楽園なんてなかった。   作:焼きすぎて焦げた炭

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投稿遅れてすんませんでした!!
プロットはできてるのでゴールデンウィークまでには続き出します。



あたたかさ

 

変わらない街並みを亡霊の様に歩き続ける。胃の中が乾くまで吐き続けた為腹が減り、脱水症状で頭が回らない。だが、何も食べる気にも、飲む気にもなれなかった。

 

俺は何がしたかったんだろうか。

———幸せになりたかったのだろうか、誰かの幸せを奪ってまで。

 

———死にたくなかったんだろうか、こんな存在になるまで落ちぶれてまで。

 

———強くなりたかったんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

———護りたかった者など、もう居ないというのに。

 

 

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黒蛇の入っていた場所に着いた…のだが……

「随分と年季が入ってるな…。こんな所が本当に有名な傭兵の住処なのか?」

 

ひとまずインターフォンを鳴らそうとするが、ない。

「嘘だろ…?」

 

もう一度探してみるがこの家の玄関にはツバメの巣しか無かった。

仕方がない。取り敢えずノックをしようとドアに手を伸ばすと、

 

「あれ、夜の霧?」

 

聞き覚えのある声がした。振り返るとそこには俺をここに招いた黒蛇が立っていた。

 

「いや〜本当に来たんだ。てっきり自治区に行ったのかと思っていたよ。」

 

「自治区は、その…嫌なんだ。」

 

「……ふーん。そっか、じゃあ入って、今絶賛引っ越し中だから大したものは出せないけどさ。」

 

家の中に入るとそこは意外にも小綺麗で外からは考えられないほどに清掃されていた。当たり前だが電気もガスも通っており、冷蔵庫などもしっかりあるところを見ると、何故こんな所に今まで住んでいたのか疑問になる。しかし、その答えは意外にも簡単に見つかることになる。

 

「ほら、いい加減に荷物整理をするんだ。」

「離せ!!私は此処に残るんだァァーー!!」

 

突然黒蛇と異なる声がしたから見に行くと黒蛇とよく似た奴と身長が低くて白衣を着た研究者の様な女が何か揉めているようだった。

恐らく片方は黒蛇の双子だからいいとして、だ。

 

「……あの子供みたいに駄々をこねてる奴は?」

「様子のおかしい人だね。あんまり見ない方がいいよ。」

 

「おい、『ニア』!客人に変な事を教えるのはやめて貰おう!私はただ、このネズミや死体(実験材料)が無限に湧く場所から出たくないだけなんだ!!」

 

「お前、まさかそんな下らない理由で僕の妹の頑張りを無駄にするつもりじゃないだろうな?せっかくニアが命懸けで手に入れたこの移住権を無駄にする訳じゃないだろうな?もしそうならば僕は君を半殺しにしなければならない…。」

 

「へっ、やってみろ!そんな事をしたら金輪際お前の銃の整備はしてやらないぞ!!」

 

「別に自分でできるから問題ない。はーいお片付けしましょうねー。」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

「さてと。おい、そこのお前。」

 

「俺?」

突然黒蛇の…ニアの姉が話しかけてくる。

双子であるが飄々としているニアとは違い気配が非常に鋭く、何処か話しかけにくい雰囲気をしている。

 

「お前の話はニアから聞いている。此処で生きているくせに人の死に慣れない中途半端な奴だってな。」

「悪いが穀潰しを仲間に入れてやる義理はない。ここに居たいんだったらまずはあのバカが作ったガラクタの廃棄を手伝え。話はそれからだ。」

 

「ガラクタとは何だガラクタとは!私の素晴らしい発明達をバカにするな!!」

 

「『ニグ』〜、『ラルト』姉ちゃんこの前の『超高速食器洗い機』を作ったとか言ってうちの食器全部駄目にした件まだ根に持ってるからね〜。」

 

「………。」プルプル

 

……本当に、ここに来た事は正解だったのだろうか。

 

 

