豪徳寺ミケとジャッジ   作:豆腐

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エンディングは快晴で

 それからというもの、私は商人としてやっていくために色々勉強をした。算盤を使えるように勉強したり、お客様に対する振る舞い方とか。大変な日々が続いたが、充実していた日々であったと言わざるを得ない。

 

 一ヶ月程経った頃だろうか。私はアビリティカードと言われる商品を売っていた。アビリティカードはカード一つ一つに特殊な効果がある。自分を強くしてくれたり、お金を稼ぐことができたり。

 

 それはそれは、幻想郷で大流行していた。幻想郷中の商人がこの流れに乗って、アビリティカードを売って、市場は賑わっていた。

 

 そして私はお客さんをいつも通り見つける。基本的にアビリティカードはスペルカードルールで戦う少女達によく売れる。見つけた相手も妖精をあしらいながら空を飛行していた。

 相手に声をかける。私は商人で、相手はお客様。そこに対立関係など存在するはずがない。

 

 だからだろうか、私は相手がどんな人物かも考えず、警戒心も持たず近付いてしまったのだ。結果として、私は人間と、知的な商談ではなく暴力的な勝負をしたのだった。

 

 なんとか売買には漕ぎつけた、人間はアビリティカードを買っていった。が、私もそれなりの深手を負ってしまったのだ、物理的に。全身が痛んで、かなり辛い。だが、利益は出たし上出来だ。

 

 そんな風に考えていると、見知った白猫がこちらに歩いてきているのが見えた。

 

「久方ぶりだな、親愛なるミケ。また随分と無慈悲なまでに敵対されたものだ。しかし、その裏では君の望むままに進んでいる節もある。いやはや、君のその一度触れたら二度と離れないような商魂は脱帽物だな」

「ジャッジ、久しぶりだね! まあね、商売ってのは根強くやらなくちゃ。お客様がうんざりしても商談するのが私なんだよ」

 

 私が幻想郷にきた頃に、短い間だが幻想郷を共に歩いたジャッジがいた。

 まだ幻想郷に残っているということは、ジャッジは元の世界に帰る術を見つけることができなかったのだろうか。

 

「しかし、君も災難だったな。冷酷無惨な人形の操り手に敵対されるとは」

「……どういうこと?」

「君が先程まで商談をしていた相手、背後に私の旧友がいた。名をプレイヤー。世界の法則に従っていない人物だ」

「そうなんだ? 全然気付かなかったけど……」

 

 背後に何者かがいたのだろうか。私は少しも気配を感じ取ることができなかった。

 

「そういえば、どうしてジャッジはここに?」

「……話すには心苦しく、未だにこの結末を受け止める事ができていないが、私は元の次元に帰るために、己の力を遺憾無く発揮してきた。しかし、この摩訶不思議な幻想郷でもたった一匹の哀れむに値する猫を、元いた次元に戻すことはできないようだ」

「そう……なんだ、それは残念だったね……」

 

 元の世界に戻りたくても戻る事ができない、そう告げるジャッジはどこか寂しげな顔をしていた。

 次元が違う……あ、そういえば。そういったことに詳しい人がいたっけ。

 

「スキマを操る賢者様ならなんとかしてくれるかも……」

「生憎だが、胡乱げで言葉に出さずとも妖しい彼女にも一度会っている。都合の良いことに、こちらの言葉を理解し、忌わしいこの状況を把握してくれたが、私が求めているものは彼女の把握できない領域らしい」

「賢者様でも把握できないの?」

「私も境界を操る事ができたならばよもや……とは思案したが、あれは訳無く真似できるものではない。なすすべがなく途方に暮れるうちに、少しばかり友の顔が恋しくなってね」

 

 境界を操る能力、嘘か誠か妖怪の賢者はこの世の理すらも操れるらしい。

 しかし、能力か、もしかすると解決できるかもしれない。

 

「ジャッジ、アビリティカードって知ってる?」

「ああ、知っているとも。他者の力を紙の中に保存し、己の力として扱う事ができると謳われている代物だろう? ……まさか、あるのか」

「そのまさかだとも! 私は妖怪の賢者の力が保存されたアビリティカードを知っているし、実際に取り扱った事もある!」

「ああ! 本当に君と言う猫は、ここまで私の心を揺さぶられるのはゾーン0で忌まわしき障害を退けた時以来だ! それは一体どのように神秘的で魅力溢れる物品なのだ? ぜひ私に掲示してほしいな」

