○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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ヴァイスシュヴァルツ探しで時間が過ぎ去っていった…
なんとか6ボックス開けてSSPのヴィヴィオ確保!!


休息の一幕

特務行動隊が設立して1週間が経過した頃――。

 

訓練後の休憩室には、汗と魔力の余韻がほのかに残りながらも、どこか穏やかで、心地よい疲労感が漂っていた。

 

缶ジュースのプルタブを引いて、ぷしゅっと小さな音を響かせながら、俺はヴァイスの隣に腰を下ろす。壁際には彼のデバイス――ストームレイダー展開状態で立てかけられていた。

 

ティーダさんがソファの背もたれに身を預け、子どものような笑顔で言う。

 

「なぁユウトくん、ヴァイスの狙撃手ってポジション、やっぱかっこいいよなぁ。昔、アニメのスナイパーとかに憧れなかった?」

 

いつもの落ち着いた大人びた雰囲気とは打って変わって、まるで少年のような表情。

ヴァイスは片眉を上げ、缶を一口啜ってから、苦笑まじりに答えた。

 

「そうかぁ? 実際はけっこう地味だぞ。隠れて、狙って、撃ったらすぐ移動。正直、華やかさはゼロっすよ?」

 

「でもさ、その一撃が全部決めるってのがまた痺れるんだよな~。なぁ、ユウトくん?」

 

「まぁ……狙撃は基本的に一発必中が求められますからね。命中精度、風の読み、威力の収束……全部を高水準でこなさないといけない。プレッシャーは相当なもんです。俺も昔、一度だけ事件で狙撃任されたことあるけど……胃がキリキリしましたよ、ほんと」

 

「へえ、ユウトも狙撃やれんだな。見た目近接メインかと思ってたけど」

 

「うん、でもユウトくんの戦い方、独特だよね。二刀流ってところは俺と似てるけど、スタイルはまったく違うなぁって思ったよ」

 

「そりゃ、ティーダさんのは二丁拳銃、俺のは実質近接用の双剣ですから。基本設計からして違いますよ」

 

ヴァイスが相づちを打つ。

 

「でも2人とも、近距離も遠距離も両方いけるよな」

 

「僕のは速射による面制圧がメイン。中距離で動きながら牽制しつつ削ってくタイプだけど……ユウトくんはオールレンジで戦えるっていうか、相手に合わせて距離も戦法も自在に切り替えてるって印象だな。訓練では、射撃中心だったけど最初に見たヴィータさんとの模擬戦は近接メインだったよね。」

 

「近接は嫌いじゃないんですけどね。うちの部隊、近接得意な人多いですから……役割考えると遠距離カバーが増えるのも仕方ないかと。それにカートリッジの教育係的な立場でもあるし、なるべく訓練中は二人でも再現性のある戦い方して見せた方が伝わりやすいかなって」

 

「はいはい、ユウト様のおかげで助かってま~す」

 

「こっちこそ、ヴァイスの狙撃データはすごく参考になるよ。俺、どうも器用貧乏なタイプだから……専門職の人と比べるとやっぱり一段落ちるなって感じる時もあって」

 

「たとえば……シャッハさん? なんかユウトってあの人に距離感あるよね。」

 

「ぐっ……図星です」

 

ヴァイスはそこで肩を竦めて、苦笑いを浮かべた。

 

「あー、シャッハさんなぁ……俺も正直、ちょっと苦手でな」

 

「え、そうなんですか?」

 

「堅物って感じで話しかけづらくて……」

 

そのときだった。

 

まるで呼び出されたかのように、シャッハが休憩室に入ってきた。背に双剣型のデバイス――ヴィンデルシャフトを展開したまま、背筋の通ったその姿はまさに武人そのもの。

 

「ユウト。午後の訓練で、少しあなたに試したいことがあります」

 

「し、師匠!? 俺に……ですか?」

 

「ええ。あなたの目と反応速度、以前より明らかに鋭くなっています。ヴィータ教導官との模擬戦を見ていて気づきました。いい機会ですし、新しい体の使い方を指導してあげようかと」

 

「……ありがとうございます。師匠」

 

明らかに緊張して汗をかきはじめた俺を見て、シャッハは微笑を浮かべる。

 

「そんなに身構えなくてもいいですよ? 今日は騎士シグナムにも声をかけてあります。私と彼女、ふたり同時に相手をしていただきます。実戦に近い形でデータが取れるので、一石二鳥ですね」

 

「お、お手柔らかにお願いします……」

 

そのやりとりを見て、クイントさんが腕を組みながらにこやかに笑う。

 

