○○を救う魔法。   作:黒歴史メーカー

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強襲者

かなり今日の女子チームに敗北したのが心に効いていたのか、時間を忘れずっと素振りをしていた。

 

気づけば門限を大幅に過ぎ、日は暮れ夜の街は静寂を感じさせる。

 

すっかり遅くなった、絶対師匠やなのはに怒られるな…と考えながらユウトはポケットの中の石を握りしめながら、ゆっくりと歩いていた。

 

「……これ、どうすればいいんだろう」

 

偶然見つけたそれは、今思えば夢の中で見たものとまったく同じだった。淡い青い光を放つ、不思議な宝石。触れているだけで、心臓の鼓動が少しだけ早くなる気がする。

 

——これを持っていて、本当に大丈夫なのか?

 

そんなことを考えながら、歩いていると…ふと背後に気配を感じた。

 

「……おい、ちょっと」

 

低くて力強い声が背後から響く。

 

ユウトは驚いて振り向いた。

 

そこに立っていたのは、一人の女性——いや、獣の耳と尻尾を持つ、獣人のような姿の女性だった。

 

赤い髪を揺らし、鋭い目つきでこちらを睨んでいる。

 

「……あんた、もってるな?」

 

彼女の視線は、ユウトのポケットに向けられていた。

 

「え……?」

 

「とぼけんなよ。ジュエルシード…青い宝石みたいな石のことだよ」

 

一瞬、心臓が跳ねた。

 

こいつは……石のことを知っている?

 

「それ、渡してもらおうか」

 

女性が一歩、近づいてくる。

 

ユウトは無意識のうちに後ずさった。

 

「……これは、俺が拾ったものだ。…あんた、何者だ?」

 

「なんだ、ただの現地民か…魔導師かと思ったが……まあいい。あたしの名はアルフ。それを集めてるんだ。拾ったんなら関係ないだろ? あんたにはそれを扱えないんだから、大人しく渡しな」

 

女性の声は低く、威圧的だった。

 

ユウトはゴクリと唾を飲み込む。

 

どうする? このまま渡してしまうべきか? でも、何か嫌な予感がする。

 

「……嫌だ、渡さない」

 

「ふぅん、そうか」

 

アルフはニヤリと笑った。

 

次の瞬間——

 

シュンッ!

 

ユウトの目の前で、アルフの姿が一瞬にしてブレた。

 

「っ——!?」

 

反射的に身を引こうとした瞬間、アルフの腕が鋭く振り下ろされる。

 

ドンッ!!

 

衝撃とともに、ユウトの身体が吹き飛んだ。

 

「ぐっ……!」

 

地面に転がり、背中に鈍い痛みが走る。

 

速い——!

 

まるで動きが読めなかった。

 

「大人しくしてりゃ、痛い目見なくて済んだのにな」

 

アルフが悠然と歩み寄る。

 

「魔力をちょっと持ってるからそこそこ戦えると思ったが…やっぱり、ただの子どもか……こんなもん、あんたが持ってちゃ危険なんだよ」

 

ユウトは歯を食いしばりながら、ポケットのジュエルシードを強く握りしめた。

 

こんなところでやられてたまるか——

 

けれど、立ち上がる間もなく、アルフの影が覆いかぶさる。

 

「さあ、おとなしく——」

 

「くるな!!」

 

思わず目を閉じて、反射的にジュエルシードを強く握りしめた。

 

——次の瞬間、ジュエルシードが眩しい光を放ち 、そして光が辺り包む。

 

手の中のジュエルシードが、まるで応えるように輝き、強烈な波動が周囲に広がる。

 

「な、なんだ!?」

 

アルフが思わず後ずさる。

 

次の瞬間——腕に嵌めていた腕輪に不思議な光が収束していき、形を変えていく。

 

それは金属製のトンファーのような形状へと変化し、ユウトの右腕にしっかりと収まった。

 

まるで、自分の一部のように馴染んでいる——。

 

「……なんだ、これ……?」

 

ユウトは呆然としながら、右腕に現れた武器を見つめる。しかし、考えている暇はなかった。

 

「それは…デバイス!?チッ、妙なことしやがって……だが、そんなんで勝てると思うなよ!」

 

アルフが鋭く地を蹴る。

 

——速い!