「ごめん、さっきの人間に売っちゃった」

 

 ジャッジは面食らったような表情をする。まさかこんな表情をするとは思ってもいなかった。

 

「そんな顔をしなくても……もう一回手に入れればいいんだよ。幸いにもそのアビリティカード、『画面の境界』*1は高額すぎるわけじゃないし」

「そう……だな。この不運な猫に手を貸してもらっても構わないだろうか、ミケ」

「もちろん!」

 

 ジャッジが仲間になった 頭の中にそんな文章が浮かんできそうだった。

 とにかく私達は、アビリティカードを探すために行動を開始することになった。といっても基本的に私達は、山で商売をしている相手を尋ねるだけだが。

 商売をしている相手で、尚且つ私の知り合いで画面の境界というカードを持っている相手は……

 

 

 

「というわけで、画面の境界ありますか?」

「申し訳ないのですが、ありません」

 

 私達は千亦のところに来て玉砕していた。

 

「そんな〜市場の神様だから、在庫もあると思ったのに!」

「市場の神でも在庫切れはするわよ……それに画面の境界って意外とレア物なのよ?」

「大衆が目を変えて欲しがるような希少な物と、とりわけ面白みのないような有象無象の象徴的な物品があるというのか?」

「画面の境界って珍しいものなの?」

「そうよ、八雲紫の能力ってすごく珍しいから!」

 

 ということは、あの人間に売ってしまったカードは、かなり手に入れるのに苦労するということだ。

 レア物らしいけど、山中を駆け回れば一つは手に入るよね?

 

「そっか……じゃあ他の人をあたるしかないか」

「まあ、頑張ってね。画面の境界って一点物だから」

「……え?」

「なんだと?」

 

 おそらく私とジャッジは同じことに疑問を持っていたのだと思う。

 

「知らなかったの? ていうか、画面の境界が二枚手元に並ぶ事がないから、薄々気付くと思うんだけど」

「知らないし、初耳だよ!?」

「そっか、ごめんなさい」

「簡単に謝らないでよ神の威厳は!?」

「いいのよ今はプライベートだから」

 

 一点物ということは、あの人間が持っているカードだけ、ということになる。仮にその人間がカードを売ってしまえば、カードの所在はわからなくなり、見つけるのが困難になるだろう。

 

「ミケ、千亦とグズグズともはや意味のなさない商談をしている暇はないぞ、君は少なくとも、我々の欲するカードを所持している人物を、己の頭部にある記憶器官に誤りなく記しているはずだ。その人物が我々を嘲るように心情を変えてカードを手元から離す前に、早く動かなければ」

 

 そしてそれは、ジャッジも同じようで、私に圧をかけるように急かしてくる。

 

「うん、わかった。ありがとう千亦! またね!」

「ええ、また」

 

 あの人間はどこへ行ったのか。私はそれを把握しないといけない。

 私はジャッジを抱えて空を飛ぶ。初めて飛んだ時はジャッジも驚いていたが、もう慣れてしまったようだった。

 

「少しばかり陳腐な疑問が、私の窮屈な頭の中で反響しているのだが、プレイヤーと会った時、君はどのような知的な手段でアビリティカードを己の手に取り戻すつもりなのかな?」

「商売するしかないね、そりゃあ」

「もしも相手が拒んだら? 私は相手から一度買ったものを、同じ相手がどれほど哀れっぽく嘆願しても手放す気にはならないだろう」

「確かに……」

 

 そうだ、これは非常に大きな問題だ。まず前提として、商売というものは買う意思と、売る意思がなくては成立しない。私は相手が売ってくれる前提で考えていた。

 

「もしも相手がそのカードを価値ある掌中の珠と考えて、こちらに売り渡さないというのならば、あまり気は進まないが、暴力的な手段で奪い取るのはどうだろうか」

「無理だね、あんな人間には勝てないよ、それにアビリティカードは暴力では奪えないし」

「何故だ、とは思うが、おそらく商売を通じてカードを手に入れなければ、価値を発揮せず、幻想郷に存在するどのようなものよりも意味のないゴミと化すのだろうな」

 

 その通りである。暴力では奪えない。この市場の絶対的なルールだ。それはどんな存在であろうと破ることができない。

 しかし、根本的な解決には至ってない。どうやって画面の境界を手に入れればいい?

