楽園なんてなかった。 作:焼きすぎて焦げた炭
私です。実はこの度本小説のタイトルを変更しようと考えておりまして、理由は後書きに書きますがとにかくこの小説は次話から
【『楽園』にいきたかった】というタイトルに変更しますのでよろしくお願いします。
まーそれっはそれっとして(わかるマン)
おまたせしました。2話に纏める筈のものを1話に纏めたからこうなりました。許して下さい。
「い、いやだ!助けてくれ!」
「いや…だったら来ないでよ…。」
追加でニアが眉間を打ち抜き、遂に襲撃犯全員の討伐が完了する。
「ねーこれで襲撃今日何回目ー?」
「これで六回目だな。今が多分正午だからだいたい2時間に1回のペースになる。きりがないなハッハッハ!」
二人はいつも通り飄々としている。しかし一定間隔内での呼吸回数が増えている事や弾丸のリロード時間などを見るに相当な疲労が溜まっている。このままではジリ貧だろう。
だが、それも一つの小さな問題に過ぎない。真の問題は―――
「今……、戻った…。」
「―――っお姉ちゃん!!」
玄関だった所から聞こえるとても弱々しい声。それを聞いたニアは先程までの余裕を消してすぐさま駆け寄り、ニグもそれに続く。
そこには髪は乱れ、全身に傷を作り、指が数本変に折れ曲がった満身創痍のラルトが立っていた。
これが『毎日の光景』であり、『最大の問題』である。
ラルトは自分一人で補給や偵察、周辺の暴徒の鎮圧を行い、俺達が関わろうとすると烈火のごとく怒った。
『僕が一番強くて、最年長だから危険な事はするな』
俺達が束になってもラルトには勝てない。だからそれに従うしかなかった。
「今日は結構収穫があった。見てくれ、腐ってないりん「お姉ちゃん!!」―――。」
「もうやめて!嫌だよ!
「……必要な事なんだ。」
「必要な事って何!?今の私にとって皆の無事よりも必要な事なんてないんだよ!!」
「ニア、僕は…!」
「ラルト、お前が何をしようと私は止めない。だがな、」
「それは、
「――っ!!なら、どうすればいい……。」
誰一人手を抜いてなどいない。皆一様に満身創痍。ラルトが一人限界を越えてひた走っているだけで俺含めこれ以上余裕はない。
彼女は本来ならもうまともに動けるかどうかすら怪しい。
だからラルトの代わりを誰かがしなければならない。
しかし誰一人としてそれが出来る程の余力など無かった。
「なあ、一つだけ此処から生き残れる方法があるとしたらさ、乗るか?」
「本…当……?」
俺が発した言葉にニアはすぐさま反応し、縋る様な目線を向けてくる。
俺はそれを見るとポケットからある紙を取り出す。
「…『この時期に』これを見せたと言うことが何を意味するか、お前が知らない訳ないだろう。」
紙の正体は『ゲヘナ学園』と書かれたパンフレット。
そして今は1月後半。それ即ち―――
―――受験の出願期間が近い。
「確かに学園に入学すれば、自治区の保護を受けられる。」
「学力面は何とでもなる。なんせあのゲヘナだ、試験中もお察しだろうから私が理系科目を見てやればまず間違いなく全員合格させられる。」
「だが、お前はそれで良いのか?」
不安そうな瞳でこちらを見つめるニグ。そうだ、俺は正直まだ自治区が怖い。これを言い出すと決めた昨日の夜も『あの日』の悪夢を見た。それでも、
「俺は、お前等と一緒に居れなくなることの方が何百倍も怖い。」
「……そうか。」
数秒、沈黙が場を支配する。実際、その代表が俺と言うだけで自治区が怖いのは皆も一緒なのだ。
ニアとラルトは親が裏切られ、没落し流れ着いた。
ニグはあまり言わないが幼少期にその才能や無倫理を気味悪がれて捨てられたらしい。
ここにいる全員が『楽園』から見捨てられた者達だった。そして、幼少期の恐ろしい体験はトラウマとして残り続ける。
簡単乗り越えられるわけじゃない―――
「………ニア、ラルト。」
「………『私達』と共に、もう一度だけ『楽園』を目指してくれるかい……?」
―――『一人ならば』、だが。
「何でもやる、やってやる!生き残ろう、絶対に!!」
「……僕はただ仲間の為に動く。それだけだ。」
「フッフッフ…ハーッハッハッハ!!」
ニグの顔が晴々としていくのが見える。
「全会一致、では早速出発だ!!ゲヘナの美しい爆炎達が、私達を待っているぞ!!」
急いで荷物を纏め、日没頃、破壊された家を出ていった。
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何故もうでていく必要があったのか、それは受験票等の必要書類の印刷のためだ。
