※雰囲気は明るめです。
何もかもが1つの大きなビルの中で完結する生活。皆さんの中にはそんな生活に憧れる人はいるだろうか?兎も角として俺、星野勇人(ほしのはやと)は現在そんな生活を送っている。
食事も、オシャレも、娯楽も、その他色々そのビルの中で完結する。本当に、ビルから出る必要のない生活が出来ている。問題があるとすれば、今俺の居るそのビルには外へ繋がる出入口が無いということだ。
◇ ◇ ◇
事の始まりは1週間前である。目が覚めるとそこはいつも通りの俺の部屋だった。黄色のコートを来た緑髪を所謂ツインドリルにした髪型の女の子が居る以外は……。
「あっ!起きましたね!」
そう言う女の子を見た俺はまだ夢の中にいるのかなと思い、頬をつねる。
「痛い……。」
どうやら現実らしい……。じゃあ一体誰がこんな所に居るんだ?考えられるのは、俺が寝ている間に誰かが侵入したか……。だが、この女の子はどう見ても不法侵入する様な子じゃない。
「あの~?」
「はい!なんです?」
「君は誰だ?」
俺の質問に対し女の子は、
「あっ、そういえば名前をまだ名乗ってなかったです!私はビルガモって言うですよ!」
「ビルガモ……?」
何だその名前?俺が首を傾げていると、女の子はこう言った。
「まぁ、私が自己紹介したので次は貴方の番ですね!さぁ!名乗ってください!」
名前か……。俺の名は星野勇人(ほしのはやと)だ。
「星野勇人だ。」
俺が名乗ると女の子は目を輝かせながらこう言った。
「へぇ~。いい名前ですね!じゃあこれからよろしくお願いしますね!ハヤトっち!」
随分馴れ馴れしい娘だな……。俺は次に、
「で、君はどうやって俺の部屋に侵入したんだ?寝室自体に鍵は掛けてないけど玄関はちゃんと戸締りしてたぞ」
「あぁ!それはですね!このビルガモはどんな所からでも入れることが出来るのです!」
「何?そんな能力があるのか?」
「はい!」
……。そんな能力聞いたことない。まぁ、このビルガモが言ってることだし本当かどうか分からないけど……。俺は次にこう質問した。
「じゃあ、君はどうやって俺の部屋に入って来たんだ?」
すると彼女はこう言った。
「それはですね~。ハヤトっちの部屋を私の中に移動させたんですよ!私は自分の内部なら何処にでも姿を現す事が出来るのです!」
は?どういうことだ?その後もビルガモに質問を繰り返すと概ねこんな情報が出て来た。
・ビルガモの本体はビルそのもので、自分の分身をビル内のあらゆる場所に出現させる事が出来る。
・なんならかの方法で俺の部屋をビルガモの内部に移した事でビルガモは俺の部屋に出現できるようになった。
・俺は知らなかったが、俺は通学の度にビルガモのビルの前を度々通っていたらしい。
「……なあ、取り敢えず話は信じるけど、なんで俺の部屋をお前の中に移動させたんだ?」
するとビルガモは顔を赤らめてもじもじしだし、
「も、もお!女の子にそれを言わせる気です?」
俺は首を傾げた。
「もお!鈍いですね~ハヤトっちは!えっと……。つまり……その……。」
そして、ビルガモはこう言った。
「貴方の事好きになっちゃたんです!」
……はい?彼女の言った事を理解出来なかった俺は再び彼女に質問した。
「……もう一回言ってくれないか?」
「だから好きです!」
あぁ、聞き間違いじゃなかったのか……。俺が困ってる様子を見た彼女はこう言った。
「じゃあ次はハヤトっちの番ですね!私の事どう思ってるです?」
「えっ、どう思ってるも何も初対面も同然だからな……」
「でも私はハヤトっちの事いっぱい知ってるですよ!」
「う~ん……。」
俺が悩んでいる様子を見た彼女は、少し悲しそうな顔をして言った。
「やっぱりダメ……です?」
そんな顔をされると何か悪い気がしてくるので俺はこう言った。
「分かったよ。じゃあ、これからよろしくな。」
俺がそう言うと彼女は、満面の笑みでこう言った。
「やったー!」
こうして俺とビルガモとの同居生活が始まったのである。しかし、俺は今の状況がどんなものかまだ理解してなかった……。
◇ ◇ ◇
「ここが和食レストランです!店内に日本庭園もありますよ!」
ビルガモがビル内のフードコートのレストランを案内する。ビルガモのビルの内部には様々な施設があって、フードコートはその一つである。
