王国魔法局査定部第三課 ー赤髪ミジカの魔法査定ー 作:上殻 点景
王国には書類(未認可魔法)が積まれた執務室がありました。
未認可魔法とは発動はしますが、使用許可が降りていない魔法のこと。
魔法の安全性を調べる場所こと、王国魔法局査定部。3課には分類:その他の魔法が集まります。
────そんな執務室にのびのびとする赤髪少女がいました。
「はー、今日もいい天気ね」
ぐーとのばした腕は、赤髪をゆらし、気持ちよい風が手にあたります。
そんな赤髪はショート、胸はペッタン、制服は薄緑の袖付きジャケット(王国指定)。
名は:赤髪ミジカ。魔法局査定部第三課の職員となっています。
「ナビィも『ハックション』そうは『ハックション』────大丈夫なの?」
『いあいあ、だいじょばないです』
机に転がっているペンは、冒涜的な諦めを見せます。
なぜペンが諦めているかというと、彼女が魔法ペンだからですね。
名は:ブラック☆ナビィ。自称:最強の魔法杖です。
『最近、ホントに鼻頭まりがひどくて……』
「ナビィの場合、鼻頭まりというより、インク頭まりな気がするけど」
机に飛び散るは、黒いインク。
ペンの先っぽから飛び出たソレは、みごとに飛散し、机を黒く染めています。
『おかげで最近は体も熱っぽくて』
「あんたに熱くなる場所なんかないでしょ」
『でも、こんなにも体が緩くなっているんですよッ』
魔法ペンは、ぐらぐらになった体を見せます。
熱による膨張のためか、中間部が緩み、ハレンチにもなかのインクが見えてしまっています。
『いやん、ミジカさん。そんなねっとり見ないでくださいッ』
「いや、ボールペンの中を見て興奮する人はいないでしょ」
『んなわけないじゃないですかッ』
『────王国10億人の魔法ペンファンがうっとりとしてしまう程の、良スタイルですよッ!』
「まず王国に10億人も人はいないから」
「全く、いくわよ」
『行くってどこに?』
「ちょうど横に病院があるでしょ」
『いあいあ、他課を病院扱いするのはミジカさんだけだと思います』
魔法ペンを大事に抱えて、歩き始めるは、赤髪少女。
彼女が進む先にかけられた札は────二課 分類:回復魔法、です。
◆◇◆◇
魔法局には、病院のような区画があります。
査定の際に傷ついた者を治すという役割。運び込まれるは、主に二課の人間。
自身を実験台にして査定する彼らこそが一番の利用者のでした。
────そんな病室には、赤髪少女と魔法ペン、そして白ナースの姿がありました。
「で、回復力高めな私のところに来たわけですね☆」
白ナースは、綺麗なキレで、ピースを決めて、笑顔で対応します。
『いあいあ、ハックションッ、誰ですかこのヤバそうなナースは』
「ヤバそうとは失礼ですね、二課職員、シロナース・デ・ケッコン・願望です☆」
シロナース・デ・ケッコン・願望と名乗った少女は、
薄桜髪はショート、胸はポヨン、制服は白の改造ナース服。
濃いメイクのから覗く、微笑みは100点です。
「早速、お注射の方をしていきますね☆」
『い、いきなり注射ですか』
「はい、時間がないため、当課では“病・即・断”を心がけています☆」
『も、もっと診察したりしてからとかしましょうよッ』
魔法ペンは必死に抵抗します。
ペン先をブンブンとふって、横暴だーということをアピールします。
「大丈夫ですよ、一瞬で終わりますから☆」
『ほ、ほんとですか?』
「はい、ドカっとしたら終了です☆」
『ミジカさーん、明らかに擬音が注射の音じゃないですッ』
魔法ペンが周囲を見ますが、赤髪少女は沈黙するのみ。
少女の顔には大人しく注射されろ“と書いてありました。
「それではいきますよ☆」
白ナース少女は手に持っていた、注射器を変身させ────火縄銃[改造]を取り出します。
『アレェ、注射じゃないんですか……?』
「二課では“注意深く射撃”と書いて、注射と読みます☆」
『いあいあ、注射は注射器でするから、注射なんですよッ!』
「ぐちぐち言わない。コレだって立派な注射器です☆」
嫌だー、死にたくなーい、と暴れますが、あとの祭りの、魔法ペン。
白ナース少女の射撃腕は王国随一。男は逃しても、敵は逃しません。
「では、射撃いっちゃいまーす────回復魔法っ」
『ぐへっ』
魔法ペンに直撃する、魔力弾。
直撃した丸っこい弾は凹み、極彩色の光が内部から溢れます。
『あばばばっばッ!!』
魔法ペンはこの世の終わりみたいな叫び声をあげて、休止します。
確かに、くしゃみは止まっていますが、それ以上に抜けてはいけないモノが止まっている模様。
具体的には、魔法ペンの後ろから出るは、白い煙。魂とかが抜けてそうな煙です。
「ようやく大人しくなったわね」
「ミジカちゃんも体に悪いところあるよね☆」
「いやいや、私は健康体そのものだから」
「だめだよー、整体法だけじゃあ、ごまかしにしかならないんだから☆」
「あっ、ちょっま「射撃です☆」────あばばっばばっ!!」
への字になり、ケツから煙をだす、赤髪少女。
彼女もまた、体に異常を抱える病人。
白ナース少女の執行対象になります。
「ふう、またケガ人を救ってしまった☆」
むしろ被害を増やしてね? と言いたかった、赤髪少女と魔法ペンはぐぐぐ~と唸る事しかできませんでした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字報告があると作者が喜びます。