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わけもわからず人の片付けを手伝わされ、気がつけば日はすっかり落ちて夜の闇が広がっていた。片付け後どうなったのかと言うと

 

『取り敢えず、お前をどうするかは僕達で決める。今日は帰れ。』

 

とのことで一先ず帰路に着いている

 

……俺が言うのもなんだが、あのラルトと言うやつは大分無愛想だな。案外、ニアみたいなやつの方が仕事の依頼も来やすかったりしてな。

 

そんな下らない事を考えながら全ての店が固く閉ざされた商店街を歩く。生ぬるい風が体に纏わりつく感触がして嫌になる。

 

ここみたいな、何もないところが嫌いだ。

 

人気もなくて、暗くて、そんな所にいると嫌な事ばかりが頭を過るから。

 

後悔、懺悔。そして何より、

 

『◯◯◯、おはようございます。』

『美味しいですか?それは良かったです。』

『私への、プレゼント?ありがとうございます。とっても嬉しいです。』

 

未練。

 

この感じから逃れたくて、ずっと『何か』をしていた。毎日依頼を受け、全身を疲弊させきらせ、気絶する様に眠る。

まともな依頼がなければどんなに怪しい物も受けてでもとにかく『暇』を作らないようにした。

仕事して、金を得て、飯を食って、

『暇』をなくす。

 

———それは本当に『幸せ』なのだろうか。

 

まるで機械の様じゃないか。

 

整理しよう。俺は『幸せ』になる為に行きてきたはずだ。

少なくともこうやって考えている間は『幸せ』ではない。

それを無くす為には『暇』を無くす必要があって、でもこの生き方は幸せとは思えない。改善には安定した生活が必要で、そして安定した生活は『退屈』を感じさせ、『退屈』は『暇』である。『暇』を無くす為には———。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?

 

 

「俺、何やってんだろ。」

 

駄目じゃん、幸せになれないじゃん。

なんだ?じゃあ、俺はただガキみたいな理屈をこねてアマカの思いを無駄にして、無意味に生きていたのか?

 

 

 

「——っ!?」

 

背中に激痛が走る。見れば、恐らく4、5歳の子供が、俺をナイフで貫いていた。

深く刺されたナイフを引き抜かれる前に素早く距離を取り、戦闘態勢に———

 

———移ってどうする?

 

———ここで生き残って何の意味がある?

 

「———あ。」

 

一瞬の思考の遅れが、死に直結する。

俺の背中のナイフは引き抜かれ、更に何度も何度も、刺され、切り裂かれた。

 

 

死んだな。ここには誰もいない。

 

いたとして、助けられる事などないだろう。

会えるかは分からないけれど、もしアマカに会えたら彼女は俺ともう一度話してくれるだろうか。

どんな言葉を投げられても良い、だから、一言だけ言いたい。

 

「あま、か…、ごめ…んなさ…。」

 

俺の意識はそこで途切れた。

 

———

 

「危ない危ない。一応付いてきて正解だったよ〜。」

 

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目を覚ますと少しだけ知っている部屋だった。

ここは確かニアの……。

というか俺は確か昨日……。

 

「おっ目が覚めたようだねー。いやぁ危ないところだったね。普通に後少しでも遅れてたら死んでたかもよ?」

 

「ニ…、ア……?」

 

「そーだよ〜、ボロボロになってた君を助けたスーパーエンジェ「どうして見殺しにしてくれなかったんだ…?」……。」

 

「もういいんだ。自分がどれだけ馬鹿だったかよーく分かった。もうやめてくれ、俺には生きる資格なんてないんだ、俺はあそこで死ぬべきだったんだよ!!」

 

もう、どうすればいいか分からない。昨日の子供の養分になったのならまだ意味があった様な気さえしてくる。

 

「……ボクが助けたかったから助けただけさ。死にたいのなら自分で勝手に死ねば良いよ。だけどね、」

 

「『生きたい』なら、生きていいんだよ。」

 

