王国魔法局査定部第三課 ー赤髪ミジカの魔法査定ー 作:上殻 点景
王国魔法局査定部第三課。そこは生み出された魔法が基準をみたしているか、査定する場所。
一日に王国で認可をまつ魔法は300ほど、それを部署ごとに担当して、査定します。
例えば攻撃魔法要素が強ければ一課。治癒魔法であれば二課というように。
では———三課は?
『その他全部とかふざけんなっつーのォ!!』
ぶちげれながら、赤髪ショートの髪ごと、顔を机にたたききつけるは少女。
顔は童顔、胸はペッタンコ、身長は150cm。年齢は乙女といったところです。
ぐらぐら—机上の書類はゆれ。崩れる書類とともに落ちていくは、彼女の名刺。
名刺に書かれた肩書きは————王国魔法局査定部第三課、査定官:赤髪 ミジカ
『いあいあ、寝てないで査定を行ってください』
彼女の頭にのしかかり、冒涜的な挨拶をかますは、長さ15cmの魔法ペン。
名はブラック☆ナビィ。自称:最強の魔法杖です。
「ナビィ、私の代わりにあと全部やっといて」
『むりです、私は人に使われるだけの道具なので』
「人のプリンを食べるような道具がいてたまるかっつーの」
『最近は道具もプリンを食べる時代です。遅れてますねー』
頭上の魔法ペンをつかもうとしますが、ひょいっとよけられます。
そのままどこかに消えてしまい、声だけが赤髪少女の脳内に響きます。
「くっ、杖のくせに生意気な……」
「ところで仕事をしなくてもいいんですか?」
「現実を見せてくる魔法ペンなんて知らないもん」
積み上げられた大量の書類もとい、仕事。
赤髪少女がそれらを見つめると、書類は彼女に“査定してー”と語りかけてきます。
「嫌って言ったら」
書類は“泣いちゃうかもー”と答えてきます。
「実はナビィが大事にとっていたケーキを食べたの私なのよね」
『えっ、ちょっと何食べてるんですかッ!』
書類の向こうから
「ナビィこんどやったらへし折るからね」
『怖い怖い』
持ち手をくねらす魔法杖に、キレながらミジカ少女は紙を見ます。
それは今日も届いている申請書類の一枚。
「————で、今日はどんなクソ魔法が届いているのよ」
彼女はそんな愚痴をいいながら、魔法の査定を始めるのでした。
◇
【魔法局査定部三課・執務室 [現地時間 12:00]】
とられた紙にかかれた魔法名は————ラーメンをうどんに代える魔法
「もう見ただけでクソ魔法って分かるんだけど」
『いあいあ、自分で言うのもなんですが凄く冒涜的な魔法ですね』
赤髪少女の前におかれたのは、カップ麺。
最近は次元魔法による異世界の交流がおおく、王国にもコンビニができる時代となっています。
「全く、どうして私の昼飯を捧げる必要があるのよ」
『えらい、昼飯を捧げてまで頑張る査定官はえらい』
「あんた、それ心から思っている発言なのかしら」
『ずるずる(当然じゃないですか)』
当然のように、よこでカップ麺をすすっているナビィ。
まだ3分はたっていないことから、魔法ペンは硬めが好きなようです。
「あーあー、カップ麺ができちゃった……」
『いいことじゃないですか、早く魔法を使ってください』
「うるさいわね、アンタので査定をかますわよ」
『ざんねんでーす。もう食べちゃいましたから』
「お腹にかけてやりましょうか」
『杖のお腹ってどこなんでしょうか?』
おなかー、といいながら持ち手をうごかす、魔法ペンのナビィ。
知らないわよ、といった顔をしながら、赤髪少女は机を見ます。
そこには丁度いいできあがりのカップ麺。
きらびやかな具材、たちのぼるは白い湯気。
「ごめんなさい名も知らぬ異世界の企業さん————
極彩色の光がふりかかり、カップ麺に魔法がかかります。
企業努力により細かった麺は、みるみると太麺に。
黄色い縮れた麺はどこにやら、そこには白いうどんの麺が入ってるのでした。
「げっ、体積の事を考えるのを忘れてた」
『まあ、あとで拭いときましょうよ』
うどんになったことで、カップ麺の汁はあふれ、つくえには茶色い液体が。
質量保存の法則はどこにやら。だからこそ魔法はおもしろいともいえます。
「書類の上にかかってたら、考案者をぶち殺す必要があったわね」
『自分のミスを他人に押しつけるのはよくないと思いますけど……』
「分かってるわよそんなこと」
『いいから早く食べてください』
仕方ないとばかりに麺をすする、赤髪少女。
「うん……これは、うん」
その顔には微妙の二文字。
『なにわかりきった顔してるんですか』
「でも、ちょっと期待するじゃない、普通」
『普通も何もラーメン用のスープがうどんに合うわけがないじゃないですか』
「別に正論を聞いている訳じゃないのよっ」
少女も逆ギレしながらも、机から書類を取り出し、バンッと判子をおします。
判定はもちろん認可。
残ったカップ麺もとい、カップうどんは赤髪少女が頑張って食べました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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