「ビルガモが行きたい所に連れてってくれないか?俺はこのビルのことは何にも知らないから……」
「そうですか?じゃあ次はカラオケに行きましょう!」
「カラオケか、歌うのは嫌いじゃないな」
そして、俺達はビル内を歩き回る。
「図書館に水族館まで……。まるで街1つを押し込んだみたいだな」
俺が感心して見てると、ビルガモが自慢気に言った。
「勿論!ここはハヤトっちの好きな物ばかりですよ!」
そんな時あることを思い出した俺は彼女にこう言った。
「そういえば、外部への出入り口がどうなってるかまだ見て無かったな」
するとビルガモは首をかしげて、
「はい?そんなもの必要ですか?」
「必要に決まってるだろ!」
俺は思わず大声で叫ぶ。それはそうだ、外部への出入り口が無いと下手したらこのビルに一生閉じ込められてしまうかもしれないじゃないか!すると彼女はこう言った。
「ハヤトっちはずっと私の中にいればいいですよ!衣食住全てがここで完結します!外へ出る必要なんてないです!」
「いや、そんな訳にはいかないだろ!一生このビルで暮らすなんて嫌だ!」
俺がそう言うと彼女は頬を膨らませてこう言った。
「むう~。ハヤトっちの分からず屋!」
そして、彼女は俺の手を強引に引いて何処かへ連れて行く……。
「おい!何処へ行くんだよ!」
俺は彼女に質問するが、彼女は答えずただ俺を何処かへ連れて行こうとする。そして、暫くして着いた場所は……。
「ここは?」
そこは1つの部屋だった……。その部屋には中央に大きなベッドが置いてあり隅の物入れにある物は……。これってあれだよなどう見てもラブホ●ルの1室だよな……?
「おい!一体何をするつもりだ!?」
俺が尋ねると彼女は言った。
「決まってるじゃないですか……。既成事実を作るのです!」
俺は驚いて腰が抜けその場に座り込んでしまった……。そんな俺を見て、ビルガモはこう言った。
「ふふふ……、本当はもっともっとハヤトっちと仲良くなってからこの部屋に連れてくる予定だったですが、予定変更です!悩殺してあげますよ~!」
そして服を脱ぎだす。あっ、服着てる時もちょっと思ってたけど胸がデカい……。いやいや、そんな感想を思ってる場合じゃない!
「おい!ちょっと待て!」
ビルガモは構わず俺に近付いてくる……。俺は必死に抵抗しようとするが、
「くっ……力が……」
よくよく考えたら、こいつは人間じゃないしどこから出てるのかってくらい力が強い。そして俺の着ている服がビリビリと破かれる。
「ちょっ!?」
「大丈夫です!新しい服はちゃんと用意してますから!」
そういう問題じゃない!
「いや、服の話じゃなくて……」
俺が言い終わる前にビルガモは俺に抱きついてきた。そして、そのままベッドに押し倒された……。
「ふふ……ハヤトっち可愛いですね」
そう言って俺の頬を指でつつく。俺は抵抗しようとするが力が強くて振り解けない……。そんな時、彼女はこう言った。
「ねぇハヤトっち?私の事嫌いですか?」
「そっ、それは……。」
俺が答えに迷っていると、彼女は続けて、
「ふふふ……、ハヤトっちが私の前を通る度に目で追っちゃって、私、ハヤトっちのことが気になっちゃったんですよ?だから……」
「だっ、だからって!」
俺は思わず叫ぶ。
「ふふ……。大丈夫ですよ!優しくしますから」
そして彼女は俺にキスをした……。
「んっ……。」
彼女の舌が俺の口の中に入ってくる……。その舌は歯茎や上顎などを舐め回していく。そして暫くして、ようやく解放されたと思ったら今度は首筋を舐められた……。
「ひゃっ!?」
思わず声が出てしまう俺を見た彼女はクスリと笑ってこう言った。
「ふふ……可愛いですね……!ビルガモはビルと言うよりもビル型ロボットなのですが、安心してくださいです。バルタン星の超技術によってちゃあんと子供も作れますからね!」
そう言いながら俺の身体を撫で回していく。
「いや、ちょっと待っ……」
俺は必死に抵抗しようとするがやはり力が強くて振り解けない……。そんな時、彼女は再び言った。
「ハヤトっちは私の事嫌いです?」
「そっ、それは……」
俺が言い淀んでいるとビルガモは俺の耳元に口を寄せてこう言った。
「……なら、せめて私のこと好きになるくらい気持ちよくなってください」