 

「暴力がどうしようもなく禁止されているならば、奪い取るというのは?」

「暴力を使わずに? 無理じゃないかな」

「自然の掟の如く、どんなに抗おうと、自らの意志と真逆でも、所有権を手放してしまうような、そんな我々に都合がいい手立てはないのか?」

「そんなの……いや、一枚だけある、そんなカード。手に入れた瞬間全てのカードを失う代わりに、次の商売でたくさんカードを手に入れられるっていうカード」

 

『空白のカード』*2である。商売で売る側の人みんなに、千亦から配られるカードだ。

 

「それだ、カードならば暴力ではないがゆえに、どうやっても市場の決まりを破るという、あまりにも愚かで恥じるべき事態には発展しない」

「でも、買ってくれるとは限らないと思うけど」

 

 そう、空白のカードは結局のところ買ってもらわないといけないのだ。

 

「商売をした時点でそのカードは効果を発揮するのか。それとも、買ってから手元に入った時に、効果を発揮するのか。あるいはそのどちらでもなく、全く別の想像の及ばないような折に効果を発揮するのだろうか?」

「千亦はよく、所有権を大切にしていたから……手元に入った瞬間じゃないかな」

「そうだと仮定することにしよう、我々は私が心の底から渇望しているカードの持ち主に、我々の体についている運動器官を使い、今すぐにでも会いに行き、そのカードを譲渡する」

「譲渡するって、受け取ってくれるとは思えないけど?」

 

 相手が受け取る意思を持たないなら、渡そうとしたって無駄だと思う。意思など関係なく相手にカードを渡すなんてできるはずがない。

 

「思案したのだが、この色鮮やかなシューティングゲームの世界とは少しだけジャンルが違う私ならば、あるいはできるのではないかな」

「シューティング……? まあ、ジャッジができるかもっていうならそれに頼るしかないね」

 

 そして今から、私たちは人間を追いかけて画面の境界を手に入れる。

 気づけば辺りは暗くなっていて、綺麗な月が出ていた。

 

 こんな暗い場所で見つかるかと言えば、簡単に目的の人物は見つかった。

 妖精を蹴散らしているのだから当然だろう。

 

 今から追いつこうとしても、少し遠い、か。

 なので、私の招き猫の力を使って引き寄せる。私の不完全な能力。お金かお客を招き入れる程度の能力で、あの人間をお客様と仮定して。

 私はお客様を引き寄せる。

 

 望み通り、私の目の前には、お客様が飛んでいる。ここからが商売の腕の見せどころだ。

 

「お姉さ〜ん!」

 

 あたかも偶然出会ったかのように、お客様の目の前に飛び出す。お客様はこの場の雰囲気に場違いな私を見て少し驚いた様子を見せる。

 

「いやーやっと追いついたよ! まさかこんなところまで来る羽目になるなんてね」

 

 お客様は私に疑問を抱いているようだった。何故私が会いにきたのか。

 私は正直に話す。商売というのは真摯に対応する事が大事だから。

 

「実を言うと、お姉さんの持っている、画面の境界が急遽必要になってね。どうか譲ってくれないかな? もちろん、代わりのカードをあげるし、なんだったら少しルールを破って、二枚以上のカードを渡したっていいよ!」

 

 私の提案に、お客様は悩んでくれている……のだろうか?

