狙撃手用訓練施設にいつも通り撃ちに行くとクラスでは見かけるが、本来ここには筈の弧月マスタークラス、荒船哲次がいた。
「よぉ、荒船。どうしてここにいるんだ?お前アタッカーだろ?」
「ん?鴉か!ちょうど良かった!スナイパーの武器の使い方教えてくれ。」
「はぁ?お前アタッカーだろ?そんなの覚えてどうすんだよ。」
「俺はこれからスナイパーに転向するんだよ。パーフェクトオールラウンダーを目指すつもりだからな。」
それを聞いて驚いた。パーフェクトオールラウンダーは今のところ玉狛支部A級隊員木崎レイジさんしかいない。それほどに難しいのだ。それをやってのけようとは。思わず笑みがこぼれてしまった。
「何笑ってんだよ。お前も無理だと思ってんのか?」
「いいや、その逆だ。確かに難しいことだが不可能だとは思っていない。できる限り手伝ってやるさ。」
「マジか!!いや〜助かる!そういえばお前どこか入ったのか。まだならうちに...」「いや、つい最近影浦隊に入ったところだ。」
「が〜!先越されたか!スナイパー4人編成のチャンスだったのに!」
ラウンジに向かいながらそんな事を話していると、目の前から知らない人が荒船を見つけると焦ったような様子でこちらに近づいてきた。
「荒船君!ちょうど良かった!話したいことがあるんだ。」
「良いですけど...。」
荒船がこっちを気遣うように見てきたが問題ない。
「俺は何か注文してこよう。何か食べたいものはあるか。」
「あぁ、サンキューな。それじゃ、生姜焼き定食で。」
「てめー、ここぞとばかりに重いやつを...。」
そんな会話をしているとこちらにようやく気づいたのか話しかけてきた。
「ごめんね、急に割り込んできて。僕は来馬辰也。鈴鳴第一の隊長をしているんだ。よろしくね。」
鈴鳴第一。確か雅人がそこにいるアタッカーが面白くてやりがいがあると言っていたな。確か荒船の弟子で...。あぁ、なるほど。それは確かに話し合わないとな。
「いえ、大丈夫です。影浦隊の墨田鴉です。こちらこそよろしくお願いします。それじゃあ俺は飯取ってくるので。ごゆっくり。」
そう言うと2人と別れて注文しに向かった。
時間が経ち、料理を持って向かうと 先輩と荒船が何か動画を撮っていた。
「太刀川さんや風間さんやカゲに勝ち越してから言え!以上!こんなもんでOKですか?」
「うん、バッチリ!ありがとう!」
「用事は終わったか?」
「あぁ。終わった。」
「墨田君もありがとう。気を遣ってくれて。」
「いぇ。B級ランク戦がんばってください。」「ありがとう。」
撮った動画を早く村上に見せたいのか先輩は手を振りながら急いで帰っていった。
「それじゃあ、俺は帰るがお前はどうすんだ?」
「俺はこのまま隊室に行く。雅人と光の勉強を見ないといけないからな。」
荒船とは別れて隊室に向かう。初めてのランク戦はまだまだ先だがA級部隊と戦うのは楽しみだ。刃を砥いで挑むとしよう。
その時は考えもしなかった。まさか自分の周りで騒ぎが起こるなんて。