王国魔法局査定部第三課 ー赤髪ミジカの魔法査定ー 作:上殻 点景
王国には書類(未認可魔法)が積まれた執務室がありました。
未認可魔法とは発動はしますが、使用許可が降りていない魔法のこと。
魔法の安全性を調べる場所こと、王国魔法局査定部。3課には分類:その他の魔法が集まります。
────そんな魔法局の屋上に、今日は、赤髪少女の姿がありました。
「これホントにやるワケ……」
ビュウゥウゥ~風がながれ、ゆれる髪は赤髪。揺れない胸はペッタンコ。
制服は薄緑のジャケット(王国指定)をきているのは、赤髪ミジカという、少女です。
『いあいあ、これも魔法の査定の為、頑張ってください』
黒色15cmのペンは、声援を少女に向けて送ります。
なぜペンが声援を送れるのかというと、彼女が魔法ペンだからですね。
名はブラック☆ナビィ。自称するは最強の魔法杖です。
「でも、いざやるとなると足がすくむっていうか」
『ほら、下にはふかふかの土も用意してありますし』
「あんたは飛ばないから、気が楽でいいわよね」
『へっへっへ、気が楽です』
「そこは嘘でも“いあいあ”言っときなさいよ」
『いあいあ、嘘はつけない性分なので』
折ってやろうか、このクソペン、と思うは赤髪少女。
魔法ペンは、風をうけてクルクルと回って、愉快に話します。
「あと、休憩まで何分よ」
『ざっと、1時間後ですね』
「なら1時間、風を感じとくかしら」
『でも屋上の使用許可が出てるのあと30分ですよ』
額に皺が寄って、黒いぐるぐるとしたオーラがでる、赤髪少女。
聞かなければ良かったという気持ちが、オーラとともに放出されます。
「はああ、やるかああ」
『はやくやってくださいよ』
魔法ペンは容赦ありません。
当然ですね。赤髪少女に付き合わされて30分以上も、寒い場所にいるのです。早く帰って、ごろごろしたいというのが魔法ペンの気持ちと言ったところでしょう。
「分かったわよ────未認可魔法《高所から落ちない魔法》、発動」
極彩色の輝きが、少女の腰に纏われ、ホワンホワンとした光とともに、地面と綱で繋がります。
「さあ行くわよ私、3、2、『えいッ』────ちょっとおおおおおおおっ」
悲鳴と共に落下する、赤髪少女。
3階、2階、1階の窓に叫び声を響き渡らせて、瞬間的に目を瞑る、赤髪少女。
「死「びよよよ~ん」────い、生きてる」
地面に落ちる際に、緑光の綱が伸び切り、アブソーバーのように働き、落下衝撃を緩和。
地面スレスレ、鼻先に土の匂いを嗅ぐ、赤髪少女。
「あ、あぶなかったぁ」
『おお、ホントに止まりましたね』
「止まらなかったら、慰謝料ごと請求してたわよ」
『ほげーた』
すごく興味が無さそうに魔法ペンは答えます。
彼女的には落下して、赤髪少女が怒り狂ったほうが好みということです。
「じゃあ、このまま認可しても『次はもっと近くで落ちましょうッ!!』────はっ?」
魔法ペンは、いつの間にか、真横に来ており、赤髪少女と目が合います。
何を馬鹿らしいことを言ってるのかしら、と服に付いた土埃を払いながら立ち上がる、赤髪少女。
『いあいあ、どの距離まで安全か確かめないと』
「申請書類には2m以下では安全を保障できませんって書いてあったけど」
『つまり、2mから飛ぶということですねッ』
「飛ぶか、アホ」
ボキリ。魔法ペンは、無残に待っ二つにされて、地面に転がります。
仕方ないので、バラバラになった状態で、説得を始めるぺ/ン。
『でも、ホントは3mから危険かもしれませんよ』
「後の実験は人形を使ってやるわよ」
『でもそれじゃあ、人体にかかる負荷までは分かりませんよね』
「分かるでしょ。精巧な実験用人形よ?」
『内部の被害までは分らないでしょ』
「確かに臓器とかは簡略化されてるけど、そこまで調べる義理もないでしょ」
魔法ペンは折れた体を、蝉のようにミンミンと鳴らします。
『じゃあ、実用されたとき誰が使うとか考えてますー?』
「そりゃあ、飛べないような魔力の人たちだろうけど」
『じゃあ、そんな人たちが落ちて、魔法が発動しなくても大丈夫だと思っているんですかー?』
「うっ、分かったわよ、やればいいんでしょ、やればっ」
この後、きちんと1m単位で落ちていく、様子を記録した、赤髪少女。
もちろん2mではきちんと魔法は発動せず。少女は地面に体のあとをクッキリと残すことになりました。
魔法ペンは、赤髪少女の尊い犠牲に感激し、満足してその場を「あっちょっと、ミジカさん、それ以上は────」「────うるさいっ」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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