 お願いだからこの商売に乗って欲しい……そうすれば何事もなく終わってくれる。

 

画面の境界を手放し、豪徳寺ミケとの取引に乗る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 答えは否だった。人間はどうやら穏便には終わらせてくれないようだった。

 

「しょうがない、渡す気がないと言うならば、力づくで!」

 

 もちろん嘘だけど。力づくではどうやったっても奪えないと言う事。お互いにわかり合っている。私は弾幕勝負を仕掛けるために啖呵を切ったのだ。勝敗などわかり切っているが。

 

 一応弾幕勝負を経験して、少しだけ趣向を変えたりはしたけど、普段から商売ばかりやっている自分じゃ、異変解決をしているような強い人物には勝てるわけもなく。

 

 朝に戦った時の二の舞になってしまった。ボコボコにされて、人間はこちらを見下ろす。厳しい視線を向けてきて、私を警戒しているようだった、が、それでいい。

 

 私の頭にジャッジが乗っかる。そして、

 

「プレイヤー、私よりも数々の、どうやったって数えきれない多くの世界を旅してきた君は、もしかすると私の事は覚えていないかもしれないな。しかし、それでも君がどれほど無意味な事でも、正しい選択をしてくれた事を、私は今まで己の身に起こり得たありとあらゆる事象よりも、深く記憶に刻み込んでいるよ」

 

 突然白猫が現れたからか、人間は少し驚いていた、人間の後ろにいるプレイヤーが、どう思っているのかは、私にはわからないけど。

 

「これは、私から、君への、些細な 贈 り 物 だ」

 

空白のカードを手に入れた

 

 瞬間、あたりに人間が持っていたカードがばら撒かれる。

 なるほど、空白のカードを所有するとこういう風になるのか。これは人気が出ないわけだ……。

 

 驚いている人間を尻目に、私は画面の境界を、価値あるもの、つまりお金と仮定して、能力を発動して招き入れる。

 人間は私が画面の境界を手にしたのを見て慌てて他のカードを集めようとしていた。少し申し訳なく思うが、こっちだって色々と事情があるので、許して欲しい。

 

 私とジャッジはその場を後にした。

 とはいっても、来た道を戻るだけだったが。

 

 ある程度戻り、後ろから誰も来ていない事を確認して、ようやく地面に降り立つ。

 

「ふう〜……成功したね! ジャッジ!」

「ああ、そうだな。これでようやく待ち望んでいたものが手に入る」

 

 私はジャッジに画面の境界を渡した。

 

「どうかな? 使える?」

「……! 今なら、私はこの世界から脱出して、私が元いた次元へと帰ることができるだろう」

「そっか! よかった〜」

 

 嘘ではないだろう。ジャッジはとても誠実な猫であるから。

 ただ、これで本当の本当にお別れになってしまうのだ。なんとなく寂しくなってしまう。

 

「お別れ、だね」

「そうだな。思えば、君には言葉では言い尽くせないほど世話になったな。豪徳寺ミケ。君は私に多大な幸福を招いてくれた。最早君は、豪徳寺で不幸にも雨に降られた、哀れなる三毛猫ではない。他者に幸福を招き、己に誇りを持った立派な招き猫だ」

「ありがとう、ジャッジ」

 

 私を、招き猫にしてくれて。

 

「どうか、パブロと呼んでくれないだろうか。我が友よ」

「わかったよ、パブロ。……私、パブロの事は忘れないよ」

「……以前、私は君に、畏れ多くも、何も価値ある代物を所有しておらず、代金を支払えないと言ったな。しかし、君にささやかながらであるが、代金に値するものを所有している事を、私の記憶器官が思い出してくれた。どうか、もしかすると雀の涙よりも、想像を絶するほどに足りないかもしれないが、受け取って欲しい」

 

 パブロは私に紙切れを渡してきた。

 

幸運のチケットを手に入れた

 

「これは?」

「それは、幸運のチケット。この次元で価値があるか、私には把握しかねるが、少なくとも私の次元では価値あるものとして扱われていた。どうだろうか」

「ありがとう、十分だよ」

「ああ、ようやく、君にささやかながら恩返しができた。これで心置きなく、元の次元に帰れるというものだ。くどいかもしれないが、心の底から君に、豪徳寺ミケに感謝の意を。さようなら」

 

 目の前からパブロの姿が消える。

 

「行っちゃった」

 

 今までの生涯と比べれば短い間ではあった。だがどんな時間よりも、パブロと過ごした時はとても楽しかった。幻想郷に来ることができて、本当によかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