まず、家にプリンターなど無い。よってコンビニなどで印刷する必要があるがこのザマだ、設備など全て破壊し尽くされている。
だが、まだ残っている所がある。
トリニティ方面に戦火から逃れてきた者達が作った比較的安全(マシ程度)区画があり、そこで印刷を済ませ、ゲヘナ自治区に移動する。
かなりの大移動になるので1人に全てを任せる事は出来ない。しかし移動に人員を割くとこのいつ襲撃されても可笑しくない中で満身創痍のラルトを一人で守ることになってしまう。
よって全員で行動することになった。
昼はラルトに気を付けつつ人目を避けて移動、夜は偵察・ラルトや食糧等の保護・休息の3つに分かれて交代で夜を明かす。
因みにラルトの武器であるショットガンは本体だけ持ってきたが弾薬は持ってきていない。戦おうとするからだ。
休息中にもニグが作った参考書や拾った問題集を読み込んで受験に備える。
こんな生活は久しぶりで過酷なものになったが不思議と辛さはなかった。
それどころか、俺の心には安堵感すら湧いていた。
それは、この生活がもうすぐに終わる事への物か。
それとも、『今度は取り返しがつかなくなる前に対処出来た事』への物なのか。
わからない。わからないがこの日々を乗り越えた先に昔からずっと欲しかった物たちが雁首揃えて待っているような、そんな気がした。
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「馬鹿者!無理をするなと言ったはずだ!!」
ラルトが怪我が悪化した事により血を吐き、蹲っている。
相当な無理をしたらしくもはや歩く事すら困難だった。
「どうする、抱えていくか?」
「いや、もはや僅かな揺れすら危険だ。」
「……仕方ない。この手だけはあまり使いたくなかったが……。」
ニグは俺に向き直り、ある作戦を言い渡す。
「私達二人でラルトを守る。オボロ、お前一人で後30キロ移動しろ。」
「―――は?」
理解が、できない。
皆が力を合わせていたからここまで来れたのだ。
誰一人欠けても不可能だった。
置いて行けと?
此処に?
一人少ない状態で?
もう動けない仲間を守りながら?
「馬鹿なこと言うんじゃない!」
「今までどれだけ速く動けても戦闘を避けながら進めたのは1日に10キロがせいぜいだった!そんな事出来るわけ「だからこそ、だ。」―――。」
「お前は私達の中で最も速く、最も隠密が得意だ。印刷を終えて包帯や消毒を買えるだけ買って来い。お前なら、それが出来る筈だ……。」
「だからって……!」
分かっている。ニグが正しい。ネットで出願こそ済ませたが今はもう2月の後半に差し掛かる。これ以上の無駄な時間の浪費はそもそも受験出来る程ラルトが回復出来るかが怪しくなってくる。
だが、決断できない。
なにか…何かないのか…?
俺の迷いを跳ね除ける『何か』が―――
「行って、オボロ。絶対に君が帰ってくるまでボク達が持たせてみせるよ。」
「だからさ、ボク達を…。」
「『私を助けて』、オボロ。」
気が付けば、俺は一人で走っていた。
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やはり、人数が少なくなれば必然的に接敵のリスクも低くなるものだ。オボロがいなくてもなんとか二日の夜まで持たせることが出来ている。アイツがあのペースで動き続ければ、どれだけ遅くとも明日の昼には帰ってこれるだろう。
それにしてもニアめ、やりよるな。
無意識でニアは『ボク』と『私』を使い分けている。
強い自分でいる為に『
感情が高まったり辛い時は『
あの言い方で動かない男は居ないよ。
これは、入学したら直に楽しいものが見れそうだね。
「おっといかんいかん…偵察に集中しなければ…。」
周囲のあちこちで戦闘が行われているものの此方に来る人影は無い。
異常なし。そう判断しかけた直前、他と比べて明らかに異様な集団が目に映った。
「なんだ…?アイツら……。」
服は汚いがボロ切れというわけではない。
傭兵?戦闘行為をしていないからには情報系だがそれならこんな所にいる理由がない。
あの『ドクロのマーク』はなんだ?見たことの無い組織の物だ。
新しい傭兵事務所で知名度を上げるために何でも仕事をこなしているのか?
いや、統率が取れすぎている。あれ程までの奴等が今まで無名だったとは思えない。恐らく『そう教育された何処かの組織のお抱え部隊』といったところか。
それならこんな所に一体何をしている?
