屋敷から脱出した後、既に外は夜になっていた。
「夜になっちまったか」
「えぇ、この辺りは夜になると、魔獣が現れやすいんだよ」
ニコはそう説明する。
俺はそれに頷きながら、そのままライドチェイサーから降りる。
夜道で進むのは危険な為に野宿をする事になる。
その為に、焚き火を用意して、野宿をしようとする。
だが。
「あんた、最初からあぁするつもりじゃなかったの」
ニコは俺に詰め寄る。
彼女は俺の行動に対して強い怒りを抱いていた。彼女の言葉には非難と怒りが込められていた。
そんな目に対して、俺は気にせずに珈琲を飲む。
「最初からも何も、俺はただ単に仕事を全うしただけだ。何よりも護衛の依頼を受けたのはお前だ」
「うぐっ、それはまぁそうだけど」
ニコは言葉に詰まる。
しかし。
「けど、あんたが最初から助けてくれれば」
「依頼は依頼だ。依頼を果たすのが俺の役割だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「ふんっ」
俺の言葉に、ニコは不満そうな表情を浮かべる。
だが。
「まぁまぁ」
そんな俺達の間にサヨが入る。
そして、サヨは。
「追跡さん」
「・・・なんだ」
彼女は、そのままにっこりと笑いながら、俺の方を見る。
「助けてくれて、ありがとうございます」
「・・・」
その一言に、俺は驚きを隠せなかった。
「俺はただ仕事を全うしただけだ。それに子供の依頼がなければ、俺は助けるつもりはなかった」
「だけど、あなたは助けてくれた。それは変わらないなじゃないですか」
「だとしても、俺は依頼をただしただけだ」
「お仕事をして、助けてくれた人にお礼を言うのは可笑しい事ですか?」
「・・・」
ニコとは違うほんわかとしたサヨの言葉に俺は何も返せなかった。
「・・・別に感謝される為にやった訳ではない」
「それでも、あなたは助けてくれた。私はそれが嬉しいのです」
サヨはそう言うと、そのまま微笑む。
その微笑みに俺は何も言えなくなった。
「・・・そうか、なら、報酬はそれだけで十分だ」
「報酬ですか?」
「あぁ、子供からまだ受け取る物を決めていなかったからな」
「そうでしたか、ならありがとうございます」
「・・・」
俺はそう、サヨから顔を逸らす。
それを見ていたニコは。
「あんた、それで報酬が良いんだったら、私の分は」
「てめぇは迷惑料をきっちり払え」
「なんでよぉ!」
そう、俺達は夜を過ごす。
そんな俺達が夜を過ごしていた同時刻。
そこは、崩れた屋敷の中で一人残されていた。
その男の表情は怒りに満ち溢れていた。
「あいつらぁ、必ず!必ず私の手で」
男は怒りに駆られながら、拳を握り締めた。
「必ず復讐してやる!」
そう呟きながら、男は暗闇の中で復讐の念を燃やし続けた。
その時だった。
ふと、鼻歌が聞こえて来た。
その鼻歌は、静かな夜の空気の中で響き渡り、男の怒りを一瞬和らげた。
屋敷の主人はその鼻歌を聞きながら、怒りの念を抑えることができずにいた。
その時。
「ふんふんっ♪」
聞こえて来た鼻歌に対して、屋敷の主人は疑問に思うと、共に見つめた先。
そこには。
「おぉ!まさかあなた様がここにいるとは」
銀髪のツインテールの女性はその言葉に笑顔を浮かべながら、屋敷の主人の前へと歩いていく。
「やっほぉ♪少し見に来たけど、凄い事になっているねぇ」
その言葉に屋敷の主人は目を丸くした。
屋敷の主人は、その女性の存在を信じられず、目を疑った。彼の瞳には驚きが宿り、その表情には疑念が浮かんでいた。
「そんな!なぜこんなところに」
屋敷の主人は混乱した様子で言葉を絞り出す。
