が後方に吹き飛ぶ。

 

(……決まったか――)

 

 そう思ったのも束の間、空中でヴィータが姿勢を立て直す。

 

「狙いが浅いぞ?」

 

『Gigant Form.』

 

 グラーフアイゼンが唸りをあげながら巨大化し、その存在だけで空気が震えた。

 

「轟天爆砕――ギカント・シュラーク!!」

 

(切り札を切ってきたか、こっちも出し惜しみはしてられないかッ…)

状況は贔屓目にみて五分。

客観視するとこちらの防戦一方…なら一撃での逆転を狙うしかない。

「デバイス連結、威力収束……カートリッジ、オーバーロード!」

 

『SNIPE FORM READY!!』

 

 ディジターとアンブレイカブルを連結させ、巨大の砲身に見立てる。内部に装填される6発のカートリッジ――全弾を一斉にロード。

 

「貫け、閃光――ブラスター F・C・S!!」

 

『Unbreakable Blaster・Full Charge Shot!!』

 

 巨大魔力砲がヴィータのハンマーと真正面から激突した。

 

 爆発音。地響き。視界が一瞬、白く塗り潰される。

 

 砂煙が晴れると、グラウンドには巨大なクレーターが残り、俺とヴィータは互いに肩で息をしながら、睨み合っていた。

 

 周囲からどよめきが漏れる。

 

 でも、俺はそれに応えず、ただ目の前のヴィータを見据えた。

向こうはまだ余裕そうだ。

「まだまだいくぜ――!」

 

「ッかかってこいよ…!」

 

「ふむ――そこまでだ」

 

 場を割ったのは、審判役を務めていたザフィーラだった。

 

「お互い十分にカートリッジの使い方は示した。これ以上は、訓練の域を越えているぞ?」

 

「ちぇっ……今日はこのくらいにしといてやるよ」

 

 そう言いつつも、ヴィータはどこか満足げだった。

 

「そうだな……楽しかったぞ、ヴィータ」

 

 俺もデバイスを収め、彼女と拳をコツンとぶつける。

 

 まだまだ、俺の力は未熟だ。けれど――戦える。

 その手応えが、確かにあった。




ヴァイスやらティーダの登場でした。
数少ない男キャラでなんとか世代近そうなメンバー出してみました。
ちなみに年表的にはティーダが19歳、ヴァイス・クロノが15歳、ユウトが13歳ぐらいです。
ヴァイスやらティーダの性格がイメージと違ってたらごめんなさい!
貴重な男友達枠にする予定です。
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