「何かを、探し―――い゛っ!?」
右足に痛みがはしる。撃たれた。
「『黒山羊』ニグだな。」
「―――っ何処で私の名字を!?」
「お前に質問する権利はない。私の質問に対してのみ話せ。さもなくば殺す。」
ドクロのマークの連中が後ろから更に出てくる。
1対4の状況か…。
……無駄な戦闘は避けるべきだ。何故私の名を知っているかはどうでも良い。とにかく生き残る事だけを考えるべきだ。適当に情報をはいてお暇してもらおう。
「『仲間の男』は何処にいる。」
―――
――
―
「…………フ、フフッ」
「ハーッハッハッハ!!なんだお前達、そんな簡単な事も分からないのか!?コイツは傑作だな!!ハーッハッハッハ!!」
「……答えを聞こうか。」
「NOに決まっているだろう!この大馬鹿者共が!!」
斜め下に手榴弾、上に信号弾を放つ。
信号の意味は逃走。これでニアはラルトと逃げられるだろう。
そして爆風でもんどり打って吹き飛ばされながらも私は奴等と距離を離す事に成功した。
この自治区への移住作戦を提案したのはオボロだが、それを現実的にし、希望を持たせたのは他でもない私だ。責任は私にある。奴等が何故オボロを狙っているのかは知らない。だが、私はアイツら全員を逃がす責任がある。
問題ない。四人程度簡単に誘導してやるさ。
「時間稼ぎのつもりか?」
「………!?」
さっきまでより更に多い!
5、6……
7人…だと!?
「無駄な事を。お前が駄目なら他を当たるだけだ。」
「おとなしく言っておけばお前は死なず、お前の仲間も痛い目に遭わずにすんだだろうに…。」
「これが情に流された末路、まったく…虚しいな。」
「殺れ。コイツは戦闘要員ではないから一人で十分だ。他は私について来い。」
その指示通り一人だけが私の元に向かってくる。
だがなドクロ集団、それは悪手だ。
急加速し、向かってきた一人の懐に潜り込む。
突然の事に困惑した上完全に油断しきっていた胴体を殴り抜き、よろけた隙に愛銃で首を思い切り突く。
そのまま引き金をひいて首を私の神秘と改造で強化した弾丸が轟音と共に穿ち、吹き飛ばされた体を追いかけ、その顔面を銃身でぶん殴る。
何度も、何度も、何度も。
返り血が銃身と私の体を真っ赤に染める。
奴の虚ろな瞳が更に光を灯さなくなるまで殴り続けた。
「やれやれ。元々表情筋の動かない奴だったが、遂に他も動かなくなったな。」
息を整え、少し煽って余裕を演出する。
さあ、せいぜいこの死に体にくびったけになるがいいさ。
「お前達は本当に馬鹿だな!一体何故あの集団で私だけは戦えないなどと思っていたんだ?」
「……一人目。次は誰がこうなりたい?」
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後少し、明日の夜明けまでにはで帰れる、と少しだけ安心した瞬間だった。
「信号弾…?」
内容は『逃走』。それはつまり誰かが襲われ、対処に失敗したと言うこと。そして―――
「『自分を見捨てて逃げろ』ってのか!?」
冗談じゃない。ニアは言っていた、『生き残ろう』と、だから誰一人として欠けてはならないのだ。
気を張り、時に戦闘し、寝る間も惜しんで進み続けた体に鞭を振って更に走る。
止まりそうになっても転びそうになっても走り続ける。
「俺は…!もう!二度と……!!」
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「うぁ……あ…。」
何十発と弾丸を撃ち込まれ、作られた傷口に更に撃ち込まれ、地獄の様な痛みを受ける。
意識が朦朧とし、視界が暗くなるのを感じる。
「チッ…ハッタリか。おい、さっさと殺せ。今度こそ他をさが…っ!?コイツ!!」
リーダー格の足にしがみつき、1秒でも多くの時間を稼ぐ。
「……不快な目だ。希望を失わない。何故だ?お前はどうせ死ぬだろうに、何故そこまで出来る?」
お前らみたいな奴等には一生かかっても理解できないだろう、初めて自分らしくいられた場所への感謝なんてな。
だが、あえてお前等にも分かる様に簡単に教えてやろう。
「『恩返し』、さ。」
「フンッ…下らん。」
四方から銃が向けられる。流石に、もう無理そうだ。
だが、きっとアイツらは逃げられただろう。私一人の犠牲で、アイツ等が真に安心出来るようになるならお釣りが来る。
あぁ、でも叶うなら。
アイツらと、一緒に―――
―――
「『恩返し』っていうんならさー『目に見える形』で返して欲しいなーなんてね。」
私を囲んでいた者達半数の眉間が撃ち抜かれ、他の者は同時に現れた誰かに殴り抜かれ、大きく仰け反る。
「『なんで来た』ってのはナシだよ。」
「………ケホッ。」
