王国魔法局査定部第三課 ー赤髪ミジカの魔法査定ー 作:上殻 点景
王国には書類(未認可魔法)が積まれた執務室がありました。
未認可魔法とは発動はしますが、使用許可がない魔法のこと。
魔法の安全性を調べる場所こと、王国魔法局査定部、3課には分類:その他の魔法が集まります。
そんな執務室で赤髪少女はお腹が減っていました。
「ぐうううぅ」
子気味よく鳴るは、少女のかわいいおへそ。
慌てて揺れる赤髪はショート、胸はペッタンコ、制服は薄緑の袖付き(王国指定)です
「いあいあ、お菓子がおいしいですね」
黒い15㎝のペンは、冒涜的に間食をつまんでいます。
なぜペンが間食を食べているかというと、彼女が魔法ペンだからです。
名はブラック☆ナビィ。自称、最強の魔法杖です。
「いいわね、アンタは盛大に食べれて」
『ミジカさんも食べてもいいんですよ』
「いやよ、今日は料理系の魔法の査定があるんだもん」
反論するは、ミジカと呼ばれた赤髪少女。
料理系の査定は、不測の事態に対応するため、お腹を減らすのが基本です。
『へー、久しぶりですね、料理系の魔法』
「まあ基本的に作った方が早いから、考える連中が少ないのよね」
『だって料理を食材から作り出す必要はないですし』
「買った方がどう考えても安いってのは私も思ってるわ」
料理魔法。名前だけ聞くと凄く面白そうですが、実態は魔力馬鹿喰いの微妙なモノとなっております。
精密な魔法陣が必要となる割に、味付けなり、分量なりと、微調整が必要で、最終的にはアレこれは料理を作った方が早くねとなります。
『そんなチャレンジャーは、今回なんの魔法を?』
「これよ、これ」
一枚の書類が、執務室の机から引っ張り出されます。
魔法名は────タコパする魔法。
『聞いた事ない魔法名ですね』
「タコってのは東洋の悪魔だったかしら」
『じゃあ、味が悪魔的な料理という事でしょうか?』
「それが、文献を引っ張り出したけど、料理名としてどこにも載ってないのよね」
一抹の不安がよぎりながらも、昼を迎える、赤髪少女。
他の職員が昼飯の買い出しに行く中、魔法の準備に取り掛かる少女でした。
◆◇◆◇
【王国/魔法局・査定部・第三課/執務室 [現地時刻 11:50]】
「では、早速────未認可魔法」
極彩色の輝きが、机に降りかかり────消えたあとに現れるは、タコ焼き機。
焼き穴は4×5の多人数用のタコ焼き機です。
『あれ、料理にしてはなんだか、硬そうじゃないですか』
「これ、どうやら作るのはセルフみたいよね」
つんつんと、タコ焼き機を弄りながら、確認する、赤髪少女。
執務室に鳴り響く金属音。流石に少女も、魔法ペンも、タコ焼き機を食べることはできないようです。
『具材とかあるんですか?』
「えっと、「粉を混ぜてください」どうやら必要なモノは脳内に「粉を混ぜてください」────うるさいわね」
流れる音声にキレながら、食材を探す、赤髪少女。
ですが準備室にあるのは魔法査定用の食材と、少女のおやつのみ。
「適当に作ったけど、生地はこんなもんでいいのかしら」
『いいんじゃないですか、基本小麦粉っぽいですし』
────生地を流し込んでください
『ちょっ、ミジカさん、油をひくのを忘れてますよ』
「いいじゃない、いらないでしょ、そんな行程」
『絶対、引っ付いて洗うの大変になりますよッ』
「終わったら魔法を消せばいいでしょ……」
────タコを入れてください
「タコ……こんにゃくとかでいいかしら」
『よくはないですけど、ないよりマシな気がしますね』
「次回があればタコを買っておきたいところね」
────生地を串をつかって丸めてください
「いや、どうやってよ」
『半分焼けてますし、隣と合体させるんじゃないんですか?』
「じゃあ、全部にタコ入れる必要なくないかしら?」
『ほら2倍あってお得的な』
────焼き色が付いたら完成です。
「も、もういいかしら」
『まだ、駄目ですよ』
魔法ペンは生焼けにも関わらず、食べようとする赤髪少女を止めます。
止められた結果、ゾンビのごとく、うーうーとうめき声をあげる、赤髪少女。
そんなこんな、5分が経ち、たこ焼きからは白いケムリが立ち昇ってきます。
『そろそろ、良さそうですね』
「もうお腹ペコペコよ」
『ゆっくりと食べた方がいいですよ』
「分かって────あつううううっ」
急いで水を飲み干す、赤髪少女。
魔法ペンは呆れて何も言うことができません。
「ちっ、あっつ……冷却魔法の一つでも搭載しときなさいよ」
『いや、急いで食べたミジカさんが悪いですよ』
「正論は聞いてないのよ。慰めをよこしなさい」
『わー、ミジカさんの猫舌ー』
「誰が悪口をよこせと言ったのかしら」
『いあいあ、痛みを忘れさせてあげようと「バキバキ」────あっ、すんません、いやマジすんません』
「完璧超美人少女ミジカさんは、おちゃめと言いなさい」
『完璧超美人少女ミジカさんは、オチャメデスネー』
「分かればよろしい」
『ぼ、暴力統制すぎる……』
魔法ペンと赤髪少女は、戯れながらもたこ焼きを減らしていきます。
惜しむらくは、お好み焼きソースが無かったため、本来の味が再現できなかったところでしょうか。
「そう言えば、結局タコパってなんのことなんだろ」
『確かに、料理名はタコ焼きですよね』
首を傾げる、赤髪少女と魔法ペン。
彼女らの疑問に答えるように、音声が流れます。
────最後に、友人を集めて、たこ焼きパーティの完成です!!
「友人......?」
『凄いですね、完璧超美人少女のミジカさんに、絶対に手に入れれないモノじゃないですか』
「べ、別に昼飯をおごったら話してくれる友人ぐらいはいるもんっ」
『完全にかもられてません、それ』
「うるさい。ビジネスフレンドでも友人は友人なのっ!!」
魔法ペンは、友人は非売品じゃなかったんですねー、と思いましたが、言ったら折られることは確定なので、心の中にしまっておきます。
執務室に残るは、青い“不認可”のハンコを押してやろうかと、本気で悩む、赤髪少女の姿でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字報告があると作者が喜びます。