王国魔法局査定部第三課 ー赤髪ミジカの魔法査定ー 作:上殻 点景
王国には書類(未認可魔法)が積まれた執務室がありました。
未認可魔法とは発動はしますが、使用許可がない魔法のこと。
魔法の安全性を調べる場所こと、王国魔法局査定部、3課には分類:その他の魔法が集まります。
────そんな執務室で半袖Tでふるえているは赤髪少女。
「さ、寒い」
喉をゆらして、声も体もふるえるのは、赤髪少女。
赤髪ショートの髪は首筋をながれ、涼しそうな白ブラウスにつつまれるは、ペッタンコな胸。
『いやー、今日は冷えますね』
黒色長さ15cmペンはノックボタンを上下に移動させて、カチカチと寒さを表現します。
なぜ、ペンが寒さを表現できるかというと彼女が魔法ペンだからですね。
名はブラック☆ナビィ。えっ、ブラックがいるかって? もちろん要ります。彼女はとっても悪い、自称最強の魔法杖ですから。
「失敗したわよ。調子にのって半袖とか着てくるんじゃなかった……」
『まあ、昼から暖かくなりますし、それまで待ちましょうよ』
「それまでに風邪をひかないことを願うわ」
『いあいあ、流石にそこまで虚弱体質でもないでしょ、ミジカさん』
「でも、すでに鼻水が出てきているというか。やっぱり寒いっ!!」
じゅるじゅる。鼻水をすする赤髪少女。
よく見れば、彼女がいつも着ている魔法局制服(王国指定)のジャケットがありません。
『あれ、そういえば上着はどうしたんですか』
「今日に限って洗濯中よ」
『そういう時こそ、魔法でちゃっちゃと乾かして貰って』
「あれ、無駄に防御魔法がかかっているから自然乾燥以外、駄目なのよ」
『でも、あれ着てても魔法効果貫通してません?』
「防げる範囲が微妙なのよねえ。本来なら改造したいところよ」
文句をいいながらも、手をのばして、仕事の山にとりかかかる赤髪少女。
彼女の動きがとまったのは一枚の書類。
「あっ、これ丁度いいじゃない」
『えっと……』
銅の装飾で彩られた魔法名は────小さめのモノを発熱させる魔法。
作成者からの注意事項は、サイズ100mm×100mm×30mm以上のモノには使わないでくださいとのことです。
赤髪少女はるんるんで、査定の準備を始めるのでした。
◆◇◆◇
【王国/魔法局・3課執務室 [現地時刻 9:30]】
陽気な日差しが、ホコリを輝かしている執務室。
本棚に囲まれている執務机には、乱雑にモノが積み重なっています。
指を回して、どれにするかを確認する赤髪少女。
彼女の指はある一か所で止まります。
『あ、ちょ、なんでこっちを見ているんですかッ』
「そりゃあ、ちょうどいいモノがあったからよ」
『非人道的だー、魔法ペンを虐待するなー』
魔法ペンはノック部分を鳴らして、カチカチと威圧を始めます。
ですが彼女は魔法ペンなので、人道的でもありませんし、虐待という言葉もおかしなものです。
しかたないので、机脇に置かれていた消しゴムを取る、赤髪少女。
「ほらほら、魔法を使うわよ」
『消しゴムを虐待するなー、人権を「うるさい」────あぎゃ』
魔法ペンはデコピンで弾かれて、クルクル回って、机の淵まで飛んでいきます。
静かになったのを確認した赤髪少女は、指に魔力を溜めて、魔法陣をえがき始めます。
「さてと────
極彩色の輝きが、消しゴムにあてられて、ながれる風とともに魔法が発動します。
消しゴムに手をのばし、ふれると温もりを感じる赤髪少女。
「まあ、じんわり温いってかんじね」
『おもっきり熱かったりすると面白かったんですけどね』
「私は全く面白くないから駄目よ」
『ミジカさんの意見は聞いてないですー』
魔法ペンは、ぷくーと膨れるように、体を分離させて見せます。
無言で魔法ペンを戻して、魔法のチェックを再開する赤髪少女。
「み、ミジカさんのエッチ」なんて声がしますが、彼女は無視一択です。
「まっ、他のモノでもチェックしておこうぐらいかしらね」
『珍しいですね。ミジカさんが自ら仕事を増やしていくなんて』
「うるさいわね。なんか文句あるのかしら」
『いあいあ、ただその心は、と聞きたくなっただけです』
「そんなの────使った子がすぐに冷たくなったら可哀そうでしょ」
なんてことないように、他のモノにも魔法をかけ始める赤髪少女。
魔法ペンは仕方ないですね~、と心の中で思いながら、彼女の手助けをし始めるのでした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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