「賑やかでいいわね、この部隊。若い子たちに囲まれるのも、新鮮だわ」

 

 

「だったら、混ざります?」

クイントさんが模擬戦に入れば2対2でなんとか人数差無くなるし負担が減るな…と淡い希望をもって訓練に誘う。

 

「ふふっ、もちろん。うちの娘以外に教えるの、ちょっと楽しみだし。ユウトくんの格闘術、鍛え甲斐ありそうね」

 

シャッハがさらに追い討ちをかける。

 

「なかなか勤勉ですね、ユウト。お望みどおり、私たちベルカ魔導師3人組と訓練しましょう」

 

「え、えええええっ!?」

 

思わず心のなかで崩れ落ちた。

 

まさかの、1対3……だと……?

 

(ていうか、クイントさん娘さんいるのか……あ、そういえばゲンヤ指揮官と結婚してるって言ってたし、そりゃいても不思議じゃないけどさ……)

 

そうして笑い声と魔力の残り香が漂うなか――俺は改めて心に誓った。

 

(俺も……管理局で一人前として通用するようにならないとな。……それはそれとして、この部隊で無事に生き残れるかどうか、ちょっと自信ない)

 

数時間後ーー

 

「お、おい…大丈夫か?」

「な、なんとか……」

 

ソファに全身を沈め、もはや溶けかけた餅のような姿勢で俺は呻く。

まさかの1対3。相手がシャッハさん、シグナム、クイントさんという近接ガチ勢トリオだった時点で勝負は決まっていた。

いや、勝負以前の問題だ。始まって2分で“模擬戦”ではなく“蹂躙”に変わっていた。

 

いくら非殺傷設定の手加減ありとはいえ、痛みや衝撃が消えるわけでは無いのでだいぶグロッキー状態だ。

「なんか癒しが欲しい…まじで辛い。」

「まぁ……若いのにガンガン訓練誘われるってのは、期待されてる証拠だよ。自信持っていいさ」

 

「たしかに勉強には、なるんですけどねぇ……身体が悲鳴をあげてるって感じです」

 

「にしても、見てるこっちもヒヤヒヤしたぜ。途中から“稽古”っていうより“処刑”だったぞ?」

 

「否定できない……てかあれ、明らかに途中からシグナムがストレス解消に楽しんでた気がするんですが……」

 

「隊長もいろいろあるんだろうね、クイントさんは笑顔で急所突いてたしね。あれが子供のいる保護者って逆に怖いよ」

 

「うう……癒しが欲しい……まじで何か甘いものと休暇ください……」

 

「あはは…だいぶ末期だね」

 

ちょうどそのとき、休憩室のドアがふわっと開いた。

 

???「あれ、ユウトくん……干からびてる?」

 

ふんわりと風が吹いたかのように現れたのは――シャマル。手にはタオルと冷たいスポーツドリンクのボトルを持っている。

 

「訓練後は水分補給しないとダメよ? ほら、冷たいうちに飲んで?」

 

「女神…っ! 天使…っ!! ありがとうございます!!」

 

「癒しといえば…ティーダさんって妹さんがいるんでしたっけ」

 

「うん、ティアナって言ってね…もうすぐ7歳になるのかな。両親はもう居ないから2人家族なんだけど……目に入れても痛くないくらいには可愛いよ。」

 

「目に入れたら普通にケガするわよ?」

 

シャマルさんが、不思議そうに小首をかしげた。

 

「シャマル、それ現代の言い回しだよ……」

 

思わず突っ込むと、ヴァイスが苦笑いしながら話を続ける。

 

「俺も妹はいるんですけど、何かと俺に刺があるんすよね……反抗期なのか、メールは既読スルー、電話出ない、家帰ったら“あー来たんだ”って言われる……」

 

「それもう存在が邪険にされてません?」

 

「現実って厳しいな……でもたまにツンが強すぎて逆にご褒美に思えてくるあたり、俺もうダメかもしれん」

 

「やめときな、それは兄妹関係として末期だよ」

 

俺が苦笑まじりに忠告すると、ティーダさんはちょっと笑って、優しい声で続けた。

 

「ちなみにティアナは、明るくて元気だけど、人見知りはちょっとあるかな。でも慣れたらすっごい懐っこいよ」

 

その言葉に、思わず顔がほころんでしまう。

 

「じゃあ今度の休日、遊びに来る? ティアナも人と遊ぶの好きだし、喜ぶと思うよ」

 

「えっ、いいんですか? ……ぜひ。いや、ぜひとも癒されたいです……!」

 

もう反射的に口から出ていた。疲労でまともな思考力が残ってなかったのもあるけど、正直めちゃくちゃ惹かれてた。

 