「……は?」

 

意味が分からない。俺がいったいいつに『生きたい』なんて事を口にしたんだ?その時の自分を殺してやりたい衝動に駆られそうになる。

 

「だって君、『死ぬべき』とは言っても『死にたい』なんて言ってないじゃん。」

 

「……っ!?」

 

「つまりそれってさ、『生きたい』んでしょ?」

「『生きたい』って思うのは、駄目なことじゃないよ。」

 

「随分と、簡単に言うんだな。」

俺が何処かで生きたいと思っていたとしても、俺は生きていける自信がない。俺はニア達みたいに強くないから、またすぐに何処かで切れてしまう。だったらもういっそ、あそこで———

 

「簡単じゃないさ、経験だよ。ボク達、昔は『トリニティ』って所に住んでいたんだけど、5歳ぐらいのときだったかな?親が同僚に嵌められたらしくて職を失ってね。育てる金がないって捨てられて、ここに流れ着いたのさ。」

 

「初めは何でもかんでもラルトねえちゃんにおんぶに抱っこでさ。『私もお姉ちゃんの役に立ちたい。』って8歳位の時に傭兵を始めて、君と同じ壁にぶつかってね。辛かったよ。直接、間接問わず殺した相手の幻影がずうっとつきまとってくるんだ。」

 

ニアも、俺と同じだった。

大丈夫なふりをしていただけで、強い自分を作っていただけで、強くなんて無かった。

 

「でも、そうする以外に生きる道なんて無かったんだよ。」

 

「此処で生きるんだったらそうしないと生きていけない奴が殆どで、それが普通なんだ。君の気持ちは痛いほど分かるよ。実際に、ボクだって今でも言い聞かせないと飲み込まれそうになっちゃうんだ。」

 

「だからこそ、自分の倫理観との違いに苦しんでいる(昔のボクの様な)君を見捨てられなかった。」

 

ニアの瞳が此方を捉えて離さない。

懐かしい。俺を『視て』、向き合ってくれる、

それは、まるで———

 

 

 

 

「———あれ、泣いてるの?」

 

「………え?」

 

視界がぼやける。顔が濡れている。おかしい、ここは室内のはずなのに。

この感じと似たものを、いつか体験していた気がする。

 

でも、1つだけ違いがあるんだ。

 

 

 

 

「今まで、本当によく頑張ったね。」

 

寒く、ない。

とても、あたたかい。

おひさまみたいに、すごく、あったかい。

 

「そうそう!まだ君の名前を聞いてなかったね。」

 

通り名(夜の霧)なんかじゃない。君は、なんて言うのかな?」

 

「……オボロ。砂月、オボロ。」

 

「そっか。じゃあ、改めてよろしくね、オボロ。」

 

やっと登った朝日が、部屋に薄く、明かりを灯した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「どうする?多分ニアは意地でもオボロを仲間に加えたがるぞ?」

 

「……関係ないさ。僕の在り方は変わらないよ。僕はただ、『仲間を守る』。それだけだ。」

 

「……ふーん。」

相変わらず不器用だねぇ。私はただ、『仲間にするかどうか』を聞いただけですよーっと。

 

ニアがアイツを運んできた時も、ニアと同じくらいに必死になって看病しちゃってさ。

素直に『大切な妹にできた始めての友達だから死んで欲しくない。』って言えば良いのにね。

 

「今何か余計な事を考えたか?」

 

「いやぁ?な〜にも?」

 





一章終わったらまず設定集出そうと思います。

後2、3話でエデン条約に行けるぞ。それまではできるだけ頑張って素早く終わらせる。
特に次の話は即効で書き上げる。ブルアカキャラ出てこない日常回なんて書くと私はきっとエタってしまうし、閲覧者兄貴達も飽きてしまう。

見たい話はありますか?【50くらい集まったら書きます】

  • オボロとアマカのほのぼの話
  • 4バカのドタバタ話
  • うるせえ本編書け
  • 好きにしろ
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