ハーメルン・アウトサイダーズ   作:夢野飛羽真

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こちらはマイスイートザナディウムさんの作品虚無のエルフと転移者になります。


虚無のエルフと転移者
異世界転移とエルフの里


春ーー

 

新学期が始まり、平凡な日常を過ごしてきた男子高校生・加藤燈矢は晴れて高校2年になった。

 

「…今日から2年かぁ…長い様な早い様な…」

 

燈矢は登校する支度を済ませた。

 

「……さてと…行くか…」

 

燈矢はアパートを後にする。

 

 

 

「ふぁ〜……眠…」

 

自宅を出た燈矢は欠伸をしながら自身が通う高校へと歩く。

 

高校に進学してからというもの、燈矢の1年間は平凡そのものだった。

 

実家を離れ、都会の高校に進学しアパートを借り独り暮らしを始めた。

 

平均的な成績を維持しつつ、部活はせずにバイトで生計を立てる毎日ーー

 

何事も無く、只々平和な1年を過ごした。

 

そしてこれから高校を卒業し、一般企業に就職し死ぬまで働き続ける人生が待っているだろうーー

 

燈矢はそんな平凡な人生を歩むのだろうと考えていた。

 

そう 今日この日まではーー

 

燈矢は空を見上げる。

 

この日は晴天で青空が広がっていた。

 

 

 

空を眺めながら歩く燈矢ーー

 

 

 

燈矢は気づかなかったーーー

 

 

自身の足下に謎の魔法陣が展開していた事にーー

 

 

 

「…………は?」

 

燈矢が腑抜けた声を上げる。

 

その瞬間、加藤燈矢という人間は現実世界から姿を消した。

 

 

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

燈矢は現在、上空から落下していた。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

あまりにも非現実的状況に燈矢は叫んだ。

 

 

「どうなってんだよこれぇぇぇぇぇ!?」

 

燈矢の目の前には巨大な森が広がっており、徐々に近づいていった。

 

「嘘だろおい!訳わかんねぇ状況で死ぬのか俺ェ!?」

 

燈矢はそのまま森へと落ちていった。

 

 

 

ガサガサガサ

 

 

 

森へと落ちた燈矢だったが、幸いにもかすり傷を負うだけで済んだ。

 

「痛っつぅぅ…どうなってんだよ…なんであんな上空から投げ出されてんのに生きてんだよ俺…まぁ助かったけどさぁ……」

 

燈矢は辺りを見渡した。

 

紛れもない森の中ーー

 

辺りには草木が生い茂り、見たことの無い小さな生き物や植物が生えていた。

 

「…何処だよ此処……はぁ」

 

燈矢は溜息を吐きながらスマホを見た。

 

「…まぁ……圏外だよなぁ…これあれか?ラノベとかである異世界転移ってやつ?…だとしてもこれは無いだろうよ…」

 

燈矢は無駄に重い鞄の中を漁りながら呟く。

 

 

高校で使う参考書やルーズリーフの束ーー

 

筆記用具一式ーー

 

圏外のスマホーー

 

異世界で使えるか分からない所持金が入った財布ーー

 

 

「せめて異世界に飛ばすならチート能力とかアイテムとかくれよ……これが現実なのか?…ん?」

 

燈矢は鞄の奥底に身に覚えの無い物が入っていたのを見つけた。

 

「何だこれ?……本?」

 

それは表紙に燃え盛る不死鳥が描かれたオレンジ色の小さな本だった。

 

そしてその本の題名だろうか…アルファベットで文字が刻まれていた。

 

「…Eternal…Phoenix……エターナルフェニックス?…なんかの童話か?…こんな玩具の本持った覚えねぇし…まさか俺のチートアイテムがこれってか?」

 

燈矢は項垂れながら、エターナルフェニックスを鞄の中に仕舞った。

 

「はぁ…取り敢えず…辺りを散策するかな…ずっと此処に居るわけにもいかないし…どっか町でもあれば良いんだが…」

 

燈矢は歩き出した。

 

この時燈矢は気づかなかった。

 

 

鞄の中に仕舞ったエターナルフェニックスが点滅しながら光っていた事にーー

 

 

ザザザ

 

草を掻き分けながら進む燈矢。

 

「はぁ…はぁ…何処まで続くんだよこの森……もうこの際人間じゃなくても良いから誰か居ねぇかなぁ…」

 

どれだけ時間が経ったか分からないが、結構な時間歩いた燈矢はへとへとだった。

 

「はぁ…おい冗談じゃねぇぞ…誰とも会わずにゲームオーバーとか洒落にならねぇ……おっ?」

 

草を払い除け進んだ燈矢が目にしたのは、集落の様な民家だった。

 

「こんな森の中に集落?……でもありがてぇ…助かったぁぁ…」

 

燈矢が集落に足を踏み入れたその時だったーー

 

「止まれ!」

 

「ッ!?」

 

突然の声にビクつきながら、燈矢は振り向いた。

 

そこには特殊な形をした黒とオレンジの配色の剣を燈矢に向けた少女が立っていた。

 

 

金髪ロン毛で燈矢より頭一つ分低い身長ーー

 

そして何より目立つのがその尖った耳だったーー

 

それは燈矢が元の世界で飽きるほど見てきたファンタジーの代名詞とも言える種族に酷似していた。

 

「エ…エルフ?」

 

「…貴様…此処をエルフの里と知って侵入して来たのか」

 

「エルフの里?…えっ…マジモンのエルフ!?嘘だろどんなファンタジーだよ!異世界転移ってのも驚きなのにマジモンのエルフの剣士とか!」

 

興奮気味に叫ぶ燈矢を見て、エルフの剣士は引いていた。

 

「ふぁんたじぃ?…何を言っているんだ貴様……そんな事より…貴様を拘束する…無駄な抵抗はよせ侵入者…」

 

「………拘束?」

 

 

ガンッ

 

 

燈矢はあっという間にエルフの里の地下牢に入れられていた。

 

「なんでェェェェェェェェェェェ!?」

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