でもその横で、ヴァイスがニヤリと笑って肩をすくめる。

 

「おいおい、ユウトの癒し枠はもう埋まってんじゃないのか? アリシアちゃんに、隊長んとこの家族にさ~」

 

「いやいや、だからあいつらはそういうんじゃなくてだな――」

 

慌てて否定しかけたそのとき。ポケットの端末が震えた。

 

【通信:フェイト・テスタロッサ】

 

「うわっ……」

 

まさかのタイミングすぎて、声が裏返った。

 

「おおっ、噂をすればってやつかい?」

 

ティーダさんが楽しそうに目を輝かせる。

 

ヴァイスもニヤニヤしながら俺の方へ身を乗り出してきた。

 

……完全に遊ばれてる。

 

「……ちょっと、電話出てくるから。だから静かにしててよな……」

 

顔が熱くなってくるのを感じつつ、俺は彼らの茶々が入らないよう、少し離れて端末を耳に当てた。

 

「……もしもし?」

 

『あ、ユウト? 今大丈夫? ミッドチルダは今お昼ぐらいかな……お昼ごはん、ちゃんと食べた?』

 

「……食べたよ。そっちは?」

 

『うん、なのはと買い物中。あとで、今日あったことまた連絡するね。2人でユウトのこと話してたら……ちょっと、ユウトの声が聞きたくなっちゃっただけだから』

 

その声色は、ちょっと照れてるようで、でもいつもどおり優しかった。

 

『ちゃんと、シグナムさんたちの言うこと聞くんだよー! ユウトくん!』

 

「……そ、そうか。うん、なのはにもよろしく。じゃあ、またな」

 

通話を切った俺は、端末をそっと胸ポケットに戻した。

 

――そして、聞こえてきた。背後からの「くすくす」という小さな笑い声。

 

……絶対聞かれてたよな、あれ。

 

通話を終えるやいなや――

 

「見ましたかティーダさん。如何にも恋愛とか興味なさそうなクールな顔して、あの甘ったるさ!“声聞きたくなったから電話した”とか、若いっていいな~」

 

ニヤニヤとヴァイスが俺の隣で騒ぎ出す。

 

「……そういうのって、本当に現実にあるんだね」

 

ティーダさんまで感心したようにうんうん頷いてる。

 

「うるさいっ!ていうか、盗み聞きすんな!!」

 

顔が真っ赤になって、思わず声を荒げた俺に、2人は肩を叩いて爆笑しだす。

 

「いや~、まじで初々しくてよかったわ。羨ましいぜ、若いってのは!」

 

「僕たちも負けてられないな、ヴァイスくん!」

 

「そうだな、よーし明日から俺もイメチェンしてモテ路線に――」

 

「うるさいぞ、男3人組!」

 

……不意に飛び込んできた怒声に、全員がビクッと固まる。

 

「げっ……ヴィータ教導官……」

 

ドアの向こうから現れたのは、携帯片手に仁王立ちしているヴィータ教導官だった。明らかに機嫌が悪い。

 

「そんな元気あるんだったらグラウンド走り込んでこい!こっちははやての声が聞こえねぇんだよ!」

 

そう怒鳴ると、そのまま携帯をスピーカーモードに切り替えて俺たちに向けてくる。

 

『もう…部下にそんな怒鳴ったらアカンで?ヴィータ。……あ、どうも、八神はやてです。ユウトくんと仲良くしてくれてありがとうなぁ』

 

……やめてくれ、このタイミングでご挨拶されるのは色んな意味でしんどい。

 

「お話はかねがね聞いてますよ、シグナム隊長たちのご家族さんですよね」

 

ティーダさんがニコニコしながら応じる。

 

「お前は俺の親かよ……」

 

思わず呟いた俺の言葉に、はやてさんの笑い声が返ってきた。

 

『やだなぁ、私たち家族みたいなもんって前に話したやんか』

 

「なに!?」

 

ヴァイスがまるでドラマのオチみたいに叫ぶ。

 

「いまその話すんなよ……!」

 

俺は思わず頭を抱える。

 

そんな空気もどこ吹く風と、ヴィータ教導官はピシャリと声を張り上げた。

 

「ともかくだっ!静かにしろよ。来週からは訓練じゃなくて、実働任務が始まるんだからな!さっさと寝て体力回復しとけよ!」

 

「「はい!!」」

 

俺とティーダさんは、反射的に大きな声で返事をした。

 

ヴァイスはというと――何故か笑いを必死に噛み殺していた。

 

(頼むから、もう何も言わないでくれ……今日はもう、限界だ……)

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