……いや、それでも満身創痍の約一名に言いたいことはあるが、まあいいだろう。
「まったく、私は良い仲間を持ったよ。」
「さあドクロマークの諸君、まだ全力とはいかないが第二ラウンドと行こうじゃあないか!!」
―――
――
―
本当に不快だ。以前此方は万全であちらは疲労困憊。順当に行けば此方は負けない。何故分からない?仲間も、家族も、虚しいものでしかない。裏切られるとは考えないのか?あの中も、外も、この世は地獄で、無情で、屑ばかりがのさばる。私達が何をしてもこの世は変わらず虚しいだけだ。
「「「―――……。」」」
なにより、マダムから預かったこの『ロイヤルブラッドについてきた奴等』の目にもアイツらの不快な光が目に宿りかけている様に見える。
「あー……、もういい。」
駒の一人に命令を下す。この手の輩は何があっても動かない。そんな奴等に構っていられるほど私は暇じゃあない。
私はマダムより授かった『ある爆弾』を駒に持たせ―――
―――自爆を命じた。
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「ニグ!ラルト!何処だ、何処にいる!!」
返事が無い。しかし、銃声も無い。『最悪』の二文字が頭を過る。
「誰か!誰かいないのか!!」
「ニアァァーー!!」
それを振り払う為、より大きな声を張り上げる。もはやそれによって襲撃されるかもなどは考えなかった。
何処かにいる
―――返事は来ない。
必死で嫌な思考を振り払い、適当な路地裏に入る。
「……ラル、ト?」
居た。俺が探し求めていた内の一人が
だが様子がおかしい。
雰囲気はラルトで間違いない。しかし、身体的特徴が全く一致しないのだ。
ニアと同じだった黒髪は『反対』の白髪に。
ニアと同じ位だった身長は俺より若干低い程度に。
そして身体を蝕んでいた筈の傷が全て癒えていた。
一先ず声を掛けようとした時、ビチャリと足下から音が鳴る。目線を下へ向けると
―――
――
―
「え……?」
虚ろな目をした二人が、斃れていた。
「あぁ…戻ってきたんだね、オボロ。大丈夫だよ、後はこのチビ共を片付けるだけだから。さっさと終わらせて、その後でゆっくり話そう。」
―――
「………。」
一歩一歩距離を詰める。決して逃さぬよう、慎重に。
「『サオリ姉さん』逃げて!!」
「どうせ虚しいなら、せめて皆のために゛っ!?」
一人が特攻をしかけてくるが意に介さず腹を殴りとばす。
こうなってからどうも調子がいい。銃弾なんて無くても簡単に奴等を殴殺出来た。
「■■■■■■■■■■■。」
頭に響く声だけ少々厄介だが、大した問題ではないな。
吹き飛ばした奴に近付き、更に殴る。
「あぐっ…!」
判る。後ろの奴、確かサオリとか呼ばれていたな。何かを投げようとしているな。恐らくさっきの爆弾だがそれじゃあ軌道がそれ過ぎる。
「う、うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その爆弾の範囲はさっき知った。当たらないよ。
そっちには皆だった物しか―――
「なあ、ドッキリにしてはたちが悪過ぎるって…。起きろよ……。なあ!?起きてくれよ!!」
「―――っオボロ!!」
風のように動いて力の限り遠くにオボロを突き飛ばす。
件の爆弾はもう爆発する。皆と同じ様に、僕も死ぬ。
でも、伝えなきゃいけない。アイツは『二回目』だから。アイツが折れないように。僕達が居なくても幸せになってもらいたいから。
「―――生きて。」
爆弾が起動する。僕の意識は光と轟音とともに消えた。
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ただ呆然と、仲間だった物達の亡骸を見つめていた。
アイツらが戦っていた奴等は死んだ奴等の遺体を放置して撤退し、さっきまで騒がしかった路地は再び静寂に包まれた。
傷が治っているならあの程度の爆発で死ぬわけ無いと思っていたラルトも、目を覚まさなかった。
もう2月も終わるというのに寒い風が汗によって濡れた体から容赦なく体温を奪っていく。
昨日までは嫌と言うほどなっていた銃声や爆発音が今日に限ってしない。
―――また、ひとりだ。
だいじょうぶ、俺はだいじょうぶだ。
これから俺はゲヘナに行って、受けんをして、晴れて自ち区で安全なくらしが出来るんだ。
ひとりだけで。
また、何もできなかった。
思い出すは『あの日』。俺が楽園からたたき出された日。
燃えていく教会を見ているしか無かった日。
覚えのある大きさの焼死体を見るだけだった日。
それどころか、ラルトが死んだのは―――。
「あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
