ハーメルン・アウトサイダーズ   作:夢野飛羽真

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お疲れ様です。
wikiに作品ページも作ったのでよければ見ていってください!
https://hamelin-outsiders.playing.wiki/d/%b2%be%cc%cc%a5%e9%a5%a4%a5%c0%a1%bc%a5%a8%a5%dc%a5%eb%a1%a6%a5%e9%a5%a4%a5%b8%a5%f3%a5%b0


第2話 ソーザ衆

「見た目はまあ、そんなに変わっていないね。」

 

宿に案内された俺はご飯食べたりとかして過ごしつつ、夜は今ある情報の整理をしていた。

部屋に鏡があったし、その前で服を脱いで自分の姿や顔を確認する。

顔も髪も身長も転生前とそこまで変わっていないし、筋肉もしっかりと付いたままだ。

トラックに轢かれてこの世界に転生してきたって流れだろうけど見た目は特に変わっていない。

変わったのは新たな力を得たことぐらいだ。

 

「これが俺の…」

 

服を着なおし、ベッドに腰掛けて腕に付けたパンドラバングルをパンドラボックスの状態に戻して、中を見てみる。

 

「フルボトルとロストボトルは殆どあるか…」

 

まずはフルボトルが60本、ロストフルボトルが10本出てきた。

今日のあの大きいライオンとの戦いでも、この辺のボトルがあったおかげで何とか戦えた。

特にボトルの本数が多いから、全種類使いこなせれば、戦いの幅はさらに広がるだろうね。

 

「武器はまあ、こんな感じか。」

 

次に武器を見てみることにした。中から出してみると、さっき使ったトランスチームガンとスチームブレードに加えて、ネビュラスチームガンもある。

 

「さて、最後に…」

 

そして最後は、変身用のアイテムを見ていく。

ビルドドライバーとかスクラッシュドライバーはなかったけど、エボルドライバーが1つだけある。

そして、エボルボトルはコブラエボルボトルとライダーエボルボトルだけだった。

エボルトリガーなんかも入っていない。つまり、今の俺は仮面ライダーエボルのフェーズ1にしか変身できない。

 

「さて、今後はどうしようか…」

 

一先ず、転生してしまったけど元の世界に戻る方法は分からないし、そもそも戻れるかもわからない。

なら今は、あの人達に頼りつつ力を蓄えるしかないかな。

 

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その翌日、颯馬はマルコスらに呼び出されて彼らの居城を訪れていた。

 

「大きいな…」

 

城とは言えど、中心となる建物は豪華な城の様な建物ではなく砦程度のサイズの建物である。

だが、その周囲の城壁や自然を活かした防衛機構に颯馬は関心しつつ門を潜り居城の中に入っていく。

 

「ようこそ、ソウマ殿。さあ、こちらへ」

 

兵士に案内されて、会議用の部屋に入った颯馬の前にはマルコス、クレイブの親子とクレイブに少し似ているが彼に比べると背が高く、白い髪の青年が座っていた。

マルコスに促されて、彼らと向き合う様に颯馬は椅子に腰かける。

 

「改めて、この度は息子と村の危機を救ってくれてありがとう。感謝する。さて、我々の紹介をしておこう。私はマルコス・ソーザ、ソーザ衆の首領をしている。こちらは長男のロベルト・ソーザ、そして次男のクレイブ・ソーザだ。」

 

ロベルトとクレイブがマルコスに紹介されて颯馬に向けて会釈するのに合わせて、颯馬も首を縦に動かす。

 

「えっと、改めて、俺は石渡颯馬。まあ、流浪の旅人って感じなんだけどこの辺に来たのは最近で、あんまりよく分かってないって感じかな。それで早速なんだけど、ソーザ衆って言うのは何かな?」

 

颯馬も自身の紹介をしつつ、マルコスの口から出た"ソーザ衆"という言葉が気になり問いかける。

 

「ソーザ衆は私の一族が代々率いている国衆だ。我々国衆はその辺の国よりは小規模だが土地を治め、どこかの国に服属しながら時に有事の際には戦力を派遣し、時に我々が攻められたときは防衛の兵を派遣してくる。」

 

「つまりは、様々な国と軍事面や経済面で交易している地方領主ってとこか。」

 

ロベルトがソーザ衆や国衆について颯馬に教えつつ、颯馬自身も聞いた情報を整理して呑み込む。

 

「まあ、そう言ったところだ。さて、単刀直入にソウマ殿に提案がある。我らがソーザ衆に入らないか?」

 