屋敷の主人の声には動揺が滲んでおり、その言葉は震えていた。彼は女性の出現に戸惑いを感じており、その視線は彼女に釘付けだった。
そんな屋敷の主人に対して女性は。
「まぁまぁ、そんなに驚かないでよ。私はただここに寄っただけだから」
女性は陽気なギャルのような雰囲気を纏いながら、答える。
「では、聴いてください!実は「あぁ、潰されたの?やっぱり彼だったらそうするよねぇ」へっ」
まるで女性は、その出来事が全て知っていたように。
「まさか、あなたが全てを」
「私が?心外だなぁ、私は彼がここに来る事なんて知らないよ。けれど」
「運び屋である彼が来るように仕向けたのは私よ」
女性はそう、言うと。
「なっなにを」
女性の言葉に屋敷の主人は戸惑った。
女性の言葉の意味を理解するのに時間がかかり、彼の表情には混乱が浮かんでいた。彼は女性が何を言っているのか理解できず、言葉を失ったまま立ち尽くしていた。
「彼の噂を聞いてね。確か死神とか言う運び屋がいて、依頼されたものは確実に届けるって」
女性はまるで歌うように楽しそうに語り始めた。
その言葉には軽やかな響きがあり、まるで彼女が物語を紡ぐかのような口調だった。
「だからこそ、ちょっと話しておいたんだぁ、彼は依頼を重視するから自分達の所に届けて欲しいって」
女性の言葉には深い意味が込められているようだった。彼女の言葉はまるで謎めいており、屋敷の主人はその意味を理解することができなかった。
屋敷の主人は女性の言葉に激昂し、その瞳には怒りが宿った。
「なっなぜだぁ!私はぁあなたに仕えて」
屋敷の主人は怒りに満ちた言葉を吐き出した。
その声には絶望と悲しみが込められていた。
しかし。
「えっ、別に興味ないよ君の事なんて。私の今は彼の方にしか興味がないからさ。だって彼は」
女性は興味なさそうに屋敷の主人の言葉を遮り。
その言葉に屋敷の主人は怒りに駆られ、女性に向かって怒りの声を上げた。
「貴様ぁ!そんな理由で私を裏切ったのかぁ!」
屋敷の主人の言葉には、激しい怒りが込められていた。彼の声は震えており、その表情には絶望と怒りが交錯していた。
女性はその声に一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。彼女の表情には冷静さが宿り、その瞳は屋敷の主人を鋭く見据えていた。
しかし、その言葉よりも前に。
屋敷の主人の体は一瞬で肉塊へと変わった。
その突然の出来事に、屋敷の主人は何が起きたのか理解できなかった。彼は自分の体が急に肉塊へと変化したことに驚き、悲鳴を上げることすらできなかった。
女性は屋敷の主人が肉塊へと変わった瞬間を見て、一瞬驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。
「っ!」
屋敷の主人の体が肉塊へと変わった瞬間、その周囲は一瞬で静寂に包まれた。女性はその光景を目の当たりにし、一瞬の間を置いて言葉を失った。
屋敷の主人が肉塊へと変わった瞬間、女性は驚きと衝撃を隠せなかった。彼女の瞳には驚きと困惑が浮かんでいた。彼女は言葉を失い、その場に立ち尽くした。
しかし、女性はすぐに冷静さを取り戻した。
彼女の瞳には冷静さが宿り、その表情には決意が宿っていた。
そして。
「ふふっ、さて次はどうしようか」
女性はそう呟きながら、鼻歌を歌いながらその場を去っていった。
女性は鼻歌を歌いながら歩き出す。
その背中には何の感情も浮かんでおらず、ただ静かに歩いていた。
「ふふっ、彼には面白い運命が待っているだろうね。楽しみだなぁ」
女性はそう呟きながら、夜空を見上げた。
その表情には何かを企むような微笑みが浮かんでいた。