 

とっさに腕を交差させ、防御の構えをとる。

と、同時に、光の壁が形成され攻撃を防ぐ。

 

『protection』

 

ガッ!!

 

アルフの爪が、壁に弾かれる。衝撃が両腕に響くが、不思議と耐えられた。

 

「なんだ、これ!?」

 

「ちっ……意外とやるじゃないかでも…バリアブレイク!」

 

アルフはニヤリと笑い、今度は正面から正拳突きを放ってくる。

 

瞬間、まるで何も無かったように壁が消滅する。まずい、直撃…!?

 

『マスター、右に回避してください。』

 

「はい!って誰!?」

 

声の主の言う通りに回避し、追撃の蹴りを咄嗟にトンファーを振るい、弾く。

 

——動ける! 何故か分からないが、まるでずっとこの武器を使ってきたかのように、自然に身体が動く!

 

「よし、これなら……こっちからも行くぞ!!」

 

ユウトは思い切って前に踏み込んだ。

 

トンファーを逆手に持ち、アルフの懐に飛び込む。

 

『…combat mode』

「はぁっ!!」

 

デバイスの先端で鋭い突きを放つ。アルフがかわそうとするが、

回避直前でデバイスから光の刃が形成され、わずかに切り裂く。

 

アルフの肩に命中し、紫光が舞った。

 

「ぐっ……!」

 

「まだだ!!」

 

ユウトは続けざまにトンファーを振るう。

 

回転しながら勢いをつけ、回転斬りの要領で叩き込んだ。

 

ドガァッ!!

 

デバイス本体部分が命中し、

アルフの身体が吹き飛び、地面を転がる。

 

「ぐっ……! クソッ……体術はなかなか……!」

「これでも、対人戦は師匠に、教わったからな!まさか、魔法使いと戦うとは思っていなかったが…」

アルフは片膝をつきながら、口元を拭った。

 

ユウトの手も小刻みに震えている。

 

——やれる、かもしれない。

 

そう思った瞬間、急激に視界が歪んだ。

 

「っ……!?」

 

ズキッ……!

 

全身に痛みが走る。背後から光の玉光弾を放ち衝撃を受けた腕や背中がズキズキと疼く。

 

「……はは、やっぱ魔法の方は素人だ」

 

アルフが立ち上がる。

 

「確かに近接戦闘は強い……でも、その身体じゃもう戦えねえだろ?」

 

ユウトは息を荒げながらも、武器を構えた。

 

「……どうかな」

 

「フン……いつまでその余裕が続くかな…って、反対方向から魔力反応?まさか、増援か…!?ちっ、今日はここまでにしといてやる」

 

アルフは舌打ちし、身を翻した。

 

「だが、ジュエルシードは必ずもらいに来るよ。覚悟しとくんだよ、ガキンチョ!」

 

そう言い残し、彼女は闇に紛れて消えていった。

 

ユウトは、崩れるように地面に膝をつく。

 

「っ……くそ……」

 

デバイスが光を失い、再び腕輪へと戻る。

 

戦いは——終わった。

 

だが、全身の痛みは引かない。

 

壁にもたれ掛かる。

 

『動けますか…マスター?』

 

「すまん、さっきは助かったが、マスターってのなんの事だかさっぱりだ…よ」

『マスター!大丈夫ですか!?』

 

そのまま地面に崩れ落ちる。

握っていたはずの手から転がり落ちたジュエルシードは輝きを失っていた…

 

ーーーそれとほぼ同時刻

なのはは、ユーノというフェレットに似た動物と出会い、そしてユウトと同じように魔法の力と巡り会っていた…

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