「「父上!?」」

 

マルコスが突如颯馬を自分達の勢力に加えようと提案し、彼の息子2人が驚き目を丸くしながらマルコスの方を見る。

 

「この地に来たばかりの者をいきなり雇い入れるなどッ…!そんなの…」

 

「確かにソウマ殿は我々を救ってくれたが、ソウマ殿にはソウマ殿の事情も…「いいよ」…え?」

 

ロベルトとクレイブが突然の提案に抗議の意を示すように立ち上がる中、座ったままの颯馬は冷静に答える。

 

「俺はまあ、行く当てもないような状況だし、この辺のことも知らないから昨日みたいな事件に巻き込まれる危険性もあるし、それならここにおいてもらう方が気楽なんだよね。それに、そっちは俺の戦力が欲しいってとこでしょ?じゃあ、ウィンウィンの関係じゃん。いいよ、ソーザ衆に入るよ。」

 

「私の考えはお見通しだったか…ああ、今後ともよろしく頼む。」

 

颯馬とマルコスの互いの利害が一致したことを確認し合い、2人は固い握手を交わす。

 

「こうなると父上は聞きませんからね…仕方ありません。」

 

「ソウマ殿がお味方に…なんとも頼もしい!」

 

国衆は昨日の様な強力な魔獣との戦いだけでなく、周囲の国からの侵攻、服属先の国への援軍派兵と言った周囲の情勢の影響による戦いを強いられることもあり、常に戦力を整える必要がある。

それも、強力な力を持つ者がいれば尚更様々な事態への対処がしやすくなる。

そのことをよく理解しているロベルトらもこれ以上反対することはなかった。

クレイブも、颯馬の実力を知っているため、彼がソーザ衆に加わることによる戦力増強にむしろ嬉しさを感じていた。

 

「それで、報酬の方だが一か月で3オルと言うのはどうだろうか?」

 

「3オル…?えっと、このオルって言うのは?」

 

「オルはこれだ。」

 

そう言ってマルコスは金貨を1枚取り出して、颯馬に見せる。

 

「へえ~これの価値って大体どれぐらい?」

 

「貨幣もあまり知らぬのか…不思議な男だ。」

 

「では、私の方から。この金貨1枚の1オルは銀貨100枚分の価値がある。銀貨1枚で1セルでソウマ殿が昨日止まった宿に一泊できる。因みに銀貨1枚は銅貨100枚、即ち100コル分の価値がある。」

 

「金貨がオル、銀貨がセル、銅貨がコルで、3オルは…銅貨3万枚分ぐらいってとこかな。」

 

ロベルトからの説明を受けて、颯馬は貨幣の価値への理解を深めていく。

それぞれの金貨や銀貨、銅貨がどれほどのレートなのかを理解しつつ、彼の報酬として提示された3オルの価値を見極めるために、更に質問していく。

 

「因みにだけど、ご飯食べるのに大体どれぐらいお金ってかかるの?」

 

「街の定食屋だと大体5コル~10コルだな。」

 

(俺のいた世界では定食となると500円~1000円ぐらいだったし、1コルは大体…100円ぐらいか。)

 

颯馬は食事の値段を転生前の世界と比較して、1コル当たりの価値を計算する。

その結果、1コルは100円であり、さらに彼の報酬3オルは300万円であると分かると、1カ月で300万円と言う破格の条件を掲示されていたことを理解し笑みを浮かべる。

 

「なるほど、それじゃあその契約で大丈夫だよ。」

 

「うむ、では後程契約金として1オル程渡しておこう。住処を見つけるまではあの宿を利用してくれ。」

 

「うん、了解。」

 

とは言え、衣食住が揃っていない颯馬にとってはむしろ、3オルが必要であるとも言える状況ではある。

マルコスが取り出した雇用契約書を見て、報酬や働く条件などをしっかりと目を通してから、颯馬は羽ペンで自身のサインを書く。

 

(不思議だ。なぜかこの世界の言語がスラスラと読めるね…転生した特権みたいなものかな?)