頭を掻き毟り、いっそ喉よこのまま張り裂けろと願いながら絶叫する。
「死ね!死ね!テメェが死ねよ!!一人で……!!」
「一人でぇ………。」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛」
誰かが全てを失おうと平等に朝はやって来る。
だが今日は追い打ちのように雨が降った。
俺から更に体温を奪っていく。
―――寒い。
――寒い。
―寒い。
朝が来たのに空に太陽がない。
砂『月』オボロはまたも自らを照らす
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雨上がり、ブラックマーケットの片隅にて。
ある、黄色い目に『毛先のみ黒い白髪』の子供は
「ふふ、ふふふふ。」
「アハハハハハハ!!『ハーッハッハッハ』!!」
まるで
様々な種類の武器達を『しまい』。
明確な目的を持ってどこかへ走り出した。
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「蒼森さん…。」
「見張りの交代ですね。分かりました。」
ここはブラックマーケット、『危険だった』場所。
およそ1年前に全体を巻き込んで起きた戦争が終結したものの、何処の組織も力を失った所を連邦生徒会とヴァルキューレが介入し、現在はこの無法地帯にも『殺人』『人身売買』等の重度の犯罪行為に対する罰則が決められた。
私の通っている『トリニティ総合学園』はいち早くブラックマーケットにいる戦争孤児の保護や重傷者を治療する為に動き、それが今も残り続け、まだまだ増える怪我人を治療している。
私、蒼森ミネはこの活動に真っ先に飛び込んだ。
『救護が必要な場に救護を』その信念を達成する為には此処に大勢いる要救護者達を救いに行かないなど論外であったからだ。
ここでの生活は安全とは言えない。限りなく少ないとは言え襲撃しようとする者がいたり衛生面や器具などもトリニティの物と比べると大きく劣っている。
それで救えなかった人達は一人や二人だけではない。
こうして襲撃を警戒する為に見張りをし、寝れないことだってある。
それでも、一人でも多くの人間を救う為に私はここにいるのだ。
―――
「……?」
見張りをしていると用水路に何かやけに大きな物が浮かんでいるのが見えた。
「―――っ!?これは…!」
浮かんでいたのは私と同じ位の子供であった。
子供は傷だらけであった。
銃弾による物だけでなく、刺跡、切傷、打撲痕。
出血量も酷く、まさに死に体であった。
そっと体に触れる
「まだ、息がある…。」
私は出来る限り揺らさない様に、しかし素早く支部に送り込んだ。
―――
「―――……何処だここ?地獄か?」
「滅多な事を言わないで下さい。ここは救護騎士団の支部です。」
「うお!?ビックリしい゛っ……。」
「あまり動かないでください。貴方は本当にギリギリで助かった上に、まだまだ傷も治っていませんので。」
「ああ…だよな……。まあ、ありがとう。」
どうやら無事意識を取り戻せたようだ。
執拗に嬲られていたのを見た時はどんな事をしでかしたのかと若干不安になったが寝起きの発言を聞くにそんなに悪い人ではなさそうに思えた。
「それにしても本当に酷い傷でした。貴方、自分の名前が言えますか?」
「おいおいお医者様。馬鹿にするんじゃあないよ。」
「『オレ』の名前は砂月オボロ。それじゃあまともに動けるようになるまでしばらくの間よろしくー。」
それが、『インナーが白の黒髪』に、『右目が赤で左目が黄』で後にキヴォトス唯一の男子生徒になる少年との出会いになった。
何故タイトルを変えるのかについてですがノリで決めたは良いもの、このタイトルブルアカ本編入ってからはあんまり合わないなと思ったからです。
新タイトルは昔から好きだった歌を参考に本編終了後に書く予定のバッドエンドルートにてハッピーエンドとの落差で皆さんに愉悦を感じてもらうために一生懸命考えました。
見たい話はありますか?【50くらい集まったら書きます】
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オボロとアマカのほのぼの話
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4バカのドタバタ話
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うるせえ本編書け
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好きにしろ