そしてまたキスをされる。今度はさっきよりも長く深いものだった……。暫くして唇を離すと。
「じゃあ、ハヤトっちのこと、隅から隅まで侵略しちゃうです!」
◇ ◇ ◇
そして、一週間が経過して俺は彼女……、ビルガモの内部に囚われたままである。
「はぁ……、どうすんだよこれ……。」
俺がため息を吐いていると彼女がやって来た。
「ハヤトっち!何してるのです?」
「ビルガモか……」
俺は疲れた様子で答えた。すると彼女はこう言った。
「……ちょっとお話しするのです」
そして俺達はベッドに座る。暫く沈黙が続いた後、最初に口を開いたのは彼女だった。
「あの~、この1週間どうだったです?楽しかったですか?それとも嫌だったですか?」
「……別に普通だよ」
そう答えると彼女は嬉しそうな顔をした後、こう言った。
「私は楽しかったですよ!だって大好きなハヤトっちとずっと一緒に居られたんですから!」
彼女は満面の笑みで答えるが俺はただ苦笑いするしかなかった……。そして彼女が再び俺に質問した。
「ねぇハヤトっち?私のこと好きになりましたか?」
「……まだ分からない」
俺がそう答えると彼女は頬を膨らませた。
「……もう!どうしてです!?」
「……だってビルガモは人間じゃなくてロボットだろ?そんな相手に恋愛感情なんて持てないよ……」
すると、彼女は、
「もう!ハヤトっちは知らないですか!?今の地球には人間とロボットが恋愛する話が沢山ありますよ!」
と、言ってくる。
「それってフィクションだろ……。俺の性癖はそこまでねじれてないよ」
「むうー!ハヤトっちも私のこのボディで最終的にあひんあひん言ってたじゃないですか!」
「うっ……、あれは……」
確かにそうだ。最初は驚いたけど次第に快感の方が勝っていたのだ。
「それにこの前は私に自分からキスしたじゃないですか!あれってどういう事か分かってるんです?」
そうなのだ。実は俺がビルガモとキスをするのはこれが初めてではないのである……。
「……あれは、つい魔が差してだな……」
「ふふ……、言い訳なんて聞きたくないです!責任取ってください!」
そして再びキスをされる。今度は舌を入れられディープなやつだ……。暫くして、
「それで、子供は何人欲しいですか?こちらとしてはこのビル内が賑やかになるくらい欲しいです!」
と、とんでもない事を言い出す。
「いや!頼むからやめてくれ!」
俺がそう言うと彼女はこう言った。
「え~?でもハヤトっちのここは正直ですぞ?」
そして彼女の手が伸びる……。
「ちょっ!?どこ触ってんだ!」
俺は慌てて止めるが、彼女は止まらない。それどころかますますエスカレートしていく……。結局、俺が解放されたのはそれから数時間後のことだった……。そして今俺は彼女に言った事を思い出す……。
「……確かに悪い気はしなかったけど……」
それから更に1年が経ったある日……。
「ハヤトっち!今日は何の日か分かるですか?」
「……今日か?何かあったっけ?」
俺がそう言うと彼女は嬉しそうに答えた。
「今日はハヤトっちがこのビルにやって来た日なのです!」
そして、俺に抱きついてくる……。
「もう1年も経つのか……」
俺が感慨深くなっていると彼女が言った。
「だから、お祝いするです!プレゼントもあるですよ!」
そう言って彼女は小さな箱を取り出した。
「これは……?」
俺が尋ねると彼女はこう言った。
「開けてみるのです!」
言われた通り開けると中には指輪が入っていた。
「これは……?」
俺が質問すると彼女は答えた。
「これは結婚指輪なのです!」
……えっ? 俺は思わず聞き返した。
「けっ、結婚……?」
俺が狼狽えていると彼女は言った。そして俺の手を取りこう言ったのだ。
「はい!ハヤトっちと私で結婚するのです!」
「……いやいや!ちょっと待ってくれ!」
俺は慌てて彼女を引き離そうとするが力が強くて振り解けない……。そんな時、彼女はまた耳元で囁いた。
「ふふ……、もう逃げられないですよ?」
そして再びキスをしてくる……。そして、それから1週間後にビルガモから、
「私達の第一子です!」
とビルガモそっくりの幼児を紹介され俺が腰を抜かすのはまた別の話だ。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等お待ちしております。