 

自身が自然とこの世界の言語を理解できていることを、考察しようとしている間にサインを書かれた契約書をクレイブが回収し、今度は地図が机の上に置かれる。

 

「では、続いて我々に関する情勢を説明しなくては…」

 

その地図には彼らが住む大陸が描かれており、その大陸の中央部には平原と巨大な国があることが分かる。その他にも北部には山岳地帯、東部には砂漠地帯、西部には多くの島や港湾、そして南部には大きな森があることが分かる。

 

「この大陸の中央部にはヴァルハイト帝国という巨大な帝国があって、帝国はこの大陸で最大の国です。東部の砂漠にある魔族の王、魔王が治めるヴァルザード魔王国とは常に冷戦状態にあります。」

 

「ここ最近、ヴァルザード魔王国の魔王が人間との融和を望む穏健派の魔族から、人間と敵対している過激派の魔王に変わったそうだ。これから2国間の戦いが激化する恐れがある。」

 

クレイブが大陸の主要な二か国、人間の帝国と魔王の王国をそれぞれ指差す。

ロベルトによると、これまでは魔王が人間たちに対して友好的な者であったが、最近人間に対して敵対心を露にしている魔族が魔王となったことで、情勢の悪化が懸念されるとロベルトが付け加える。

 

「人間側の帝国と魔族側の魔王の国の対立か…ややこしいことになりそうだね。」

 

「ああ、その通り。そしてその影響を受けやすいのがこの大陸南部の大森林だ。」

 

これまで得た情報を元に考えを纏める颯馬に頷きつつ、マルコスが地図に描かれた大陸南部を指さす。

 

「ここには5つの国がある。まずは帝国派の国エルシア王国…今我々が服属している国でもある。」

 

「服属ってことは、この国に税を収めたり何かあった時に戦力を派遣したりしてる国ってことかな?」

 

「その通り、逆に我々が他国や魔獣に攻められた時は援軍を派兵してくれる…のだが近頃は派兵される援軍は少し乏しいな。」

 

人間の国、エルシア王国との関係について語るマルコスは、少し俯きつつ、次の国の説明をしようと駒を取り出し地図の上に置く。

 

「続いてここはもう1つの人間の国だが帝国と距離を置いており、他の国との同盟もあまり組まない、中立国のヴァル=ガードだ。ここは堅牢な城壁に囲まれた要塞国家で帝国にも魔王にも屈しないという姿勢を取っている。同じく中立国では湿地帯にあるリザードマンの国のリザード=ヘルム王国もあるな。」

 

人間と魔族のそれぞれの中立の国の位置を示すように、地図上に駒を置いていく。

エルシア王国を示す駒は馬の形を、ヴァル=ガードを示す駒は城の形を、リザード=ヘルム王国を示す駒はトカゲの形をしている。

 

「次にここも我々との交易国である、穏健派の魔族のゴブリンの国、グリン=フォレストだ。ゴブリンは小柄ながら頭がよく、独自の魔導兵器を制作している故、それを我々も仕入れている。」

 

「へえ~穏健派の魔族ってことは、その魔王様ってのが変わっても交易とかは続けてくれそうなのかな?」

 

「そうだな…過去にも過激派の魔族が魔王となったことがあったが、グリン=フォレストやリザード=ヘルム王国がそれに乗じて敵対したことは無かったな。」

 

そう過去の例を振り返りながら、人間と敵対する可能性の低い魔族の国について答えつつ、マルコスはゴブリンの頭の形をした駒を置く。

 

「そして、ここが我々にとって最も脅威となる魔王派の国、オークが治めるグルドム王国だ。ここは魔王国に服属している過激派の国で、今後我々の領土に侵攻する恐れがある…いや、さらに言えば魔王が穏健派でもこやつらは人間との戦争を何度も起こしている。」

 

そう言って、豚の頭の形をした駒を地図の上に置く。

颯馬自身もその話を耳にしつつ、グルムド王国に関しては警戒すべきだと記憶しておく。

 

「この5つの国に囲まれたこの地域、そこが我々ソーザ衆を始めとする国衆が集まる地域だ。ここには我ら以外にもムローガ衆とイデーラ衆が…」

 

「マルコス様!ムローガ衆の頭領ラグス・ムローガ様とイデーラ衆の頭領サラ・イデーラ様がお越しです!」

 

マルコスが地図上の国衆が集まる地域を指差しつつ、周辺の国衆について解説していると、会議室に使者が駆け込んで来る。

 

「事前の連絡もなしに来るとは…一体何事だ?まあ、良い。ここに通せ。ロベルト、クレイブ、颯馬もここに残ってくれ。」

 

「「はい!」」

 

「りょーかい」

 

ソーザ衆の近辺にいる国衆に興味を示しつつ、そこの頭領達を颯馬は待つのであった。

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