ハーメルン・アウトサイダーズ   作:夢野飛羽真

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第7話

「これ、依頼」

 

ニコがそう言った。

 

「あぁ、これか」

 

俺はそう呟く。目の前の依頼書には大きな文字で『魔物の討伐』と書かれている。その内容は明らかに危険で報酬も高額だった。

 

「魔物の討伐、あんたの戦闘能力なら楽勝でしょ?」

 

ニコがそう言いながら俺に微笑みかける。

 

だが。

 

「断る」

 

俺はそう言いながら、手持ちにある煙草をくわえる。

 

「えぇ、なんでぇ」

 

ニコの不満そうな声が聞こえる。

 

「俺は運び屋だ」

 

そう言いながら俺はそのまま煙草に火をつける。煙草の先から煙が立ち上り、その香りが周囲に広がる。その煙をゆっくりと吸い込みながら、俺はニコを見つめた。

 

ニコの瞳には明らかに不満の色が浮かんでいた。彼女の視線は俺の顔から離れず、その瞳には何かを訴えるような光が宿っている。

 

「あんた、戦闘能力は高いし、報酬も高いよ」

 

ニコの声には明らかに説得力があった。

 

俺はニコの言葉に耳を傾ける。彼女の言葉は確かに正論で、報酬の高さを考えれば魔物の討伐は魅力的な依頼だった。しかし。

 

「運び屋だ、運送以外の仕事はしない」

 

俺はそう言いながら煙を吐き出す。煙はゆっくりと天井に向かって広がり、その中にニコの表情がぼんやりと浮かんでいるように見えた。

 

ニコの顔には少しの苛立ちが見えた。その表情には俺の言葉に対する不満が明らかに表れていた。彼女の口元が少し歪むのを見ると、俺は彼女の心情を理解した。

 

「あんた、それじゃ、金が無いじゃん」

 

ニコの声には明らかに不満が含まれていた。その声には少しばかりの怒りが感じられ、彼女の感情が高まっていることが明らかだった。

 

「お前のような無一文と一緒にするな」

 

それと共に、俺は手持ちの金を見せる。

 

その金額を見たニコは明らかに驚愕した表情を見せた。彼女の瞳は大きく見開かれ、その口は驚きで微かに開いたままだった。

 

「えっ、その金額・・・」

 

ニコの声には明らかに驚きと困惑が混じっていた。彼女が想像していた金額よりもはるかに多かったのだろう。

 

「あんた、どうやってこんな金額稼いだの?」

 

ニコの声には好奇心が滲んでいた。

 

「運送以外の仕事はしない、俺は運び屋だ」

 

俺はその言葉を繰り返す。その言葉には確固たる意志が込められており、俺の決意を改めて伝える。

 

ニコはその言葉を聞きながら、静かに俺の顔を見つめた。

 

「そう言えば、元々、あんたは死神で有名だから、それぐらいは金はあるわね」

 

「まぁな。といっても、あまり使わないがな」

 

「だったら、もっと使わないの?」

 

「別に、生きる分に必要なだけだ」

 

「あんたって、お金に執着が無いのね」

 

「別に、金で得られるものは限られている」

 

「じゃぁ、何が欲しいの?」

 

「別に。ただ、俺の仕事を全うしたいだけだ」

 

「そんなの、つまらないわよ」

 

「別に、お前に言われる筋合いはない」

 

俺はそう言いながら煙を吐き出した。その煙がニコの顔を覆い隠し、彼女の表情を一瞬だけ隠した。

 

ニコはその煙を避けるように顔を背けた。

 

「つまらないわね、あんたって」

 

ニコの声には少しの軽蔑が含まれていた。

 

「お前が求める面白さは俺には無い」

 

俺はそう言いながら煙草を吸い込む。

 

「はぁ、仕方ないわねぇ、とにかく運搬の仕事って」

 

その言葉と共に、ニコに目を向けたのは。

 

「ねぇ、あんたは運搬だったら良いのよねぇ」

 

そこにはあくどい笑みを浮かべたニコの顔があった。

 

「まぁな」

 

「ならぁ、これはどう?」

 

ニコはそう言いながら、依頼の内容を確認する。

 

「護衛依頼だと?」

 

それは、護衛の仕事だった。

 

護衛の内容は少女の護衛。

 

詳しい内容はあまり書かれていない。

 

ただ、目的地だけしか書いていない。

 

そして、膨大な報酬。

 

「怪しすぎるだろ」

 

「けど、この報酬よ!何よりも、護衛はあんたの運搬と同じでしょ」

 

「どこがだ」

 

「運ぶのが物じゃなくて人。一緒よ」

 

「一緒ではない」

 

俺はその言葉を口にしながら、ニコを見つめる。

 

すると。

 

「へぇ、運搬ならば受けると言っておきながら、人は運べないのね」

 

「・・・なに」

 

それは明らかに挑発。ニコの瞳には俺を試すような光が宿っている。その挑発に乗るかどうか、俺は一瞬迷った。しかし。

 

「・・・運べるに決まってるだろ」

 

俺はそう言いながら、その言葉を口にする。その言葉には確固たる自信が込められていた。

 

ニコの顔には嬉しそうな笑みが広がった。彼女の表情からは俺の決意を確信したことが伝わってきた。

 

「そうよねぇ、運び屋。あんたなら運べるわよね」

 

「・・・」

 

俺はそのまま煙草の火を消した。

 

「さぁ、これで決まりねぇ」

 

ニコはそう言いながら、護衛依頼の紙を持ち上げる。

 

俺はそのまま煙草の火を消し、その依頼書に目を向ける。

 

「ちっ」

 

俺は、舌打ちをしながらも、その依頼を受け入れることにした。

 

「さぁ、行きましょう」

 

ニコの声には興奮が含まれていた。

 

俺はそのまま護衛の仕事へと向かった。

 

その先には、どんな運命が待ち受けているのか。

 

その答えは、まだ誰にも分からない。

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