王国魔法局査定部第三課 ー赤髪ミジカの魔法査定ー 作:上殻 点景
王国には書類(未認可魔法)が積まれた執務室がありました。
未認可魔法とは発動はしますが、使用許可が降りていない魔法のこと。
魔法の安全性を調べる場所こと、王国魔法局査定部。3課には分類:その他の魔法が集まります。
そんな執務室で赤髪少女は時計を見ていました。
「まだ20分しかたってない」
絶望するかのようにため息を漏らす、赤髪少女。
赤髪はショート、胸はペッタン、服装は薄緑の袖付き制服(王国指定)です。
『いあいあ、ミジカさん。まだ仕事の一つも終わってないじゃないですか……』
黒色20cmほどのペンは、冒涜的な呆れを見せます。
なぜペンが呆れるかというと彼女は魔法のペンだからです。
名はブラック☆ナヴィ。自称:最強の魔法杖です。
「うがあああ、勤務時間なんて無くなってしまえばいいのにっ」
部屋に響くほど叫ぶのは、ミジカと呼ばれた赤髪少女。
魔法ペンはそんな様子をみて、疑問をつぶやきます・
『それって無限に仕事したいって事ですか?』
「ちがうっつーの。無限に仕事をしたくないっことお」
『でも仕事しなかったらどうやって暮らすんですか?』
「うがあああ、仕事をするしかないいい」
最近忙しかったせいか、壊れたオルゴール如く、無限に同じ事をくりかえす、赤髪少女。
魔法ペンは、彼女の叫びに合わせてぐるぐる回っています。
ぐるぐるぐるぐる
『やりましたね、ミジカさん。時間が三分すすみましたよ』
「ああ、仕事が終わってないのに三分も無駄にしちゃった」
『今日のミジカさん、喜怒哀楽が激しすぎませんか』
「ここんところ精神に影響を及ぼす魔法の査定をしてたせいよっ」
プンプンしたり、泣きそうになったり、キレたりしながら喋る、赤髪少女。
どうやら精神系の魔法の乱用で、感情の起伏がおかしくなっている様子、
本来は病院モノですが、査定を止めるわけにはいかないので気合いで頑張っています。
『大変ですねー』
「折るわよ、ナヴィ」
『でも実際、寝たら明日に治ってません、ミジカさん?』
「体質っていうか、訓練のたわものといいなさい」
『体がクソ魔法に調教されている、と』
「せっかく包んだオブラートをはがさないで頂戴っ」
実際、新人の頃に比べて、図太くなった赤髪少女。
魔法ペンは、代償として色んなモンを捨ててそうだなと思うのでした。
◇
【王国・魔法局査定部・三課執務室 [現地時刻 9:15]】
「で、なによこの魔法は」
『どれどれ見せてくださいよー』
魔法ペンは、ワザとペッタンコの胸をくぐって、書類を覗き見ます。
今回は障害物がなくて、通りやすいなーというのも忘れません。
『なるほど、電車の時刻がわかる魔法「バキッ!!」————あれ、なんか私の体曲がってません』
「気のせいじゃない、テープならそこにあるわよ」
魔法ペンは、折れた箇所をテープで巻きながら、ペンをかしげます。
『電車って、王国に通った魔道具の事でしたっけ?』
「たしか、汽車より快適とかで売り込んでたハズよ」
『へー、モノ知りですねー』
「新聞の一面になってたら誰でも見るわよ」
「いや、そうではなくてですねー」
魔法ペンは言いたいことは、そうじゃない、という様子。
仕方ないので、赤髪少女に思ったことを教えてあげます。
『ミジカさんの癖に汽車とか知ってるんだなって』
「喧嘩売ってるのかしら」
頭に怒りマークをうかべ、魔法ペンを強く握る、赤髪少女。
魔法ペンは、また折られてはたまらないので、ごまをすっておきます。
「いや、何をやってんのよ、ナビィ……」
『見ればわかるじゃないですか、ごまをすってます』
すり鉢からは、香ばしい、隠せなさそうな匂い。
多分だけどそうじゃないんだよな、と思いながら話を戻す、赤髪少女。
「汽車ぐらいなら、昔学校にいくのに使ってたもの」
「あれ、王国に住んでいなかったんですか?」
「おばあちゃん家がくっそ田舎だっただけよ」
思い出をかたりながら、魔法の査定準備をする、赤髪少女。
時刻をメモって後で市販されている、時刻表と見比べればいいか、というところです。
「さてと、
極彩色の輝き。ゆっくりと光が消えた後には、一枚の空中ウィンドウ。
宙に浮かぶ画面にふれると、様々な駅名を打ち込むようになっています。
「めんどくさい、魔法を作ったものね……」
『無駄にこった作りですよね』
こんなモン脳内でいじれるようにしときなさいよ、と思いながら操作する、赤髪少女。
「とりあえず、王国から、隣町とかでいいかしら」
“決定”のボタンを押すと、現れるは、更に大きな画面。
そこにはびっしりと、1時間分の電車の時刻がかかれていました。
「とりあえず、不良品ってことだけはわかったわね」
『そうなんですか?』
「そりゃそうよ」
自信満々に宣言するは、赤髪少女。
「————だって、一時間にこんなに汽車はこないでしょ」
魔法ペンは、首をかしげるかのように、ペンをかしげます。
『いや、来ると思いますけど……』
「なにいってんのよ、汽車は一時間に一本あるかどうかでしょっ」
『それはミジカさんのところだけじゃないですか?』
「いやいや、私の周囲はそんな感じだったわよっ」
更にここもおかしい、と反論する、赤髪少女。
「そもそも隣町まで20分でつくわけないじゃないっ、何キロあるとおもってんのよっ」
『いや、20分でつきましたけど』
「嘘よ、汽車なら一時間はかるくかかる距離だわ」
『……本当に仕方ない人ですね』
魔法ペンは、少女に現実を教えるために、紙を用意します。
書き出していくは、王国駅の時刻表。
「嘘よ。こんな事があり得る訳がない……」
『私が抜け出して何回電車に乗っていると思ってるんですか』
魔法ペンはどうどうと、偉そうにいいます。
ですが彼女の場合は、乗るというより、荷物扱いで運ばれているということは内緒です。
「こうしちゃ居られないわ。行くわよ、ナビィ」
『行くってどこにですか?』
「決まってるでしょっ」
コートを取ってから、外行きの準備を終わらせ、発言をする、赤髪少女。
「—————もちろん王国の駅よ」
魔法ペンは、アレ、仕事は? と思いますが、困るのは赤髪少女なので言わないことにしました。
もちろん、駅で感動と発狂をした赤髪少女は、帰ってから終わってない仕事をみて、絶望するのでした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字報告があると作者が喜びます。