ジャッジと別れを告げた後。豪徳寺ミケは色々な市場で商売をしていた。

目標の一つでもあった自分の店を構えて、妖怪でも人間でも動物でも、どんな相手でも商売をしていた。

アビリティカードだけではなく、生活必需品や便利グッズ。誰が欲しがるかわからないものまで、幅広い商品を売っていた。

とても大人気な店で、売れ行きも上々……とまではいかないが、それでも客が訪れない日はない。

今日もまた、誰かがやってくる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

豪徳寺ミケ「いらっしゃいませー!」

 

八雲紫「ごきげんよう、店主さん」

 

 

店に訪れたのは、八雲紫。隙間を操る妖怪の賢者だ。

 

八雲紫「あなたに感謝を伝えないといけない、と思ってね」

 

豪徳寺ミケ「感謝って言われてもね、一体何に対して?」

 

八雲紫「ジャッジと名乗る白猫についてよ、彼があのまま幻想郷にいたら、いずれ良くないことが起きたでしょうね」

 

八雲紫は何か恐ろしいものを目にしたような顔で、あるいは、非常に疲れたような顔をして語った。

 

 

【挿絵表示】

 

 

豪徳寺ミケ「良くない事とかなんとかは、聞かなかったことにして、パブロの事は成り行きだからね。感謝するぐらいだったら、ウチの商品でも買っておくれよ」

 

八雲紫「うふふ、そうね。じゃあ、この画面の境界を買っていこうかしら」

 

豪徳寺ミケ「まいどあり〜!」

 

八雲紫は、ミケが知らぬ間に手に入れていた、画面の境界を持ち、代金を差し出す。

ミケは算盤を使い計算する。しかし、受け取った金額のたまがひとつだけ足りておらず、商売が成立しない。

 

 

【挿絵表示】

 

 

豪徳寺ミケ「お姉さん、代金がいち足りてないよ」

 

八雲紫「あら、まけてくれないかしら?」

 

豪徳寺ミケ「冗談じゃない! 冷やかしは帰りな!」

 

豪徳寺ミケは八雲紫に、お金をさっさと出せ、と詰め寄る。

八雲紫は、お財布を取り出して、お金を探す。

 

 

【挿絵表示】

 

 

八雲紫「ところで、もし、この世界が誰かに作られた物語で、あなたはその世界の登場人物だとして、すべての行動が誰かの手によって作られたものだとしたら。あなたはどう思う?」

 

豪徳寺ミケ「え?」

 

八雲紫「あなたの行動も思考もすべて、誰かによって作られたもの、今も誰かによってその行動を操られているとしたら、あなたはどう考える?」

 

突然わけのわからない質問をされて、豪徳寺ミケは困惑する。しかし、すぐに答えは出た。

 

 

【挿絵表示】

 

 

豪徳寺ミケ「つまり、私が本の中の登場人物で、本の筆者によって行動が左右されているとしたら、みたいな事だよね。別に、私は気にしないかな」

 

八雲紫「それはどうして?」

 

豪徳寺ミケ「だって、私は私でしょ? 作者がいようが筆者がいようが、それは変わらないと思うけどね」

 

八雲紫は目を閉じて笑みを見せながら、足りない分の代金を支払う。豪徳寺ミケはそれを確かに受け取って。商売は終わった。

八雲紫は店からゆっくりと出ていこうとする。そこに豪徳寺ミケが声をかける。

 

 

【挿絵表示】

 

 

豪徳寺ミケ「それにさー! 物語ってのは必ず終わりがあるよね! 物語が私たちを操ってると考えてもさ! 物語が終わった後は自由だよ!」

 

八雲紫は姿を消した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

今日も豪徳寺ミケは客を招く。

エンディング 招かれざる猫と招く猫

 

*1
豪徳寺ミケ:弾幕勝負をしている最中を画面と表現していて、スペルカードルールで定められた領域の端で使用することで、反対側の端に移動できる。と、私は解釈しているけど、画面の端って結局なんだろう。

*2
ジャッジ:このカードは、所有者の空白のカード以外の、すべてのアビリティカードを失う代わりに、次の商売で売られているカードを、ほぼすべて手に入れることができる。この珍妙な紙切れは、もはや救い難いほどに人気がない、作成者が狙ったのかは知らないが、もしも図らずしてこうなったのなら、哀れむべき存在であるといえよう

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